前話の後書きで、彼女と過ごすと言いましたが、あれ嘘です。当日は普通にネットサーフィンっすね。
それではご覧ください。
「・・・・あぢ~」
テストも難なく終わり、迎えた夏休み。結局新たな妖怪に出会うことも無く、いつものメンバーと言えるような状態になった妖怪たち。学校でもいつも通り皆くっついて話に花を咲かせている。俺は保険という事でスマホを耳に当てながら、会話している。妖怪たちと話しているのは楽しいが、なんか虚しさが残る。
「暑いのでしたら、私が何とかしましょうか?」
お?さすが雪女。教室を凍えさせるほどだから、きっといい感じに涼しくしてくれるだろう。俺は早速涼しくしてもらうよう雪にお願いをした。・・・・のだが。
「涼しいですか?」
「あ、ああ。涼しいけど、こうする必要あるか?」
「あります」
ありますって・・・。今の俺は、ソファに座ってテレビを見ていて、膝の上で雪がこちらを向きながら抱き着いている状態だ。てっきり、室内を冷気で涼しくするかと思いきや、まさかのこれだからな。
それとさっきっから周りの視線が凄い痛い・・・。皆『ぐぬぬ』と顔で言ってるし、くーちゃんはずっとニヤニヤしてるし、コロちゃんは相変わらずの無表情だし。あ、でもちょっと頬膨れてて可愛い。
ていうかテレビ集中できない!
「雪、そろそろいいぞ」
「やです♪」
やですって満面の笑みで言われた。さらには胸板に顔を擦り擦りされ、抱擁が強くなった。やわらか・・・は!いかんいかん!相手は妖怪相手は妖怪相手は妖怪。・・・雪ってスレンダーだけど、結構あるんだな・・・。
「ちょっと雪!もう離れなさい!」
ちょっと苦しいと感じた矢先、花が声をあげて俺から雪を離れさせた。タイミング的にちょうど良かった。
「じゃあ次は私」
「は?なんでそうなる!?」
「雪だけずるいじゃない!私にも抱き着かせなさい!」
「何その意味わからんキレ方!」
結局この後、花にも抱き着かれ、それを見兼ねた他の奴らも、俺の部屋に俺を連れ去り、同じような事をされた。
「お兄ちゃんどうしたの!?」
さすがの俺も耐えきれず、叫び声をあげてしまったため、隣の部屋にいた小町が慌てて入ってきた。
「お兄ちゃん大丈夫!なんかベッドの上で凄い唸ってるけど!」
小町ビジョンには俺がベッドでうなされてるように見えている。小町は俺の傍まで近寄り、体をゆさゆさと揺らしている。
その光景を見た妖怪たちは申し訳なさそうな顔をして、俺から離れた。
「ああ、大丈夫だ小町」
「も~、お兄ちゃんったら。あんな叫び声されたら焦るじゃん!」
「ちょっと悪夢見てただけだって。心配かけてスマンな」
「小町にここまで心配させるなんてポイント低いよ!だから、アイスを要求します」
「はいはい、買ってくるよ」
「やったー♪」
小町は上機嫌で自室に戻った。現金な妹だ・・・。可愛いからつい許してしまう。
さて、それでは、妖怪たちの様子は。
「あ、八幡さん・・・」
「お前ら」
『は、はいぃ!』
「帰ったら説教な」
『はい・・・』
最後まで読んでいただきありがとうございます。
嘘ついたお詫びで連続投稿です。ちょっと急ぎ足で書き上げました。彼女欲しいとは今は思わないですね。高校生だもの。
また次回。