「面白いけど…ぬ、脱ぐのはやめて欲しい、かな?」
愉快犯でも純情なのよ
そして現れる悪魔!
前回のあらすじです!
ニュージェネレーションズを巻き込んで先輩をストーキングしていたら先輩が先輩じゃない!
以上!
美嘉さんの調子をみんなで盛り上げ、何とか復活を果たした美嘉さん。
そのままゲームは進み、先輩がキッカーの番が来たんですけど…
「あの…ジョニーさんが本気で蹴って大丈夫なんでしょうか?」
「あははは、さすがのジョニーでもボールを破裂させたりはしないでしょ~」
「うん、私もそう思う」
はい、破裂はしないでしょうけど…
美嘉さんが思いっきり転がしてきたボールに対して軽く助走をとり、軸足を固定、腰の回転により速度を増したその太い足。風を裂く音が鳴り、その足の振りにより砂が舞う。
そして鳴り響くズドムッという重低音。
そして風を引き裂き飛んでいくボール。
放物線?そんな物知らんというようなきれいな比例直線。
レーザービームといった方がよいのではというような勢いです。
「…ねぇ、あれどこまで飛ぶの?」
「人に止められるんでしょうか?」
「…たぶん事故扱いになるんじゃないかな?」
過失致死ですね、おそらく。
広場を抜けてもまだ収まるところを知らないあの速度。
そして通りかかる人影。
あ、これは大変です。
先輩が。
「「「ちひろさん!?」」」
片手で何事もなかったようにそのボールを受け止める緑の事務員・千川ちひろさん。
私の知る先輩を撃破できる唯一の存在です。
ゆっくりとボールの飛んできた方向に目を向けるちひろさん。
そして出会う視線。
にっこりとした笑みに対して絶望に染まった諦めの笑み。
そして静かに膝をつくキックベースをしていた面々。
膝を綺麗にそろえ、その上で震えた手を握っています。
…あれですね、刑を待つ罪人のような顔をしてますね。
「「「「……」」」」
かくいう私たちも正座でガクブルですけどね‼
私たち何にもしてませんのに!
そしてついにちひろさんのキリングレンジに入る先輩。
そこから始まるちひろさんの説教。蒼白な顔でたまにうなずく先輩たち。
そして渡される一枚の紙。
確認するまでもない。
間違いなくスタドリ、エナドリの注文票だろう。
そこに震える手でペンを走らせる先輩。
その紙を受け取り満面の笑みになり、ボールを返し去っていくちひろさん。
去っていくときこちらに視線を向けた気がするんですけど気のせいですよね?
気のせいと言ってください…
それからはキックベースを再開することもなく、しばらくうなだれている先輩たち。
慣れからか復活が他より早かった先輩はスマホを操りどこかに連絡をします。
「どこに連絡してるんでしょうか?」
と思っていたら私のスマホがメールの受信を知らせます。
先輩からであると確認し、みんなでメールを見ます。
From:先輩
件名:なし
本文:…エナドリとスタドリだけで生きていけるかな?
「「「…」」」
何も言えず画面から目をそらす島村さんたち。
私も何も返信できずポケットにスマホを返します。
強く生きてください、先輩…
私たちがお通夜ムードになっていたら向こうには岡持ちを引き下げたメイド服の安部さんがやってきました。
あのカフェは出前までやっていたんでしょうか?
「あ、ケーキです!」
「ホントだ!おいしそー!」
「ご丁寧に紅茶もあるみたいだよ」
ホントですね、しかもレジャーシートまで。
そして始まる放課後(?)ティータイム。
「私たちも食べたくなってきますねぇ~」
「私たちも出前頼もうか?」
「出前ってどうやるんだろう…」
たぶん先輩だからできてるだけだと思いますよ…
どうせ空気をどうにかしたいとか思ってなけなしのお金で買ったんじゃないですかね。
証拠にお金が足りなかったのか自分のケーキがありません、自分はうさみんの胸を注文したんだがとか言い張ってますし。
安部さんもそれを分かっているのかまだ通報してませんし。
「あ、みりあちゃんがあ~んしてる」
「莉嘉ちゃんも便乗してますね」
「美嘉に食べられたけどね」
そんなに莉嘉さんと先輩の接触が許容できませんか美嘉さん。
まぁ教育に悪いですもんね、存在が。
「あ、代わりにミカねぇがあ~んしてる」
「顔真っ赤っかですね」
「…かわいい」
美嘉さんやっぱり本当は仲いいんじゃないですか?
あと渋谷さん最近私と意見が似てきてませんか、立ち止まってください。
「いろんな種類のケーキ食べさせあいっこして楽しそうですねぇ」
島村さんは気楽すぎて不安になります。
「あ、うさみんがジョニー連れ出したよ」
「本当だ、何か内緒話かな?」
たぶん先輩の懐事情の話じゃないですかねぇ…
「あ!?ジョニーさんが!」
「うさみんを!」
「抱きしめたね」
早苗さんですかね?
というか安部さん小さいですからなんか先輩に包まれてるみたいですね、あれ。
そしてそこに「わたしも~!」っと突っ込んでいく子供たち。
そしてそこに混ざるおっきな子供、宮本さんに大槻さん、日野さん。
そして莉嘉さんを引きはがそうとして逆におしくらまんじゅう状態のところに引きずり込まれる美嘉さん。
そして少し離れたところで呆れてるクールな子供・結城さんに行かなくていいの?的なことをしているであろう姫川さんたち。
「…なんだか楽しそうですね」
「うん、今度はみんな引っ提げてぐるぐる回ってるよ」
「ちょっとしたアトラクションだね」
なんと言いますか…やっぱり子供には人気なんですよねぇ、あの先輩。
中身が子供な人も含みますけど。
そしてあれよこれよして一段落して解散。
先輩は岡持ちを安部さんの代わりに持って安部さんとカフェに向かい、その足で鷺沢さんが本を読んでいたベンチに帰ってきました。
「あ、アリスちゃんまだ寝てたんだ」
「そうみたいですね、お母さんの膝の上で幸せそうです」
「卯月、文香は母親じゃないから」
鷺沢さんとあいさつを交わし、橘さんを引き取り胡坐をかいた膝を枕に提供する先輩。
むにゃむにゃ言って丸くなるのを見ていると猫みたいですね。
「あ、またジョニーさんも寝だしましたよ」
「動いて疲れたのかなぁ」
「あの体力魔人が疲れるの?」
Ans.疲れません
フルマラソンを中距離走と言ってのける人ですから。
「あれ?ふ~みんあれなにしてるの?」
「なにって…触ってる?」
「触ってますね」
本から顔をあげ寝ている先輩の筋肉をおずおずとつっつく鷺沢さん。
長い前髪から覗く顔は好奇心に満ち溢れています。
「つっついてる顔が輝いてるんだけど私たちはどうすればいいのしぶりん」
「目をそらせばいいんじゃいかな」
「…いいなぁ」
渋谷さん、それは最終手段です。
あと島村さん。隠してください。
「ねえ、今度は匂い嗅ぎだしたんですけど」
「目をそらそうよ未央」
「む~」
はい、目をそらせば幸せになれると思います。
ついでに隣のほほを膨れさせている島村さんからも目をそらすことをお勧めします。
あと先輩は頼めば触らせてくれますよ、過剰なまでに。
あと文香さん、好奇心が満たされたからって鼻息荒くしないでください。
満足そうなその顔は橘さんに見せられません。
ひとしきりかまって満足したのか今度は眠っている橘さんの髪を梳いてあげる鷺沢さん。
「こうしていると本当に親子みたいですねぇ」
「そうだねぇ~卯月さんや」
「だから…うん、もう親子でいいよ」
渋谷さんからも遂に親子判定でました。
橘さんが聞いたら狂喜乱舞しそうですね。
橘さんの寝てる姿をまじまじ見ていたら眠くなったのか、鷺沢さんが小さくあくびをした。
「この陽気だしつられちゃったのかな~」
「そうですねぇ~」
「だからって寝ないでよ、未央、卯月」
ごめんなさい、私も若干つられそうです。
そしてなにを思ったのか先輩の空いている方の膝を枕に本を抱えて横になる鷺沢さん。
いやいや、なんでその人を使うんですか。橘さんを連れて仮眠室や事務室に行ってくださいよ。
その満足げな顔を見る限り橘さんのを見て興味ひかれてたんでしょうけど!
「親子が姉妹になったね」
「兄妹ならしっくり」
「ぴったしですね」
異論が出なかったため2人は姉妹で確定しようと思います。
「となるとジョニーはお父さん?」
「素敵なお父さんですねぇ」
「恥の間違いじゃなくて?」
十中八九恥です。
「「「「ふぁぁ…」」」」
思わずこぼれるあくび。
「眠くなってきましたね」
「…そうだね」
「そうですなぁ…」
誰か寝てるとこっちも力抜けますよねぇ…
で、気が付いたら陽が落ちてました。
「うわぁ!しぶりん私いつ寝たの!?」
「いや、私もわからないから」
「よく寝まふぃふぁぁ~」
うわぁ…自分でもびっくりです。こんなに風に寝落ちするなんて。
そして私たちにかけてあった毛布…
気に食いません。
結局分かったようで何もわからない。そんな一日でした。
おまけ?
「うさみんありがとねぇ、晩御飯誘ってくれて」
「さて?菜々何のことかわかんないです。きゃはっ♪」
「年齢♪」
「ご飯抜きです」
「まってうさみん!永遠の17歳うさみん待って!」
「本当に17歳なんですー、永遠とかじゃなくて正真正銘17なんです~」
「なら酒はなしね」
「……ごめんなさい」
「最初からそう言えばいいのに」
「キャラ付けは何よりアイドルとして大切なんですぅ!」
「あぁ、カリスマギャル(笑)とか?」
「…あれは雄くんが関わらなければまともなんですよ?」
「HAHAHAHA、シスコンキャラの間違いだろ」
「合ってはいますけど言わないで上げてください」
「はいはい、了解。
晩御飯のメニューは?」
「なにがいいですか?」
「食材何かある?」
「…おつまみが何個か」
「おい生活。
そんじゃぁ、スーパー寄って帰るか」
「そうですねぇ、ま、支払い私なんですけど」
「なら俺が調理担当で」
「なら許します」
なんてどこの夫婦だってこともあったがストーカーの認知外である!
渋谷凛のオリ主への認識
「見どころがたまにあるゴミくず」