幻想創星録   作:青銅鏡(銀鏡)

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今回から竹取物語です。

ゆっくりご覧下さい。


第二十五話 英雄の名

 

 

side絶影

 

 

妖怪の山の一件から数日後、俺と侵二は交代で紫の修行の手伝いをして、幻夜は「出かける~」とかぬかして行方不明。あいつは一番フリーダムだ。

 

で、今、暇だ。修業はしばらく侵二が担当するし、することが無い。

 

まずい。これは死活問題だ。面白いことを探さねばならぬ。

 

 

俺はすぐさま鏡一になって出かけた。

 

 

・・・超人移動中・・・

 

 

 

とりあえず団子屋に着いた。情報収集スタート。

 

 

『店主、なんか面白いことないか?』

 

 

店主「そうだねえ、面白いことかは分からないが、最近はかぐや姫の話ばっかりさ。」

 

 

かぐや姫ねえ、ん?待てよ?ここ東方の世界だよな。なら輝夜か。

 

 

『ほう、じゃあ見てくるかね。ありがとさん。』

 

 

店主「毎度!ってこれ代金多いよ!」

 

 

『情報料も入れといた。じゃあな。』

 

 

よっしゃ、これで暇じゃなくなった。もう何も怖くない。

 

 

俺は全速力で輝夜の家に向かった。

 

 

・・・超人移動中・・・

 

 

よし、着いたぞ。

 

 

???「おや?どちら様かな?」

 

 

『失礼、矢川鏡一と申します。貴方は?』

 

 

???「私は藤原不比等(ふじわらのふひと)だ。」

 

 

げっ、貴族だ。

 

 

『不比等様でしたか。何故ここに?』

 

 

不比等「様付けはやめてくれんか?私はかぐや姫に会いに来たんだ。」

 

 

やけに優しいな。

 

 

『では、不比等さん、俺も同行していいですかね?ちょっとかぐや姫と話がしたいので。』

 

 

不比等「一向に構わないよ。・・・ところで、君は旅人かい?」

 

 

『ええ、旅人ですよ。それも特殊なね。』

 

 

不比等「なら、私の娘に話をしてくれんか?」

 

 

『いいですよ。いつでもどうぞ。』

 

 

不比等「ありがとう。まあ、今はかぐや姫に会いに行こうか。」

 

 

『そうですね。お先にどうぞ。』

 

 

不比等「ありがとう。失礼します。」

 

 

『失礼します。』

 

 

かぐや姫「どうぞ。」

 

 

あら、簾掛かってる。・・・当然か。

 

 

不比等「今回、私は求婚に来ました。」

 

 

かぐや姫「そうですか。しかし、他にも求婚者はいます。なので、後程皆さんを集めます。その時にまた来て下さい。」

 

 

不比等「分かりました。では、鏡一殿、貴方もまた。」

 

 

かぐや姫「!」

 

 

『ええ、ではまた後日。』

 

 

不比等さんが退出した。・・・さて、

 

 

『では、話をしましょうか。月の住人さん?』

 

 

かぐや姫「まさか、矢川鏡一?」

 

 

『半分正解。』

 

 

かぐや姫「嘘よ。彼は死んだもの。」

 

 

『じゃあ、何を言えば分かる?』

 

 

かぐや姫「月ロケットの打ち上げについて。」

 

 

『はぁ・・・打ち上げ後化学班の核ミサイルが暴走、それを俺は地上100キロメートルから狙撃、連結部分を破壊、その後爆風で死亡だったっけ?』

 

 

かぐや姫「・・・本物らしいわね。で、半分正解って?」

 

 

『俺は人間じゃない。』

 

 

かぐや姫「え?」

 

 

『実はな、月読命の国の視察に来てた龍神だ。』

 

 

かぐや姫「ゑゑ!?」

 

 

『まあ、そんなわけだ。蓬莱山輝夜(ほうらいざんかぐや)?』

 

 

輝夜「私の名前を・・・!」

 

 

『何でもお見通しだ。・・・蓬莱の薬の一件もな。』

 

 

輝夜「!!・・・ええ、そうよ。追放されたのよ。」

 

 

『まあ、そうがっかりすんな。ここもいいとこだぞ?』

 

 

輝夜「後一か月で迎えが来るのよ。」

 

 

『あっそ、良かったじゃん。俺は無理だが。』

 

 

輝夜「・・・ええ。」

 

 

『良ければ、俺の旅の話でもしようか?月の様子と引き換えに。』

 

 

輝夜「いいわよ。聞かせて頂戴。」

 

 

俺は大惨事大戦の話や式神の話をした。

 

 

輝夜「月読命様入れて八百万の神様と戦争って・・・」

 

 

『楽しかったぞ?神々が阿保みたいに弱かったが。』

 

 

輝夜「しかも式神と共同で無傷って・・・」

 

 

『・・・あいつ等は規格外だ。もはや妖怪じゃねえ。』

 

 

輝夜「結構無茶苦茶やったのね。」

 

 

『自由の塊だしな。』

 

 

輝夜「(いいなあ)」

 

 

『じゃあ、次は月の事教えてくれ。』

 

 

輝夜「いいわよ。まず永琳からね。・・・ショック受けてたわよ。」

 

 

『グフッ。・・・止めろ、罪悪感あるんだ。』

 

 

輝夜「でも、泣いてはなかったわ。」

 

 

『マジで?・・・約束守ってくれたんだ。』

 

 

輝夜「次は貴方のことね。【英雄鏡一】とか【最強の狙撃手】とかよ。」

 

 

『いや、そんなに凄い狙撃したか?』

 

 

輝夜「後ろ向いて三キロメートル先狙撃したのに普通なの?」

 

 

『いや、あれはな?ちょっとしたジョークだ。』

 

 

輝夜「あれがジョークだったら全部ジョークよ。」

 

 

『俺って実感が無い。』

 

 

輝夜「こっちでは学校で最初に習うぐらいよ?」

 

 

『【衝撃】 狙撃手は神だった。』

 

 

輝夜「本当にそれよ・・・」

 

 

『凄いな。学校も知らない事知ったぞ。』

 

 

輝夜「いや、嬉しくないわ。」

 

 

『喜べよ。数人しか知らない真実だぞ?』

 

 

輝夜「それより、婚約はどうしよう。」

 

 

『絶対にクリア出来ない条件ならあるが。』

 

 

輝夜「何?」

 

 

『龍神の首飾りと絶影の首。どっちも俺だからな。』

 

 

輝夜「いいわね。首飾り採用させてもらうわ。一番嫌な奴に言おう。」

 

 

『後は侵二曰く絶対にない火鼠の皮衣とか。』

 

 

輝夜「ないの?」

 

 

『絶滅したらしい。』

 

 

輝夜「蓬莱の珠の枝とかは?」

 

 

『お主も悪よのう。』

 

 

輝夜「いいのよ。別に。」

 

 

『じゃあ、手に入れようとすると不幸が舞い降りる燕の子安貝とかは?』

 

 

輝夜「それもいいわね。」

 

 

『別に四凶の首でもいいぞ?絶対にやられないから。』

 

 

こうして物騒な会話は夜まで続いた。

 

 

『もうこんな時間か。』

 

 

輝夜「ついつい話しすぎたわね。」

 

 

『じゃあ、また来るよ。助けてほしけりゃ「助けて鏡一!」とか叫べ。コンマ一秒で来る。』

 

 

輝夜「ありがとう。またね。」

 

 

俺は退出した。

 

 

侵二「主上、ここにいたんですか。」

 

 

紫「何してたの?師匠。」

 

 

『月の住民がいてな。ちょっと昔の会話をしてた。』

 

 

紫「師匠の顔って広いわね・・・」

 

 

『まあそれはそれでだ。幻夜は?』

 

 

侵二「あいつならまだ帰って来ていないですよ。」

 

 

ここの所数日間いない。

 

 

『アイツ、何してるんだろうな。』

 

 

次回へ続く





ありがとうございました。


次回もお楽しみに。

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