幻想創星録   作:青銅鏡(銀鏡)

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はい、言った通りクソ遅刻です。全部受験が悪い。

・・・それはそうと、昨日は節分でしたね。恵方巻き、黙って食べましたか?
私?・・・開始三秒で「神は死んだ。」って言い放ちました。もう滑りますわ。


・・・あ、今日私の誕生日だ。


第百十話 圧倒的成長

side龍一

 

 

侵二が右手を振り下ろした瞬間、霊夢の左右に陰陽玉が出現し、歪な軌道を描き始めた。

 

 

『・・・おい幽夜、まさかと思うが、お前あれを・・・』

 

 

「行くわよ!!」

 

 

嫌な予感がしたが、予想通り霊夢が出した陰陽玉が自立したように動き、弾幕を発射した。

 

 

『・・・こっち見ろ幽夜ァ!!』

 

 

「・・・仕方ねえだろ霊夢が思った以上にセンスあったんだからよぉ!!」

 

 

予想通り幽夜は霊夢に不特定多数の位置からの攻撃を教えていた。

 

 

事実霊夢は昔から使っていたかのように陰陽玉のオールレンジ攻撃を使いこなしている。俺は十年かけて習得したが、霊夢は最近ということは数週間になる。・・・やっぱ天才だな。強いわ。

 

 

霊夢は天才的な戦闘センスがあり、俺達が人間だと到底敵わない。霊夢が天才なら俺は秀才になる。何億の年月をかけて戦闘技術を極限まで上げた。こう言うと凄いが、時間かければ誰でもできるのである。

 

 

「・・・しかし、早苗達の動きも悪くない。」

 

 

風魔が言うのも最もで、神奈子は自身の御柱を巧みに操り弾幕を逸らし、早苗は風魔の仕業か弾幕を直視したのち正確に躱し、諏訪子は過去に暴食の王こと侵二が鍛えたせいかやや余裕気味だ。

 

 

「・・・しっかし、なんでこう綺麗なのかねぇー?」

 

 

幽夜がそう零す。実際俺等は弾幕勝負では不敗だが、正直美しくない。それぞれ一年かけて作り上げた【狂喜乱舞】以外はどうしても相手に当てることしか特化していない。

 

 

俺等はやはり、殺しや破壊やら殲滅思考やらが抜けきっていない。未だに頼まれると殺しも厭わないような奴が集まっている。

 

 

『・・・やっぱり綺麗だよな・・・もう、俺等の全盛期は終わりかもな。』

 

 

しみじみと会話しているが、生憎やられる気はない。俺は幻想郷で絶対にすると決めた事がある。それまでは絶対に最強の座は揺るがせない。

 

 

するといきなり霊夢が【博麗二重結界】を拳に収束し、神奈子の御柱を殴り、破壊した。

 

 

『ディストーションアタックかよ!?』

 

 

俺は教えたであろう元凶を睨む。当人は飄々としたまま、

 

 

「おお!構えも威力も十分ぜよ!!」

 

 

などと言いやがった。

 

 

そのまま試合は拮抗したが、霊夢は相当化け物(アメーバ)に鍛えられたらしく、集中にブレが起き始めた諏訪子に陰陽玉を、神奈子に拳を、早苗に【夢想封印】を命中させ、流れ弾を壊夢が嚙み砕いて終了した。

 

 

「つ、強すぎですよぉ・・・」

 

 

「・・・博麗の巫女ってのはこんなに強いのか・・・!」

 

 

「・・・侵二並みにまずいと思ったよ・・・」

 

 

三者それぞれが感想を呟いていると、突然霊夢が俺にお祓い棒を向けた。

 

 

「龍一さん、勝負してもらって良い?」

 

 

『えー・・・』

 

 

俺は断ろうとしたが、霊夢が本気だったので受けた。

 

 

『・・・良いけどよ、色んな意味で失望すんなよ?』

 

 

霊夢は笑いながら答えた。

 

 

「もう十分絶望したわよ。」

 

 

『随分と成長したもんで。・・・じゃ、軽ーく行こうか。』

 

 

相変わらずの侵二の気の抜けた合図とともに、俺は100個の銃剣を展開した。

 

 

「・・・え?」

 

 

『悪いが、そんな本気で来られたら全力で受けるんでね。剣舞【ツルギノマイ】。』

 

 

銃剣が直進し、霊夢を刺し貫かんと殺到する。

 

 

「・・・っ!!霊符【夢想封印】!!」

 

 

霊夢が俺の銃剣を相殺せんとスペルカードで対応するが、俺は容赦しない。

 

 

『必死なの悪いが後ろ注意な。』

 

 

影から霊夢に拳銃を突きつけるが、引き金を引く前にお祓い棒で弾かれ、蹴りを叩き込まれる。

 

 

『ゴッ・・・!とと、分かってるからな。』

 

 

俺はその蹴りを片手で受け止め、そのまま動かさず、体を影の位置に移す。そこに銃剣が殺到する。

 

 

「しまっ・・・!」

 

 

『動いたら刺さるぞー』

 

 

そのまま銃剣は静止した俺達を掠め、地面に刺さった。

 

 

『どーするよ?まだ続ける?』

 

 

霊夢は首を横に振った。

 

 

「・・・いいえ、もういいわ。ありがとうっと!!」

 

 

霊夢が諦めたふりをして俺の背後に陰陽玉を仕掛けていた。

 

 

『どういたしまして。・・・後、最後のは目線を逸らすな。減点だ。』

 

 

陰陽玉は俺が後ろに向けていた拳銃で打ち抜き、爆散させた。

 

 

「ええ、そうね!」

 

 

直後、真正面で霊夢が構えていた札が光った。想定外で俺も流石によろけた。

 

 

『チイッ!!この程度じゃ流石にやられねえか!!』

 

 

俺は霊夢の足を掴んだまま回転して受け身が取れないように投げ、札を指で挟み焼いた。

 

 

『はぁ・・・仕方ねえなぁ!』

 

 

俺は水魔法で大量の水を出現させ、そこに一気に高熱を送り込む。

 

 

『【水蒸気爆発】!!』

 

 

 

どうなるかと言えば単なる水蒸気爆発だが、如何せん魔法製なので規模がデカい。

 

 

「・・・っつ!!」

 

 

霊夢は咄嗟に結界を展開し、最低限の被害に抑えたようだが、生憎、

 

 

『俺は水蒸気爆発ぐらいじゃすっ飛ばねえしひるまねえ化け物なんでなぁっ!!』

 

 

身体全体をばねにして霊夢に飛びかかり、頭突きで結界をかち割る。そのまま後ろに跳躍し、地面に刺さっていた銃剣を再度射出して霊夢の方に向ける。

 

 

『今度はぶっ刺すからなァ!!』

 

 

銃剣を回転させながら霊夢を挟み込むように飛ばし、木に張り付かせる。

 

 

『木にだけどなぁ!』

 

 

流石に人間、しかも女子に刃物を刺す気はない。・・・まあ敵なら別だが?

 

 

『・・・流石にそこで抵抗されたら困るけど・・・どう?』

 

 

俺は拳銃の引き金に手をかけながら質問する。

 

 

「はぁ・・・無理よ、動けないわ。降参。」

 

 

霊夢がそう言ったので、俺は銃剣をしまった。

 

 

『お疲れ様。・・・だーめだ、銃剣の数減ってら。修行不足は俺か。』

 

 

「まだ増えるの!?」

 

 

『うんにゃ、一応千までは行ける・・・ん?早苗達、何あんぐりしてんだ?』

 

 

「・・・龍一、諏訪大戦の時手加減してた?」

 

 

『してた。』

 

 

神奈子がふらふらとしながら当然のことを聞いたので、当然のことを答えた。

 

 

「龍一ってさあ・・・性格悪いよね。」

 

 

諏訪子にそんな事を言われた。

 

 

『酷いなおい、・・・まあ、元は龍神様だって人間だからな。特に性格悪かったし。』

 

 

矢川家随一の鼻つまみ者とは俺の事。神矢家も俺が一番性格が悪い。

 

 

『・・・何?無茶苦茶って言いたいのか!?』

 

 

「そうですよ。ね?神奈子様、諏訪子様?」

 

 

早苗にシンプルに答えられた。全く傷つかない。

 

 

『・・・んー、そりゃ一応不敗だしな。不敗だからこそ性格悪いかもな。そこ行くと侵二は完璧だな。負けた事あるせいか優しいし紳士だし顔面偏差値マックスだし。』

 

 

「・・・そんな事ないですよ。多少なりとも暗い過去はありますし・・・ね?」

 

 

侵二が数千年ぶりに俺にしか分からないブラックな微笑を向けてきた。周りはジョークと思っているらしく、そんな事ないと言っている。

 

 

・・・何もねえだろうな?

 

 

『やめやめ、はい、戦闘結果よりうちの勝ち。・・・とは言っても張り合いがないと面白くない。そこで、幻想郷の住民を守矢に改宗させるのは許可。但し、お互いに危害を加えないように。神社よこせは・・・次はねえぞ。』

 

 

神奈子が真っ先に首を縦に振った。神奈子は特に俺が未だに怖いらしい。特に諏訪子について喧嘩売った時の笑顔が八百万の神を恐怖のズンドコじゃなかったどん底に落としたらしい。他にも八岐大蛇見ても怯えず笑ってた噂が出た。誰だ流したの。須佐之男しかいねえや。・・・そういや八岐大蛇元気かね・・・?一回ぶっ殺したけど。

 

 

『で、筋肉バカと通り魔とアメーバは何やってんだ?』

 

 

俺は連れてきた他三人を探すと、幽夜は寝ていた。

 

 

「・・・おー、寝てたわ。どうだった?」

 

 

『いつも通り。以上。』

 

 

「あっそ、終わり?」

 

 

『終わり。』

 

 

「オーケー、壊夢なら萃香に呼ばれて飲みに行った。風魔は水蒸気爆発の時に頭バリバリ掻きながら始末書きに行った。次暴れたら斬るだってよ。」

 

 

『うへぇ。』

 

 

そろそろ風魔に殺されそうで笑う。異変途中にグサッと行かれるんじゃねえかな。

 

 

「・・・んー、なあ、マスター暇か?」

 

 

『ああん?お前が俺に頼み事する時喧嘩相手のくだりしかねえんだが?』

 

幽夜は面倒そうに頭を掻きながら人里の方を指さした。

 

 

「いんや。・・・人里幻夜が名前ややこしいからよこせってよ。」

 

 

『おう、珍しくまともな依頼だな。・・・良いぜ。お前等一家と俺で決めるか。』

 

 

「おう、んーじゃ人里の幻夜にも報告してくる。」

 

 

そう言うと幽夜は蒸発し、大気中を移動していった。

 

 

・・・待って?化け物増えてない!?

 

 

「・・・うぃ、報告終わり。俺の家来てくれ。幻夜が待ってる。」

 

 

『・・・分かった。けどな、顔だけ固体にして出すな。どうせ体あっちだろ。』

 

 

「あ、いけね。じゃ、後で行くわ。」

 

 

幽夜がそう言うと再び蒸発した。

 

 

『俺も行くか。・・・おーい、侵二。後任せた。』

 

 

俺はそう言い残すと、返事無用で空間を蹴り抜いて入り込んだ。

 

 

 

次回へ続く

 

 

 

 






はい、散々待たせてこれですよ。


誕生日プレゼントに風魔の居合切りと壊夢の頭突き喰らいそうですね。


して、もうそろそろクソ真面目に受験シーズンなので投稿が死滅します。すみません。


・・・次会うのは・・・三月末ですかね?気長にお待ちくださいお願いします。

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