幻想創星録   作:青銅鏡(銀鏡)

53 / 118
西行妖戦


ゆっくりご覧下さい。


第五十一話 されど気分は不滅なり

side侵二

 

 

冥界に駆けつけると、西行妖が復活していた。・・・ほぼ完全に。

 

 

紫「侵二さん!」

 

 

霊夢「侵二さん!?」

 

 

魔理沙「何でいるんだぜ!?」

 

 

「話は後!藍、状況説明求む!」

 

 

藍「ああ!霊夢達が異変解決後西行妖が復活した!幽々子様が取り込まれている!」

 

 

「了解、紫殿、封印可能ですか?」

 

 

紫「ええ!時間はかかるけど出来るわ!」

 

 

「了解、霊夢達、力を貸してもらえますか?」

 

 

霊夢「よく分からないけど良いわよ!」

 

 

魔理沙「分かったぜ!」

 

 

咲夜「了解です。」

 

 

「妖忌の孫の妖夢!貴女も!」

 

 

妖夢「は、はい!」

 

 

さて、殺せないのが不本意ですが・・・封印しましょうか。

 

 

 

sideout

 

 

 

side霊夢

 

 

侵二さんの様子がおかしい。いつもニコニコしていて、少し落ち着いた人だと思っていたからか、こんなに緊張した侵二さんを見るのは初めてだ。

 

 

侵二「攻撃に当たらないように!これは弾幕ごっことは大違いです!死にます!」

 

 

魔理沙「冗談じゃないぜ!」

 

 

さっきから西行妖から殺気がする。少し前までは普通の異変解決だったはずだ。

 

 

「っ!」

 

 

侵二さんからもそれと同じぐらいの殺気が出る。

 

 

「霊夢達は弾幕で枝を、私は妖力弾を破壊します。」

 

 

侵二さんが落ち着いている。もはや別人だ。

 

 

魔理沙「了解だぜ!」

 

 

妖夢「わ、分かりました!」

 

 

咲夜「了解です!」

 

 

「分かったわ、侵二さんは大丈夫なの?」

 

 

侵二さんが笑う。

 

 

侵二「何、多分大丈夫です。」

 

 

紫「十分だけお願い!」

 

 

侵二「了解です。」

 

 

侵二さんが私でも見るのに苦労する速度で駆け出し、妖力弾を叩き落とす。

 

 

「速い!」

 

 

魔理沙「私達も行くぜ!」

 

 

私達も弾幕で枝を破壊する。

 

 

侵二「妖夢!後ろに枝来てます!」

 

 

妖夢「っ!はい!」

 

 

侵二さんは一人で妖力弾を処理しているのに疲労感がまるで無い。

 

 

侵二「どうしました西行妖!その程度でしたか?」

 

 

逆に楽しそう、てか怖い。

 

 

・・・十分経過・・・

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ、」

 

 

あれから十分、枝を私達で百本ほど壊した。

 

 

魔理沙「後どれくらいだ?」

 

 

紫「後ちょっとよ!」

 

 

侵二「了解です。本気で行きます。」

 

 

侵二さん、まだ本気じゃなかったのね。・・・本気ってどれくらいなのかしら?

 

 

侵二「下がってて下さいね?」

 

 

侵二さんから凄まじい妖力が出てきた。

 

 

sideout

 

 

side侵二

 

 

被害を想定して最大に抑え込む。さあ、行きますよ!

 

 

「【黒稲妻】!」

 

 

西行妖に命中、四分の一を抉る。幽々子も引きずり出す。

 

 

魔理沙「わ、私のマスタースパーク何て相手にならないぜ・・・」

 

 

まあ、こちらは反動が大きいんですがね。数十秒は動けません。

 

 

「紫殿!今です!」

 

 

紫「分かったわ!封印!」

 

 

西行妖が封印された。

 

 

sideout

 

 

side霊夢

 

 

「・・・やったの?」

 

侵二「ええ、お疲れさまでっ!!紫殿!後ろです!」

 

 

紫「え?きゃっ!」

 

 

紫が避ける。

 

 

侵二「・・・まーだ元気ですか。これはマズイですね・・・」

 

 

侵二さんの顔が歪む。・・・確かにこれはマズイ。侵二さんの一撃でも倒れなかったのだ。私達が勝てるわけがない。

 

 

紫「どうすれば・・・」

 

 

侵二「・・・ん?」

 

 

侵二さんが何かに気づいたように見える。

 

 

紫「・・・侵二さん?」

 

 

『・・・やっとですか。』

 

 

魔理沙「・・・侵二さん、どうしたんだぜ?」

 

 

侵二「・・・In to thesky・・・」

 

 

・・・侵二独唱中・・・(旧支配者のキャロル)

 

 

咲夜「・・・侵二様?」

 

 

妖夢「・・・侵二さん?」

 

 

藍「侵二、・・・どうした?」

 

 

侵二「・・・They will return.」

 

 

紫「え?」

 

 

「・・・何言ってるの?侵二さん。」

 

 

侵二「・・・そろそろですかね?」

 

 

突如、空が黒く染まる。西行妖の動きも止まる。

 

 

「一体何が・・・」

 

 

侵二「・・・さあ、西行妖、貴方の年貢の納め時が来ましたよ?」

 

 

侵二さんに攻撃が襲いかかる。しかし、侵二さんは笑っている。

 

 

「侵二さん!避けて!」

 

 

『天仰げ、空高く、』

 

 

侵二「凄いですね、タイミングバッチリです。」

 

 

『・・・今宵、我戻る、何てな。』

 

 

西行妖の攻撃が何者かによって阻止される。・・・誰?

 

 

侵二「・・・遅いじゃないですか。」

 

 

sideout

 

 

side侵二

 

 

「・・・遅いじゃないですか。・・・主上。」

 

 

『・・・待たせたな。』

 

 

主上の登場により、桜の妖は狼狽し、博麗の巫女と魔法使いと庭師は混乱し、館のメイドは驚く、幻想郷の賢者の式は喜び、賢者は嬉し涙で崩れ落ちる。

 

 

そして私は微笑、と、随分と絵になりますねえ。絶対に狙ってましたね。

 

 

『俺、参上!!』

 

 

侵二「お帰りなさい。主上。・・・して、そこの桜、どうしますか?」

 

 

気にすると終わらないので、と言うか早く西行妖滅ぼしたいんです。

 

 

『スルーするなよ。・・・あの日死んでから肉体を一から構成するのに三年、幻想郷を神々に認めさせるのに三年、そして・・・西行妖を「死」から引きはがすのに一年間!成功した!殺しても構わん!と言うより殺す!』

 

 

・・・そうでなくては。

 

 

「御意!妖力全開放!」

 

 

『俺も全開放で行く!七年分の恨みだ!』

 

 

やっぱり、主上がいなくては。

 

 

bgm Rabpid-Sanktity Extended (龍一テーマbgm)

 

 

『侵二!最高火力で放て!俺が西行妖を拘束する!』

 

 

すでに結解がきしんでいる。が、無視。流石主上。

 

 

「了解!電磁砲行きますよ!」

 

 

『オッケイ!ザガン!西行妖を固定しろ!』

 

 

・・・主上の腕は落ちてないですね。

 

 

「行きますよ!【黒電磁砲】!」

 

 

翼を全て後ろに下げ、地面に突き刺す。薙刀から放射!

 

 

西行妖「ギ・・・ガ・・・」

 

 

西行妖の三分の二が炭になる。

 

 

霊夢「・・・凄い。」

 

 

と言っても西行妖はまだ動きます。・・・面倒な。

 

 

『まだ死なんのか。侵二、俺が止めをさす。』

 

 

「どうぞ。」

 

 

『・・・【ツインバスターライフル】最大出力!破壊するぜ!』

 

 

西行妖が動かなくなる。

 

 

「やりましたね、主上。」

 

 

sideout

 

 

side龍一

 

 

侵二「やりましたね、主上。」

 

 

俺が死んでからいや、正確には三億個のうちの一個が殺されてから七年、紅霧異変見れなかったぜ畜生どうしてくれる。時間はかかったが完全復活。

 

 

『ちょっと帰って来るのに時間がかかったがな。』

 

 

侵二「・・・とりあえずごまかしてましたからね。」

 

 

こうなる事は分かっていた。四凶にはばらしていたが。

 

 

紫「師匠!」

 

 

『おお、紫、ただいま。』

 

 

紫「・・・どうして帰ってこれたの?」

 

 

前までは気分、と、ドヤ顔で答えるはずだが今は違う。

 

 

『・・・お前のためだよ。もう言わせんなよ。』

 

 

紫「え?何で・・・」

 

 

『お前、あれだけ俺に言って俺がのこのこ死ぬわけねえだろうが。』

 

 

すみません、死んでました。

 

 

紫「じゃ、じゃあ・・・」

 

 

その刹那西行妖の枝が紫に襲いかかる・・・くどいわ!

 

 

『・・・どけっ!』

 

 

同じ事させやがって・・・

 

 

枝が同じく右肩に刺さる・・・と思っていたのか?

 

 

『・・・右腕爆発。』

 

 

俺の右腕ごと枝を爆破。こうすれば速かった。・・・あの時は焦りすぎたな。

 

 

紫「師匠!」

 

 

『ったく・・・消え去れ!』

 

 

西行妖の妖怪の部分を引き出す。

 

 

侵二「頂きます。・・・そこそこの味ですね。」

 

 

侵二が喰う。これが出来なかったからな。

 

 

紫「・・・師匠・・・腕が・・・」

 

 

あ、忘れてた。再生開始。

 

 

『大丈夫大丈夫、これぐらいなら再生する。』

 

 

藍「絶影殿!」

 

 

『おう、久しぶりだな。』

 

 

咲夜「先生!」

 

 

『咲夜、随分と大きくなったなあ。』

 

 

魔理沙「どうなってるんだぜ・・・」

 

 

霊夢「・・・紫、神社の神様って死んだんじゃなかったの?」

 

 

『ああ、死んでたよ。・・・さっき復活しただけで。』

 

 

霊夢「じゃあ、この人が・・・」

 

 

侵二「ええ、あの神社の神様ですね。」

 

 

『俺神社で祀られてんのか?』

 

 

紫「勝手にごめんなさい。」

 

 

賽銭入れちゃったよ。・・・まあ、

 

 

『別に構わんよ。どうせ全人類に祀られてるようなもんだし。』

 

 

霊夢「あれ?うちの神社の神様そんなに凄いの?」

 

 

魔理沙「神様、どれくらい偉いんだぜ?」

 

 

『龍神の兄。それだけ。』

 

 

霊夢「りゅ、龍神の兄い!?」

 

 

咲夜「え?先生が神様?」

 

 

妖夢「祖父の知り合いが龍神の兄上・・・」

 

 

魔理沙「世界で一番偉い神様だぜ・・・」

 

 

『肩書きだけな。事実上全権は妹の龍華に移ってるし。』

 

 

侵二「じゃあ主上、とりあえず死んで下さい。」

 

 

開口宣言、これは酷い。

 

 

『やなこった。こっちだってすぐに行きたかったわ。』

 

侵二「しかし、紫殿は泣かせたでしょう?」

 

 

反論の余地なし、

 

 

『・・・そうだな。よし、侵二、介錯を頼む。』

 

 

侵二「あの世で会いましょう。」

 

 

霊夢「いや、ちょっと待ってよ!」

 

 

『・・・と、言いたいんだが。』

 

 

侵二「冗談なんですよね。こちらも冗談です。」

 

 

流石侵二、冗談が本気に聞こえる。・・・本気だったな。

 

 

紫「・・・あの、龍一、さっきの・・・」

 

 

『・・・ああ、紫。』

 

 

侵二「さて、妖夢殿、台所借りますよ、霊夢達も来て下さいね。」

 

 

妖夢「え?あ、はい!」

 

 

霊夢達がいなくなる。侵二・・・悪いな。

 

 

『紫、お前を永久に守る、拒否権は無しだ。』

 

 

紫「・・・私でいいの?」

 

 

『・・・二度は言わん。いいか?』

 

 

紫「・・・喜んで!!」

 

 

侵二が溜息をつきながら来る。

 

 

侵二「・・・やれやれ、何年かかってるんですか。・・・まあ、おめでとうございます。」

 

 

前世の俺じゃあ、こんな事には絶対にならなかったな・・・

 

 

『・・・そうだな。ありがとう。』

 

 

・・・二度と死なねえようにしないとな。・・・無理か?

 

 

 

 

次回へ続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




主☆降☆臨


次回もお楽しみに。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。