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side絶影
ついに妖怪の山に到着。さあ、暴れるぞ。
天狗1「待て!ここは妖怪の山だ。今すぐ立ち去れ!」
『まあ、待て、俺らはあんた等と鬼の戦争を止めに来たんだ。』
天狗1「黙れ!立ち去らぬならここで切る!」
聞く気なしと、ついつい吹き飛ばしたくなるがこらえる。・・・壊夢、闘争心丸出しじゃねえか。落ち着け。
風魔「私は天狗だが・・・入っていいか?」
天狗1「失礼いたした、ささ、どうぞ。」
風魔「(すぐに誤解を解いてくる、待っていてくれ。)」
『(頼んだ。)』
風魔が天狗と共通点があるので怪しまれず入る。後は待つだけだ。
『頼んだぞ?風魔。』
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side風魔
私は一人で妖怪の山を登る。
「すまん、ちょっと聞いていいか?」
天狗2「はっ!何でしょうか?」
「実は旅の天狗でな・・・ここの最高責任者は誰だ?」
天狗2「ここの最高責任者は天魔様です。ここをまっすぐ行けば付きます。」
「それはありがたい。しかし、何故敬語なんだ?」
天狗2「貴方様から凄まじい妖力を感じますので。かなりの強さだと思われますので。」
なるほど、ここでは強さ=階級か。
「ところで、天魔殿は名前か?」
天狗2「いいえ、階級です。本名は風切 伊織(かざきりいおり)様です。くれぐれも失礼のないようにお願いします。」
「色々とありがとう。では、失礼する。」
・・・窮奇移動中・・・
ここか。入るか。
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side伊織
まずい、鬼がかなりの速さで攻め込んで来ている。このままでは、やられてしまう。
???「失礼する。」
誰ですかね?こんな時に。
「どうぞ。入って下さい。」
???「では・・・」
その声の主が入ってきた。瞬間、呼吸が止まった。かっこいい、それが第一印象だった。顔が赤くなり、心臓の動機が速くなるのが分かる。
「どちら様ですか?」
???「旅の天狗、風魔と申します。以後、お見知りおきを。」
風魔さんが微笑む。とたんに私の顔が更に赤くなる。
「わ、私は風切伊織です。天魔と呼ばれています。は、初めまして。」
今まで千年以上生きてきたが、こんなに話していて慌てたのは初めてだ。ああ、これが一目惚れだとなんとなく感じる私だった。
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side風魔
伊織殿の第一印象は可愛いだった。こんな時に何を言い出すのかと思われるが、少し興味が沸いた。・・・・・ってこんなことを言っている場合ではない!!
「済まぬが要件を急いで伝える。鬼の件だ。」
伊織「!!その件は・・・」
「私達が援護する。が、他五名が天狗でなくてな・・・足止めを食らっているのだ。どうにか出来ないだろうか?」
伊織「特別に許可します。案内してください。」
悪いが案内する暇がない、壊夢が暴れだしてしまう。
「悪い!」
私は伊織を抱える。
伊織「え?ちょ、ちょっと風魔さん?」
嫌がっているだろうな。・・・仕方あるまい!
「嫌だろうが我慢してくれ!急ぐぞ!」
伊織「べ、別に嫌ではってきゃああ!」
私は最高速で飛ぶ。風圧は能力でなくす。・・・見えた。よかった。壊夢は暴れていないようだ。そのまま私は地上に降りる。
「着いたぞ。すまなかったな。」
伊織「い、いえ!別に・・・(うれしかったですし)」
何か言っていたようだが聞こえない。
伊織「それより!貴方たちの入山を許可します。」
天狗1「天魔様!よろしいので?」
伊織「構いません。風魔さんのご友人だそうです。引き続き巡回を頼みます。」
天狗1「分かりました!」
伊織「さあ、此方に。」
途中、主上が話しかけてくる。
『彼女は?』
「最高責任者の風切伊織、天魔と言う階級らしい。」
『随分と伊織はお前に気があるようだが・・・』
まさか、もしそうだったらうれしいものだ。
「そうだといいがな・・・」
『(コイツ、気づいてねえな。ひどい奴だ。)←ブーメラン発言』
伊織「着きました。此方でお話を・・・」
『了解しました。失礼します。』
「失礼する。」
伊織「では、お名前を聞いていいですか?」
『俺は絶影、影妖怪だ。』
伊織「絶影!?あ、あの伝説の?」
この光景を見るのも慣れたものだ。
『次、』
侵二「私は侵二、饕餮です。」
壊夢「俺は壊夢、橈杌ぜよ。」
幻夜「僕は幻夜、混沌だよ~」
紫「私は八雲紫、スキマ妖怪ですわ。」
伊織「と、いうことは風魔さんの種族も・・・」
はあ、ばれてしまったか。しょうがない。
「ああ、窮奇だ。」
伊織「ま、まあ、気にしません。それより鬼の件ですが・・・」
おや?驚かれない?嬉しいものだ。大体は驚いて距離を取るのに。
『ああ、それなんだが、鬼の首領は?』
伊織「鬼子母神です。」
『だとよ、壊夢。』
壊夢「楽しみぜよねえ。」
伊織「後は鬼の軍勢が六百程・・・」
「問題ない、だろう?主上。」
『ああ、問題は誰が行くかだ。』
「私に行かせてくれ。同じような種族だ。他の天狗も嫌がらないだろう。」
『本心は?』
「分かっているだろう?」
『いいぜ。侵二、幻夜、お前らは?』
侵二「いいですよ。」
幻夜「良いよ~二人の邪魔はしたくないしね~」
「げ、幻夜、貴様!」
幻夜「あ、ごめーん。」
伊織「え、ええ?」
何てことしてくれた。くそったれ。こうなればやけくそだ。
「伊織!」
伊織「は、はいっ!」
「お前は私が守る。いいな?」
伊織「そ、それって・・・」
「嫌か?」
伊織「い、いえ!むしろ嬉しいで・・・あ、」
「今のは?」
伊織「ち、違っ、これは・・・その・・・」
幻夜「ん~?」
ええい、ニヤニヤするな!幻夜!ああもう!
「なら、私が守る。この戦が終わるまでな!拒否権は無しだ!」
伊織「はいっ!お願いします!」
とりあえず、幻夜は一発殴っておいた。
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side絶影
あれから数時間後、風魔が俺に話しかけに来た。
風魔「主上、私はどうすればいいのだ?」
『守りたい奴が出来たんだろ?なら、守れ。たとえどんな奴が来ても。』
風魔「では、主上とは?」
『馬鹿、それは自分で決めろ。俺、最初に言ったろ?好きにしろって。』
風魔「分かった。私は、伊織を守る。だが、主上の式でもある。だから・・・」
『だから?』
風魔「困ったときは呼んでくれ。私はいつまでも主上の式だ。」
『・・・ああ、なら、約束だ。もし俺が死んでも、お前等は死なない。だから、幸せにしてやれ。お前が死ぬまでな。』
風魔「・・・御意」
風魔が立ち去る。あいつは義理堅いからな・・・
壊夢「主・・・」
『ん?何だ?壊夢。』
壊夢「もし、俺に守りたい奴ができても。俺もずっと主の式ぜよ。」
『・・・泣かせにくんじゃねえよ。お前も守りたい奴が出来たら守れよ。最後までな。』
壊夢「勿論ぜよ。」
壊夢も立ち去る。
紫「何で絶影はそこまでするの?」
紫か・・・
『俺は昔、守りたい奴らを守って、死んだことになっている所がある。だが・・・最後まで、とは行かなかった。多分、これからもそうだ。だからこそ、あいつ等には同じような道を選んでほしくないからだな。』
紫「そう・・・ねえ、絶影、」
『ん?』
紫「貴方の事、師匠って呼んでいい?」
『何でだ?』
紫「私が目指す世界、それを絶影は一人だけでもやっているから・・・」
『俺は当たり前の事をしただけだ。この世は弱肉強食、でもな、たまには救世主がいてもいいと思うんだ。だからこそ、気分で弱者を助けた。これからもだ。』
紫「で、師匠って呼んでいい?」
『・・・良いぞ。いつ辞めてもいいぞ。修行もやりたければ言いな。ちょっとぐらいなら手助けできるからな・・・』
紫「ありがとう。師匠。じゃあ、また明日。」
もう夕暮れだ。紫も立ち去る。
『・・・で、いつまで見てる?幻夜、侵二。』
侵二「ばれてましたか。」
幻夜「あちゃー」
『バレバレだ。』
侵二「主上って時々未来のことが分かるみたいですね。」
こいつ等には話そうかな・・・
幻夜「もしかしてこの世界の人間じゃなかったりしてね~」
『そうだとしたら?』
侵二「別に?なんとも。」
幻夜「気にする必要がないね~」
俺は、神界の龍源の事を話した。
侵二「だから何ですか?主上は主上でしょう?」
幻夜「そうそう、別に気持ち悪くないよ~だって。」
侵二+幻夜「「友人でしょう?(友人でしょ~?)」」
俺の胸のつかえがとれた気がした。
『ああ、そうだよな。そうだよな!』
悩んでいるのが馬鹿らしい。そうだ!俺は神矢龍一、この世界の住民だ!
『あーあ、悩んでたのが阿呆らしいわ。』
侵二「それでこそ主上でしょう。」
幻夜「そうそう、早く寝に行こう~?」
昔、龍源に言った言葉、俺が実践できてねえじゃん。だが・・・もう、悩まない。止まらない。突き進む。
この命尽きるまで。
さあ、明日が楽しみだ。
次回へ続く
ありがとうございました。
風魔の彼女は天魔でした。