今回から竹取物語です。
ゆっくりご覧下さい。
side絶影
妖怪の山の一件から数日後、俺と侵二は交代で紫の修行の手伝いをして、幻夜は「出かける~」とかぬかして行方不明。あいつは一番フリーダムだ。
で、今、暇だ。修業はしばらく侵二が担当するし、することが無い。
まずい。これは死活問題だ。面白いことを探さねばならぬ。
俺はすぐさま鏡一になって出かけた。
・・・超人移動中・・・
とりあえず団子屋に着いた。情報収集スタート。
『店主、なんか面白いことないか?』
店主「そうだねえ、面白いことかは分からないが、最近はかぐや姫の話ばっかりさ。」
かぐや姫ねえ、ん?待てよ?ここ東方の世界だよな。なら輝夜か。
『ほう、じゃあ見てくるかね。ありがとさん。』
店主「毎度!ってこれ代金多いよ!」
『情報料も入れといた。じゃあな。』
よっしゃ、これで暇じゃなくなった。もう何も怖くない。
俺は全速力で輝夜の家に向かった。
・・・超人移動中・・・
よし、着いたぞ。
???「おや?どちら様かな?」
『失礼、矢川鏡一と申します。貴方は?』
???「私は藤原不比等(ふじわらのふひと)だ。」
げっ、貴族だ。
『不比等様でしたか。何故ここに?』
不比等「様付けはやめてくれんか?私はかぐや姫に会いに来たんだ。」
やけに優しいな。
『では、不比等さん、俺も同行していいですかね?ちょっとかぐや姫と話がしたいので。』
不比等「一向に構わないよ。・・・ところで、君は旅人かい?」
『ええ、旅人ですよ。それも特殊なね。』
不比等「なら、私の娘に話をしてくれんか?」
『いいですよ。いつでもどうぞ。』
不比等「ありがとう。まあ、今はかぐや姫に会いに行こうか。」
『そうですね。お先にどうぞ。』
不比等「ありがとう。失礼します。」
『失礼します。』
かぐや姫「どうぞ。」
あら、簾掛かってる。・・・当然か。
不比等「今回、私は求婚に来ました。」
かぐや姫「そうですか。しかし、他にも求婚者はいます。なので、後程皆さんを集めます。その時にまた来て下さい。」
不比等「分かりました。では、鏡一殿、貴方もまた。」
かぐや姫「!」
『ええ、ではまた後日。』
不比等さんが退出した。・・・さて、
『では、話をしましょうか。月の住人さん?』
かぐや姫「まさか、矢川鏡一?」
『半分正解。』
かぐや姫「嘘よ。彼は死んだもの。」
『じゃあ、何を言えば分かる?』
かぐや姫「月ロケットの打ち上げについて。」
『はぁ・・・打ち上げ後化学班の核ミサイルが暴走、それを俺は地上100キロメートルから狙撃、連結部分を破壊、その後爆風で死亡だったっけ?』
かぐや姫「・・・本物らしいわね。で、半分正解って?」
『俺は人間じゃない。』
かぐや姫「え?」
『実はな、月読命の国の視察に来てた龍神だ。』
かぐや姫「ゑゑ!?」
『まあ、そんなわけだ。蓬莱山輝夜(ほうらいざんかぐや)?』
輝夜「私の名前を・・・!」
『何でもお見通しだ。・・・蓬莱の薬の一件もな。』
輝夜「!!・・・ええ、そうよ。追放されたのよ。」
『まあ、そうがっかりすんな。ここもいいとこだぞ?』
輝夜「後一か月で迎えが来るのよ。」
『あっそ、良かったじゃん。俺は無理だが。』
輝夜「・・・ええ。」
『良ければ、俺の旅の話でもしようか?月の様子と引き換えに。』
輝夜「いいわよ。聞かせて頂戴。」
俺は大惨事大戦の話や式神の話をした。
輝夜「月読命様入れて八百万の神様と戦争って・・・」
『楽しかったぞ?神々が阿保みたいに弱かったが。』
輝夜「しかも式神と共同で無傷って・・・」
『・・・あいつ等は規格外だ。もはや妖怪じゃねえ。』
輝夜「結構無茶苦茶やったのね。」
『自由の塊だしな。』
輝夜「(いいなあ)」
『じゃあ、次は月の事教えてくれ。』
輝夜「いいわよ。まず永琳からね。・・・ショック受けてたわよ。」
『グフッ。・・・止めろ、罪悪感あるんだ。』
輝夜「でも、泣いてはなかったわ。」
『マジで?・・・約束守ってくれたんだ。』
輝夜「次は貴方のことね。【英雄鏡一】とか【最強の狙撃手】とかよ。」
『いや、そんなに凄い狙撃したか?』
輝夜「後ろ向いて三キロメートル先狙撃したのに普通なの?」
『いや、あれはな?ちょっとしたジョークだ。』
輝夜「あれがジョークだったら全部ジョークよ。」
『俺って実感が無い。』
輝夜「こっちでは学校で最初に習うぐらいよ?」
『【衝撃】 狙撃手は神だった。』
輝夜「本当にそれよ・・・」
『凄いな。学校も知らない事知ったぞ。』
輝夜「いや、嬉しくないわ。」
『喜べよ。数人しか知らない真実だぞ?』
輝夜「それより、婚約はどうしよう。」
『絶対にクリア出来ない条件ならあるが。』
輝夜「何?」
『龍神の首飾りと絶影の首。どっちも俺だからな。』
輝夜「いいわね。首飾り採用させてもらうわ。一番嫌な奴に言おう。」
『後は侵二曰く絶対にない火鼠の皮衣とか。』
輝夜「ないの?」
『絶滅したらしい。』
輝夜「蓬莱の珠の枝とかは?」
『お主も悪よのう。』
輝夜「いいのよ。別に。」
『じゃあ、手に入れようとすると不幸が舞い降りる燕の子安貝とかは?』
輝夜「それもいいわね。」
『別に四凶の首でもいいぞ?絶対にやられないから。』
こうして物騒な会話は夜まで続いた。
『もうこんな時間か。』
輝夜「ついつい話しすぎたわね。」
『じゃあ、また来るよ。助けてほしけりゃ「助けて鏡一!」とか叫べ。コンマ一秒で来る。』
輝夜「ありがとう。またね。」
俺は退出した。
侵二「主上、ここにいたんですか。」
紫「何してたの?師匠。」
『月の住民がいてな。ちょっと昔の会話をしてた。』
紫「師匠の顔って広いわね・・・」
『まあそれはそれでだ。幻夜は?』
侵二「あいつならまだ帰って来ていないですよ。」
ここの所数日間いない。
『アイツ、何してるんだろうな。』
次回へ続く
ありがとうございました。
次回もお楽しみに。