幻想創星録   作:青銅鏡(銀鏡)

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不比等さんが優しい件。


ゆっくりご覧下さい。


第三十話 五つの難題(鏡一編集)

 

side鏡一

 

 

俺達は早朝、不比等さんの屋敷を抜け出し、輝夜の所に向かった。

 

そして、屋敷に入る。

 

 

『お邪魔しまーす!』

 

 

輝夜「どこから入って来てんのよ!」

 

 

・・・縁側から。

 

 

侵二「お邪魔しますね。」

 

 

輝夜「貴方達、早いわね。まだみんな寝てるわよ?」

 

 

『気にすんな。それより、無理難題もとい五つの難題は?』

 

 

輝夜「火鼠の皮衣、燕の子安貝、仏の御石の鉢、蓬莱の珠の枝、絶影の首よ。」

 

 

やったぜ。ちなみに、どれも俺達で押収済みだ。

 

 

侵二「お二人共、顔が悪いです。」

 

 

『誰だ、嬉々として押収手伝ったの。』

 

 

侵二「まあ、そうなんですけどねえ?」

 

 

全員黒い、ここに光はないのか。

 

 

『んじゃ、護衛のフリしておく。侵二は俺の前な。』

 

 

侵二「了解です。・・・武器は?」

 

 

『雷斬刀出してろ。俺も新月とライフル出しておく。』

 

 

・・・久しぶりだな。このライフル。

 

 

輝夜「そのライフルって、都市の時の?」

 

 

『ああ、こいつには世話になった。勿論、これからもだがな。』

 

 

侵二「お客さんが来ましたよ。」

 

 

輝夜「じゃあ、お願いね。」

 

 

俺は輝夜の簾の端に座り込む。侵二はその逆。

 

 

不比等「失礼します。」

 

 

阿倍御主人「失礼します。」

 

 

大伴御行「失礼する。」

 

 

石上麻呂「失礼します。」

 

 

石作皇子「失礼します。」

 

 

輝夜「皆様、集まっていただきありがとうございます。して、集まって頂いたのは貴方がたに、今から出す難題を解いていただきます。」

 

 

おっ、食いついてる食いついてる。

 

 

輝夜「難題とは、火鼠の皮衣、燕の子安貝、蓬莱の珠の枝、仏の御石の鉢、絶影の首のいずれかです。何を選んでいただいても構いません。」

 

 

不比等「・・・・・・」

 

 

五人の求婚者が相談している。・・・決まったようだ。

 

 

輝夜「では、阿倍御様が火鼠の皮衣、大伴様が絶影の首、石上様が燕の子安貝、石作様が仏の御石の鉢、藤原様が蓬莱の珠の枝です。期限は二週間後です。では、また後日。」

 

 

大伴御行「待たれよ、かぐや姫、そこの汚い二人は?」

 

 

輝夜「ここの二人は護衛です。」

 

 

大伴御行「こんな奴らがですか?」

 

 

やべえ、キレそう。

 

 

輝夜「なら、試しますか?」

 

 

おっ?いいのかね?やっちまうぞ?

 

 

大伴御行「なら、うちの最強の陰陽師と勝負をさせましょう。」

 

 

あ、侵二の口が歪んでる。

 

 

侵二「主上、任せてもらっていいですか?」

 

 

『どうぞ。』

 

 

大伴御行「一人でですか?」

 

 

陰陽師1「相手になりませんな。」

 

 

・・・そういや、こいつが俺の首だったっけ?

 

 

陰陽師1「こんな奴、すぐに終わりますよ。」

 

 

侵二「さあ?どうでしょうか。」

 

 

陰陽師1「ぬかしおって!」

 

 

陰陽師が霊力を込めた札を投げる・・・普通ならダメージが入るだろう、普通なら。

 

 

侵二「なんです?今のは?」

 

 

陰陽師1「ひるみもしないだと!?」

 

 

侵二「終わりですか?・・・残念です。」

 

 

陰陽師1「ひっ!」

 

 

おい、侵二、そう言いながら雷斬刀に雷を帯電させるな!

 

 

輝夜「そこまでです。」

 

 

大伴御行「何故だ!」

 

 

侵二「賢明な判断ですね。」

 

 

陰陽師1「助かった・・・」

 

 

圧勝、その一言で済む。

 

 

大伴御行「くっ!覚えていろ!」

 

 

陰陽師と共に逃げていく。しょぼい悪役かよ。

 

 

輝夜「では、また。」

 

 

他のメンバーも帰っていく。・・・不比等さんを除いて。

 

 

輝夜「?貴方は?」

 

 

不比等「かぐや姫・・・正直に申して下さい。貴女は結婚する気がないですね?」

 

 

輝夜「・・・!!」

 

 

『輝夜、不比等さんは信用できる。話して大丈夫だ。』

 

 

輝夜「なら・・・」

 

 

輝夜は月の住民であること、次の満月に迎えが来ることを明かした。

 

 

不比等「そうでしたか・・・なら、私は婚約破棄をします。」

 

 

輝夜「何故ですか?」

 

 

不比等「もし、手に入れたとしても、絶対に心を開いて下さらないでしょう?」

 

 

輝夜「そうね・・・ありがとう。不比等さん。」

 

 

不比等「しかし、他の四人は?」

 

 

『それなら大丈夫だ。』

 

 

不比等「何故ですかな?」

 

 

『侵二、』

 

 

侵二「御意。」

 

 

不比等「これは!!」

 

 

『そう、お題の物、全部こっちで押収している。』

 

 

不比等「絶対に無理だったと?」

 

 

『イエス、すでに仕込まれていたのさ。』

 

 

輝夜「不比等さん。お願いがあります。」

 

 

不比等「何ですか?」

 

 

輝夜「私と結婚する、ということにしていただけますか?」

 

 

不比等「それで他の四人を?」

 

 

輝夜「ええ。駄目かしら?」

 

 

不比等「一度惚れた方です、お手伝いしましょう。」

 

 

『・・・決まりだな。』

 

 

侵二「では、これを・・・」

 

 

侵二が不比等さんに蓬莱の珠の枝(本物)を渡す。

 

 

不比等「分かりました。これでうまく騙しますぞ。」

 

 

輝夜「お願いします。・・・娘さんの件ですが、連れてきて下さい。」

 

 

不比等「ありがとうございます。」

 

 

『あ、不比等さん。俺達護衛が絶影と饕餮だって事は秘密で。』

 

 

侵二「もし破ると・・・」

 

 

不比等「・・・殺すのかね?」

 

 

侵二「いえ、何も。ばれたらしょうがないですね。」

 

 

不比等「何ですかそれは・・・とにかく、お任せください。」

 

 

輝夜「お願いね。」

 

 

不比等「かぐや姫、口調が・・・」

 

 

輝夜「ああ、あれしんどいのよね。これでいい?あと、私の名前は蓬莱山輝夜よ。」

 

 

不比等「ええ、いいですよ。そして、宜しく、輝夜殿。」

 

 

・・・随分と歴史が変わったもんだ。

 

 

『じゃあ、不比等さんにバラすけど、俺の本名は神矢龍一だ。知ってるかな?』

 

 

不比等「か、か、かっ、神矢龍一!?あの龍神様の!?」

 

 

『正解、と言っても拝むなよ?面倒だから。』

 

 

不比等「話すのはこのままで?」

 

 

『勿論、そうしてくれた方が嬉しいな。』

 

 

不比等「分かりました。・・・では、絶影と言うのは?」

 

 

『絶影は元々俺が正体を隠すための名前。だが、やりすぎてな・・・』

 

 

不比等「はあ、」

 

 

侵二「で、人間になっているんですよ。」

 

 

不比等「では、妹紅が見たという不思議な術は?」

 

 

『銀糸操作な。あれは能力。一応、他にも魔術や陰陽術は使える。』

 

 

不比等「・・・何者ですか?」

 

 

『・・・わからん。』

 

 

侵二「まあ、そんな感じですよ。」

 

 

輝夜「どんな感じよ。」

 

 

不比等「・・・そろそろ失礼します。鏡一殿、侵二殿、護衛、頑張って下され。」

 

 

『おう、またな。』

 

 

侵二「では、また。」

 

 

不比等さんが去って行った。

 

 

『で、輝夜、話があるんだが。』

 

 

輝夜「何?」

 

 

『お前、帰りたいのか?』

 

 

輝夜「帰りたいわけないじゃないっ・・・ どうせ、いい実験道具よ。」

 

 

『じゃあ、どうしてほしい。』

 

 

輝夜「・・・守って頂戴、月の奴らから。」

 

 

『やれやれ・・・元月の英雄が裏切りか・・・』

 

 

輝夜「それは・・・」

 

 

『・・・楽しそうだな。どうせ月には行けないんだ。それに、今は死んでいるんだ。死人が裏切っても裁けるまい。侵二、殺るか?』

 

 

侵二「ええ、逝きましょうか。」

 

 

輝夜「ねえ、何か不吉なものを感じたのだけれど。」

 

 

・・・聞こえない。俺はコ○ンに出てきたナイト○ロンの仮面をつける。

 

 

『どうだ?似合うか? 』

 

 

輝夜「まさか、本当に・・・」

 

 

『ああ、元月の軍人鏡一。もとい絶影。貴女をできるだけ守ろう。』

 

 

侵二「保証はしないですよ?」

 

 

輝夜「ありがとうっ!」

 

 

『ま、その前にあの俺の首取りに行った貴族のめさないと。なあ?』

 

 

侵二「そうですねえ。」

 

 

輝夜「ちょっと、二人共怖いから止めて。」

 

 

『さて、忙しく(楽しく)なりそうだ。』

 

 

俺達は口を三日月に歪めて笑う。

 

 

 

そして、貴族達が再び集まった・・・

 

 

 

 

次回へ続く

 

 

 

 

 







ありがとうございました。


次回もお楽しみに。

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