幻想創星録   作:青銅鏡(銀鏡)

93 / 118
九十話。まさかの幻夜。流石奇術師。


幻夜「関係なくない?」


・・・まあまあ。


では、ゆっくりご覧下さい。「ごゆっくり~」


第九十話 僕、オレ、俺、誰?

side龍一

 

 

幻夜「・・・じゃ、話すよ。」

 

 

『・・・ああ、無理はすんなよ。』

 

 

幻夜「うん、・・・先ずは裏から。さっきマスターが言った通り、アイツはアメーバ。・・・正確にはアメーバ【だった】かな。」

 

 

『は?どうなってんだ?』

 

 

幻夜「裏はとある妖怪に乗り移った。その時に魔力を手に入れたらしいんだ。」

 

 

『・・・で、その乗り移られたのは誰なんだ?』

 

 

幻夜「混沌。」

 

 

・・・は?

 

 

幽香「・・・幻夜、それって、」

 

 

幻夜「いや、僕じゃない。僕の一族全部。・・・僕自体に家族はいなかった。というか独りぼっちだった。」

 

 

幽香「・・・何で?」

 

 

幻夜「僕は混沌の中でも一番おかしかった。・・・混沌っていう種族は【他の生物になった】と自らに誤認させて別の種族になる。まあ歪な習性なんだけど、・・・そうやって増えていってまた混沌に戻った。・・・僕はそれが出来なかった。自らを騙しきれなかった。体が強過ぎたんだ。」

 

 

・・・強過ぎて生き延びられないか、酷い話だな。

 

 

幻夜「そんな時にアイツが来た。・・・で、一族全部殺された。・・・その中に魔力を所持していた同族がいて、その時に奪ったみたい。で、勿論僕も取り憑かれたんだけど、・・・体が強過ぎて、アイツも僕の意識だけは奪えなかった。・・・それからかな。二重人格になったのは。」

 

 

『・・・つまり、お前は混沌で、体が強過ぎたイレギュラーだった。裏はアメーバの種族で、こいつもまた独自進化出来たイレギュラーだった。で、お前の体で争ってたと。』

 

 

幻夜「・・・うん。で、何とか勝てて二重人格として封印した。・・・唯ね、強すぎて封印に条件を出した。それが、【日食と赤い月の同時発生】だったんだけどね。・・・それが裏目に出た。そのちょっと後に侵二達と会ったよ。」

 

 

だから二重人格か。・・・んな偶然あるんだな。

 

 

咲夜「・・・?ちょっと待って下さい。・・・じゃあ、寺子屋の幻夜さんは何なんですか?」

 

 

幻夜3「・・・俺は表から出来た。それは裏が寺子屋に行くには危なかったから、表が【もう一つ人格がある】という事にしたわけだ。・・・まあ、それ以外にも役割はあるが。」

 

 

咲夜「・・・理由ですか?」

 

 

幻夜3「ああ、理由は「僕が言う」・・・分かった。良いんだな?」

 

 

幻夜「うん、・・・理由は幽香、君だよ。失敗して僕が死んだときの代役としてね。」

 

 

幽香「・・・私?」

 

 

幻夜「そう。・・・初めて会った時、裏を出したよね?マスター達は除いて、怖がらなかったのは幽香だけだった。・・・ずっと気味悪がられて、一族でも褒められたことがなくて、マスター達にすら言われなかった、でも、幽香は言ってくれたよね?・・・「格好よかったわよ?」って。」

 

 

幽香「・・・覚えてたの?」

 

 

幻夜「うん、・・・すごく嬉しかった。初めて異性に褒められた。初めて僕を褒めてくれる人と会えた。・・・その時から僕は、ずーっと君のことが好きになった。」

 

 

幽香「幻夜・・・」

 

 

・・・そうか。・・・コイツは、愛されたことがなかったんだな。

 

 

幻夜「・・・それだけは裏も一緒。幽香に攻撃したのも、僕がかばうって知ってたから。・・・だってその後、一度も攻撃しなかったでしょ?」

 

 

幽香「・・・馬鹿、そんな事、早く言いなさいよ!」

 

 

幻夜「幽香・・・?」

 

 

幽香「・・・だって、私も幻夜が好きだから。今まで愛されなかった分ぐらい、すぐに取り返してあげたわよ!・・・私はどんな幻夜も、大好きだから・・・」

 

 

幻夜「・・・ありがとう。」

 

 

幻夜3「・・・そんだけじゃねえ。俺が行ってる寺子屋、お前も来ただろ?・・・お前はたくさんの人間、妖怪、妖精達に好かれてんだよ。」

 

 

咲夜「・・・幻夜さん、私も、幻夜さんのことがお兄さんみたいで好きです!」

 

 

幻夜「・・・」

 

 

・・・世話のかかる式だこと。

 

 

『阿保、俺達も外すんじゃねえ。この中じゃ阿保みたいに付き合い長いんだ。独りぼっちだ?ほざけ、何黙ってたんだよ。紐なしバンジーさせるぞおい。・・・ずっと俺達がいるだろ?てめえの葬式も抹香ぶちまける為に出てやる。百年後、千年後?甘い!俺が死ぬまでずーっと、てめえが死のうが俺の式だよ。』

 

 

侵二「・・・幻夜、絶対に風魔、壊夢も同じ事を言いますよ。私だって同じです。・・・大切な友達ですから。」

 

 

幻夜「・・・みんな、ありがとう。」

 

 

『別にてめえのためじゃねえ。てめえが死ぬと寝覚めが悪いからな。』

 

 

幻夜「ツンデレ?」

 

 

『おい、ぶち殺すぞ化け物。裏の前にてめえを殺すぞ。』

 

 

幻夜「・・・アハハ、ごめんね~?」

 

 

・・・それでいいんだよ。幻夜、お前に涙は誰から見ても似合わねえ。せめて半笑いにしろや。・・・あ、ゴメン普通にヘラヘラしてろ。半笑い気持ち悪い。

 

 

幻夜3「・・・すまねえ。マスター。表が迷惑かけた。」

 

 

『・・・いいや。構わんよ。・・・俺は見たいんだ。あの夫婦の本気を。』

 

 

幻夜3「善意だけじゃねえのかよ。」

 

 

幻夜「幽香!行こっ!」

 

 

幽香「もう・・・いいわよ!行きましょ!咲夜も来なさいよ!」

 

 

咲夜「え、は、はい!」

 

 

幻夜「ほら!侵二とマスターも早く来てよ!」

 

 

・・・ったく。世話のかかる阿保だぜ。(かつてなんちゃって死で騒がせた神の発言)

 

 

侵二「やれやれ・・・主上、行きますか。」

 

 

・・・悪くねえがな。

 

 

『よし!行くか!幻夜、手伝ったんだから飯奢れよ!』

 

 

幻夜「トマトサラダでいい?」

 

 

『良いわけねえだろ!人の食えねえ物知ってんだろ!』

 

 

幻夜「・・・じゃあ、ポテトサラダ?」

 

 

『食えるけどよ!サラダから離れろ!』

 

 

幻夜「ほいほい。オムライスね~」

 

 

『・・・ったく、最初からそうしやがれ阿呆。』

 

 

・・・んじゃ、謎に雪が降ってるくせに植物に当たってない太陽の畑に行きますか。なんだその地味な優しさの見える裏側。不器用か。

 

 

幻夜「・・・オレは僕と俺で止める。」

 

 

幽香「・・・幻夜、頑張りましょう。」

 

 

咲夜「幻夜さん、「お兄ちゃんでいいよ~」・・・考えさせて下さい。「ちぇっ、」いや、言って欲しいんですか?」

 

 

侵二「・・・仲良しですねえ・・・」

 

 

『・・・ま、適当に行きますか。』

 

 

こんなもん気張って行けるか。前の空気緩すぎるわ。これが戦いに行く空気か?絶対にピクニックに行く空気だ。闘争の空気とは程遠い。

 

 

『ま、それでいいんだがな。』

 

次回へ続く

 

 

 

 




ありがとうございました。


次回、幻夜死す。(大嘘)「えー?」


次回もお楽しみに。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。