幻想創星録   作:青銅鏡(銀鏡)

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西行妖封印戦。


ゆっくりご覧下さい。


第四十二話 気分に生き・・・

 

side絶影

 

 

『・・・なあ、紫。』

 

 

紫「何?」

 

 

『・・・あの桜、おかしくねえか?』

 

 

あれから数日、そろそろ西行妖の妖力がやばいので聞く。

 

 

妖忌「・・・私が説明します。」

 

 

『じゃあ、妖忌、・・・あれは何だ?』

 

 

妖忌「数十年前、幽々子様の父上殿はあの桜について歌を読みました。・・・それは、死ぬときは桜の下で死にたい。そのような内容でした。そして、歌の通りあの桜の下で亡くなりました。それ以来、その歌に共感したものや、家族が次々と亡くなりました。そして、あの桜は今のような状態に・・・」

 

 

紫「幽々子もあの桜、西行妖のせいで能力が【死霊を操る程度の能力】から【死に誘う程度の能力】になってしまって、コントロール出来ていないのよ。後一年で幽々子は・・・」

 

 

『・・・ほう、封印は出来るか?』

 

 

紫「・・・頑張ってみようと思うわ。」

 

 

『悪いが、あいつはまずい。多分能力も無効化される。・・・そうじゃないのか?』

 

 

紫「ええ、境界も操れないのよ、あいつだけは。」

 

 

よし、話が聞けたので作戦を考えるか。

 

 

『ありがとう。俺もどうにか出来ないか考える。』

 

 

よし、作戦を考えるか。

 

 

まず一つ目、消耗戦。・・・これは論外。あいつがどれだけ妖力を持っているか不明だし、何より「死」のエネルギーで動いているはずだ。そうするとほぼ妖力は無限だ。なので却下。

 

 

二つ目、消し去る。・・・これも良くない。西行妖も一応「死」を管理しているので消すとどうなるか分からない。龍神の力でどうにか出来るだろうが、確証がないので却下。

 

 

三つめ、紫が封印する。俺達はバックアップ。・・・多分これが最良だろう。幽々子が自害する可能性があるので眠らせる。・・・紫が無防備になるので全力で守る。多分、これが被害がない。

 

 

・・・めんどくせえ。全く、西行妖じゃなかったら消してたわ。

 

 

『・・・まあ、大事な弟子と、その友人のためか。』

 

 

俺は作戦を紫、妖忌、藍、侵二に伝えた。

 

 

作戦実行は三日後に決まった。

 

 

そして、三日後・・・

 

 

『よし、準備はいいな。紫は封印の準備、藍、妖忌、侵二、俺はその援護だ。』

 

 

紫「幽々子は私が守る!」

 

 

藍「私もだ!」

 

 

妖忌「幽々子様は桜なぞに死なせぬ!」

 

 

侵二「了解、さっさとやりましょう。」

 

 

『よし、幽々子は寝かせた。行くぞ!』

 

 

作戦開始だ。

 

 

 

bgm 煉獄庭園 最後のレクイエム

 

 

 

紫「行くわよ!」

 

 

『了解!』

 

 

西行妖も危険に気づいたのか攻撃してくる。

 

 

『まあ、通さんがな!』

 

 

能力が使えないので新月に高周波を流して切る。

 

 

侵二「能力無しは面倒ですね・・・」

 

 

侵二も薙刀で枝を切り落としていく。

 

 

藍、妖忌も後ろで切り落としていく。

 

 

西行妖「ギィィィィィ!」

 

 

妖力弾まで飛ばして来やがった・・・!

 

 

『当たるなよ!当たったら死ぬぞ!』

 

 

妖忌「なっ!うっ!」

 

 

『妖忌!大丈夫か!』

 

 

妖忌「何、唯の枝でした。」

 

 

『一応下がれ!藍も治療を頼む!』

 

 

藍「はっ!」

 

 

『侵二、行けるな?』

 

 

侵二「・・・上等です。」

 

 

『おっしゃ!行くぞ!』

 

 

枝を切り落として十分、西行妖のヘイトが全部こっちに向いた。

 

 

『よし!避けるぞ!』

 

 

侵二「もうやってます!」

 

 

『へいへい!ぜいっ!』

 

 

巨大な枝を切り落とす。

 

 

『紫!まだか!?』

 

 

紫「後、十分ほど!」

 

 

『理解した!死ぬ気で行く!』

 

 

侵二「昇竜斬!」

 

 

『ブラックホール!』

 

 

侵二「枝は切ります!主上は妖力弾を!」

 

 

『よし、任せろ!』

 

 

新月のリミッターを一段階解除。一度鞘に収める。

 

 

『・・・ハアッ!』

 

 

横一文字に切る。

 

 

侵二「主上!紫殿が!」

 

 

紫の後ろに枝が迫る。

 

 

『ちっ!地面に隠してやがったか!』

 

 

新月抜いてる暇はねえ!

 

 

『紫!どけっ!』

 

 

紫「きゃっ!」

 

 

枝が俺の右肩に刺さる。

 

 

『がっ・・・!』

 

 

紫「師匠!」

 

 

『うるせえ!さっさと続けろ!』

 

 

フェニクスで取り敢えずは止血。・・・妖力がかなり持っていかれた。

 

 

紫「でも、師匠の傷が!」

 

 

『・・・この程度で騒ぐな。さっさと続けろ。』

 

 

紫「・・・分かったわ!」

 

 

ここが正念場だ。妖力全開放。

 

 

『【影縫い】!【影結び】!』

 

 

影縫いで動きを止め、影結びで俺と繋ぐ。

 

 

『てめえの妖力もらうぞ!西行妖!』

 

 

妖力吸収。・・・取り敢えず表面上は回復した。

 

 

『今だ!やれ!紫!』

 

 

紫「・・・封印!」

 

 

西行妖「ギィィィィィ!」

 

 

『やかましい!大人しくしやがれ!』

 

 

西行妖を切る。・・・やったな。

 

 

『ふう・・・』

 

 

侵二「紫殿、お疲れ様です。」

 

 

紫「・・・やったの?」

 

 

『・・・ああ、』

 

 

妖忌「絶影殿、申し訳なかった。」

 

 

『気にするな。こうして全員無事だったんだ。喜べ。』

 

 

藍「侵二!無事だな!?」

 

 

侵二「大丈夫だ。心配かけたな。」

 

 

紫「師匠、傷は・・・」

 

 

『大丈夫だ。』

 

 

・・・表面上はな。

 

 

侵二「・・・・・・」

 

 

紫「終わったんだし、宴会しましょう!」

 

 

『ああ、そうするか。』

 

 

その後、宴会は夜更けまで続いた。

 

 

そして、その夜。

 

 

侵二「・・・主上。」

 

 

『・・・侵二か。』

 

 

侵二「・・・随分と無茶をしましたね。」

 

 

『・・・どういうことだ?』

 

 

侵二「妖力がほとんど無いですが。」

 

 

『・・・ばれたか。』

 

 

侵二「・・・どうしました?」

 

 

『・・・寿命をごっそり持っていかれた。』

 

 

侵二「・・・残量は?」

 

 

『・・・三年だ。』

 

 

侵二「・・・馬鹿じゃないですか?」

 

 

『後悔はない。』

 

 

侵二「やれやれ・・・そう言いますよね。」

 

 

『当然。』

 

 

侵二「じゃあ、後三年悔いのないように。」

 

 

『・・・了解。』

 

 

全く、こいつにはいつも救われるな。

 

 

『ありがとう、侵二。』

 

 

侵二「・・・お互い様です。紫殿達には黙っていますね。」

 

 

『ああ、風魔達には念話で伝える。』

 

 

風魔「その必要はない。」

 

 

壊夢「ここにいるぜよからね。」

 

 

幻夜「無茶したね~」

 

 

『お前等・・・』

 

 

風魔「・・・どうせあれだろう?」

 

 

壊夢「そうそう、何か復活しそうぜよ。」

 

 

幻夜「確かにね~」

 

 

侵二「ここに主上の死を悲しむ者はいません。にこやかに見送りますよ。」

 

 

『・・・悪い、ちょっと泣くぞ。』

 

 

俺は数億年ぶりに涙を流した。

 

 

『お前等、本当にありがとう!』

 

 

風魔「・・・さようなら、いや、また会おう、主上。」

 

 

壊夢「今度会ったら勝負するぜよよ?」

 

 

幻夜「じゃ、待ってるからね~」

 

 

『・・・ああ、あばよ、いや、またな!!』

 

 

侵二「残り短いその命、大事に過ごしましょう。」

 

 

『ああ、そうだな!』

 

 

 

・・・俺のこの命が消えるまで、後三年。

 

 

 

 

 

次回へ続く

 

 







ありがとうございました。


次回もお楽しみに。

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