なんか11月中に終わらせると言いながら、もう12月になってるというね。あはは・・・。
それではご覧ください。
もうすぐ手放す中学の学ランを纏い、昨晩の大雪で積もった雪に凍った道路を注意深く歩きながら、受験校へ向かう。今日は受験の合格発表だ。受験票を片手に、あまり落ち着いていない気持ちを抱き、重い足を運ぶ。別に、自信がないとか、全くわからなかったなんてことはないのだ。寧ろ俺の頭のレベルなら受かる確率の方が高い。だが、常にネガティブシンキングな俺は、すぐに悪い事態しか想定しない。
受験番号は88という何とも奇跡的な数字だ。縁起がいいですねって皆言ってたな。妖怪なのに。
合格者発表。76、77、80、85、86、88・・・。あ、あった。
ホッと安堵をつき、入学確約書を提出し、数枚の資料をもらった俺は、速足で帰る。早速妖怪たちに報告だ。
◆
『おめでとう!!!』
合格の報告をした途端、火をつけられたかのように祝福の言葉を叫びながら、騒ぎ始めた妖怪たち。まさか、合格しただけでここまで祝われるとは・・・。両親の方がよっぽど質素だったぞ。小町は別だったけど。
「ささ、お疲れの八幡さんはどうぞベッドへ」
と、雪を始め、周りの妖怪たちが一斉に俺をベッドに押し倒した。いや、これじゃ誤解を招くな。正確には俺をベッドの上で横にさせた。そして、身の回りの散らかった参考書などを片付けてくれている。なんだなんだ?
謎の行動に出た妖怪たちに疑問を抱えながら、立ち上がろうとすると、黒歌に押し倒された。今度は間違ってない。両肩を掴まれて、俺を覆いかぶさっている。俺は今、オタクが夢見るシチュエーションを体験しているだろう。
「八幡は休んどくにゃ。受験で疲れたでしょ」
労わってくれるのはありがたいが、この体勢を何とかしてほしい。黒歌の服装はいつも目のやり場に困る。
「姉さん。これだとかえって八幡が興奮する」
「誰が妖怪相手に興奮するか!」
「・・・へえ、八幡顔赤いよ」
「お前ぇ、何和服に手をかけてんだ?調子に乗るなよこの野郎!」
黒歌の両手首を掴み、無理矢理引きはがし、半身を起き上げた。
「八幡さん黒歌さん何してるんですか!?エ、エッチなことはこの雪が認めませんよ!」
「おいおい雪、水差しちゃ悪いだろ。八幡だって男だ。黒歌の身体見て興奮しないなんて逆におかしい事だぞ。っつーわけで、このまま黒歌ルート直行だ八幡!」
「何言ってるんですかくーちゃん!?」
「ねえねえ、るーとって何?」
「シ、シキちゃんにはまだ早い事よ・・・」
「さ、私は一旦外で風に流されてきますかね。一反木綿だけに」
「あーお前ら落ち着け一旦正座!」
ベッドから離れて立ち上がり、妖怪たちを一度正座させて落ち着かせる。
「労わってくれるのはありがたいが、少し落ち着けお前ら。いや、嬉しかったけどね。こんなに祝われるの初めてだから」
俺の嬉しいという一言に全員が笑みを浮かべた。あれ?説教のつもりだったんだが、かえって褒めてしまったのか俺は・・・。
「取り敢えず黒歌。お前は自分の服装を顧みて、少し抑えてくれ」
「善処するにゃ♪」
あ、これ無駄なやつだ。こいつらは基本俺に従順だが、自分勝手な行動をよくするのだ。別に束縛するつもりはないし、俺の所有物でもないから自由でいいんだけど。俺もそっちの方が嬉しいし。
「ま、疲れたのは本当だし、俺は寝るわ。片付けありがとな」
「じゃあ皆で寝ましょう!」
「・・・はい?」
俺がお休みと言う寸前に、雪が笑顔でそう言って、皆一斉に俺のベッドへ入り込んだ。右に黒歌と白音と花、左に雪とくーちゃん、それぞれ縦に並ぶように横になり、その空いた真ん中に俺が入って、俺の上にシキが横になれば完成形。一反木綿のモンちゃんは宙で寝ている。
もう、何なんでしょうね。今更だがお前ら一応女だろう・・・。妖怪に性別あるか知らないけど。いや、100%女だな。
暴露すると実はもうほぼ毎日こんな感じで寝ている。けど、思ったよりも気持ちよく寝れるんですよね。もうこいつら無くして眠れなくなる体になっちゃいそう。
「まぁ、こんな美少女妖怪と一緒に寝れるなら、この世で最も贅沢だけどな」
さて、寝よう。・・・・・ん?どうした?なんか皆顔真っ赤にしてんだけど。シキを除いて。どっちかというとシキは満面の笑みだ。
そして俺は、心の声が口に出てたことは知る由もなく、そのまま眠りについた。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
まぁ、最終回はどういう終わり方にするかは決めたので後は書くだけです。期末テスト明後日だけど。
また次回。