ルーキートレーナーに幸あれ   作:bakabakka

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けーちゃんがついに…!


ルキ「ようやく…ようやくです!」

 

 

 

「え!?本当ですか先輩!!」

 

あの焼き鳥騒動から一週間、レッスンだと思ってみればただの飲み会。それでも信じてまた行ってみれば今度は保育園。それでもめげずに行けば鬼ごっこ。

 

まともな、私の想像していたレッスンなんて一つもなかった。

それが…それが!ついに!!

 

「本当に本当のレッスンなんですか!?」

「今までだって普通にレッスンしてただろ?」

 

はぁ?なに言ってんですかこの先輩は。頭飛んじゃいましたか?

…最初から飛んでました。

 

「どうした?ゴミを見る顔をしたかと思ったら世界の終わりを見ているような顔になったりして?」

「どんな顔ですか」

「こんな顔」

 

写メを見せられ納得。

 

「なに撮ってるんですか!消してください‼」

 

そして気づく盗撮の事実。

 

「趣味をやめろというのか!」

「趣味が盗撮って変態ですか!」

「知っての通りだ」

 

変態でしたね。

そして消去。

 

「あぁ!俺の新しいコレクションがぁ」

「スマホごと消したほうがよかったですか?

それよりこれからアイドルのレッスンって本当ですか!」

「人のスマホ抹殺宣言をそれ扱いか。さっきも言ったがこれまでもアイドルのレッスンだっただろうが」

「レッスンの意味知ってますか?早く調べて赤線引いてきてください」

「知らない前提か?」

 

当然です。

 

閑話休題

 

 

「今回のレッスンは新人三人の基礎練習だ。主に体力測定と柔軟だな」

「本当にまともだぁ…」

 

内容を聞いてみればほんとのホントにレッスンでした…

やっと…やっと!アイドルのレッスンが経験できる!

今まで見たいに焼き鳥の焼き方、お酒の飲み方、警察からの逃げ方なんかじゃなくて正真正銘レッスンの光景が見れる!

 

あぁなんだか涙でそう

 

「今度は絶望顔から涙流しながら嬉しそうにガッツポーズか、百面相が板についてるな」

 

先輩が何か言ってますけど全く気になりません!後でスマホ壊すかもしれませんけど!

 

「そんじゃ、レッスンルームに着替えて集合な、遅れるなよ~」

「はい!」

 

私は先輩の指示に従ってルンルンで更衣室に向かった。

こうして遂に初レッスンが始まります!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

って思ってたんですけどねぇ…

 

「あの…トレーナーさんはまだでしょうか?」

 

そうおずおず私に聞いてくるピンクのジャージを着た女の子が話しかけてくる。

そんなこと私が聞きたいですよぉ!

 

もうレッスンルームにはピンクのジャージの島村卯月さんを含め青の渋谷凛さん、オレンジの本田未央さんと全員そろっているのにかかわらず、先輩がまだ来ていない。

 

人に遅れるなといっといて自分が遅れている。しかも連絡も通じない。

何を考えてるんですかあの人はぁ!

 

なんて考えていると

 

「悪い悪い、遅れたわ」

 

なんて言いながら窓から飛び込んでくる陽光に煌めく筋肉だるまが1人。

 

「あ、トレーなぁ…さ、ん?」

 

遂に登場したトレーナーに表情がほころんだかと思えばだんだん無表情になり青ざめ、真っ赤になる島村さん。

渋谷さんはゴミを見る目で、本田さんは以外にも顔を真っ赤にして体全体をその人から後ろに向ける。

 

三人の表情を一気に崩壊させたのは皆さんの予想通り先輩です。

ジョニーと呼んでくれって名乗っといて今まであった人のほとんどんがその呼び名を使っていない先輩です。

 

「いやぁ、ちょっと鬼ごっこしてたら時間がかかってな、悪かったよ」

 

そう言いながら島村さんの肩を軽くたたく先輩は、全裸であった。しかも汗だく。

そしてもう一方の手にはメスの鶏。

 

初めて見る人は顔を赤らめるだろう。そして意味が分からないだろう。

けどそれになれてしまっている私がいる。

 

あと島村さん、顔真っ赤にしながらも先輩の身体から目が離れてませんよ?

本田さんは湯気でてますけど大丈夫ですか?

渋谷さんはその顔はアイドルがしてはいけないと思うんです。

そして、

 

「先輩、今回はどうしてそんな恰好なんですか?」

 

平然と話しかけてしまえる私。まぁいつものことですもんね、慣れですよね。諦めです。

 

「あぁ、着替えてる途中でこいつを忘れていたことに気付いてな。それで取りに行ってたんだ」

「全裸でですか?」

「そんなわけないだろ?パン1だ」

 

それを人は変わらないといいます。

 

「それなら何で今全裸なんですか」

「警察に襲われて剥かれたから」

 

警察はいつの間に腐敗したのでしょうか?

あと島村さんムッツリ何ですか?先輩は気づいてませんが下腹部見すぎですよ?

 

「今すぐ服着てきてくださいよ、先輩」

「この格好でいいだろ?汗だくだから服着たくないんだ。なぁ、この格好でもいいだろ?」

 

そう島村さんに問いかける先輩。

 

「ふぉえ?あ!その、えっと…えっとその…」

 

真っ赤にしながら胸筋、腹筋、僧帽筋を行き来するその視線。

先輩も胸筋ピクピクさせないで下さい。島村さんが誘われてます。

 

「渋谷さんと本田さんはどうですか?」

 

思考が明後日に吹っ飛んでしまっている島村さんのためほかの二人に質問を振ります。

 

「死ねば?」

「早く服着てよぉ~!!」

 

絶対零度の声と涙交じりの悲鳴。渋谷さん殺意高くないですか?本田さんは女子力高いですね!

 

「ってことで先輩、服着てください」

「あ~い、しゃぁねぇなぁ」

 

そう言ってしぶしぶレッスンルームを出て服を着に行く先輩。

その先輩の大殿筋に熱い視線を送る島村さん。ムッツリですね。

 

「ふうううぅぅぅぅぅぅ…」

 

大きく息を吐きながら座り込む本田さん。

 

「大丈夫?未央」

「なんでしぶりんは平気なのぉ…」

「…なんか一周して殺意湧いてきちゃって」

「怖いよしぶりん」

「いや、青木さんほどじゃ」

「え?私そんな怖い顔してましたか?」

 

思っても見なかったタイミングで自分の名前が出てきて驚いてしまう。

 

「だって笑顔なのに一切目が笑ってなかったし」

「なにそれ怖い」

 

渋谷さんの言葉に真顔で同意する本田さん。

 

「あはは…そんなわけないじゃないですかぁ」

 

私はまだあの緑色の悪魔ほどではないはずです。

 

「それよりしまむー大丈夫?」

「卯月、さっきからしゃべってないけど平気?」

 

次にいつまでたっても話題に入ってこない島村さんに声をかける2人。

 

「凛ちゃん…未央ちゃん…」

 

真っ赤な顔のままどこか錆び付いた動きで2人の方を見る島村さん。

 

「男の人ってあんなにす、すごいんですか?」

 

さて、これは筋肉についてなのか、下腹部についてなのか、はたまた両方なのか。

詮索はよしましょう、彼女のために。

 

 

 

「おまたせ~」

 

そうこうしていると着替え終わったのか先輩が部屋に入ってきた。

 

金太郎スタイルで。

ご丁寧に鉞まで担いでいる。

 

その格好に再び、ムッツリしまむー、純情みおちゃん、殺意のしぶりんが登場したが気にせず挨拶を始める先輩。

 

「それじゃあ、これからしばらく基礎的なレッスンを行うトレーナーの多摩袋雄だ。ジョニーって呼んでくれ」

 

だから呼ばれてないのにジョニーを名乗る意味は何なんですか。

 

「しっ!島村卯月です!よろしくお願いします、ジョニーさん!」

 

呼んだ!?

 

「本田未央って言います!よろしくお願いします!」

 

目が泳いでますよ。

 

「私は渋谷凛。死んでください」

 

挨拶は?

 

「HAHAHAHA、個性豊かでいいなぁ!まるでポケ○ンの御三家だな!」

 

それは使い古されてますよ?

 

「それでこっちはいろいろ補助してくれる青木慶ちゃんだ。けーちゃんって呼んでくれ」

「青木慶です。よろしくお願いします!あと勝手に私の自己紹介におまけ付けないでください先輩」

「けーちゃんってかわいいじゃないか。な?しまむーにちゃんみお、しぶりん」

「は、はい、そうですね!」

「うん!可愛いよ!」

「あだ名で勝手に呼ばないでよ」

 

あ、ついに敬語もなくなった。

 

 

 

 

 

「んじゃ、今日は時間もなくなっちゃったし柔軟した後に軽く汗かいて終わりにしようか」

 

「「「「はい!」」」」

 

なんだかんだ無事に始まったレッスン。今回は人数が奇数なので私も混ざってします!

なんだか久々に体を動かせると思うとわくわくですね!

 

「そんじゃあまず背伸びだな、指を組んで上にのび~っと」

 

先輩の実演居合わせて私たちも行います。

 

「1,2,3,4~1,2,3,4~」

「コケ、コケ、コケ、コケ~、コケ、コケ、コケ、コケ~」

 

先輩のカウントに合わせて鶏がリズムを刻みます。

鶏じゃなくてメトロノームで良かったんじゃ…

 

 

「もういっちょ、はい、ちらり見えるへそがいいよ~」

 

即やめた。

 

「おいおい、しっかり伸ばさないとだめだろうが」

「ならセクハラをやめてください」

「健全なエロスだからセーフ」

 

どんな理論ですか。

先に進まないということでしょうがないからストレッチを再開する。

 

前屈すればおしりがエロい、体をひねれば腰が、足を延ばせば足が、胸をそらせば胸が、開脚すれば内腿が、そのまま前に体を倒せばちらリズムが…

 

先輩はどこからでもエロスを発掘してくる。そしてつぶさに報告してくる。

この人すぐにセクハラで訴えないと!(使命感)

 

「ハイ、柔軟はこんなもんだね。しまむーはおしり、ちゃんみおは胸元、しぶりんは足、けーちゃんは脇がエロいよ」

「先輩、早苗さん呼びました」

「まぁまてJr、そう早まるな」

「だれがJrですか」

「ちゃんと見るところは見てる。しまむーは柔軟は及第点だけどバランスがいまいち、ちゃんみおは平均的にできてるけど少し柔軟が甘いかな。しぶりんはスタミナ不足、けーちゃんは…うん、合格かな」

 

私を含め、4人ともあまりのことにあんぐりしてしまいます。

だって先輩がまともなことを言っているんですから。あの!先輩が!まともなコメントを!

 

「あとしまむーの下着は薄桃、ちゃんみおは白、しぶりんはライム、けーちゃんはオレンジだな」

 

訂正、やっぱり先輩は先輩でした。

 

「早苗さん、今すぐ逮捕してほしい先輩が」

「/////////」

「きゃぁっ」

「死ねば」

 

即刻通報する私と真っ赤になりもじもじする島村さん、自分の体を抱いて悲鳴を上げる本田さん、冷めきった目で言い放つ渋谷さん。

 

安心してください。汚物は早苗さんが消毒してくれます!

 

こうして最初のまともなレッスンは終わってしまいました。

 

 

 

先輩の悲鳴を残して。





城ケ崎莉嘉のオリ主への認識

「カブトムシみたいでかっこいい☆」

まだ穢れてないんだよなぁ…

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