能力的に侵二が最恐。
ゆっくりご覧下さい。
side侵二
「・・・なので主上、殲滅します。」
『まあ、弟子と式のためだ。許可する。その代わり、自分でけじめつけろ。』
「ふっ、当然じゃないですか。」
『ははっ。そうだったな。』
「・・・まあ、やらせていただきます。」
『はいはい、・・・死ぬなよ？無用な心配だが。』
「まさか、あいつ等で死ぬのは不本意ですよ。」
『まあ、あれだ。しっかりやれ。』
「御意。」
陰陽師1「妃様と妖怪が対談しているぞ！」
陰陽師2「やはり妖怪だったか！皆の者、行くぞ！」
阿呆くさいですが、一応ついていく。裏切り者？元から敵ですよ。
sideout
side九尾
紫「・・・じゃあ、来るのね？」
「ああ、貴女の式になろう。」
あれから二日、私の心は決まっていた。
紫「分かったわ。今日から貴女の名前は八雲藍（やくもらん）よ。いいわね？」
「はい、紫様。」
陰陽師1「そこまでだ！妖怪！我らが退治してくれる！」
「なっ！」
その数、ざっと百人。紫様でも勝てないかもしれない。
陰陽師2「さらに！貴様達の能力が使えないようにしてある！覚悟しろ！」
紫「くっ！能力が使えない！しまった！」
もう駄目だ。私は覚悟を決めた。
侵二「なんて、上手くいくわけがないですよね。」
「え・・・？」
紫「侵二さん！？」
侵二「ああ、紫殿。たまたま気分でここにいたらこうなりました。」
陰陽師3「貴様！この裏切り者が！」
侵二「何寝言言ってるんですか？元々味方じゃありませんでしたよ？」
陰陽師4「しかし、この数！さらに能力も使えぬ！我らの勝ちだ！」
侵二「それ、フラグですよ？」
陰陽師1「ふらぐ？まあいい！殺れ！」
侵二「九尾殿・・・いや、藍さん。四凶に会いたいそうでしたね。」
「何故その話を？」
侵二「さあ来なさい陰陽師！四凶妖怪饕餮が相手だ！」
私が好意を初めて持った人、侵二。彼こそが、私が憧れた人、饕餮だった。
侵二「さあ、せいぜい楽しませて下さいね？」
sideout
side侵二
bgm 魔王魂 ダンジョン１２
陰陽師1「はっ！何が四凶だ！やってしまえ！」
「捕食、結界。いただきます。」
紫「嘘・・・」
藍「け、結界をまるごと・・・」
陰陽師2「ば、化け物！」
「ご馳走様でした。さて、次は貴方達ですかぁ？」
主上といるおかげでどんどん妖力が増えていくので今では翼が十二枚に。
「じゃあ、いただきます。」
取り敢えず前方の十二人を喰う。
「おえっ。食べられるもんじゃありませんね。」
陰陽師1「い、一瞬で十二人も・・・」
「これぐらい基本ですよ？本気、出しましょうか？」
陰陽師2「ひ、ひいっ！」
「紫殿！ちょっと離れて下さいね？」
紫「藍！離れて！」
藍「はっ、はいっ！」
「極大妖術、【黒稲妻】（くろいなずま）！」
陰陽師が雷で焦げる、否、消し炭になる。
「数が多いですし、騒ぎにしたくないので。これでもどうぞ！」
陰陽師5「何だこれは・・・ぐあっ！」
「殺生石です。触ったり近づくと死にますよ。ささやかなプレゼントです。」
紫「絶対にあんなプレゼントは嫌ね・・・」
「感想述べている暇があったら逃げますよ！閃光玉！」
主上から貰った人間が浴びると二日寝込む閃光玉を投げる。
「ほら！藍さんも早く！」
藍「ああ！」
・・・侵二、紫、藍逃走中・・・
侵二「ここまでくれば大丈夫でしょう。」
紫「侵二さん、助かったわ。ありがとう。」
『全く、何してんだよ。』
紫「し、師匠！」
藍「え？」
藍さんが混乱している。
「あのですね。私の主上で紫殿の師匠の、」
『絶影だ。初めまして。』
藍「ぜっ、絶影！？」
『気にするな。それより紫、怪我ないか？』
紫「・・・怒らないの？」
『別に？自分で反省してるだろ？なら、それを次に生かせばいい。』
紫「師匠ぉ、ありがとうっ！」
藍「それより、侵二。まさか貴方が・・・」
「騙して悪かったですね。・・・そうです。饕餮の侵二です。」
藍「饕餮・・・様。」
「様付けは止めて下さいね？」
藍「し、しかし！」
「貴女は紫殿の式でしょう？敬語は主のみでいいのですよ。」
藍「しかし、その口調は・・・」
「私は元からですよ。・・・それよりも、話が。」
藍「何ですか？いや、何だ？」
「もし、藍さんの気持ちが昔から変わっていなければ。この侵二、貴女を守らせていただいてもよろしいですか？」
藍「・・・私は、饕餮さんを尊敬していた、憧れていた。そして、侵二殿に好意を持った。・・・そんな人からの願い。聞き入れないわけがない。」
「・・・なら！」
藍「ただし、条件がある。・・・その、何だ、わ、私の事をさん付けで呼ばないでくれないか？」
・・・ああ、気にしてたんですか。
「・・・なら、藍、これでいいか？」
藍「ああ！そ、それでいいんだ。」
紫「藍、本当は駄目だけれど、これだけは認めるわ。おめでとう。（絶対に追いつくから！）
藍「ありがとうございます！紫様！」
『おい、侵二。何が出来ますかね？だ。出来てんじゃねえか。』
「ええ、出来ましたね・・・私でいいんでしょうか？」
『はあ・・・一人だった女性の孤独を紛らわせ、百人ほどの魔の手から救ってもお前はくだらないのか？』
「・・・今考えるととんでもないことしてたんですか。気づきませんでした。」
『ほら、それぐらい一生懸命だったんだろ？お似合いだぞ。てめえら。』
「藍、本当に俺でいいか？」
藍「ああ！勿論だ！」
・・・実は、誰にも言っていない事がある。数百年前だったか、主上との旅の途中、迷子になっていた狐の子がいた。その子が、藍そっくりなのだ。多分、彼女は気づいていない。だが、昔から会っていたのだ。運命の女性に。
「主上、もし、藍や紫殿に意味なく危害を加えるような人に変わってしまったら、殺しますね。」
『お前にやられるなら本望だ。が、多分ならないな。それより、他の奴らから守れよ？』
・・・主上は変わり者だ。ひょっとしたら、この世界の住民ではないのかもしれない。しかし、主上は主上ですから。最後までいますよ。
・・・たとえ、主上が死んでも。
sideout
side絶影
・・・結局、あいつ等は全員付き合った。侵二はもしかしたら・・・と思っていたが不要だった。
俺だって好きな奴はいる。だが、今は駄目だ。だから気づかないふりを続けている。
・・・いつか、できるようになればなあ。
今宵付き合い始めた二人を祝福するように、月が明るく輝いていた。
次回へ続く
ありがとうございました。四凶全員付き合いました。元から彼女は決まっていました。
次回もお楽しみに。