なんとか今までの話の書き直しは終わりました!お待たせして申し訳ございませんでした!
俺は永琳たちに別れを告げ、弁当箱を持ちながら永遠亭へと来た道を妹紅と歩いていた。
「夢幻ー。そんな泣きそうな顔しないのー」
「うるせぇ……」
霊夢に謝ったらまた戻ることになるのだが、何故かとても悲しい気持ちになっている。
たった一日の間で俺の心の中でのあいつらはそれほどまで大きな存在になっていたのだ。
「なっ」
横で妹紅があり得ないと言った顔をしながら後ろを向いてそう言った。
「どうした?」
俺がそう言い妹紅のほうを見た瞬間に妹紅が消し飛んだ。
「は?」
妹紅の姿は跡形も無くなってしまった。
何が起こったのかまだわかっていない俺は妹紅が先ほど見ていた方向へ目を向ける。
そこには俺がよく知った人物が仁王立ちしていた。
「輝夜!?」
「あら夢幻。さっきぶり」
「そうじゃなくて!なにをしたんだよ!」
「妹紅を殺しただけよ?」
「お前……!」
輝夜はさも当然のように言い放った。
「まぁ殺したと言っていいのかわからないけどね」
「何を意味のわからないことを……!」
人を一人殺しておいてその様なことを言っている輝夜に怒りを覚えた。いや怒りどころではない、殺意だ。
俺は輝夜に殴りかかろうとした。
しかしその寸前で俺の後ろで爆発が起きた。
「まぁそうよねぇ……」
輝夜がその爆発を見て残念そうにそう言った。
俺も爆発が起こったほうへ目を向けるとそこには死んだはずの妹紅が居た。
「は?」
「ったく輝夜ぁ……後ろからいきなりは卑怯すぎだよ……」
「どうせ死なないんだからいいんじゃない」
「死ななくても痛いもんは痛いってことは輝夜もよく知ってる癖に」
二人とも当然のように会話を始めた。
「ちょ、ちょい待て。どういうことだ? 妹紅死んだんじゃ……」
「まぁ死んだっちゃ死んだよ? でも言ったじゃん。私不老不死だって。信じてくれてなかったの? 信用無いなぁ」
「……」
そのことがすっかり頭から抜け落ちていた。抜け落ちていなくても信じていなかったが。
「妹紅あんたほんと馬鹿ねぇ……不老不死なんて言われても信じられるわけないじゃないの」
「いや夢幻結構単純だし信じてくれるかなーって」
「あぁなるほど」
「納得してるんじゃねぇよ」
「まぁでもこれで信じてくれたでしょ?」
「いや、実は攻撃避けててただの演出だったって可能性が……」
「えぇ………まぁいいよ。これで信じてくれるでしょ」
そう言って妹紅は大きな火の玉を出現させもの凄いスピードで輝夜に向けて放った。
「ちょっ妹紅!いきなりはずるいでしょ!」
「背後から仕掛けてきたくせになにを言ってるんだか」
「お前らなんでもありだな……」
妹紅に文句を言ったものの避けきれなかった輝夜は火の玉に丸焦げにされた。しかしその後すぐに元の姿へ戻った。
「これで信じれるでしょ?」
「まぁここまでされちゃぁなぁ……」
「そっか、良かった。ところでそれを知ってどう思った?」
「え? んー。凄いなーとしか思わなかったけど。なんでだ?」
「ううん、それならいいんだ」
妹紅は会話をそこで無理やり終わらせた。すると輝夜が俺の耳元まで走ってきて
「聞かないであげて。妹紅にはトラウマがあるのよ」
と言ってまたさっきまで居た位置に戻って行った。
聞かれたくない事情があるならそう言えばいいのに。
「んで?輝夜はなんで私が居るってわかったのさ」
「そりゃ竹林に迎えが来るなんて言ったらあんたしかいないでしょ」
「あー……なるほどね」
そう言うと妹紅はジト目でこちらを見てきた。
確かにそこは気にしてなかったので申し訳ないと思う。
「それじゃあ私は帰るわね」
「あれ?戦わないんだ」
「もう疲れたわよ……じゃあね夢幻また後で」
輝夜はそう言って永遠亭のほうへ走り出した。
「おう」
「あ、ちょっと待って」
急に振り返って輝夜は俺の元へ走って来た。
「どうしたんだ?」
「永琳パスポート貸してくれない?」
「いいけど」
理由を聞いていないが別に輝夜が悪用したりなんてしないだろうと思いそのまま渡した。
すると輝夜はポケットから謎のチップを出し、永琳パスポートに貼った。
「なんだそれは?」
「私と永琳からのプレゼントよ。月の都でもトップレベルの技術を使って作られているの」
「ほう。でもなんでそんなものを?」
「わからないわ。永琳が嫌な予感がするからとか言ってたけど」
嫌な予感?何があると言うのだろう。
「てかわからないってなんだ。お前からのプレゼントでもあるんじゃないのかよ」
「私もよくわからないのだけどなんか髪の毛一本抜かれて永琳がいろいろやってたから私からのプレゼントでもあるってことで」
「なんだそりゃ。で?これにはどんな効果があるんだ?」
すると輝夜は微妙そうな顔をしながら顔を傾け言った。
「わからないわ。永琳曰く別の世界軸に行ったときにも使えるとか言っていたけど、天才が言うことはわからないのよね」
「別の時間軸?」
「そこが一番わからないのよね。まぁお守り程度に持っておくといいんじゃないかしら」
「中々おかしなものを持たされたようだな」
会話が一段落したとこであることに気が付いた。
「てゐと鈴仙からは?」
「無いわ」
渡されてもないし言われてもないのでなんとなく答えは見えていたがやはり少し悲しいものだ。
「しょうがないわよ。あの二人出かけちゃって髪の毛抜いたりすることも出来なかったんだから」
「あぁなるほどな」
残念だがそれならしょうがないだろう。
「じゃあ今度こそまたね」
「おう。またな」
そう言うと輝夜は永遠亭へと走って行った。今度は戻ってくることもなく。
そして妹紅のほうを見ると退屈そうな顔をしていた。実際退屈だったのだろう。
「すまんすまん」
「別にいーよーだ。どうせ私になんか興味ないんでしょー」
妹紅が拗ねてしまった。恐らく演技なのだろうが、ほったらかしにしてしまっていたのは確かだ。
「そんなこと無いぞ。妹紅のことは大好きだぞ」
「はぁ……そんなこと言うから霊夢に帰られたのがまだわかってないのかね」
「耳が痛い限りです」
胃も痛い。
「まぁそんな冗談は置いといて早く行こうよ」
「だな」
そう言って俺らが歩き出そうとした瞬間草むらから何かが飛び出してきた。
そしてその何かにはまたもや俺の見知った顔が混じっていた。
「ナナ?」
「はい!夢幻さん!昨日ぶりです!」
特徴的な見た目と特徴的な個性を持った兎。ウサミンこと安部菜々だった。
しかしその背後に俺の知らないやつが三人いた。
「ナナ、その後ろにいる三人組は?」
「はい!この三人を紹介したくて今日姿を現したんですよ!」
「そうなのか。じゃあ紹介を頼む」
「じゃあみくちゃんからお願いします!」
「わかったにゃ」
そう言って猫耳をつけた子が一歩前に出てきた。そして俺はこの時点で確信した。この子もナナに負けず劣らずの特徴的な兎だと。
「こほん。前川みくにゃ!初めましてなのにゃ!よろしくなのにゃ!」
「あ、はい」
やはりキャラが濃かった。というより濃すぎる。語尾に「にゃ」を付けるほどまで猫キャラを推してくるとは思わなかった。
「にゃー!なんにゃその反応は!」
「いやーナナに負けない個性をお持ちだなぁと」
「ナナを色物みたいにいうのはやめていただけませんか!?」
「猫ちゃんはみくのアイディンティティなの!」
「そうなんですか……」
反応に困った。可愛いとは思うのだがこのキャラ故少し扱いづらいのだ。
「まぁまぁみくちゃん落ち着いて。じゃあ次は李衣菜ちゃんお願いします!」
ナナがみくとの会話を遮って進行をし始めた。
そして李衣菜と呼ばれる兎は不意打ちを喰らったように慌てた後、自己紹介を始めた。
「あっ、ごめん。音楽に夢中で。ん~、自己紹介ですか? えっと、ロックな兎目指して頑張ります! こんな感じでいいですか?」
「もう~李衣菜ちゃん!名前を忘れてますよ!」
「わ、そうか。えっと、多田李衣菜って言います。よろしくお願いします!」
「うん、よろしく」
ヘッドホンを首にぶら下げたこの兎は多田李衣菜というらしい。音楽に夢中で話を聞いていなかったのはどうかと思ったがある程度礼儀正しい子のようで良かったと思った。ナナとみくがいるのにこれ以上個性が強い奴が出てこられても困るからだ。
「はは!だりーはやっぱりどこか抜けてるな」
「うぅ……」
もう一人の特徴的な髪型をした兎に李衣菜はからかわれて赤面してしまった。
「じゃあ夏樹ちゃん!最後に決めちゃってください!」
「おう!任せとけ!アタシ、夏樹。だりーと同じでロックが好きなんだ。よろしくな」
「おう」
夏樹は中々男勝りの性格のようだ。ここで疑問が一つ出てきた。
「ナナはなんでこいつらを俺に紹介しようと思ったんだ?」
「その質問、待ってました!実はナナ達4人でユニットを組んでるんですよ!」
「ほう、そうなのか」
「アスタリスクwithなつななって言うのにゃ!」
「ユニットってことはこの4人で活動してるってことでいいんだよな?」
「うん、そうだよ。もちろんこのメンバー以外と活動することもあるけどね」
そう李衣菜が付け加えた。と言うことはこの4人以外にも歌ったり踊ったりする兎がいるということなのだろう。またどこかで会ってみたいな。
「じゃあなにか聞かせてくれるのか?」
「ああ。準備も済ませてある。こっちへ来てくれ」
そう言って夏樹が草むらの方へと歩いて行き、ナナとみくと李衣菜もそれに続いて草むらの方へと歩いて行った。
俺はそのまま付いて行こうとしたが、妹紅のことを思い出し立ち止まった。
もし妹紅が行きたくなかったらどうしようと思ったからだ。
確かめるために妹紅のほうを見ると楽しみそうに目を輝かせていたので問題無さそうだ。そう思い夏樹たちの後を追った。
そうして誘導された先にはスピーカーなどが置かれている大きなステージがあった。
「こりゃすげぇな」
「みくたちが頑張って作ったのにゃ!」
みくが自慢げに胸を張りながらドヤ顔をしていた。それを見た俺たちは少しおかしくて笑ってしまった。
「なんで笑うにゃあ!?」
「まぁまぁみくちゃん。ステージに上がりましょう」
ナナがみくの手を引きながらステージに上がった。李衣菜と夏樹もそれに続くようにステージに上がった。
そしてあることに気が付いた。夏樹がギターを持っていたのだ。
「夏樹はギター弾けるのか?」
そう質問すると夏樹は苦笑いしながら
「じゃなかったらステージに持ってこないだろ。まぁロック好きなんだからギターくらいは弾けないとな。なぁ?だりー?」
と答えた。話を振られた李衣菜のほうを見ると
「なつきちー……」
悔しそうな顔をしながら夏樹を睨んでいた。李衣菜はギターが弾けないようだ。なんだかそれが少し可愛らしく感じた。
そしてみくと李衣菜の掛け声に合わせて曲が始まり俺と妹紅はそれを見て聴いていた。
「どうでしたか!?」
「どうだったにゃ!?」
「どうでした!?」
「どうだった?」
曲が終わるなり4人はそう言った。俺はそれに対して正直に答えた。
「うん、かっこよかったし、凄くよかったよ」
「かっこよかったって!やっぱりこのロックは夢幻さんに伝わったんだなぁ。夢幻さんがわかってくれる人で良かったです!」
「にゃ!?可愛さは!?」
「あぁ、曲調的に合わないと思ったから言わなかっただけでダンスとか可愛かったぞ」
「ほら!夢幻ちゃんは可愛さもちゃんと理解してくれてたよ!」
「夢幻ちゃん……?」
なぜ年下の女の子にちゃん付けで呼ばれたのかわからないが別に訂正するほどでも無かったので口は出さなかった。
「でもさきにかっこいいって言ってくれたってことはロックのほうが勝ってたんだよ!」
「曲調的に合わなかったから言わなかっただけでしょ!」
何故だか雲行きが怪しくなってきた。これは俺が悪かったのだろうか。
そう思い謝ろうとした瞬間衝撃の出来事が起こった。
「「むむむむむ!」」
「解散だ!」
「解散にゃ!」
目の前で*withなつななが解散してしまった。
俺はどうしたらいいのだろうとナナと夏樹の方へと目線を向ける。すると二人は談笑していた。
まさか気づいていないのだろうか。そう思い二人の会話に耳を傾けるとそれは違うことがわかった。
「まただりーとみくが解散芸やってるぞ」
「あはは。あの二人はほんと変わらないですねぇ」
なるほど、日常茶飯事のようだ。それならば心配することはないだろう。
「じゃあ俺たちそろそろ行くわ。ありがとうな」
そう言いながら妹紅と席を立った。
「引き留めて申し訳ございませんでした!また今度!」
「兎以外の観客は久しぶりだったから楽しかったぜ。また聴きにきてくれよな」
「今日はありがとうございました!またよろしくお願いします!」
「夢幻ちゃん。またね~!」
4人がそれぞれの挨拶を返してきてくれた。みくと李衣菜は仲直りしたのだろうか。
そんな疑問を持ちながらも俺たちは博麗神社へとまた歩き始めた。
半分デレマス回。
アスタリスクの二人では李衣菜派なんですけどお好み焼きにケチャップをかけるのはありえないと思います。関西人なんでお好み焼きにご飯は普通なのです。その点ではみくにゃん派です。