前の君と今の君   作:おもちゃん

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間が開いてしまいすいませんでした!決してポジパのイベントがあったからとかじゃないですはい。


第二十話 理由

 ナナ達に誘導された場所は前来た時とほとんど変わっておらず懐かしさを覚える。ここ迷いの竹林の特徴としてある竹の成長スピードはここでも変わっていないようでステージのバックなどはだいぶ違うが。

 

「ではここで少しお待ちください!」

 

 そう言うとナナが李衣菜と夏樹を連れてステージの裏へ引っ込んでいった。恐らく机や椅子を用意しに行ってくれたのだろう。俺たちにも手伝いくらいさせてくれてもいいと思ったがナナ達の気遣いをありがたく受け取っておくことにした。というより今はそれ以上に気になることが一つある。

 

「夢幻チャン、なんにゃその目は……」

 

 みくだけがナナに連れていかれなかったのだ。確かに猫耳猫尻尾にこの口調と少し周りと浮いているところはあるが……

 

「みく、なにかあったら俺たちに相談してくれよ?」

「……なんか夢幻チャンたち勘違いしてるみたいだけど、別にみくはハブられたりしてるわけじゃないのにゃ……」

 

 よく今の言葉だけで俺の考えてることがわかったな。しかしではなぜ置いて行かれたのだろうか。三人行くなら四人行っても変わらないと思うんだが……

 ふとみくのほうを見るとキッとした目でこちらを見返してきた。なにか強い覚悟を感じる目だ。使命を全うしようとしている目とも言えるだろう。

 

「みくは夢幻チャンたちが変なことしないようにナナちゃんたちに頼まれてるのにゃ!」

「夢幻あんた……この娘たちに変なことしたの……?」

 

 みくは胸を張ってどうだと言わんばかりの顔で理由を明かしてきた。だが言葉選びを少し間違えてるような気がする。霊夢が勘違いして俺に殺気を向けてきているではないか。

 

「おい、みく。変なことの詳細を教えてくれ。じゃないと俺が殺される」

「え、殺され……ひっ」

 

 霊夢の殺気に気が付いたみくが小さく悲鳴をあげた。まぁそういうわけだ早く早く。俺が死ぬ前に。

 

「え、えっと、ナナちゃんがさっき、夢幻さんたちは手伝おうとして私たちを追ってくるかもしれないから絶対に通さないようにしてください。体調優れないようですし。ってみくに伝えてきたのにゃ」

 

 ナナはほんとに心配性だな。別に体調が優れないわけじゃなくて混乱してるだけなのに。

 

「夢幻はこの娘たちになにもしてないのね?」

「うん、してないよ」

 

 妹紅が霊夢の疑いを晴らす一撃を放ってくれた。というかそうだ、こいつはナナ達に会ったときにずっといたんだからお前が言ってくれたらすぐに終わってたんじゃないか。

 そのことに気づき少し妹紅を恨めしく思うがみくがここに残ってる理由がしれたしまぁ良いか。

 そんな話をしているとナナたちがパイプ椅子と簡易机を持って戻って来たので声をかける。

 

「ナナ、俺たちにも手伝わせてくれよ」

「いえ!夢幻さんたちはお客さんですから!」

「そーそー。あんたらはお客さんなんだからお客さんらしくしてなって」

 

 あまり客だからといってふんぞりかえっているのは好きではないのだが……と思っていると既に設置は終わっていた。早いな。

 

「ささ!こちらへどうぞ!」

 

 ナナが引いてくれた椅子に俺たちは座った。そしてその向かい側にアスタリスクwithなつななの4人が座る形になった。まぁ座ってすぐにナナは俺たちのお茶をいれるために席を立ったのだが。別にいいって言ったんだけどなぁ……まぁありがたく受け取ろう。

 暫くするとお盆に6個の湯飲みと急須を乗せて戻って来た。

 

「お待たせしました~!」

「ありがとうな」

 

 ナナはいっつもキャピッとしてるのにこういう湯飲みを使ったりするから中々ギャップがある。そのギャップを可愛らしく思いながら湯飲みを取ろうとするとあることに気づいた。

 

「……6個?」

 

 この場には俺・妹紅・霊夢・ナナ・みく・李衣菜・夏樹の七人がいる。しかし湯飲みは6個、つまり誰かの分は無い。ここで一つの可能性に気づいた。

 

「みく、お前やっぱり……」

 

 やっぱりみくはハブられていたのだろうか……あの素晴らしい歌やダンスの裏にこんな悲しいことがあるなんて!俺は悲しい……そう思いながらみくのことを同情的な目で見る。

 

「だーかーら!みくはハブられたりしてるわけじゃないってば! 何度言ったらわかるにゃ!」

「ひーふーみー――……ああ!自分の分を忘れてました!ちょっと取ってきます!」

 

 みくが唸り声を上げるのと同時にナナが間違いに気づき即座に立って不思議なポーズをしてから走って行った。ところで今どきの子でもひふみで数えるものなのか……?

 

「夢幻チャン!みくはハブられてないにゃ!むしろ全然みんなと仲良いにゃ!ね?夏樹チャン李衣菜チャン!」

「え、そうだったのか?」

「そうだったの?」

「もー!二人とも―!!」

 

 ああなるほど、みくはいじられキャラなんだな。これなら心配は無さそうだ。

 みくの扱いがわかったところでナナが戻って来た。

 

「お待たせしてすみませんでしたー!」

「全然待ってないぞマジで」

 

 みくたちの今の会話の間に行って戻ってきよった……なかなかやるな……

 

「では早速本題に入りましょうか」

 

 そのナナの一言で場の空気は一気に変わった。さっきまでふざけていたみくたちもも真っすぐこちらを見ている。

 俺たちはその真っすぐな視線に応えるようにすべてを包み隠さず話した。すると意外なことにもアスタリスクwithなつななのメンバーは誰一人として俺たちの話を疑わなかった。

 

「なぁお前ら……自分から言っといてなんだけど疑ったりしないのか?」

「そりゃ夢幻が殺されたのに今ここにいる事とか普通じゃあり得ないことばっかりだったけど今アタシらに嘘をつく必要が無いし、なによりあんたらの目は嘘をついてる目じゃねぇ」

 

 夏樹の言葉になんだそりゃと思ったが目を口ほどに物を言うともいうし今の夏樹の目を見れば冗談で言ったわけじゃないってことがよくわかる。それにしても夏樹の言葉にはどこか頼もしさを感じる。いや李衣菜やみくたちの言葉に頼もしさがないってわけじゃないが夏樹の言葉にはすべてを任せてもいいと思えるほどの頼もしさがある。なんなんだろうな?

 

「で、ここまでの話を聞いて心当たりとか気付いたこと、なんでもいい。何かないか?」

「んーとですね、全く関係ないというか私が忘れてるだけかもしれないですけどいいですか?」

 

 李衣菜がすぐに手を上げてきた。李衣菜はこういうところがいいと思う。周りの空気を気にせずに言いたいことが言える、これは凄いことだと思う。別に李衣菜は空気が読めないわけではない。だが一番槍を切ってくれるタイプなのだ。どんなところにも一人は欲しいタイプだ。

 李衣菜は立ち上がると俺たちではなくアスタリスクwithなつななのメンバーのほうを向き皆に問いかけた。

 

「皆さ、さっき夢幻さんたちに会ったときに普通に久しぶりって言ってたけど前会ったのっていつだったか憶えてる?」

「え? そりゃぁ……あれ?いつだ?」

 

 沈黙が流れる。この件に関してはそもそも藍さんと話した時から俺らにはわからないと三人の中では結論が出ている。

 

「前回夢幻さんたちに会ったのは7月10日だにゃ。そんなことも憶えてないのかにゃ?」

 

 するとみくが立ち上がりドヤ顔をしながらそう答えた。みくがしっかり憶えているということは李衣菜の疑問は解決だろう。それに伴って俺らも今の日付を認識することができた。

 他にはないか?そう聞こうとして周りのやつらを見ると思っていたのとは逆の顔をしていた。

 

「お、おいお前らどうしたんだ?」

「いや実は私やなつきちも前夢幻さんたちと会った日付が7月10日ってことは憶えてたんです。でもそれだと……」

 

 そこで李衣菜が口を濁した。するとその李衣菜の言葉を引き継ぐようにナナが喋り始めた。

 

「ええナナもそう記憶してます。でもそれだと絶対に無視できないおかしなところが出てくるんです。みくちゃん今日の日付、憶えてますか?」

「え、うん。今日は7月……10日?」

 

 みくの言葉が進むにつれてみくの顔も信じられないといったような顔に変わっていった。だがそれはみくだけではない、俺や妹紅や霊夢も同じだ。

 

「日付が……同じ……?」




今回短くてすみません!
本来幻想郷での日付は「第121季月と夏と火の年」とか「第121季長月の五」とかみたいな数え方なんですが今後更に時系列がややこしくなっていくこの作品でそんな数え方をするとこの作品を読んでくださってる皆さんが絶対混乱すると思ったのでこの作品では普通に2017年2月28日みたいな感じで書いて行こうと思いますのでよろしくお願いします。
それでですね、それよりも大事なお話があるのですが、今までのデレマスキャラが出てくる話では苦手な方は飛ばしてくださっても構いませんと言っていたのですがちょっと大きな変更が入り前言ったようにデレマスのキャラがこの物語の中でも大きな役割を果たすことになりまして、デレマスキャラが出ている話を飛ばして読むと全く話が理解できなくなると思われますのでそういう方はこの辺で切ってくださるほうが良いかもしれません。別に構わないよ!と言う方はこれからもどうかよろしくお願いします!

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