今回は八幡の変化がはっきりわかる回ですね。性格改変タグ付けるべきか……。
それではご覧ください。
時間の流れは残酷にも早いものだ。つい最近入学したと思ったら、気付けば月日は流れ、現在12月25日のクリスマス。俺のご両親及び妹は毎年恒例のクリスマス旅行。俺は当然留守番。
昔は寂しい思いをしたクリぼっちだったが、今は違う。俺には一緒に過ごしてくれる奴らがいる。
そう思うと、自然と笑みがこぼれてしまう。おっとマズいマズい、ここは路上だ。目つきの悪い高校生が急にニヤついたら、即通報されてしまう。
「ただいま」
『おかえりなさーい!』
両手に荷物を抱えた俺を出迎えたのは、サンタのコスプレをした妖怪たちだった。
「どうですか?これ?」
雪が代表して俺に感想を求めたが、今はそれよりも気になることがあった。まずサンタの服なんてないし……。
「どうしたんだ?それ」
「モンちゃんが作ってくれたにゃ」
モンちゃんが?一体どうやって……。もしかしたら、裁縫得意なのかな?想像してみたら意外と似合ってる。
だが、俺の考えとは裏腹に、結構とんでもない方法だった。
「私の力でいらない服をサンタにしたんです。人間が『いらない』と心の奥から想っている服は、どんな服にも変えられるんですよ」
何そのチート能力。最早魔法だよ。妖怪あんまり関係な……。いや、一反木綿だから衣服関係の能力なのか、成程。あれ?じゃあもしかしたら、小町のプリントTシャツとか作ってくれんじゃね?100%嫌われるからやめておこう。小町に嫌われたら、こいつらに泣きつく。
まあとにかく、感想を求められてるなら、素直に言おう。
「可愛いぞ」
女妖怪全員が顔を赤くして、モジモジしながら、サンタ服をいじり始めた。そうなるんだったら、何で自分から感想を求めたんだよ……。
「何照れてんだよお前ら…」
「し、仕方ないじゃないですか!八幡さん以外褒めてくれる人いないんですよ!」
「お前らめっちゃ可愛いぞ!もうお前ら大好きだ!」
ハチマンの口撃が妖怪たちに会心の一撃。皆、この瞬間、普通の乙女と化した。今となっては妖怪の面影すらない。俺はそれが少しばかり嬉しいと思った。
少しは人間らしい色々な事を経験させたいしな。
「あんまり調子に乗るなよ八幡!」
「お、おいくーちゃん落ち着けって。可愛い顔が台無しだぞ」
「だからそれを言うな!」
顔を真っ赤にしながら、俺の両肩を掴み、ぐらぐらと揺らすくーちゃん。さすがにやりすぎたかな?俺もいつもと違うクリスマスに少し浮かれていたのかもしれない。
「悪かったって。それよりほら、クリスマスだからプレゼント買って来たぞ」
皆それぞれ自分に合う物をプレゼントし、こうしてクリスマスは幕を閉めた。
それと同時に、妖怪たちのアタックがより激しくなって、冬なのに毎日暑い思いをしたのはまた別の話。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
ね、年内には完結…………か、んけつ。
また次回。