ルーキートレーナーに幸あれ   作:bakabakka

41 / 44
そんじゃま、ゆるりとやってきまーす


ルキ「本番、始まります!」-後編-

 

 

さて、先輩がいなくなりました。

 

どういうことだと思うかもしれませんが、ステージの開演間近ということでステージ裏まで帰ってきてみたら先輩がいつの間にか消えました。

 

あの巨体でどうやって消えたかいつもながら不思議ですが、それよりも悪寒が止まりません。

 

こういう時はいつも何かしら先輩を筆頭に三バカが何かをやらかすと相場が決まっているからです。けど今からステージでライブですよ?アイドルの独壇場ですよ?それに乱入するようなことはないと…言い切れないのがとても恐ろしいんですが大丈夫ですよね?

 

絶賛自分で“フラグ立てちゃった?”とか思わなくもないですが大丈夫ですよね?だってそんなことを常務にちひろさんが許すわけありませんし、さすがに大丈夫ですよね!?

 

 

どうしても拭いきれない不安を抱えながら私は与えられた仕事であるアイドルの衣装着替えの手伝いに向かうのでした…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side.Other

 

今日、俺は…モーレツに!感動している‼

 

多くのアイドルが在籍する美城プロダクションによる今回のイベント、なんとアイドルの手料理が食べれるというファンからしてみるともう何が何でも行くしかねぇ!金?幾ら掛かってもかまわねぇぜ!むしろ本望だ…‼みたいな内容だ。アイドルの手料理を食べアイドルの歌を聞き、アイドルの姿をその目に焼き付けるという五感のうち三つを満たせる上、さらに運が良ければお釣りの受け渡しでちょっと手が触れてしまったりなんかしちゃったりぃ!アイドルのその香りも何かしらのもにょもにょで香ってきたりするんじゃないのぉ!?なこのイベント、まじめに競争率はすさまじかった…。転売屋許すまじ!!

 

まぁ、それは置いておこう。今日こうやってこれたのだ、よしとしよう、むしろどうにでもなれ。数日前からアイドルの作る料理を味わい尽くすために最低限の栄養を取るためのサプリと胃を弱らせないための食事のみ行い、アイドルに見られても恥ずかしく無いようエステ、ヘアサロンにもいった、この日のために新しく服も買った。そして前日から家を出る直前まで7回の入浴を行い身体を清めた。そしてほかのイベントに参加できる運のいい奴らにもまれて汗もかくだろうからと多めに制汗剤も用意した俺に視覚はない…。ふっ完璧すぎる、完璧すぎるぞっ!俺!ここ三日程興奮して寝られなかったが完璧すぎるぞ!

 

ぐぅぅぅうきゅるるると俺のすきっ腹がうなりを上げる。さぁ!食って食って喰いまくるぞ!今日の俺はジャイアント○場をも超越する男だ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

うん、すごく、おいしかったんだ。本当に。そんじょそこらのお店だったら手も足もでえないようなおいしい料理を出してくれる屋台もあって、本当に、満足だったんだ…うん、満足……

 

 

――――だがあいつらなんだこんにゃろう!!!

 

 

料理を注文に屋台に近づいてみるとアイドルといちゃこらいちゃこらしてるあの筋肉塊どもめぇ…1人はまぁわからなくもない。少し前我らが女神、高垣楓様と籍を入れた武内とかいうプロデューサーだ。まぁ、夫婦でいちゃつくのは、すごい幸せそうに微笑む高垣楓女神をみてこちらも幸せになれたから、まだ大目に見ないこともない、ないんだがぁ……

 

蒼の女神さまや瞳子様、留美様が率いる屋台でもいちゃ凝らしているのはどういうことなんだ!!?浮気か?浮気なのかこのゲスめ!!高垣楓女神なんて嫁を抱えておいて浮気か!?なんなんだよあの距離感!腕組むどころか足で絡まりに行くんだぞ!?うらやm…けしからんにもほどがあるだろがぁぁ!

 

 

ああぁ思い出すだけで腸が煮えかえる…あ、水ありがとうございます、ほんと大丈夫なんでほんと、ちょっとデスノートが欲しいだけなんで鷺沢文香大天使。

はぁ…ふみふみまじふみふみ。

 

うん、いい感じに気が紛れた…。さて、次だ次。次もその個人情報はデレラジを聞き逃したことがないどころか毎回録音して記録している優良リスナーである俺にはわかっている。アイツが下川忠文とかいうプロデューサーその2だ。佐久間まゆ大天使ともう婚姻届けを用意するところまで進んでいるという噂がもっぱら立っている畜生だ。なんというか…あの屋台の目の前は死屍累々だった。何かと近づいてみれば腕を組みながら調理することは当たり前、味見してくださいとアーンをしたりそのままの流れで“まゆのことも味見してみませんか~?”なんて…なんてことをしてやがたんだよぉぉぉおおおこんちきしょう‼‼あぁあああうらy…けしからん!本・当・に!けしからんぞぉぉお‼

 

もうなんなんだよあの2人もう結婚しろよ!嘘だよ、結婚すんなよなんなんだよ本当に!どういう関係なんだよ、大人しくアイドルとプロデューサーやってくれよぉ…‼あ、おしぼりありがとうございます、えぇ、本当に何でもないんで。赤の魔本片手にふザケルなぁ――‼って叫びたいだけなんで、ほんと、大丈夫ですうさみん大明神。

はぁ…うさみんまじうさみん。

 

うん、いい感じに頭が冷えたぜ。うん、男はいつでも頭はクールに、心はヒートじゃないとな。でもほんと、みんなええこやなぁ…アイドル。少しの不安として、あまり慣れない作業と忙しさにファンが見てはいけないようなアイドルの素の部分が出てしまうのではと少し不安になっていたけど、全然そんなことないは。というよりテレビとかで見るのと全然変わらない、それどころかもっと、遥かに魅力的だわ。さっき水をくれたふみふみ大天使もうさみん大明神も…なんであんな筋肉達磨にぃ…!!

 

なんなんだあの筋肉。いや、特徴としては優良リスナーである俺は完璧に把握していた。していたはずだったんだが…甘く見ていた。本当にそんな生物は存在しないと思っていたが誇張なんて何もなかった、あの情報に。なんなんだあの発達した筋肉は。同じ人類であることを疑うぞ?それなのに、それなのに…!背中にはとてもおかわいらしい銀髪の白い幼女を装備し、隣には細身だがとてもかわいらしい活発そうな女性を侍らせていやがった…‼しかもふみふみ大天使はあいつに褒められただけで顔を真っ赤に染め、あんなに綺麗な笑みを…笑みを――――‼正直ご馳走様でしたぁ!未だに膝が笑っていますっ!新田美波ヴィーナスともかなり親密そうだった知って言うかあの顔に顔をぶつけたと思うと、思うとぉおお!ああぁぁぁ――‼うらy…羨ましいんじゃボケえぇぇぇ!!

ほかのメンバーともとても親しそうだしぃ?他の屋台でもアイドル達とすごいしつぃげにしてたしぃ?特にLiPPSのメンバーとの親密さなんて…あ、やべ、一周回って泣けてきた。

 

 

「―――――♪」

 

 

ん?涙がちょちょぎれそうになっているとステージの方から聞こえてきた…おそらくハーモニカの音色。ステージの方に目を向けるとその真ん中でハーモニカを持って立っているジョニーの背中に張り付いていた白い幼女。そこに目を引かれるが他に目を向けるとドラムにキーボードがおいてある。おや?これはひょっとして…

 

 

『Yes! Party Time!!』

 

ステージの方から聞こえてくるその声と同時に脇から飛び出してくるヘレン世界に小松伊吹純情、水木聖來わんこ、それに加えて三人の黒い影。そのまま踊りだすんだが、さすがダンスが得意とプロフィールで宣伝するだけある2人と流石世界レベル。あれ?これダンス大会だっけ?と思うようなパフォーマンスである。そして黒服三人…どこのだれかはわからんがレベルが高い。というか気づけばいつの間にかドラムにはライラロッカー、キーボードには松山久美子おしゃれ人、ギターとして木村夏樹良識人、ベースには蒼い女神が入っている!まさかの生演奏!?

やべ、今度は感動で涙でそう。

 

ヴォーカルが入らない分ロックにアレンジされているが間違いなく『Yes! Party Time!!』だ…。これが宴の始まりだというのか…なんと豪華な。ていうかダンス組ハンパねぇ…黒服連中はウィンドミルやってるし…あ、スタチュオブリバティにつなげやがった。完成度高いなおい。ダンスアイドル三人もフットワークにスワイプ系を完璧にこなしてるし…あれ?俺らって今回ストリートダンス見に来たんだっけ?まぁ細かいこてゃ置いといて…

 

ひゃっはぁぁ―――!!最高だぜひぃぃ――はぁあ‼

 

お、黒服三人組がまた動き始めたな。今度は…なん、だと

一台のキーボード、ドラムセットで連弾、ギターの2人弾きを始めやがったぞ!?さっきからやりたい放題だな黒服ぅ!いいぞ、もっとやれ‼

 

一気に彩が増えたそのメロディーに乗って舞う三人の美姫…俺を含めた観客全てが、そのパフォーマンスに飲み込まれのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side.ジョニー

 

 

パチパチパチパチパチパチ…

 

 

 

曲の終わりとともにキメポーズをとるアイドル。その余韻が収まったところで鳴り響く拍手とステージ上のメンバーがハイタッチの音。あーやべ、アイドルの生演奏まで今回聞けるとかはぴはぴだわ、ほんと。

 

「どうだった?私たちのダンスと演奏。アタシたちはすっっっごく楽しかった!」

 

その少し荒い呼吸のいぶきちの呼びかけに答える俺たちの楽しかったの声。それに満足そうに笑うと、

 

「それじゃあメンバーの紹介!Key.松山久美子!」

 

その紹介にキーボードをならしアピールする。あ、ウィンクまでサービスしてら。

 

「Gt.木村夏樹!」

「最高に熱いライブだったぜっ!」

 

そう言いながらギターをかき鳴らすなつきち。

 

「Ba.渋谷凛!」

「まだ練習中なんだけど、どうだったかな?」

 

そう言いながらも堂々とベースをかき鳴らすしぶりん。こいつもなんだかんだで肝っ玉でけぇよなぁ。

 

「Dr.ライラ!」

「ライラさんの演奏どうでございますか?」

 

そう言って首をかしげるライラ。いや、そこは叩けよドラム。

 

「ダンスは」

「水木聖來!どうだった、アタシの踊り?」

「ヘレンよ!私は踊りも世界レベルよ!とくとみたかしら!!」

「協力はプロデューサーにトレーナーでした!」

 

その紹介とともに三人同時に前宙を切り、キメポーズを決める。

その瞬間聞こえてくるのは歓声ではなくどっちかというとブーイングはっはーん、屋台でのやり取りを見て嫉妬しているなぁこ奴らめ。

うっちゃん、中坊に目配せをして…

 

「まぁ聞け、今回のイベント」

「アイドルの料理を食えて」

「さぞかし幸せであろう?」

 

その呼びかけに返ってくる当然との声。

 

「今回のこのイベントをな」

「計画したのは俺たちだ」

「後は、わかるな?」

 

 

「「「「「「「「あーざっしたぁ‼‼」」」」」」」」

 

うむ、素直でよろしい。手のひらを返したように来るお礼の声と黒服コール。フッ…ちょろいものだ。3人でほくそ笑んでいると、

 

『えーステージのおバカ3人、今すぐステージ裏に来てください♪』

 

おいバカ3人、ちっひに呼ばれてるぞ。そう俺以外のバカ3人を見る。おっと、バカ1号と2号はこっちを見てるな。は、俺がおバカな訳がないだろう?

 

『雄くん、ハウス』

『忠文さん、裏で待ってます』

『駿輔くんも、待ってますよ』

 

上から美波、まゆゆ、旧姓高垣。うむ、ステージから去るとしようか…

やべぇ、膝が笑ってやがる。

 

「そ、それじゃあ次は…」

 

後から聞こえる気を取り直すように張り上げたいぶきちの声がひどく他人ごとに聞こえる。はぁ、減給かなぁ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「減給です」

 

減給でした。裏に戻った俺たちを待っていたのはアナウンスから聞こえた4人とけーちゃん。たどり着いた瞬間にちっひから無常な宣告が伝えられる。おい、なんだけーちゃんその“あ、やっぱフラグ回収しやがったよこいつら”って顔は。イイだろ?盛り上がったし、楽しかったんだから。

 

そしてそれからは個別で説教。

 

「雄くん、なんで私を誘わなかったんですか?」

 

あ、突っ込むとこそこなのな美波。ってか、他のやつも同じみたいだな、言われてること。さすが俺ら問題児と付き合い長い組だぜ。…おいけーちゃん、なんだその“突っ込むとこそこかよ、信じられません”って目は。

 

「最近雄くんは私への扱いが「美波、今回の衣装も似合ってるぜ」……はぁ、ありがとうございます。今回はこれで誤魔化されてあげます」

 

多少説教が長くなりそうだったので強引に話を打ち切っておく。よし、ごまかし成功。ほかの2人も同様の手法で乗り切ったのか俺と一緒でガッツポーズをしている。

まぁそれはさておき、今回の美波の衣装は海を意識した感じだな…あれ、割と普段から水着ベースの衣装多いな、そういや。まぁいっか。ホルターネックタイプの白ビキニに青く長いパレオを主体に組み上げられている今回の衣装…うん、えろい。

 

けどま、今回は美波ばっか応援するわけにゃいかんからなぁ。

 

「それじゃあ私の番もうすぐなのでそろそろ行きますね」

「おう、エロいとこ観客に見せつけて来い」

「それは応援としてどうなんですか、もうぅ…私、勝っちゃいますよ?」

「ははは、やれるもんなら♪」

「言いましたね?覚悟しといてくださいよ!」

 

そう言って歩いていく美波。今回はできレースなんだが、やべぇ、ひっくり返されそうな予感してきた…。

ま、そんな事は置いといて、今度はエンディングに割り込む準備を始めますか!

 

 

 

 

 

最後、メンバー全員での『Secret Base』、俺がアコギ、中坊がベース、うっちゃんがキーボードで演奏し、仲良くまた言及を食らった…

 

ちきしょう、一回減給されてるからもう大丈夫だと思ったのに…。

 

今回のイベントは、こうして発案者三人の減給以外は何も問題なく、最高の盛り上がりで幕を閉じた。

 

 

 

 

はぁ、マジで生活どうしよ。





これで一応イベントの中身は終了。これからの流れはイベントの番外編としてカットした内容を軽くやって、シンデレラ総選挙の結果で上位のメンツで番外編をつくてからまた、突拍子の無い、馬鹿な日常に戻るかな。

そんでは、読了ありがとうございました

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。