ルーキートレーナーに幸あれ   作:bakabakka

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小日向美穂のオリ主への認識
「わ、悪い人ではないんだと思います!…たぶん」


今回ジョニーはまじめモードだ。
まじめモードなんだ!


ルキ「予告すればいいってもんじゃ…」

 

「それじゃあ今から山を登りま~す!Yeaaaaah!」

「先輩、いきなりすぎです。皆ついてこれてません」

 

明日水着を持ってくるようにの連絡があったのが夜。

そして朝集合しすぐに先輩が下川さんから強だ…借りてきた車でなぜか山に。

 

島村さん、小日向さん、緒方さん全員あまりにも速いテンポについていけてません。

 

「さぁ!ちゃんとおやつは300円と言うのを無視して持てるだけ持ってきただろうなぁ!

家に帰ってお風呂に入って布団に入って今日のことを思い出すまでが登山だ!」

「う、お菓子持ってきてません…」

「私もだよ、卯月ちゃん」

「わ、私は、かな子ちゃんからもらったのが少し…」

 

遠足より登山って長いんですねー(棒

水着持ってこいと言われておやつを持ってくる人が、第一山に登ることを想像する人が何人いるのでしょうか?

 

「まぁおやつは現地調達でいくらでもあるしな、大事なのは夜までに帰れるかだな!」

 

先輩のそんな発言に驚き声をあげる島村さん。

 

「え!そんなにかかるんですか?」

「いや、普通に上れば上まで4時間かからないな」

 

現時刻9時過ぎ。

余裕がある計算である。

 

「えっと、余裕が十分あると思うんですけど…」

 

おずおずと手をあげて発言する小日向さんに先輩は…

 

「めんどいからまずは昇るか」

 

ガンスルー決め込みやがりました。

 

 

 

 

 

そして昇り始めてもう一時間でしょうか?

私たちは思った以上に消耗していました。なぜなら…

 

「先輩…ここって本当に登山道ですか?」

 

全く整備されてない荒いごつごつとした足場、さらに胸の高さまで伸びた植物。そして勾配。獣道でさえない気がしてきます。

 

「HAHAHAHAHAHA、何を言ってるんだ?登山する道を登山道っていうんだからどんな道でも俺が歩いているところが登山道だ」

 

絶対違います。登山に用いるために設置された道のことを普通は言うと思います。

 

「智絵理ちゃん、大丈夫ですか?」

「ふぁ…ふぁい、大丈夫れふ…」

「いや大丈夫じゃないですよ、智絵理ちゃん」

 

一番小柄なこともありグロッキーな緒方さんを心配する島村さんに、小日向さん。

 

「先輩、休憩をはさんだ方がいいんじゃないですか?」

「ん~あと少し登ればいいとこに出るんだけどなぁ。しゃあない、ちえりんや」

 

私の言葉に対し少し迷ったあと先輩は少し遅れている3人のところまで降りて行き

 

「騎馬戦やろうぜ!」

 

とんちんかんなことを言い始めた。

 

「…え?…えぇ?」

「騎手はちえりん、馬がみほりん、しまむー、俺な」

「え?あの、その…島村卯月、頑張ります!」

「え、卯月ちゃん!?え、えぇ~」

 

戸惑っているうちに馬を組み、緒方さんをその上にのせる先輩。

そして…

 

 

3人まとめて抱え上げ走り出した。

 

いや騎馬作った意味は?そしてその背負い方どうなってるんですかいったい!

 

「ヒャッハ―――!」

「「きゃぁあああ‼」」

「「やっっったぁあ‼」

 

なんて思っているうちに奇声を上げながら悲鳴(?)を伴い奇形で登っていく先輩に置いていかれそうになりました。

 

1つ混じった歓喜の声が島村さんのものであると気づきたくはありませんでした。

…背中にくっつけますもんね。

 

 

 

 

 

そしてたどり着いたのは周りを見渡せるような整備された屋根付きのベンチ。

確かに休憩するにはぴったりですね。

 

「そんじゃ、ここでちょっと休憩な~って、あれ?」

 

「「きゅう…」」

「はふぅ…」

「はぁはぁはぁ…」

 

そう言って背中からおろした3人と私の方を見ます。

緒方さんと小日向さんは目を回してダウンしており、島村さんはちょっとした満足から頭がダウンしており、私はただ単に疲れました。

 

何で山道をあんな状態で走って息一つ上がらないんですか、ターミ○ーターですか?

 

「景色よくて空気もいいのにもったいない」

 

確かに空気も澄んでますし、山肌を覆う新緑の色をはじめとした緑のグラデーションは見てて魅力的ではあります。

 

「わぁ~空気がおいしいです!」

 

さっきまで島村さんはいい空気吸ってましたもんね、うらやましいとは思いませんけど。

 

「ん…あれ、ここは?」

「どこ…でしょうか?」

 

器用にセリフを分担して復活した小日向さんと緒方さん。

まぁさっきまでの鬱葱とした森の中とは全然違いますもんね。

 

「お、気づいたか?急に寝だすからびっくりしたぞ」

 

びっくりしたのは緒方さんと小日向さんの方でしょうね。それはもう意識が飛ぶくらい。

 

「えっと…雄さん、そう言えばお昼はどうするんですか?」

 

お腹がすいてきたからふと思ってしまったんでしょうか、小日向さん。

ですけど昼食は確かにどうするんでしょうか?

 

「なにを言っている、見渡せばそこらじゅうにあるだろ?草や虫、動物が」

 

怖気が!?

 

「…ひっ」

 

ほら緒方さんなんて悲鳴あげてますよ?

 

「キノコありました!」

「お、それは毒キノコだな。HAHAHA、明日は仲良く棺桶だな!」

 

島村さんが見つけたキノコは毒キノコでした。そして案外ノリノリな島村さん。

そして笑えない先輩のジョーク。私たちの明日はどっちでしょうか?

 

「ま、本当にそうしてもいいんだが…この上の山小屋に保存食があるから大丈夫だ」

「あ、そうなんですか」

「ちなみにそれが目的地な~あとはこのペースなら一時間もあればつくかな」

 

それを近いと思うか遠いと思うかは人次第。

顔が青い緒方さんはおそらく後者でしょうね。

 

「そんじゃ、そろそろ行くか」

「はい!」

「わかりました」

「はい…」

 

そうして休憩を終え再スタートを切ったのですが…

島村さん開始の時より元気じゃありませんか?お得な体質ですね、私は遠慮ですけど。

 

 

 

 

 

 

「はい、到着。お疲れさん」

「は~やっと着きましたぁ」

「やったね~」

「つ、疲れました…」

 

あれから一時間と少し、先輩の言っていた山小屋まで私たちはたどり着きました。

そしてその山小屋で何より目を引くのが外に置かれた人が詰めれば10人は入れそうな風呂桶。近くの小川には水をくむための水車もおいてある。

 

「先輩、こんな山小屋どうしたんですか?」

「作った」

 

 

「「「えぇ!?」」」

 

 

 

なんとなく予想できていた私は声まではあげませんでしたが…どっちにしても規格外ですね。

 

「高1の頃から建造し始めて完成は高2の頃かな。最後の方は美波が手伝ってくれたし」

 

また新田さんですか!?あなたたちはどんな高校生生活を送ってたんですか!

興味があるような、聞くのが怖いような、微妙な気分です…

 

「それじゃあ飯の前に風呂の用意するか」

「は…入るんですか?」

「そりゃ今回の山登りそれが目的だし」

 

お風呂に入るためだけにどこまで苦労をすればいいんですか…

 

「水を汲んで火を焚いて温めなきゃなんないからまだ時間かかるけどな」

 

衝撃、苦労はまだ終わらない。

 

「それじゃあしまむーとみほりん、ちえりんが薪運び、俺とけーちゃんが水汲みな。薪は裏の小屋に大量にあるから」

「島村卯月、頑張ります!」

「はい、頑張ります」

「わ、わかりました」

「そんじゃ、解散!」

 

各々振り分けられた作業に移りますが…まさか混浴ですか?

 

 

 

 

 

 

混浴でした。

 

「このための水着だったんですね~」

「ほわぁ~」

「あぁぁ///」

 

私たちは、水着ですけど。

 

「こういうとこで入るお風呂も乙なもんだろ~」

 

先輩は全裸です。

お風呂なので脱いでいることを責められないのが難しいところです。

 

小日向さん、緒方さんは体を伸ばしゆったりと浸かっており、島村さんはくぎ付け、何にとは言いませんが…

 

まぁ総じていえばのんびりして心地いです。空気も、小川の流れる音も、鳥の声、木の葉の音、全部が私たちを癒してくれている気がします。

 

「それで、なんでそんな自信ないのお前ら?」

 

「「「…え?」」」

 

でもそんなのはあっけなく砕かれた。

 

 

「『え』じゃないだろ?いつも周りと自分比べては暗くなってんじゃん」

 

3人とも思い当たるところがあるのか、親に点数の悪いテストの答案が見つかったような顔をしている。

 

「ん~そんじゃあお前らアイドルになる時なんて言われてなったんだ?」

「私は『笑顔』です」

「うん、私も」

「わ、私も…です」

「たけちゃん…口下手すぎんだろぉ…」

 

3人ともダダ被りしているのを聞き、武内さんの名前を言い頭を抱える先輩。

 

「はぁ…しまむー、最初それを聞いてどう思った?」

「私、もともと養成所に通ってて、私全然声をかけてもらえなくて…だから、最初はとてもうれしかったです」

 

ゆっくりと話し出された島村さんの本音。

 

「今は?」

「…笑顔なんて、誰にも…誰にだってできるじゃないですか!私より凛ちゃんの方が綺麗に笑うし、未央ちゃんの方が楽しそうですし、文香さんだって美波ちゃんだって…

なのに凛ちゃんは私より歌うの上手ですし、未央ちゃんだって踊るのが私よりとっても上手です!なら…笑顔しかない私はどうすればいいんですかぁ…」

 

悲痛な叫び。共感するところがあるのか涙を同じようにこぼす2人。

さっきまではあんなに温かかったお湯がどこか冷たく感じる。

そんな中先輩は…

 

 

 

「よそはよそ、うちはうち!」

 

 

 

なんて…どこぞのわがままな子供を叱るお母さんみたいなことを言います。

 

「そんなことは誰でも思ってることなんだよなぁ…

例えばしぶりんはしまむーに比べて柔軟性がないし、ちゃんみおはしまむーほどリズム感がよくない。ほら、他に目を向けてみればしまむーが羨ましがられる方だ。

だからそんな劣等感は誰もが持ってるもんなんだよ。なら何でしぶりんとかはそんなん無視して頑張れるのか。

 

なりたくなったからだろうな…アイドルに。

 

だから必死になる。劣ってるなんて100も承知で。それでもたどり着きたい場所があるから…

 

           お前らにそんな場所はあるかい?」

 

 

島村さんは

 

「私は…ずっと夢に見てきたあの輝くステージに立つアイドルになりたいです‼」

 

小日向さんは

 

「私は恥ずかしがりやで…みんなの前に立つと思うと今でも怖いけど…それでも!ファンに愛されるアイドルになりたいです!」

 

緒方さんは

 

「わ、私も、恥ずかしがりで…不安ばっかり、ですけど…誰かに、誰かにちょっとだけでも幸せを届けられる…そんな、そんなアイドルになりたい…です!」

 

 

皆、それぞれの行きつきたい場所を宣言します。

それを聞いて先輩は

 

「なぁけーちゃん、やりがいあると思わね、この仕事?」

 

それに対する私の返答は決まっています。

最初は家族に憧れてなろうとしたこの職かもしれません。でも今はもう違います。

 

こんな真っ直ぐに目標にめがけて進む人の手伝いをしたい。だから

 

「はい!」

 

自信をもってその一言を出した。

 

 

 

 

「ま、そんな話は置いとくとして、しまむーよ」

「はい、なんですか?」

「スクミズはあざとくないか?あとその平仮名の名前。エロあざと可愛くって俺的には花丸なんだけど」

「えへへ///そうですか?」

 

…先輩、余韻。

余韻をもっと考えてくださいよ。

あと島村さん。セクハラ発言で喜ばない。

 

「ちえりんはうなじがエロいな。あとフリルが似合ってる」

「////」

 

顔を真っ赤にしながら体を縮こまらせて恥ずかしがる緒方さん。はい、それが普通です。

 

「みほりんはへそと脇だな、うん、エロい」

「ひゃっ///」

 

これまたちゃんと恥ずかしがってまともな反応です。後エロいは女性にとってほとんどの場合褒め言葉になりえません。

 

「けーちゃんも脚線美が相変わらずだな~後髪を下ろしてるのが新鮮。うん可愛い」

「…ありがとうございます」

 

私はあれです。慣れです。だから恥ずかしがってないのも普通、そう、私はまともです。

 

 

 

 

まぁ何はともあれ、先輩のちょっとまともな面を知れた出来事でした。

 

「でもなんでお風呂なんですか?」

「こういうときは裸の付き合いが基本だろ?」

「男女間では普通じゃないですね」




緒方智絵理のオリ主への認識
「は、恥ずかしいですけど…恥ずかしい、です///」

まともなこと書いたらじんましんでそうな私です。
次回からこっちはパッションですな。ではまた次回!

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