いや、ガチで気を付けて!!
[side サンタナ]
「最終試練を行います」
リサリサはジョジョとシーザーに告げた。
これの意味する所は、『エシディシの襲来』と『ロギンズの死』である。
マルクの死亡フラグを叩き折った結果、死ぬこと無く生き残っていた。
つまり、ロギンズも救える可能性がある。
よって救える者は救っておこう…いや、素直に言っておこうか。
俺はここ少なくない時間、1ヶ月程みんなと過ごした。
まぁ、あれだ。 死んで欲しくはないのだ。
「おい、サンタナ。 何故わざわざ着いてきた? ジョジョがそんなに心配か?」
「胸騒ぎという物だ、勘とも言うがな」
俺は原作知識を駆使し、対策し、ロギンズに着いてきたわけだが…
いつ来る? ロギンズとエシディシとの戦闘はジョジョ到着時には終わっていたと記憶しているが。
「良い勘をしている。 さぁ、期待に応えて出てきてやったぞ番犬」
「何奴!?」
「エシディシ様…」
出てきたかエシディシ!!
「ロギンズ、直ぐにこの事をジョジョとリサリサに。 急げ!!」
ロギンズは返事もすること無く桟橋へ走り抜けて行った。
エシディシはというと、如何にも面白そうだという好戦的な笑みを浮かべ、高所から降りてきた。
「それで、 人間を逃がしてどうする。 番犬は番犬らしく守っているつもりか?」
「どうでしょうね…俺にもイマイチ理解し難い。 貴方と対峙して生き残れるような気がしない」
「ほぉ、ならばどうだ今からこちら側に来るというのは。 実の所ワムウからお前の成長を聞いてな、カーズと俺は迎え入れる事を考えていたのだ。 ワムウは反対するだろうが、俺たちが言えば納得するだろう」
「フム、確かにこの状況下ではそちらの方が利口でしょう」
生き残るために事実エシディシについていくことでなら生き残れるだろう。
俺1人が貧弱でもエシディシのカバー位は出来る。
しかし、
「だが断る!!!」
「いくらここで愚者だと罵られようと俺は貴方に敵対しよう。もとよりローマの地下で誓ったのだ! 戦うと!! 例えそれが嘗ての主たちに歯向かうという結果を残そうともだ!」
別に、愚者と罵られても何とも思わないし。
番犬扱いする主たちに恩なんて米粒一つも感じてはいないがな。
「残念だ、実に残念だが。 ここから先は一人の戦士として相手をしようか… さぁ其処を退け、サンタナァ!!!」
「退かせてみろ! エシディシーー!!」
ぁ、今のちょっと少年漫画ぽかった!!
[side 三人称]
最初に動いたのはサンタナだった。
手を鋭いブレードへ変え、突撃して行く。
エシディシも血管を体外へと出し沸騰血を垂らしている。
「策もなく闇雲に突貫してくるとはな、犬ではなく猪の類だったかなぁ!!」
血管針を結界が如く張り巡らせていたエシディシはサンタナの行動を嘲笑する。
だがサンタナはあくまで突き進んで行く。
余裕の笑みを浮かべながら…
「ギア2」
そう呟いた後、エシディシの視界からサンタナが消えた!
「なんだと!?」
「どこを見ている?」
サンタナはあの一瞬でエシディシの背後を盗っていた。
エシディシも背後にサンタナが居ることに驚愕し、一瞬反応しきれなかった。
その一瞬が命取りだったようだ。
「叩き切る!!」
サンタナはエシディシの右肩から右脇へと腕を滑らせ、全身全霊を込めて一閃!!
右腕を付け根から切断することに成功した。
波紋を使わず、正確には使えずエシディシの腕を切断するには、嘗てのサンタナでは出来なかった。
出来て皮膚を抉るくらいだろう。
しかし、それが出来たということ、それすなわちサンタナは成長したという証拠に他ならない。
「エシディシ、今俺に恐怖したか?」
エシディシは恐怖した、それに間違いは無い。
なんせ怒りを鎮めるために号泣する暇もないのだから。
だが同時にエシディシは思うのだ。
「面白い。 久しく好敵手に出会わなかったが…思わぬところにいたな」
エシディシは完全にこの濃密な戦場に酔っており周りに気が回っていない。
サンタナは切断した腕を自身へと押し付け吸収する。
残っていた沸騰血が自身を焦がしているが、気にも止めず飲み込んでいった。
サンタナは笑みを浮かべる。
──計画通りだ、と
推測の域を出なかったモノが的中したのだ。
サンタナが行ったこと、それは下剋上だ。
今更何をと誰もが思うだろう。
だがしかし、そうではないのだ。
サンタナが捕食した物はエシディシのエネルギーである。
厳密にはエネルギーの一端。
原作でジョジョがエシディシの身体を蒸発させた時に生じたエネルギーの奔流から、エシディシを捕食する事によってソレを得られると考えたのだ。
結果は成功だった。
エシディシのエネルギーは無事吸収され、熱への耐性も上がっている実感がある。
ならばと次の目的の為に行動を移すサンタナ。
「逃げるんだよぉ〜!!」
それは逃走だった。
「貴様サンタナ! 敵に背を向けるとは何事か!?」
エシディシもその行為に怒りを覚え、追いかける。
──だがそれは悪手だった
「『クラッカーブーメラン』!!」
「『シャボンランチャー』!!」
突如放たれる見知った必殺技。
「何ぃ!?」
エシディシは咄嗟に避けたが全てではなく、所々溶けていた。
[side サンタナ]
いつから俺が一人だと錯覚していた?
いつからバカ真面目に戦うと思っていた?
俺は言った『原作知識を駆使し、対策する』と…
「そら、
エシディシは情けなくもオイルまみれでギトギト。
まぁ、気づいたものも多いだろう。
「何から何まで対策済みなんだよエシディシ」
「サンタナァ!!」
激昴し我を忘れるエシディシ。
「知ってるかエシディシ、『勝利って言うのは、戦う前から決まっている』んだよ」
「「『波紋』!!」」
流れる波紋。
聞こえるのはエシディシの断末魔、見えるはエネルギーの奔流。
だがそのエネルギーの奔流に紛れ、逃げ出す影。
「見いつけた!!」
脳味噌を確保!!
「これがエシディシの核…」
アレ? 俺には核とかなかった気が…
いやワムウも頭部残して辛うじて生きてたし、もしかしたら…
要らん考察をした所で、この脳味噌をどうするのかというと。
「おいしく頂いちゃいますか!」
「ウゲェ、マジで食うのかよソレ」
「ゲテモノは味がいいとは言うが…それは珍味で収まる代物か?」
「お疲れ二人共。 これ食べちゃうからちょっと待て」
「本当に食べるんだな」と言う言葉は無視し取り込むことにした。
「お前の
一応言っておくが、この脳味噌はエシディシの核だろう。
故に沸騰血を扱うのに必要な機関だと思ったが故の発言である。
エシディシは為す術もなく俺に食われたのであった。
そして、
「サンタナは熱の
頭の中ではファンファーレが鳴り響き余韻に浸らざるを得ない。
だが、通信機から音声が漏れ出す。
「サンタナァ!、サンタナ応答せよ!」
「ハイこちらサンタナ、どうしたシュトロハイム」
邪魔された感が拭えないが、しょうがないので応答した。
「カーズたちの居場所がわかったぞ!」
「は?」
あるぇ、カーズ戦は?
もしかしなくても、華麗にキング・クリムゾン?
今回はロギンズ生存と赤石の死守に成功ですね。
次回はいきなり交渉まで飛んじゃいますねぇ。
え?カーズ?……知らない子ですね。