幻想創星録   作:青銅鏡(銀鏡)

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不定期更新と書いているものの一ヶ月程遅らせました。


ここで一句、


済まないと、言っていつかは、する私、それでも良ければ、ご覧ください。


・・・うーん、字余り。



では、ゆっくりご覧ください。


第百八話 逆戻り

side龍一

 

 

『イヤーッ!トアーッ!』

 

 

転送魔方陣を開き、幻想郷に帰ってくる。・・・って、もう夕方かよ。

 

 

「何?・・・って龍一さんか・・・」

 

 

「ヘアァッ!!」

 

 

侵二の飛び膝蹴りが俺の後頭部に直撃。

 

 

『・・・ぬぁっ・・・テメエ!』

 

 

侵二が腹の立つ表情で、

 

 

「・・・いつどんな時でも油断は禁物である。」

 

 

そうさらりと言った。

 

 

『ああそうかい!勉強になるなっと!!』

 

 

「でやあっ!!」

 

 

背後から壊夢がラリアットをくらわせてくるのは予測していたのでしゃがむ。

 

 

「んなっ・・・!?」

 

 

侵二は流石に壊夢のラリアットは予想外だったのか、腕をクロスして抑えこもうとするが、三メートル吹き飛ぶ。

 

 

『ヴァカメ!貴様こそ油断しすぎだ!』

 

 

「・・・何やってるの?」

 

 

霊夢のツッコミももっともだ。何処に帰ってきた途端殴り合いに発展するメンバーなんぞ聞いたことがない。そもそも生き返ってきて涙一つ流さない再開も初めて見た。逆に「感動を返せ」すら言われた。

 

 

『「「いつもの。」」』

 

 

なのに下らないところで一致する。素晴らしきかなこのクソ野郎共。

 

 

『・・・で、何でお前は縁側で茶を啜ってんだ幽夜!』

 

 

「平和だわー」

 

 

『それお前が言ってもしっくり来ねえよ戦乱の申し子!!』

 

 

帰還数分で大騒乱。

 

 

「・・・やかましい。静かにしろ。」

 

 

最後に出てきた風魔に止められるが、非常に何故か腹が立つ。誠に不本意だ。

 

 

「霊夢ー、帰ったわよーって・・・何してるの?」

 

 

普通にスキマから帰ってきた紫にすら呆れられた。仕方ない。いきなり侵二と壊夢が殴り合い、幽夜が茶を啜っているのだから。もうフリーダム過ぎる。

 

 

「・・・さて、主上、そろそろ帰らせてもらう。白狼天狗のサボりへの罰に良い物が手に入ったので、今から使いに行く。」

 

 

『・・・分かったから嬉しそうに広辞○持つな!』

 

 

嬉々とした表情で辞書を振りかざす奴はこの百億年中に初めて見た。間違いねえ。生粋の馬鹿野郎だ。しかも異常に剣さばき、もとい辞書さばきが上手い。無駄に洗練された無駄のない無駄な動きとはこの事だろうね。

 

 

『・・・もういい。閉廷。・・・で、どうすんだよ。向こうで別れてからグダグダしすぎたせいで一週間誤差出来てるんだが。そろそろ動くと思うか?』

 

 

そう侵二に聞くと、侵二が真顔で答えた。

 

 

「・・・いえ、もう百メートル先にいますが。」

 

 

思考停止で全員に命令を出す。

 

 

『隠れろっ!』

 

 

途端に壊夢は跳躍して博麗神社の屋根に、風魔は桜の木の上に、幽夜は形を崩して地面と一体化、侵二はどこから持ち出したのか目しか見えない陰陽師の被り物を被り、紫はスキマに隠れ、俺はシュナイダーに変化し、賽銭箱の後ろに避難。ついでに二丁拳銃【バラウール】と【クロウ】を装填。大惨事大戦の記憶を思い出すが良い。

 

 

「速ッ!」

 

 

霊夢が意味不明といった表情で叫ぶ。仕方ねえだろ?ここで俺らだと分かってしまうと全てがご破算だ。・・・神奈子達に俺の神社が何処か言わなくて正解だったぜ・・・!

 

 

「失礼します。」

 

 

早苗が走って、そして一礼をして神社の鳥居から中に入ってきた。侵二も満面の四十点。クソ採点過ぎる。

 

 

「は?え?何?」

 

 

「初めまして。私は守矢神社の風祝の東風谷早苗と申します。早速ではありますが・・・この神社を我々に明け渡して頂けませんでしょうか?」

 

 

侵二の採点が上昇。百点満点。・・・基準分かんねえよ!

 

 

「はぁ!?そんなの良いワケないで「詳しくお伺いします。」ちょっ、侵二さん!?」

 

 

ナイス侵二。

 

 

「・・・初めまして。私如きが名乗らせて頂きます。信用の信に二で、信二と申します。私如きでよければ、お伺いさせていただいてもよろしいでしょうか?」

 

 

これがアルティメット侵二の外交術か・・・!参考になりませんねぇ全く。

 

 

「分かりました。お話しさせて頂きます。」

 

 

そして侵二が何を企んでいるのか霊夢は全く分からないまま淡々と進んだ。

 

 

「了解しました。では、こちらの祀られている神と、その従者、そしてこの神社の巫女、博麗霊夢がそちらに伺います。少々お待ちくださいませ。場所は存じ上げております。」

 

 

もう知ってる時点で怪しいのだが。一切早苗は気づいていない。

 

 

「さて、うちの神は気分神でして、ここの効能はどうなるか一切分かりません。・・・戯れと洒落こんで、我々の作ったくじでも引かれますか?」

 

 

嫌な予感がして幽夜を睨むが、案の定【四凶】以外のくじは全部抜いてあるようだ。このど外道。

そんな事はつゆしらず、早苗は引いた。勿論四凶を。

 

 

「わざわざありがとうございます。・・・では、それは決して家に帰るまで開けてはなりません。かつて迷信だと開けた男は我が神の【苦紗魅蛾吐魔羅那射】(くしゃみが止まらない)呪いを受け、一族もろとも滅んだそうです。」

 

 

噓です。そんな呪い強くねえよ(使えないとは言ってない)。

 

 

「そうですか・・・それ程までに強力な方なのですね!では、良い返事をお待ちしております!」

 

 

そう言うと、早苗は律儀に一礼をして飛び去っていった。

 

 

「さて、もう大丈夫ですよ。」

 

 

滅茶苦茶過ぎる。計画性のけの字もねえ。・・・まあ、俺は計画し過ぎか・・・

 

 

「・・・そうか、もう出られるか。では、主上らの登山の許可を取ってくる。まあゆっくり来ていれば丁度だろう。」

 

 

『サンキュー、じゃ、行くか。霊夢はもうちょっとしたら呼ぶから待ってろ。紫は・・・どうすんだ?』

 

 

風魔が高速で飛び去っていくのを背景に、紫は答えた。

 

 

「うーん、今回はいいわ。」

 

 

『了解。じゃ、野郎共、行くぞ。』

 

 

俺は目の前の空間を割って飛び込む。瞬時に空間は再生する。・・・実はこれだけ能力云々が関係ないのは内緒の話。普通に空間のズレを見つけて強制的にぶっ壊すだけであって、ワープではない。

 

 

「・・・また無茶苦茶な事してるわね・・・」

 

 

紫に呆れられるが仕方ない。そのまま暫く割れた空間の中を移動し、妖怪の山の麓についた。

 

 

『よっしゃ。到着。適当にウロウロしてから頂上に行くか・・・』

 

 

流石にワープまがいのことをしてすぐは怪しまれる。

 

 

「そこの者!何者だ!!」

 

 

近くの白狼天狗に止められる。・・・嫌な予感しかしねえ。てか一々門番に止められるのが鬱陶しい。何?俺絶対に止められるの?

 

 

『ん?あれ?許可貰ってるんだが・・・?』

 

 

「そんなもの知らん!今すぐ立ち去「うらあっ!」ガッ・・・!」

 

 

幽夜ッ!またお前か!!

 

 

「こっちも知らねえよ!一々止まれって言うんじゃねえ!止まらねえからな!」

 

 

止まるんじゃねえぞ・・・じゃなかった止まれ。そして黙れ。

 

 

『・・・ええいクソッタレが!お前がぶっ飛ばしたせいで増援増えてるだろうがっ!!』

 

 

「・・・仕方ないぜよね・・・」

 

 

何で仕方なくてその辺の大木引き抜くかなぁ!?壊夢君!?

 

 

「・・・まあ、久しぶりの運動って事でいいですよね。」

 

 

なら薙刀しまえ!拳で行け!

 

 

「行くぜ!ファング!!」

 

 

『いい加減にしやがれ!!てかてめえ等も集まってんじゃねえよ!!』

 

 

「行くぜオラアッ!」

 

 

『やめろつってんだろ!!』

 

 

瞬く間に大乱闘(少数圧倒的有利)

 

 

『このタイミングで増援来るかなぁ!?話聞けよお前らぁっ!!・・・うわっふう!!」

 

 

静止しようとしたが、数匹の白狼天狗が刀を投げてきたので回避。もう我慢ならん。

 

 

『・・・そこまで遊びたいなら遊んでやるよコラァ!!・・・自宅警備システム起動!暗証番号YAGAWA!繰り返す!YAGAWA!!ショックレールガン発射!!』

 

 

ドンッという音と共に青白い光を纏った弾丸が接近し・・・

 

 

『発動!』

 

 

爆発した。俺は既に金属で避雷針を作ったので回避。他全滅。野郎共?知らん。

 

 

「うへっ、いきなりあぶねえな・・・」

 

 

「我々じゃなければやられてましたね・・・」

 

 

「いやー、危なかったぜよ!」

 

 

・・・そこそこ信用してるしな。くたばらねえだろ。クソが。

 

 

「・・・で、どうするんですか。これ。」

 

 

『・・・うーん、どうするか・・・』

 

 

気絶した白狼天狗の山の完成。・・・いやどうするよ。誰だこんな事したのって俺か。

 

 

「・・・一体何事だ。昼間から騒々しい。・・・何だ、主上等か。」

 

 

風魔が丁度駆けつけてきたので文句を言う。・・・半分狙ってたんじゃなかろうか。

 

 

『おい風魔、許可取れてねえじゃん。』

 

 

風魔が顔をしかめて返す。

 

 

「また若い奴だけだったか・・・人の話を聞かん奴らだ。少しは椛を見習え・・・」

 

 

そう言いながら風魔が書類を取り出した。

 

 

「ともかく、問題はない。さっさと行くぞ。」

 

 

鬼やこいつ。流石妖怪の山の裏ボスといったところか・・・

 

 

「ああ、そう言えば、主上の技術に興味がある奴が『GO!!』んなっ・・・」

 

 

問答無用ダッシュ!武器に興味がある奴に悪人はいねえ!そしてロマン武器について聞かねば!!

 

 

「待て!道は『分かんねえわ案内しろ。』・・・了解した。」

 

 

これは早苗の神社訪問先延ばしだな!・・・まあおみくじ碌な事書いてねえしな!!

 

 

次回へ続く

 

 






ありがとうございました。


次回もお楽しみに。

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