ごめんなさい許してくださいなんでも島風
「いつまでうじうじしてんのよ……女々しいわよ」
霊夢が俺の様子を見てストレートに罵ってきた。確かに過ぎ去ったことをいつまでも引きずっているのは男らしくないと俺も思う。
「でも慧音先生が……」
仲良くなった人に忘れ去られているというのは相当キツイ。しかも今、ナナ達のところに向かっているが恐らくナナ達も俺のことを忘れているだろう。いや忘れているというより知らないのほうが正しいかもしれない。まぁどちらにせよ処刑台に向かっているようなものだ。そしてその処刑台はもうそこまで遠くない。
「妹紅さんや、あとどれくらいで着くかの?」
「じいさん、昼ご飯はさっき食べたじゃないの」
「てめぇがボケてるじゃねぇか!」
「わたしはボケてないよー。むしろボケは夢幻のほうで」
「やんのかゴラァ!」
「やってやろうじゃないのゴラァ!」
「なんでも語尾にゴラァ付ければいいと思ってんじゃねぇぞゴラァ!」
「そうだったのかゴラァ!以後気を付けるよゴラァ!」
喉が渇く。少し大声で騒ぎ過ぎたか?まぁ楽しければいいのだが。
「んで? あとどんくらいでナナ達のステージに着くんだよ」
「夢幻も一緒に居た癖になんで憶えてないかなぁ」
「こんなところで道なんか憶えられたもんじゃねぇ」
気が付いたら竹伸びてたり新しく生えてきたり無くなったりしてるのに道を憶えられていられる方がどうかしていると俺は思う。なんか竹以外に目印でもあんのか?いや無いな。ここ竹しかないし。
「勘だよ勘」
「なんで言葉に出してないのにわかるんだよ気持ち悪い」
「あ、そんなこと言っちゃうんだ?」
「妹紅もそろそろ答えてあげなさいよ」
「はいはい」
俺たちの無駄で謎なコントは呆れた雰囲気の霊夢によって幕を閉じさせられた。俺と妹紅の会話は8割コントになるからツッコみがいないと無駄に体力を消耗してしまうことになるのでやはり霊夢がいないと困る。
「えーとねナナ達のステージは」
そこまで言ったところで妹紅の動きが固まった。輝夜でも現れたのか?
「どうした?」
「えっと、ナナ達のステージは……ここだね」
そう言って右へ視線を向ける。俺も妹紅に倣って同じ方向を見るとなるほど。一見じゃステージがあるのかわからないが不自然に竹が真っすぐに生えていたりして知っているものが見ればナナ達のステージだとわかるだろう。
「ちょっと覚悟を決めさせてくれ」
「はーい」
「しょうがないわねぇ」
妹紅と霊夢の両方が気だるげに返事をしてくる。もっとシャキッとしてほしいがお願いをしている立場でそんなこと言えるはずもなくゆっくりと呼吸を整える。
すると右側の草むらがガサガサと音を立てて動き始めた。
「妖怪!? 獣!?」
霊夢が臨戦態勢に即座に移った。その判断スピードと反射神経は尊敬する。が、俺と妹紅を顔を見合わせる。
「ちょっと! なにボサッとしてんのよ! 早く身構えなさい!」
怒っている。激おこである。
確かに嫌な予感はする。だが俺と妹紅が感じている嫌な予感と霊夢が感じている嫌な予感は恐らく別物だ。
霊夢が感じている嫌な予感はつまり身の危険であろう。だが俺と妹紅が感じている嫌な予感は言うなれば心の危険だ。このままでは俺の精神がズタボロにされてしまうかもしれない。
俺は自分の精神の危険に憶えながらも霊夢の様子を見て一つ気が付いた。のですぐに霊夢を止める。
「霊夢は一旦落ち着け」
「なんでよ」
「いいから」
そう言うと霊夢は不思議な顔をしながら手に持っていたお札をしまった。
あぶないあぶない。あのままだと草むらから出てきた瞬間に霊夢が攻撃してしまっていた。
「夢幻! 来るよ! 覚悟は決まった?」
「全く決まってねぇがもうどうしようもねぇだろ」
俺は悟りの境地へと達した。ジタバタせずに自分の運命を受け入れれば良いのです。
などと冗談を言っている場合ではなく、普通にヤバいし冷や汗はダラダラだ。でも音的にもう来るし。もうどうしようもねぇし。
「夢幻さ、そんなお菓子を買ってもらえなくて拗ねたような顔をしている暇があればもう少しだけでも覚悟を決めておいたほうが良いと思うよ。言っとくけど精神壊されて廃人みたいになっちゃってもどうしようも出来ないからね?」
「そんな顔をしてねぇよ。まぁ廃人になったら永琳のとこ連れっててくれ」
どこかのバトル物の主人公が最後に言いそうな言葉を発したところで草むらから遂にそいつが出てきた。
「キュピピーン!ウサミン星から電波をキャッチして来ました!安部菜々です!」
ナナだ。最初はこのキャラのせいでちょっとなんだこいつみたいに思っていたところがあるが今では大好きだ。応援したい。
「お久しぶりです!」
さぁどう来るか?と言っても俺は半分心が折れている。
ナナの口から誰ですか?とか初めまして!とか聞きたくない。お久しぶりと言うことは少なくとも妹紅のことは憶えているようだ。
「妹紅さん!」
くっ……
「それから」
ん?
「夢幻さん!」
え……?
「ナ、ナナ?今何て言った……?」
妹紅と霊夢の顔をチラリと見ると顎が外れそうな顔をしている。漫画なら目も飛び出してそうだ。
正直今あんまりふざけていられる様な気持ちではない。
ナナは俺の質問に不思議そうにしている。そしてしばらくしてから口を開く。
「えーと、お久しぶりです妹紅さんそれから夢幻さんって言いましたけど……あれ? もしかして菜々名前間違えてました?」
「い、いや間違ってないけど……」
体が震える。他人に憶えていてもらえることがこんなに嬉しいなんて。俺は嬉しさのあまりナナに飛びついて抱きついた。
「ナナ!ありがとう!」
「え、え、えぇぇ!? な、何がですか!?」
ナナが顔を真っ赤にして慌てている。慌てているというよりは混乱している。だが俺はそれに構わずナナを強く抱きしめえながら涙を零している。
「え、ちょ! 夢幻さん!? どうしたんですか!?」
恐らく俺が泣いてるのを見て心配してくれているのだろう。ナナはやっぱり優しい子だ。
そのまましばらくナナを抱きしめながら泣き、ようやく落ち着いて来たところでナナから離れた。
「あ、えーっとごめんナナ。急に抱きしめたりして」
「い、いえまぁそれは良いんです! 気にしないでください。でもなんで泣いてたんですか?」
「えーとな」
どう説明しようかと頭の中で整理をする。するとその様子を見たナナが慌てて声を掛けてきた。
「あ、あの!答えにくいことなら全然大丈夫ですから!」
「あーいや、そういう訳じゃないんだ。ナナには何も隠さず話すつもりだから。ただちょっと整理させてくれ」
「そういうことでしたらいつまでも待ちますよ!」
あぁ……ほんとナナ可愛いなあ……だがまぁその前に頭の中を整理することが必要だ。
俺が必死に頭の中で今まで起こったことを整理していると妹紅が、俺の忘れていた大切なことを聞いてくれた。
「ナナ、李衣菜たちはいないの?」
「あ、そうですね! 結構大事な話みたいですし皆で聞いたほうがいいですかね? ステージのところにいるので今すぐ呼んできます!」
そう言うとナナはステージのほうに駆け出して行った。
しかしすっかり李衣菜たちのことを忘れてたな。本来アスタリスクwithなつななが揃ってるところに俺たちから行くつもりだったのだがナナが一人で飛び出してきてしまったのでその辺が全て抜けていてしまった。ナナが俺たちのことを憶えていてくれたことの衝撃もデカかったしな。
李衣菜たちに心の中で謝罪していると4人が草むらから出てきた。
「お待たせしました!」
「夢幻さん! お久しぶりです!」
「夢幻ちゃん! 久しぶり~! 元気にしてたかにゃ?」
「夢幻、久しぶりだな! 元気そうで良かったぜ!」
相変わらず李衣菜はヘッドホンをつけてるしみくは猫耳と猫しっぽをつけてるし夏樹は特徴的な髪型をしてるしで、別れたのはつい最近のはずなのにとても懐かしく感じる。
「おう、みんな久しぶり」
皆俺のことを憶えてくれているようで嬉しすぎる。しかし妹紅のほうを見てみると口をとんがらせていた。
「どうしたんだ? 妹紅」
「なーんでみんなナチュラルにわたしのことをすっ飛ばしてるのかなーって」
「あぁ別に忘れてたわけじゃないぜ? 妹紅も久しぶり」
「その取って付けたような挨拶なんなのさー」
「まぁまぁ皆さん! 立ち話もなんですしステージのほうへ!」
「おうありがとうな」
ナナに促されステージのほうへとみんなで向かう。
ここまで読んでくださってる方たちならわかると思いますし前も言ったと思いますけどわたしウサミン担当Pでございますキャハ☆そしてしぶりん担当Pであり茜担当Pでもあります。その三人には甲乙つけられませぬ。なのでウサミンしぶりん茜担当Pです。
……おい今ウサミンSSRとか言ったの誰だ?
うわぁぁぁ!限定ウサミンが最初に出た時にはまだデレステやってなかったですし復刻の時にはまだウサミンの担当になってなかったんですもん!フェスはいくら回しても来なかったよ!モバマスのほうではまぁそれなりにSRいますけど……