「文香さんに近づかないでください、文香さんは私のです!」
と言っているが仲自体は悪くない。
さて、けーちゃんは未…なんでしょうか?
「はぁ…はぁ…はぁ…」
私は今必死に走っている。
なぜなら追われているからです。複数の人に。
しかも誰が敵で誰が味方のかわかりません。
こんなことになるなら…こんなことになるなら…
「鬼ごっこなんてちゃんと止めておけばよかったです‼」
時間は30分ほど遡る。
「あい、うんじゃあ今日のレッスンは鬼ごっこです」
そう唐突に言い出した先輩。
頭の上にはニワトリ、腰には虎がらパンツ。そして手には私ぐらいの大きさがある棍棒を持っています。
…ニワトリは違うんじゃないですか?
「先輩、今日は何で唐突に鬼ごっこなんですか」
「名目的にはスタミナ増強だ」
名目って言っちゃいましたよ、この人。
「本音は」
「怖がる女の子を追い回すって少しテンション上がらない?」
「皆さん、今日のレッスンはこれでおしまいです。解散してくれて結構ですよ」
「おい待てけーちゃん。せっかくのニワトリが無駄になるじゃないか」
ポイントなのはニワトリなんですね。
さて、ここで一度今日のレッスンのメンバーを確認したいと思います。
「鬼ごっこなんて久しぶりだなぁ。頑張ろうね、アーニャちゃん」
「Да、頑張ります!」
と気合を入れている新田美波さん、アナスタシアさん。
「…ちゃんと走れるでしょうか?」
そして少し不安そうなのが鷺沢文香さん。
そして最後に
「またジョニーが変なレッスンし始めたね~」
「だんだんと慣れて来たよね」
「島村卯月、頑張ります!」
呆れ2人と気合十分が1人、結構付き合いが長くなってきたニュージェネレーションズの3人です。
何で意外にもみんな鬼ごっこに乗り気なんでしょうか?
渋谷さん、本田さんもあきれながらも準備運動してますし。
「そんじゃあルール説明するぞ~。
まず最初の鬼は俺。形式はゾンビ鬼、ようするにタッチされた人も鬼になってどんどん増えていくやつだ。制限時間は1時間。その時間内で全員鬼になったらなんか罰ゲームな。範囲はこのレッスン棟の全部。
最後に…何でもありな」
「待って、何でもありって何?」
早速食いつく本田さん。
そりゃ疑問に思いますよねぇ…私も意味わかりませんし。
「ルールの範囲内なら買収してもいいし裏切りも、不意打ちも、罠だってありっていうだけだ。普通だろ?」
「いえ、普通じゃないですから」
「そうなんですか、美波?」
「そうだよ、だから騙されちゃだめだよアーニャちゃん」
「Да、わかりました」
流石良識人。純粋な子へのフォローもばっちりです!
「おいおい、人が嘘ついてるみたいに言うなよ○クロス娘」
「私そんな名前じゃありません!新田美波です!」
「けど○クロスやってるんだろ?なら○クロス娘でいいだろ」
「私がやってるのは○クロスです!って修正音いれないでください!」
「だからずっと○クロスって言ってるだろ?」
「言えてません!ずっと修正音がはいってます!」
「はぁ?修正音なんてテレビじゃないんだから入るわけないだろ?○クロス娘」
「だから…!」
流石先輩。良識人の精神をゴリゴリ削っていきます。
「ねぇねぇしぶりん、ジョニーどうやって修正音入れてるのかな?」
「上見ればわかるよ、未央」
「あ、ニワトリさんがタイミングよく鳴いてます!」
「わぁ…あのニワトリあんなこともできたんだ…」
流石先輩が連れている生物です。生態系から逸脱してます。
「ジョニーさん、そのニワトリを抱かせてもらってもよろしいですか?」
そしてマイペースなんですか、文香さん?
確かに興味の尽きない物体ですけど…
「ん?あぁいいけど」
「なによそを気にしているんですか!まだお話は終わってません!」
新田さんに正座で怒られている先輩の頭から鷺沢さんの胸元までニワトリが飛んできます。
…え、飛んで?
「しまむー…私ニワトリが飛んだように見えたんだけど気のせいだよね?」
「私にも飛んだように見えました…ふぁ~すごいですねぇ~」
「いや、卯月。すごいじゃすまないから」
そんな私たちの衝撃をよそにニワトリを抱きしめる鷺沢さん。
「羽毛フカフカですね、ニワトリさん」
「モチ」
…は?
「ねぇ今度はしゃべらなかった?」
「はい!あひるさんみたいです!」
「卯月、アヒルもしゃべらないからね?」
「милый…可愛いです、私も触っていいですか、文香?」
「はい、かまいませんよ」
「your welcome」
「ねぇ…」
「未央、もう何も言わなくていいよ」
「最近のニワトリは英語までしゃべれるんですね~」
゛最近の"ではなく゛先輩の"ですよ、島村さん。
「ちょ!?美波待て、それは痛いから!」
「知りません!こんなセクハラヤロウなんて知りません!」
「だからってその棍棒はだめ!固くて軽い最新の素材でできてるからぁ!」
「ちょうどいいじゃないですか…ってこれのどこが軽いんですか!」
「たった80キロぽっちしかないないんだ、軽い軽い」
「雄くんの尺度でモノを語らないでください!」
「HAHAHAHAHA、棍棒を用いない打撃なぞ痛くもかゆくもない」
「ん~‼」
向こうは向こうでカオスです。
先輩、もう諦めましたからやるならやりましょうよ鬼ごっこ。
と、そんなこんなで鬼ごっこが始まったのですが…
あの先輩一切の手加減がありません!
まず近くを歩いていたお子様系アイドルを買収して味方につけ、橘さんによって鷺沢さん、莉嘉さん、そしておまけでついてきた美嘉さんによって島村さんと本田さんがやられました。
他にも赤城さんや龍崎さん、市原さん、櫻井さんも巡回してて非常に逃げづらい状態です。
他にも先輩の身体能力がいかんなく発揮されており、渋谷さんは隠れていたところを窓からダイナミックお邪魔しますしてきた先輩につかまり、アナスタシアさんはニワトリに釣られて確保され、残ったのは私と新田さんだけです。
新田さんが粘っていて驚きです。さすが良識人で今回の最年長でみんなのお姉さんです。
ちなみに私は全力疾走の果てもう疲れ切り、身を隠す方向に変更しました。
向かっているのは男子禁制の女子トイレの個室です。
これで先輩につかまることはないはずです、卑怯だとは言わせません!
さぁ、個室の扉を開け、中に…
「って勝ち誇ってる辺り可愛いよ<バタン‼>
私はなにも見ませんでした。あれは…そうです。ゴキブリです。
きっと火星で進化してきたゴキブリです。
「急に扉閉めるなよ、出られないだろ?」
扉の上から頭を出しこちらを見下ろす先輩。
ダッシュで逃げ出した。
そりゃぁもう、全力です。
「何でですか!なんなんですか!何で女子トイレの個室で待ち伏せしてるんですかぁ!
変態ですか!?変態でした!ごめんなさい!」
変な恐怖心から私は何をしゃべっているの私もよくわからないです。けど叫ばずにはいられません。
THE.ぱにっくです!
そうして走っていると前方に高垣さんを確認。
「高垣さぁん‼」
思わず泣きつきます。…一升瓶に気付かず。
「けーちゃんどうしたんですか?」
「先輩がぁ…先輩がぁ…変態で、大変で、変態で…」
「いつも通りじゃないですか」
そう朗らかに笑う高垣さん。あ、そう言えばそうでした。
何ら普段と変わりありませんでした。
落ち着いてきた私を抱きしめて宥めてくれる高垣さん。
こんな大人な女性になりたいですぅ…
「あ、楓さんありがとうございます」
「へ?」
「いえいえ、日本酒のお礼です」
「それは今日の飲み会用ですからね?」
なんで先輩が高垣さんと?
それより逃げないと!
「高垣さん!私逃げないと!」
「フフフ、大丈夫ですよ。もうあなたの負けですから」
その言葉とともに先輩の手が肩に乗る。
見事に私の負けが確定した瞬間でした…ぐすん。
まぁ、結果として罰ゲームは避けれました。
新田さん様様です。
「まさかプールにずっと潜っているとはなぁ」
そうです、新田さんはなんとエクササイズ用のプールでずっと潜水をしてたんです。
「雄くんはプールに進入禁止ですもんね」
そう笑う新田さん。
「そうなんですか、先輩?」
「…許可があれば入れるし」
それは入れないってことじゃないですか。
「いや~みなみんの姉御のおかげで助かったぁ」
「未央すぐ捕まったもんね」
「ミカねぇは予想外だよ」
「ですよねぇ」
勝ててうれしそうなニュージェネレーションズたち。
「私はニワトリ、満足です」
先輩のニワトリを抱えて、満足そうなアナスタシアさん。
「文香さんをジョニーさんの魔の手から守れてよかったです」
「私捕まりましたよ、ありすちゃん?」
「私が捕まえたからいいんです!」
鷺沢さんの膝のうえでむふーと息を吐く橘さんと、走った汗で髪が張り付いたのか、綺麗な瞳が見えている鷺沢さん。
そして
「雄くんどうですか?私の勝ちですよ!」
濡れた髪がどこか色っぽい、けれども先輩に対してどや顔してる表情は子供っぽいどこか不思議なエロさを醸し出す新田さん。
…視点が先輩に毒されてきている気がしてきました。
「はいはい、御見それしました○クロスさん」
「…何回やる気ですか?」
「ずっと?」
「ならずっとお説教です!」
「あ、今日飲み会やるけど来る?」
「話聞いてますか?…行きますけど」
「あいよ、他のみんなはどうする?あ、けーちゃんは強制な」
「待ってください!強制って何ですか!」
私まだみせ「そこまでだ!」
急に大きな声を出し、私の思考に割り込んでくる先輩。
「いいか?この話は時系列がない。つまりけーちゃんの年齢が明言されてないってことだ。ほら、みんな幸せだ」
そう言ってラブ&ピースのポーズをとる先輩。
いえ、誰も幸せになりませんって…
なんせ、私まだみ
「ソフトドリンクもあるし大丈夫だと思うよ?」
今度はまさかの良識人新田さんにより思考が切られる。
けど確かにソフトドリンクだけなら…
お姉ちゃんも会社の付き合いは大切だって言ってたし…
「…わかりました、参加します」
ちなみにほかの未成年組は不参加、鷺沢さんも橘さんの懇願により不参加です。
そして飲み会…
衝撃が強すぎてもう何が何だか…
「どうしたんですか、けーちゃん?」
私にそう声をかけてくるのは私を罠にかけた高垣さん。
「いえ、だって…あれがあまりにもインパクトが高くて…」
私の視線の先には
「ねぇおにいちゃん~頭撫でてぇ」
「はいはい、よしよし」
「えへへへぇ~ぎゅ~」
「はいはい、抱き着くのはやめようなぁ~、包丁で指切っちゃったから」
「むぅ~おねぇちゃぁん!おにいちゃんがぁ!」
「はいはい、美波。お姉ちゃんが抱っこしてあげるからあの変態は我慢しましょうね~」
「むふぅ~」
川島さんに抱きしめられ満足そうに息を吐く新田さん。
新田さん。
そう、新田さんである。
あの良識人でみんなのお姉さんポジションの新田さんである。
「うふふ、普段は甘えさせてあげてる美波ちゃんだからこういうときくらい甘えたいのよ」
末っ子の私にはよくわからないのだがそういうものなのだろうか?
「つまみできたぞ~」
「わーい(*´▽`*)おにいちゃんだぁ~!」
そう言って先輩にダイブする新田さん。
張り付く新田さんを片腕で支えながら私に水を差し出してくる先輩。
「ほらよ、飲み物」
「あ、どうも」
それを飲んだとたん私の記憶は飛んだ。
飛ぶ前に最後に見た光景は新田さんが先輩の肩までよじ登り\(^o^)/している姿だった。
鷺沢文香のオリ主への認識
「不思議がいっぱいです」
※目をキラキラさせながら
最後、けーちゃんが飲んだのは決して薬とかじゃないよ!
れっきとした飲み物だよ!分類的には!