この愛くるしい王子に祝福を!   作:猫愛好家No.580

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遅くなってすみません!


ある噂とみんなのスキルについて

「知ってるか?なんでも魔王軍の幹部の1人が、この街からちょっと登った丘にある、古い城を乗っ取ったらしいぜ」

 

ギルドに併設されている酒場の一角で、カズマと僕は昼間からお酒を飲んで駄弁っている、相席している男の人の話を聞いていた

僕とカズマはお酒ではなく、カズマはネロイドのシャワシャワ、僕はオレンジジュースを飲んでいた

カズマはネロイドを飲み干しテーブルに置き

 

「魔王の幹部ねぇ〜物騒な話だけどよ、俺達には縁のない話だよな」

 

「ちげえねえな」

 

目の前の男の人がカズマの言葉に笑いながら同意した

冒険者ギルドで駄弁っている人達は意外に多くて面白い話がいろいろ聞ける。情報収集は大事だよね!

 

「ねえねえ、他の噂か何かはないの?」

僕は身を乗り出し男の人に尋ねる

 

「お、おう...あーそうだな、そういえば王都で報酬が半端ないクエストが出てるらしいぜ」

なぜか目の前の男の人は顔を真っ赤にしながらそう言った

 

「へぇーどんなクエストなんだ?」

カズマが興味津々そうに聞く

 

「なんでも家出した王子を見つけて連れ出してくることらしいぜ。それだけでなんと5000万エリスだとよ」

 

え. . . .それ僕じゃん。父様なにやってんの!?

 

「まじかよ!?王子の容姿とかは出回ってんのか?」

 

「いや、なんでもとても綺麗な顔をしてるらしいぜ。それ以外の情報はなしだな」

 

「ちっイケメン野郎なのか、イケメン野郎は死ね」

 

「全くだぜ!ほんとなんで家出なんかしたんかね」

えー僕イケメンじゃないんだけど

 

「シャル?どうしたんだ?黙ってるけど」

 

「あ、いや!?なんでもないよ!うん!」

 

「そ、そうか」

 

「じゃ、お話聞かせてくれてありがとう。また聞かせてね!」

 

「おう!お前にならいい情報入ったら聞かせてやるよ!」

 

「ちっ今度はシャル連れてかないようにしよう...」

 

カズマが何かブツブツ言ってるけどどうしたんだろ?

男の人にお礼を言って席を立ち、僕達はパーティーのテーブルへと向かうと

 

「どうしたの?僕達をそんな変な目で見て」

アクアとダクネスとめぐみんが、テーブルの真ん中に置いた、コップに刺した野菜スティックを食べながら僕達を見ていた

 

「別にー?シャルとカズマが、他のパーティーに入ったりしないかなんて心配なんてしてないし」

アクアがそう言いながらチラチラこっちを見てくる

 

「........?いや、情報収集は冒険の基本だろうが」

カズマがそう言いながら野菜スティックを取ろうとするが野菜スティックは身をかわしまくっていた

 

「なにやってんのよカズマ」

アクアがテーブルをバンと叩くと、野菜スティックがビクリと跳ねる

一瞬動かなくなった野菜スティックを、つまんで口に運ぶ

 

「むう。楽しそうですね。楽しそうでしたねシャル、カズマ。他のパーティーのメンバーと、ずいぶん親しげでしたね?」

めぐみんが、拳を握ってテーブルをどんと叩き、怯ませた野菜スティックをつまみ、口に運んだ

 

「なんなのだ?この新感覚は?カズマは気にならんがシャルが他所のパーティーで仲良くやっている姿を見ると、胸がもやもやする反面、何か、新たな快感が...もしや、これが噂の寝取られというやつなのか!?」

 

顔を赤らげながらよくわからないことをダクネスは言っていた

僕はコップのフチをピンと指で弾き、そのまま野菜スティックをつまみ口に運んだ。んー新鮮で美味しいね

 

「なんだ、どうしたお前ら。こう言った場所での情報収集は基本だろうが」

カズマはそう言いながらバンとテーブルを叩き、野菜スティックに手を伸ばすが野菜スティックはヒョイっとかわした

 

「. . . .だああああらっしゃあああああああ!」

 

「や、やめてええ!私の野菜スティックに何すんの!た、食べ物を粗末にするのはいくない!」

カズマは野菜スティックを掴み損ねた手で、野菜スティックが入っているコップごと掴むと、それを壁に叩きつけようと振りかぶろうとして、半泣きのアクアに止められていた

 

「カズマ、食べ物を粗末にするのはよくないよ?」

 

「シャルがそう言うなら仕方ないな」

 

「ちょっと!私と全然対応が違うわ!どういうことよ!」

 

「お前ごときがシャルと同列なわけないだろうが。お前とシャルじゃ月とスッポンだなw」

 

「ムキィィィィ!!!」

またカズマとアクアの喧嘩が始まっちゃったよ

ほんとあの2人は仲良いよね

 

「そうだ、お前らに聞きたい事があるんだよ。レベルが上がったら、次はどんなスキルを覚えようかと思ってな。このパーティーはシャルがいるからなんとかなってるが、バランス悪すぎだからな。自由の利く俺が穴を埋める感じで行きたいんだが...そういや、お前らのスキルってどんな感じなんだ?」

 

「私は《物理耐性》と《魔法耐性》、各種《状態異常耐性》で占めてるな。あとはデコイという囮になるスキルぐらいだ」

ダクネス、耐性系ばっかなんだね

 

「《両手剣》とか覚えて、武器の命中率を上げる気は無いのか?」

 

「無い。私は言ってはなんだが、体力と筋力はある。攻撃が簡単に当たるようになってしまっては、無傷でモンスターを倒せる様になってしまう。かといって、手加減してわざと攻撃を受けるのは違うのだ。こう、必死に剣を振るうが当たらず、力及ばず圧倒されてしまうというのが気持ちいい」

 

「. . . .ダクネス、頭大丈夫なの?何処か打った?」

ダクネスがおかしいよ、頭打ったのかな?

 

「くぅぅぅ!シャルに言われるのは何んというか格別だな!」

 

「もう黙れよ変態、シャルを汚すな」

カズマがゴミを見る様な暗い目でダクネスに何か言っていた

 

「気持ちいいぞ!もっと言ってくれ!」

 

「もういいや、んでめぐみんは?」

 

「私はもちろん爆裂系スキルです。爆裂魔法に爆発系魔法威力上昇、高速詠唱など。最高の爆裂魔法を放つためのスキル振りです。これまでも。もちろん、これからも」

 

「どう間違っても、中級魔法スキルとか取る気は無いのか?」

 

「無論、ないです」

 

「えっと、私はね」

 

「お前はいい」

 

「ええっ!?」

アクアは支援系魔法とか宴会芸とかだろうなぁ

 

「シャルはどんな感じだ?」

あ、次は僕の番か

 

「えーとね、《魔法剣》ていうスキルと剣技強化とか聖魔法とか氷魔法、あとは初級と上級魔法とか、後知らないうちに《敵感知》とか色々増えてたんだよね」

流石に王族魔法とかは言えない。あと最近出たあの恥ずかしすぎるスキルは良いたくない!あれを使うのは本当に最終手段だからね

 

「シャルの聖魔法と氷魔法は上級魔法とかと何か違うのか?」

 

「えっとね聖魔法と氷魔法は上級魔法とかと違って1つの属性の魔法しか覚えられないんだけど、その分威力も高いし、種類が多いんだよまあ、1つの属性の魔法しか覚えられないから、その魔法の耐性を持つモンスターには弱いんだけどね」

 

「なるほど、魔法剣っていうスキルは?」

 

「魔法剣は剣に魔法を付与したり斬撃と魔法を合わせて飛ばしたりできるスキルだね」

 

「お、おう、さすがシャルさんだな」

 

「そ、そうねー」

 

「何でこう、シャル以外まとまりがないんだよこのパーティーは。シャル連れて本当に移籍を. . .」

 

カズマの小さな呟きに3人がビクリとした

 

 

 




なんか毎度毎度、遅れてすみません!
できるだけ次は急いで仕上げるのでお許しを!

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