幻想創星録   作:青銅鏡(銀鏡)

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龍一の寿命。


ゆっくりご覧下さい。


第四十三話 気分に斃れる

side絶影

 

 

西行妖を封印してから一週間、幽々子が逝った。・・・元々体調が悪かったらしい。

 

 

・・・あれ?あの食事量は・・・

 

 

しかし、幽々子は亡霊として帰ってきた。・・・俺の都合で西行妖についての記憶は消させてもらった。

 

 

紫「これからも友達よ、幽々子!」

 

 

幽々子「ええ、そうね!」

 

 

何とも嬉しいことだろう。

 

 

そして、妖忌が修行に出た。孫・・・妖夢と刀を残して。

 

 

妖忌「己の無能を知りました。少し修行に行ってきます。」

 

 

幽々子はこれを聞いた時、直ぐに肯定したらしい。

 

 

そんなことがあって二年後、幻想郷完成までの最後の作業に入った。俺の寿命は後一年。

 

 

紫「・・・だから、向こうの世界と分けるための結解を作るわ。」

 

 

『了解した。俺は霊力と神力を使う。』

 

 

紫「いつもありがとう、師匠。」

 

 

『俺が決めてしている事だ。』

 

 

紫「・・・そうね。」

 

 

『ほら、さっさと行くぞ。』

 

 

紫「あ、うんっ!」

 

 

・・・絶影、スキマ妖怪移動中・・・

 

 

『おし、準備完了。神力送るぞ。』

 

 

紫「行くわよ!」

 

 

俺の九割の神力、霊力をつぎ込む。・・・一応四凶が全員フルパワーで暴れても大丈夫なようにはした。じゃないと確実に幻想郷が崩壊する。

 

 

『ふう・・・』

 

 

紫「お疲れ様、師匠。」

 

 

侵二「お疲れ様です。風魔達の能力も使用しました。」

 

 

『・・・となると。』

 

 

侵二「確実に破壊不可能です。」

 

 

やべえ、オルゴイ達入れるかな?

 

 

『お疲れさま。』

 

 

紫「後はこの結界を管理する神社だけよ!」

 

 

『・・・そうか。よし、手伝おう。』

 

 

多分、この命最後の建築だろう。

 

 

そして、二か月後、全て手作りで神社が完成した。

 

 

紫「・・・出来た!!」

 

 

『ああ、出来たな。これで・・・』

 

 

紫「ええ!幻想郷の完成よ!」

 

 

完成したか。・・・この命が消える前に見れて良かった。

 

 

『・・・よく頑張った。』

 

 

紫「師匠のおかげよ。」

 

 

『・・・いいや、お前の苦労の賜物だ。』

 

 

紫「今までありがとう、師匠。」

 

 

『ああ、こちらこそ楽しかった。ありがとう、紫。』

 

 

藍「あの、紫様、」

 

 

紫「何?藍、侵二さんも。」

 

 

藍「えっとですね・・・」

 

 

侵二「私達、結婚します。」

 

 

・・・お前もゴールか、侵二。

 

 

『おめでとう。』

 

 

紫「藍、貴女も頑張ってくれたわね・・・最高の結婚式にしましょう!」

 

 

俺、紫、侵二、藍のみの静かな結婚式が行われた。・・・司会は俺(シュナイダー)だ。

 

 

『八雲紫の式、八雲藍、貴女は、彼を永遠に愛しますか?』

 

 

藍「はい。」

 

 

『俺の式兼友人、侵二、お前は、彼女を永遠に愛し、守れるか?』

 

 

侵二「・・・当然ですね。守りますよ、最後まで。」

 

 

『では、誓いのキスを、』

 

 

藍「い、行くぞ。」

 

 

侵二「・・・まどろっこしい。」

 

 

侵二が藍の顔を抑えてキスをした。

 

 

『では、もう一度言う。・・・おめでとう。』

 

 

こうして残りの十か月も早く過ぎた。

 

 

そして、俺の寿命の三年目。

 

 

 

紫「師匠、どうしたの?」

 

 

『・・・いや、何でもない。強いて言うなら・・・』

 

 

せめて、弟子の成長を見ないとな。

 

 

『・・・俺と勝負しろ。俺に成長したという事を証明しろ。』

 

 

紫「え・・・?」

 

 

『・・・嫌か?』

 

 

紫「ううん、受けるわ!」

 

 

侵二「なら、審判を行います。勝敗は紫殿が倒れたら主上の勝ち、主上に認めさせたら紫殿の勝ちです。・・・では、初め。」

 

 

さあ、これぐらいの壁、ぶち壊して見せろ。

 

 

sideout

 

 

side紫

 

 

bgm プライド革命

 

 

「はあっ!」

 

 

『まだまだだ!その程度か!』

 

 

私が人間と妖怪が共存できる世界をまだ、夢のレベルで思っていたころに会い、初めて受け入れられ、そして、ここまで引っ張ってくれた人、絶影。

 

 

師匠はいつも気分屋で、喧嘩好きで、でも優しくて。尊敬する人だ。それに、龍神の兄と言う凄い偉さなのに、決してそれを自慢せず、使わずに色々な人と平等な関係に立っていた。

 

 

・・・そして、私が好きになった人。師匠はその感情には疎いので、気づいていないと思う。でも、私は師匠が好き。多分、一目惚れだったと思う。それで、どんどん興味が出て、好きになったと思う。

 

 

そんな師匠を認めさせる。とてつもなく大変な事だ。・・・でも、逃げない、諦めない。師匠は絶対に逃げずに立ち向かった。諦めずに手伝ってくれた。だから!

 

 

「まだまだ!絶対に認めさせる!!」

 

 

『・・・そうだ!もっと来い!』

 

 

例え負けても構わない。でも、絶対に!

 

 

「諦めないっ!」

 

 

『ならば来い!全力の一撃を!』

 

 

「はぁぁぁぁぁ!」

 

 

『・・・・・・』

 

 

「行くわよ!」

 

 

そして、私の全力の妖力弾は師匠に命中した。

 

 

『・・・合格。』

 

 

そこで、私の意識は途切れた。

 

 

sideout

 

 

 

side絶影

 

 

『・・・合格。』

 

 

上等だった。あの後直撃を受けて吹き飛ばされた。

 

 

『・・・まさか、ここまで成長したとはな・・・』

 

 

侵二「お疲れ様です。」

 

 

『・・・これで、思い残す事はないな。』

 

 

侵二「・・・何言ってるんです。まだ、残っているでしょう?」

 

 

『・・・紫に伝える、か。』

 

 

侵二「残酷でしょうが、仕方がないことです。」

 

 

紫「・・・師匠?」

 

 

『・・・起きたか、紫。』

 

 

紫「・・・私。」

 

 

『合格だ。・・・よくそこまで成長したな。』

 

 

紫「・・・本当に?」

 

 

『嘘つくか、よくやったな。』

 

 

紫「・・・やった!!」

 

 

『これで、俺がいなくなっても大丈夫だな。』

 

 

紫「え・・・?」

 

 

体が崩れ落ちる。・・・駄目か、時間切れだな。

 

 

紫「・・・師匠、どうしたの?」

 

 

『悪い、もう体が動かねえんだ。』

 

 

紫「何でよ!?」

 

 

『西行妖のあの時、寿命を持っていかれた。』

 

 

紫「・・・じゃあ。」

 

 

『今日が多分命日だ。・・・すまんな。』

 

 

紫「・・・侵二さん、冗談よね?」

 

 

sideout

 

 

side侵二

 

 

紫「・・・侵二さん、冗談よね?」

 

 

「・・・悪いですが、現実です。」

 

 

紫「そんな、侵二さんはいいの!?」

 

 

「・・・・・・」

 

 

紫「ねえ!」

 

 

「良いわけないでしょう!」

 

 

多分、今酷い顔をしているのだろう、紫殿が絶句している。

 

 

『・・・侵二、これを。』

 

 

主上が剣と銃を投げてくる。

 

 

「・・・これは?」

 

 

『俺の残りの神力を入れている。・・・何処かに置いていてくれ。』

 

 

「・・・御意。」

 

 

紫「師匠、最後に言わせて。」

 

 

『・・・何だ?』

 

 

紫「・・・ずっと、好きだったの。」

 

 

『・・・・・・』

 

 

紫「私は、師匠が好きでした。」

 

 

『・・・ありがとう、実は俺もだ。』

 

 

紫「嘘・・・」

 

 

『・・・俺も、お前の事が好きだ。』

 

 

紫「師匠・・・」

 

 

『ありがとう、こんな俺を好きになってくれて・・・』

 

 

・・・全く、だから大丈夫だって言ったじゃないですか。

 

 

『悪い・・・眠くなってきた・・・』

 

 

「さっさと逝って下さい、これ以上泣かせないで下さい。」

 

 

『・・・うわ、ひでえ。』

 

 

紫「師匠、ううん、絶影、お休みなさい。」

 

 

『・・・ああ・・・それじゃあ・・・お休み・・・』

 

 

紫「絶影、ありがとう!うっ、うわぁぁぁぁぁ!」

 

 

「黙って逝って下さいよ・・・」

 

 

全く、きついものですね・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誰かをここまで騙すのは。

 

 

 

 

sideout

 

 

 

後日、ライフルと剣は神社の桜の木の下に立てかけられた。

 

 

その神社の名前は、

 

 

博麗神社。

 

 

 

次回へ続く

 

 

 

 

 




ありがとうございました。


侵二の最後の発言とは・・・(分かりますよね・・・)


次回もお楽しみに。

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