前の君と今の君   作:おもちゃん

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 またまた間が空いてしまい申し訳ございません……ちょっと熱出したりしてまして……


第二十一話 空気の変化

 俺たちが前回ナナ達に会った日と今日が同じ日だと言うのはあり得ない。なぜなら前回ナナ達と会ってから俺は永遠亭で夜を越したからだ。だがアスタリスクwithなつななのメンバーの間での認識は一致している。

 

「カレンダーを一日めくり間違えてるとかは?」

 

 妹紅がこのまま悩んでいて仕方ないと思ったのかはわからないがまだ可能性がある質問を口に出した。ただ流石にそれはないだろうな……と言おうとすると代わりに夏樹が俺が思っていたことをそのまんま言ってくれた。

 

「一日めくり間違えてて日付が一緒ってならカレンダーめくろうとして気づいた奴がいるってことだろ。でも今月のカレンダー当番はあたしだ。しかもあたしはカレンダーを毎日しっかりめくった記憶があるから誰かが戻したりしてない限りカレンダーでのミスは無いぜ」

「そっか……」

 

 夏樹の完全な反論に妹紅は何も言い返せず黙ってしまった。当然妹紅が場の雰囲気をひっくり返そうとして先の発言をしたことはこの場の全員がわかっている。しかし妹紅の沈黙により場の空気自体もまた重く沈んでしまった。夏樹が慌てて空気を盛り返そうとする。

 

「あ! わ、悪いそういうつもりじゃなかったんだ。ただ時間が繰り返されてるとかじゃなかったらカレンダーの印刷ミスくらいしか後は無さそうだよなぁ……ハハッ」

 

 しかし夏樹が自分のキャラを捨てたジョーク交じりの発言もこの空気には打ち勝てなかったようで誰も笑うものはいなかった。

 

「ハハッ……」

 

 夏樹の悲しい笑い声が小さく竹林に広がって行った。

 それから数分後夏樹が恥ずかしさからなのか申し訳なさからなのか虚しさからなのかはわからないがうずくまってしまったのを見たナナが慌ててソロライブを始め、なんとか空気は話し合いが出来るような状況に戻った。

 

「とりあえず今の状況を整理しようぜ……」

 

 ナナが盛り上げてくれたこの空気の中に未だ数パーセント残っている重い空気の発生源の夏樹が司会を務めようとしてくれた。だがその状況で司会されても空気がどんどん沈んでいってしまう。そう思い夏樹と代わろうとしたところで俺より一足先にナナが立候補してくれた。

 

「はい!それでは早速整理していきましょう!夢幻さんお願いしてもいいですか?」

「おう任せとけ」

 

 そうは言ったもののどうまとめたらいいのかがいまいちわからない。というかまとめるべき場所がよくわからいのでとりあえず重要そうなところだけをまとめることにした。

 

「えーと今俺たちが過ごしている今日はカレンダー通りだとすれば7月10日で、俺たちがお前たちと初めて会った日も7月10日。しかしこの場にいる全員が一度7月10日を終えている記憶がある」

 

 ここまで喋ったところで一つ違和感に気づいた。

 

「あれ……?李衣菜と夏樹とみくはナナと俺が初めて会った日より一日ずれてるよな……?」

 

 そう、永遠亭へ向かった時に俺と妹紅はナナに出会った。しかしその場にはナナ以外のアスタリスクwithなつななのメンバーはいなかった。そして俺は永遠亭で一夜を過ごしそこからの帰り道で夏樹や李衣菜やみくと出会ったのだ。しかし初めて会った日は7月10日という認識になっている。もしかしたらそこに何かのヒントが隠されているかもしれない。

 

「んー……あ、そっか」

 

 みくが一人で納得したような声を出した。なにかわかったなら情報は共有しようぜと言おうと思ったがその前にみく自身から話し始めてくれた。

 特にどうといったことは無いがナナといいみくといい李衣菜といい行動が素早いやつが多いことに気づいた、俺らがほとんどなにも出来ていない。しかし今はみくの発言に耳を傾けることにする。

 

「悪いけど夢幻チャンたちが期待してるようなことは一切ないにゃ。夢幻チャンたちがナナチャンと出会ったのは7月10日、みくたちが夢幻チャンと出会ったのは7月11日で間違いないにゃ。李衣菜チャンたちが初めて会ったのが7月10日って言ったのはナナチャンが夢幻チャンと会った日に帰ってきてからやたら夢幻チャンの話をしてたからだと思うにゃ」

「ちょ、ちょっとみくちゃん!? その話は他の人には内緒でって言ったじゃないですか!」

「そうだったかにゃ?猫ちゃんは気まぐれだからにゃー」

 

 猫設定便利だな……と思ったが設定とか言うとまたみくに怒られてしまうのでそっと胸の内に秘めておくことにした。さてと、みくが言ったことを本人たちに確かめなくてはと思い李衣菜と夏樹のほうへ目を向ける。夏樹は未だに顔を伏せている。だがもう気にせず話を進めることにした。

 

「みくはああ言ってるがどうなんだ?李衣菜」

「あーまぁ間違ってはないですしほとんど合ってますよ。ただ初めて会った日って今回の場合は私たちが会った日というよりナナちゃんが会った日のほうが状況にあってるかなって思ったのでそういうことで話してました。紛らわしくてごめんなさい」

 

 李衣菜が頭を掻きながらそう言った。となると何もヒントは無かったわけだ。しかしまぁその判断は普通というか賢い判断だったと思う、俺たちが深く考えすぎてしまっただけだ。まぁなんの打ち合わせもなくその判断を下してお互いの意図も理解してたアスタリスクwithなつななの連係には驚かされたが。

 

「じゃあまとめの続きに行くか。だから今の状況を説明できる理由を可能性の高い順に言っていくとなにかしらの異変が起こった、カレンダーの印刷ミス、同じ時間を繰り返しているってな感じか?」

「まぁ……でも異変が起こったところであの藍まで影響を受けるとはあんまり思えないんだけどねぇ……」

 

 霊夢が横からもっともな意見を言ってくれ、俺も思わずうなずいてしまった。霊夢や妹紅曰く藍さんはこの幻想郷でもトップレベルの妖獣なのだそうで更にその上に立っているのは霊夢を含めた数人のみらしい。つまり異変だった場合その藍さんの上に立っている数人が起こしたとしか考えられない。他に可能性があるというのなら妖獣特化の異変とかだろうがそんなの霊夢からも聞いてないし無いだろう。

 

「同じ時間を繰り返してるって説が一番説明つくってのがなんとも言えないね……」

 

 妹紅の言う通りである。現実的に考えるとそんなことはあり得ないのだがその常識というものを取り除いてしまえばほとんどのことに説明がつく。この常識の扱いに非常に困る。

 

「そうだ」

 

 ようやく夏樹が顔を上げて一言発した。みんなが一斉に夏樹のほうへと顔を向ける。

 

「とりあえず永琳さんのとこ行ってくればいいんじゃないか?月の技術でなにかわかるかもしれねぇし」

「うーん」

 

 正直月の技術なるものは永遠亭に沢山あったが正直そこまで凄いと思ったのはあまり多くない。でもこの場で話合いしていても出てくる情報や意見には限りがあるし月の技術が無くても永琳の頭が良いのは間違いない。確かに夏樹の言う通り永遠亭に向かうのが今は良いかもしれない。

 

「俺は夏樹の意見に賛成だが他のみんなはどうだ?」

「そうですねぇ……確かにそれ以外今の状況を打破できる手はなさそうです私も夏樹さんの意見に賛成です」

 

 俺やナナに続いて霊夢や李衣菜やみくも賛成意見を出してきた。しかし一人だけ渋い顔をしているやつがいる。

 

「妹紅はどうなんだ?」

「うーん……輝夜が……」

 

 その一言を聞いて納得した。こいつらは仲が悪いんだった……しかし俺は以前妹紅が輝夜に殺された時の状況を思い出し、思ったことをそのまま口に出してみた。

 

「あのさ、お前と輝夜って実はすごい仲良いだろ」

「はぁ?」

 

 妹紅がしかめっ面をしながらこちらにゆっくり振り向いてきてとても怖い。しかし俺は自分の意見を言っているだけなのだから何が悪いというのだと自分を落ち着かせながら言葉を続ける。

 

「いやお前らの会話見てたら自分の気持ちに素直になれない二人が照れながら喧嘩してるようにしか見えないんだが」

 

 俺の発言を聞いて妹紅以外の全員は噴き出した。しかしその分妹紅の怒りは溜まって行ったようで指先に小さな火を小さくちらつかせながら俺に迫って来た。

 

「夢幻? 今の発言を取り消すなら許してあげるよ?」

「生意気言ってすいませんでした」

 

 怖すぎる、このままだったら殺されてしまう気がしたので自分のプライドは土に埋めて即座に謝った。何度も繰り返し頭を下げている俺の姿を見てまたみんなが笑っている。笑わせるのは好きだが笑われるのは大っ嫌いなんだよこの野郎と思いながらもただひたすら頭を下げ続ける。

 

「許そう。まぁいっか輝夜と会っても永遠亭に入ってさえしまえば永琳が止めてくれるし」

 

 その妹紅の一言で満場一致で永遠亭行きが決まった。




ちょっとなつきちがキャラ崩壊してしまいましたかね……?まぁいつもCoolに決めてるなつきちもたまにはこんな時があってもいいんじゃないですかね(適当
正直この小説で筆者自身混乱したりしてましてちょっとこれからも更新スペース空いちゃうかもしれないんですがたまに見に来て「お!更新されてるやんけ!見たろ!」みたいな感じで見てくれたら嬉しいです

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