前回、分岐と言いましたが、決めました。ストックしていた話を消して、また新しく書くことにしました。およそ5話分くらい消しましたね(泣)
けど、それよりもいいものが書けると思っています。
それではご覧ください。
妖怪たちと出会って半年。今日は年明けのお正月。凍えるような寒さに参りながらも、多くの参拝者を避けながら、俺は初詣に出向いている。何故普段から家に籠っている俺がそんなことをするかというと、俺は現在中3。つまり受験生だ。2ヶ月後には受験を控えている。今日はその合格祈願だ。
前まではカッコつけて、神なんかには頼らない。自分の力だけで挑む。と、めちゃくちゃ恥ずかしい事を抜かしていたが、現状ここに妖怪たちがいるし、行きたいと言われたから来たのだ。
さて、初詣から帰って、俺の部屋にはシキ、雪、花、くーちゃん、黒歌に白音が普段通り遊んでいる。だが、また増えた。
「ラノベ、一杯ある。あ、これ私の好みっぽい」
俺の本棚を物珍しそうに物色しながら、目を輝かせている妖怪。そう、初詣の帰り道、会った。
しかも聞いてる限り、かなり日本のサブカルチャーに興味津々のようだ。どうやら、アニメや漫画が好きらしい。
目の前で物静かに口数が少ない妖怪、それはコロポックルだ。アイヌの伝承に伝わる小人。またの名は、の葉の下の人。
文字通り、
「ねえねえ、これ見てもいいですか?」
コロポックルはそう言って、本棚から取り出した一つのブルーレイBOXを見せてきた。
「いいぞ」
「ありがとう」
目を輝かせながら、それをテレビの前に持っていくが、やり方が分からないのか、困った表情でテレビとにらめっこしている。それを見かねた黒歌はやり方を教え、コロポックルの頭を撫でた。ふむ、実にほっこりする画だ。白音は少し頬を膨らましていて、可愛い。シスコンだな。俺と同じ。
「なんだか、また一段と賑やかになりましたね」
「八幡って、妖怪に好かれすぎじゃない?」
ベッドに座っている俺の双方に雪と花が、そう言って座ってきた。
「まぁ、好かれてるかは知らんが、たまに見かけるようになったな。何故か最終的に俺の部屋に暮らすようになってッけど」
「ほんとだね。さすがに少し狭くなってきたわね。嫌いじゃないけど」
「確かにそうですね。これだと八幡さんのスペースが無くなってしまいます」
「いんや、別に構わねえぞ。ベッドと机にいられればそれでいい」
「ですが・・・」
「変に気遣う必要はねぇよ雪。お前らが楽しんでるならそれでいい」
「・・・ふふ、ありがとうございます。凄く温かいですよ」
雪は優しい微笑みを浮かべ、俺の方に体を預けてきた。不意打ちをくらったため、何をしていいかもわからず、ただただ固まることしかできなかった。緊張しているのか雪の顔が見れない。相手は妖怪相手は妖怪相手は妖怪!花も今の雪の行動に顔を赤くしてあわわ、と口を震わせている。
「あー!雪ちゃんずるい!シキもはちまんにくっつく!」
それを見かねたシキは、俺の膝に飛ぶ就くように座った。
「お?雪~、大胆だな~♪お熱いね~」
「ち、違います!決してそのようなことは!」
くーちゃんがにやけながら、雪をからかうと、顔を赤くして俺から離れ、慌てて手を横に振る。普段冷静な雪がこんなに慌てるなんて珍しいため、見入ってしまった。可愛い。
「雪とシキだけずるいにゃ!私も!」
「わたしも」
「!?ま、待て!?」
今度は黒歌と白音まで勢いよくベッドに乗り込んできた。おかげで俺のベッドは大渋滞。
「八幡押し倒せー!ここでやらなきゃ男が廃るぞ!」
「うるせえ余計なお世話だ!あー!暑苦しい!・・・・・・ん?どした?」
一旦全員離れさせようと手と腕を動かし続けると、先程までアニメに熱中していたコロポックルが目の前に立った。すると、懐から何かを取り出し、俺に渡してきた。その正体は、自分自身同じものを持っている、蕗の葉の傘だった。
「くれるのか?」
「うん。使ってみて」
「・・・・こうか?」
『きゃあ!』
「ええ!」
傘と同じ扱いをするように、上に持っていた瞬間、周りで騒いでいた妖怪が一斉に衝撃を与えられたかのように吹き飛んだ。
よく見ると、俺の周りに薄い半透明の膜みたいなものが、俺を守っているかのように張っている。成程な。
「凄いですね。このような物を持っているなんて」
「頑丈にゃ」
「本当ね。この子の傘も同じだわ」
能力系ではなく不思議な物を持ってる系妖怪か。またとんでもない妖怪に会ってしまったようだな。害はないんだろうけど。こうしておそらく大事な物を俺にくれたわけだし。
コロポックルはそのまま何事も無かったかのように、テレビの前に戻っていった。
おそらく、いや、絶対ここに滞在することになるだろうからと言って、皆が名づけた名前は、『コロちゃん』。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そろそろ男の妖怪も入れてもいいかな。
また次回。