ルーキートレーナーに幸あれ   作:bakabakka

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プレゼンの用意であくせく論文を読んでましたが、終わったので投稿したいと思います!


ルキ「こんなはずじゃ…」

 

 

「と、いうことでお料理教室を開始します!」

「「「「「イエェェーイ!!」」」」」

 

今日も今日とて本当にあったレッスンを潰して行われる奇行。

いやまぁ今度のイベントのために必要なことといえば必要なことではあるんですけどやっぱ何か違うと思うんです。私だけはその感覚を忘れずに頑張っていきたいと思います。

 

「どうしたけーちゃん。膝をついたと思ったら今度は拳を天につきあげて」

「世紀末拳王ごっこじゃないのか?ほらアッチ世紀末してるし」

 

そう言ってあえて私が見ないようにしていた方向に指をさす本日の講師その2、下川さん。私は絶対そちらを見ません。だってヒャッハー!とかヒィィィーハァ‼とかホアタァッ!とかそんなセリフばっか聞こえてくるんですもの。

 

「それでは今回改めて作られた屋台を使って実地演習を行いたいと思います」

「作る料理はそれぞれ違うだろうから基本的なコツを王道料理を見本にやってくわ」

「それと仕込みとかもっと基本的なことについてもカフェの厨房で教えてやるからそっちやりたいやつは俺の方な」

 

武内さんの号令と先輩、下川さんからの今回のレッスン内容について軽く発言があった後、先輩、武内さん、下川さんのところへと散っていくアイドル達。

 

えっと…私って正直今回のレッスンのようでレッスンじゃない行為に付き合う必要あるんでしょうか?なんせ実際にイベントで料理を振る舞う訳でもありませんし私が長いえれるようなことはありませんし…あれ、今回私用無し?

 

「あ、けーちゃんは会計とかそこらへんな」

「え」

「よろしく~」

 

そう言って助手ポジで得あろう新田さんを横につけ、鷺沢さん、首藤さん、それに三村さんに対してお好み焼きを題材に屋台の注意点を説明している先輩。そして自分のもとには、

 

「それじゃあ一緒に頑張りましょう!」

 

そう言って私に並ぶ安部さん。

 

「さあ慶さん!張り切ってまいりましょうっ」

 

そういって両手を胸の前で握って張り切る西園寺さん、

 

「今日はよろしくお願いしますね」

 

そう微笑む三船さん、

 

「フフーン、かわいいかわいいボクが教わってあげます♪」

 

そう言ってどや顔する輿水さん。

 

…え、本当に私が教える感じですか?

隣の安部さんの方を見ます。ニコリ笑いマジですよ~と目で伝えてくる安部さん。

 

えぇ…、マジですか。

すぐそばから聞こえてくるヒャッハーの声が少し遠くに聞こえた瞬間でした。

 

 

 

 

 

「えっと…私と安部さんで伝えることは会計と接客なんですけど…正直OLとして働かれていた三船さんには正直教えられることはないと思うんですけど」

 

なんせ自分のそのような経験は先輩の奇行に巻き込まれてなぁなぁでやってただけですから。良家のお嬢様である西園寺さんや"ふふーん、ボクが立っているそれだけでお客さんが来ること確定です"とかいっている輿水さんくらいしか教えれることはないと思うんですけど…

 

「お仕事と屋台では違うと思もいますし、私は人付き合いが苦手なのでちゃんと接客ができるか不安なんです」

 

だから教えてください、そういて少し困ったように笑う三船さん。何でしょうこのできた大人の女性感。残念なことに見慣れてしまっている飲んで大騒ぎしている片桐さんや川島さんとは違います!

 

さぁ!でしたら私のできうる限り教えていきたいと思います!

 

「まず会計について教えていきますが、これに関してはシンプルです。掛け算と引き算ができれば問題ありません」

「それだけでいいんですか?」

「はい、それだけ出来れば大丈夫になるはずですよ、西園寺さん」

「付け加えて言うと、まず屋台では計算しやすいように値段設定を行うものなんです」

 

そう私の説明に付け加えてくれる安部さん。お祭りの屋台では回転率をよくするために細かい値段設定は行わないモノなんです。大体の場合儲けを出さなくてはいけないんで繰り上げる形でキリのいい数字にしますが、今回まずチケットでの収益があるのでもうけはあまり出す追及する値段設定にはしないはずです。

 

「なので重要なのはお釣りをどれだけ用意し、スムーズに渡すことができるかということになってくるんじゃないかと思います」

 

実際私が手伝ったときも先輩の値段設定がワンコインレベルだったのでお代の計算自体はとても簡単であり、手間取ったのは会計で一万円札を渡されたときのお釣りの用意です。

 

「なのでこれは事前準備の問題ですね。お釣り用の硬貨と紙幣をどのくらいの量、どう整理して用意しておくかそれだけですね」

「それをボク達がやればいいんですね!」

「そうですね…そこは雄くんとかがちひろさんの馬車馬のように扱われて決めてくれると思うので私たちは何もしなくていい気がします」

 

悲報、教えようと思ったら教えることが何もなかった事実。

いやけどあれです。知っていると知っていないとでは気構えが違ってくるのでそういう意味で私は手助けをしたということでファイナルアンサーです。輿水さんとかえっ…て感じになっているけど大丈夫なはずです。

 

「それじゃあ次は接客にしましょう」

「ボクに接客してもらえるなんて、それだけで幸ですよね!」

「接客業なめないでくださいね~」

「…」

 

気をとり直して接客編を始めようと思いましたが、輿水さんの舐めた発言に対する安部さんの発言で空気が死滅しました。え…どうしましょこれ

 

「接客、ですか。そのような経験初めてなのでわくわくしてきますわっ!」

 

あ、空気読めずにわくてかして張り切っている子がいました。ですが今はそれに救われます!

 

「えっとそれじゃあ安部さん!よろしくお願いします!」

「任せてください!ナナが皆さんにご奉仕の極意を教えてあげます!」

「え、うさみんがご奉仕してくれたことなんてあったか?y「そこシャラップです」」

 

安部さんの奉仕という言葉にさらっと混信してくる宙にお好み焼きを次々に回せてひっくり返している先輩。あれどうなってるんですかホント、一秒で4枚くらいひっくり返しているように見えるんですが…あと一瞬夜って聞こえかけたんですがいったい何を言うつもりだったんですか先輩。

 

「こほん、それでは教えていきますけどまず基本は笑顔です!」

「ふふーん!ボクの得意分野ですね!」

「こう、ですわね♪」

「こう…でしょうか」

 

安部さんはいつものニッコリ笑顔。うん、安定感がありますね。

そしてそれに続く2人のどやった笑顔。なんでしょう、擬音をつけるなら輿水さんはどやぁぁで、西園寺さんはドヤッって感じでしょうか。ここら辺はまさに普段通りってところでしょうか。ですが、

 

「美優さんはちょっと笑顔がかたいですね、もっとスマイルスマイル♪」

「こ、こうでしょうか?」

 

またどこか困ったようにみえる三船さんの笑顔。

前に市原さんのために遊んだときは自然に笑えていたと思うんですけどねぇ

 

「最高に可愛いボクが見本を見せてあげますよ!」どやぁ

「何事も特訓あるのみですわ!頑張りましょう」

 

とはいってもなかなか自然な笑顔ができない三船さん。ん~こうなったら最後の手段ですかね。

 

「呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃんだぁ‼」

「呼んでないのでお帰りください」

「(´-ω-`)」

 

すごすごと人数分のお好み焼きだけおいて屋台の方に帰っていき、鷺沢さんに慰めてもらっている先輩。あ、橘さんに飛び蹴り食らっています。

 

「とてもおいしいですわ!」

「雄くんの料理はプロを超えますからね~」

「そこはカワイイボクも認めてあげてもいいですよ!」

「私はシェフとして雇いたいくらいです」

 

それはお勧めしませんよ西園寺さん。できることがありすぎるのにすべて変態行動に振り切っている変態ですから。

 

「ふふふ、本当においしいですね」

「それですよ美優さん!その笑顔です!」

「え?」

「おいしいものを食べて笑顔になるのは当然ですもの!」

 

…結局先輩のおかげっていうことが気に食いません。おいしいところだけもっていかれた気分です。いえ、先輩がおいしいものもってきたんですけど。

まぁともあれ第一段階はクリアです。あとは聞き取りやすいような発言とか気を付けることはいろいろありますが、後はアイドルとして発声練習もしてますし、何とかなるんじゃないですかね。

 

それじゃあもう少し、頑張りましょうか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後で気が付きました。これが私がアイドルに教えた初めてのレッスンだということに。

嘘だと言ってくださいよお姉ちゃん…

 

 

 

 

 

 

お・ま・け

 

 

「それで雄くん」

「ん?どった美波」

「向こうの世紀末な恰好した人たちは…」

「あぁ、大道具のやつらだよ。屋台作りで修羅場ってたらいつの間にか世紀末になってたらしい」

「どうすればいつの間にかモヒカンやスキンヘッドになったり顔が劇画タッチになったりするんですか」

「普段通りだ」

「そうですね、普段通り過ぎて実家のような安心感です」

「モヒカン頭の劇画顔、それに革製の上着にとげ付き肩パットの男性を見て実家のような安心感を覚えるあたりまさしく俺たちだな」

「ほんとですよ、もう。…それで雄くんは愛梨ちゃんを応援するんですか?」

「ん?応援ってか看板役になってもらおうとしてるだけだが」

「…私とか菜々ちゃんじゃダメなんですか?」

「ん~正直看板になってくれるんなら誰でもイイって感じではあるな。でも、お前はお前でそんなアイドル活動に肩入れしててもいいのか?」

「どういうことですか?」

「正直、美波は俺が教えれることのほとんど教えてあるんだから何でもできるはずなんだよな。だから、もっといろいろやっててほしいってかひとっところに縛ってやりたくはねぇって勝手に思っちゃったり…なんてしてな」

「もう…昔っからかって何ですから先輩は」

「あーうん、悪かった」

「いいですよ、私はなれてますから」

「ははは…正直すまんかった」

「もう…それで、私が愛梨ちゃんを食っちゃってもいいんですね」

「ま、できるもんならやってみろよ」

「言いましたね、私、本気でいきますから」

「…少しは自重「しませんよ♪」…はぁ、んじゃ楽しみにしといてやるよ」

「はい」

 

 

代わる代わる屋台の基本についてアイドルに教えた後の片づけで、このような会話があったやらなかったやら…

 

「ちなみに菜々ちゃんはどうしてなんですか?」

「年齢がなぁ…」

「後で怒られちゃいますよ」

「今怒ります」

「Oh…Yeah…」

 




みなみんのラスボス感…最初は今回こんなはずじゃなかったんだけどなぁ…

そんじゃあまぁ「けーちゃんはじめてのれっすん」でしたとさ。
それではまた次回、お会いしましょう。

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