ルーキートレーナーに幸あれ   作:bakabakka

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雪山に今度はスキー行き、実家に帰りまた雪山にスキーに。
何この雪に埋もれる頻度、去年と前々ちげえよ…

そして何より実家に帰ってからパソの調子が悪い


ルキ「またですか…」

 

今日も今日とてレッスンに向かう毎日。

午後からのレッスンに向けてお腹を膨らませようと美城カフェに訪れるとそこにはなぜか、いやなぜかって言いますか犯人はわかるんですが今回は何が目的なんでしょうか?

 

なんで…

 

 

 

なんでオープンテラスが畳に座布団っていう和のテイストになってるんですか!?お客さんも何違和感なくくつろいでるんですか!ていうか多いですし!

そして…

 

「よう来てくれましたなぁ、ゆっくりしていってくださいな」

「菜々が作ったおむすびお待たせしました!」

「その…ご注文は?」

「あ、いらっしゃいませ慶ちゃん」

 

何で和服で接客してるんですか?小早川さん!?なんでお見合い写真みたいな恰好なんですか安部さん!?なんで花魁?鷺沢さん!?そしてやっぱり何でノリノリ新田さん!!

 

「…先輩は?」

「雄くんをオーダーですか?すみません、非売品ですし売約済みなんです」

「いえいりません」

 

ん、売約済み?一体誰が…なぜでしょう、思ったより選択肢が…

 

「それで、先輩はどこにいるんですか?」

「雄くんはそこの屋台ですよ?」

 

新田さんの指した方向を見ると『アイドルが握るおにぎり!ついでになんかあるよ?茶屋』と書かれた看板の屋台。

なんですかそのうたい文句?そんなんでアイドル関係者が来るんですか?そして何ですかなんかあるって!いったい何があるんですか、明言してくださいよ!

 

「お、慶ちゃんいらっしゃい」

「いらっしゃいじゃなくてなんなんですかこれはってなんなんですかその格好は!」

「なにって法被に決まってるだろうが?あともうアイドルおにぎりは売れ切れちまったから他のメニューで頼む」

「いやだからなんで法被なんですかっていうより売り切れ!?そんなに売れたんですか!?」

「それぞれ500ほど握ってもらったんだけどよ、初めて30分もたたないうちに売れちまってよ」

「大人気じゃないですか」

「ホントにな、手袋の上からなのに」

「詐欺じゃないですか!?」

「こういうのは気分の問題なんだよ気分。食べ物然り着るもの然り」

「そうですよ!どういう気分なら法被なんですか!?祭りですか?祭りですよね?年中お祭り騒ぎしてるような人なのに!」

「あ、雄くん。担々麺のオーダー入りました」

「あいよ!あと人を何だと思ってやがる」

「変人ですね」

 

今日という今日ははっきりと言わせてもらいますよ!

なんたって最近はずっと仕事って言っておきながら農作業、土木作業、カルタ大会、人生ゲーム大会、などなど…もうなんか違うんですよぉ!もとからそうだった気がしますけどなんかやっぱり違うんですよぉ!

 

「おいおい、真っ赤になってわなわなしだしたと思ったら今度は地面に拳叩きつけて泣き出すし情緒不安定か?あと担々麺お待ち」

「そのジョニーさん、担々麺をもう二つお願いします」

「あいよ、それとふみふみ足元大丈夫か?」

「はい…だんだん慣れてきました」

 

鷺沢さんの今回の格好は少し冒険してまして花魁風です。衿が緩く、白く艶やかな背と肩が覗き、袂を豪奢になびかせそこに刺繍された紺地に舞う蝶を翻している。裾は長くのびそこからは黒い高下駄がのぞいている。

髪はさすがに禿を結ってはいないが綺麗にまとめられており、簪で止められていた。また、普段とさらに違うのはこのような時髪を分け、その綺麗な両目を見せているのに対して今は白坂さんのように片目を隠したスタイルにしている。それもどこか今の鷺沢さんの艶っぽさを増しており…同性でも目が合うとどっきてしてしまいます。

 

って、鷺沢さん専用セコムはどうしたんですか!あ、座布団を枕に寝ています。

…幸せそうですね。そっとしておきましょうか。

 

「それにしても先輩、また作ったんですか?」

「HAHAHAHA…さすがに無理!」

「あ、そうなんですか?」

 

意外です。先輩ならチャイナドレスとかメイド服作ったことがあるくらいですから和服も仕立てられるのかと。

 

「言っとくが和服を仕立てられない訳じゃないぞ?単純に場所の用意とかをしていたらそこら辺に手間かける時間が無くなってな。だから俺が作ったのは美波が着てるのだけだ」

「あ、それでも作ってるんですか」

「あぁ、昔作ってやったやつ」

 

注文を聞いたりお冷を出したり、食器を下げている新田さんを見ます。髪は一本に束ね前に垂らし、空色の布地は足元に行くにつれオレンジになるグラデーションは夕暮れ、はたまた朝焼けを表しているようにも見えます。帯の濃紺色も着物の色合いから夜の帳を想像させる。正直よく似合ってますし市販品にしか見えません。そして何より新田さんの所作が素人っぽくないといいますが…慣れているような?下手したら小早川さんよりも着物の気歩き方が様になっているような…

 

「先輩?」

「ん?」

「なんで新田さんあんなに手慣れているんですか?」

「あぁ、女将見習いとかもやらせたからな。そりゃこのくらいは簡単だろ」

「はぁ?」

 

一体どこまでの引き出しを持っているんですか新田さんは。そして先輩は新田さんになにをさせてるんですか!どんな高校生活を送ればおかみ見習いという経験ができるんですか!

 

「いやぁ~懐かしいなぁ。仕事覚えとかもよかったし愛想もいいし何より可愛いからな。おかみさんがうちの息子の嫁に来てくれないかって頼み込んでたほどだからな」

 

あ、新田さんが躓きました。

少し顔も赤いですけどどうしたんでしょう?

 

「そういやあの話どうしたんだろうな?たぶんこうしてアイドルしてるってことは断ったってことなんだろうけど」

「あれ、聞いてないんですか?」

「まぁプライベートな内容だからな。その日の下着の色、柄を知っててもそこまでは知らんさ」

「プライベートの意味知ってますか?」

 

一番のプライバシーを侵害してるじゃないですか。乙女の神秘を侵しているじゃないですか。

 

あ、新田さんの手の中でグラスが割れました。どうしたんでしょうか?

 

「おいおい、何やってんだか」

 

そう言いながら屋台から出てくる先輩。

ここではじめて私は先輩の服装を正しく認識しました。

 

上→法被にねじり鉢巻き

下→褌に草鞋

 

先輩…全裸よりはましですが、ましなんですがぁ…それでもどうなんですかその格好。

そして何で誰も突っ込まないんですかその格好に!あぁそうでしたね!全裸の先輩がいても特に気にしない方たちでしたねそうでしたね!

 

「担々麺2つあがったよ」

「あ、はいっていつの間に現れたんですか下川さん」

「風を感じた」

 

意味が分かりません。

ホント生きている世界が違うんじゃないですか?

 

「適当に担々麺お待ちのお客さまーって言ったら反応するだろうからよろしく」

 

はいはい、わかりましたよ。やりますよ~拒否権ないだろうし。

 

 

 

 

 

 

「で、なんで落ち込んでるのけーちゃん?」

 

注文を届けて戻ってくると先輩が屋台に戻っていました。そしていうの間にかいない下川さん。

 

「いえ…着物女の子じゃないのかぁ…って言われただけですよ、2連続で」

「まぁここに来てるやつらはそれが目当てみたいなもんだしな、女性も含めて」

「そうみたいですね…あと担々麺5お願いします」

「あいよ。っていうかこいつら勘違いしてないか?畳だぞ?目玉はおむすびだぞ?和のテイストだぞ?なのになぜ担々麺!…まぁあるけどよ、作るけどよ」

「雄くん担々麺もう3つ追加です!」

「あいよ、うんでうさみん見合いするってマジ?」

「して堪るもんですかぁ‼」

「見合い写真にするからって来なさいって送って来たんだろ、それ?」

「着ましたけど写真なんてとって渡しません!」

「一つ言っておこう、最近のお見合い写真は特に服装とかに指定がない。つまりやろうと思えばうさみんの両親はお見合い写真をうさみんの協力なしで作れたりするぞ♪」

「うわー聞きたくなかったです」

 

着物姿でも変わらずつけていたうさ耳がその感情をあらわすようにヘタレています。

星さんのアホ毛も心情に連動してましたよね~

 

「こっちに良い人ができたとでも言っとけば?」

「…たぶん直接会いに来ます」

「まぁ今夜も飲もう、な?ほら担々麺できたぞ。あと担々麺欲しいやつ何人いるか聞いてきてくれ」

「はい…わかりました」

 

とぼとぼと担々麺を5つ運んでいく安部さん。

いやなんですかその持ち方?お盆使ってくださいお盆!

 

「担々麺全部で21です」

 

客席から聞こえてくる安部さんの声。

 

「おいおい何だその担々麺推し。なんだ?ブームか、ブームなのか?

ってことで手伝いよろしく」

「「「「了解(です)((♪))」」」」

 

先輩の奥から聞こええ来る4つの声。

い、いつの間に現れたんですか武内さんに高垣さん、それに下川さんに佐久間さん。

しかもみんな先輩とおそろいの法被着用ですし。

 

「ってことでけーちゃんも、よろしく♪」

 

そう言って先輩が法被を渡してくる。

 

「…昼食食べてないんで賄いお願いします」

「担々麺でいいか?」

 

 

 

 

 

この後もバカ売れしましたよ、担々麺…

何でみなさん担々麺頼んだのかはわかりませんけど。…絶品でしたけど。

とにかく、うらやましそうに武内さんと高垣さんの関係を見ている安部さんの視線がとても心に残りました。




私が担々麺を食べたくなった。
それだけの話です。

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