艦上OVERDOSE   作:生カス

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ガルパンの世界の人って何歳ぐらいから免許取れるのかしら。
アニメ見てそれが気になる今日この頃


2 Virtual insanity

- 昼休み 大洗学園 屋上 -

 

「なあ、雨水」

 

「どうした、小山」

 

「大洗学園てのは今年から共学になったんだったよな?」

 

「ああ、俺はそう聞いているよ」

 

「俺も聞いているし、その情報は間違いないとは思う。そうじゃなかったら俺たちはここでこうしてだべっていることもないわけだしな。」

 

「その通りだと思うよ。で?それがどうしたのよ?」

 

「すまない、前置きが長くなったな。何が言いたいのかっつーと、

 

 

 

 

 

 

どうして男子が俺たち2人以外にいないんだ?」

 

「……」

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拝啓、親父様、お袋様、お元気でしょうか。私、雨水永太は元気です。

私が大洗学園に入学して、早1週間が過ぎました。おぼつかないところも多々ありますが、中学からの友人もいるので、今のところ充実した日々を送れています。

 話は変わりますが、大洗学園にいる男子生徒が、私とその友人だけなのはご存知でしょうか?驚かれると思いますが、本当のことなのです。マジで。

恐らく、共学化の告知が遅すぎたのが原因だと思います。さすがに去年の12月にするのは私でも遅いと思います。12月て。

第一そんな告知をしても、受験に向けてしっかりと準備してきた方々はとっくの昔に受験勉強に専念しています。逆にそんな時期に進学先の学校を探してこの学校を見つけたような人は、普段ぼーっとしていてぎりぎりになってようやく焦り始めるような計画性のない人でしょう。はい、私です。ごめんなさい。

でも、怪我の功名と呼べばいいのか、おかげで実家から一番近い母港の学園艦に通うことができたのは大きいと思います。

そんなこんなで、私と同じような理由でこの高校に入った小山と共に、学園生活を謳歌しています。本当ですよ。本当です。

くじけそうな時もありますが、私は大丈夫です。

 

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「これ行事の班分けとかどうなるんだ?」

 

「やめろよ…あんまり考えないようにしてたのによ…」

 

こんなことになるとはさすがに予想していなかった。小山の言う通り、グループとか作るときどうするんだろうか?ヤバイ、ハブられる未来しか見えない…。

 

「まあ1年間の辛抱だろ、頑張ろうぜ」

 

「果たしてそうかな……果たしてそうかな…」

 

何で2回言うの…

と、そんな他愛ないことを考えていると、どこからかボウ、と低い音が聞こえた。

グラウンドの方向からだ、何かと思ってグラウンドを見ると、1台のクルマが見えた。

どうやらエンジンをかけた音らしい。

 

「自動車部か?」

 

小山が問いかける。

 

「だろうな。テスト走行かねありゃ?」

 

途端に、そのクルマは咆哮のような音を発し、走り出した。

ある程度スピードが乗ったかと思うと、突然クルマの挙動が変化。

車体が横に傾き、そのまま後輪を滑らせながら、前輪で調整しつつ、

慣性と遠心力を利用して急カーブ。

見事なドリフトだ。

 

「すげえ…」

 

「圧巻の一言だな…」

 

小山も俺も呆然としながら率直な感想を述べ合う。

 

「ありゃGT86か?」

 

「BRZじゃねえのか?」

 

「そうかもなあ…でもあんなドリフトするぐらいなら最初からリヤサス硬い86のほうが良い気がする、多分」

 

「相変わらず妙に詳しいよな」

 

「好きだしな、自信はないけど。足回りセッティング変えてたらもうわかんねーわ」

 

「自動車部入ってみれば?今からでも遅くはねーだろ。」

 

「…車は好きだしクルマ弄りに興味がないわけじゃないけど、あの輪に入る勇気はないねぇ…

それに、放課後拘束されるのもなんかなあ…。」

 

そう、先ほども説明したとおり、学園の男子は俺とこいつ2人だけ。かつ2人とも帰宅部。

つまり、今学園にある部活動はもう女子のグループしかないわけで…。

そこに入るほど大胆さは俺にはなかったのだ。

 

86の運転席のドアが開き、ドライバーが出てきた。

ここからではよく見えないが、癖の多い茶色がかった髪の小柄な少女だった。

 

「誰だ?自動車部の新歓のときにはいなかったよな?」

 

「ああ、ありゃ土屋だよ。最近入ったんだろ」

 

俺の問いに小山が答えた。

 

「知っているのか?」

 

「同じクラスだろ…」

 

「そうだっけ?」

 

「つか同じ中学だったろ…」

 

「…覚えてないな……」

 

あきれ顔になる小山をしり目に、土屋を見る。すると土屋のほうも視線を感じたのか、此方に顔を向けた。

目が合ってしまった気がした。なぜか気恥ずかしくなり、目をそらす。

 

「そういやお前、クルマ欲しいとか思ったことあんの?」

 

小山が唐突にそんなことを聞いてくる

 

「そりゃ、買えるんなら欲しいさ。」

 

「じゃあよ、もし買えたとしたらそのクルマで何したいんだ?さっきのみたいなドリフトとかか?」

 

「…いや、どっちかっていうと、ただ速く走らせてみたいな。」

 

「なんだそりゃ?やる意味あるのかそれ?」

 

「さあな」

 

その後、昼休み終了を告げるチャイムが学校に響き渡る。俺たちは急いで屋上を降り、次の授業にはぎりぎり間に合った。

 

小山に問いで、ふと、小さい頃のことを思い出した。

何をするにものろまで、いつもビリッケツだった。

作業も誰よりも遅いから、よく先生にも叱られた。

そんなある時、俺はレース物のアニメに夢中になっていた。主人公よりなにより、そのアニメに登場するマシンがかっこよかった。

あのマシンがあったら、俺ものろまじゃなくなるのかな。

なんて馬鹿なことを、子供の頃の俺は本気で考えていた。

 

- 放課後 街はずれ -

 

「どっか寄り道してかないか?」

 

「そうだな、掘り出し物のCDとかあるかも」

 

「よし、いこいこ」

 

ということで行くことになった某中古ショップに俺たちは足を運んでいた。

歩きながら2人でだべっていると、不意にある場所が目に映る。

 

「…こんなところにこんな大きな空き地なんてあったのか」

 

「ああ、この辺あまり通ったことなかったからなあ…。学園艦にもこういうとこあるんだな」

 

「へえ、やっぱ広いから管理しきれないとこって出てくんのかねぇ」

 

そして、それ以上の感想は特に抱くこともなくその場をあとにしようとした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーー・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・?」

 

何か、音が聞こえた気がした。声、のような、

誰かを呼んでいるような。

 

そんな声が、聞こえた気がした。

 

 

迷子になった子どもでもいるんだろうか。

その声が妙に気にかかり、無意識に空き地へと足を踏み入れる。

 

「おい、どうした?」

 

「悪い、ちょっと気になってさ…。先に行っててくれ」

 

「なんなんだ…?」

 

困惑する小山を残して、空き地に入った。

それからしばらくは空き地の中をひたすら探し回った。

 

(どこだ?誰だ?)

 

見えるのは背の高い雑草ばかりだ。

先程の声ももう聞こえない。

広いと言っても見晴らしのいい空き地だ。全部回るのに、それほど時間はかからなかった。

それでも見つからず、やっぱり気のせいだったのかと諦めかけた。

 

 

すると、後ろから熱を感じた。

夕日のそれとは違う、火のような熱

何かと思いその方向に目をやると、目の前に、

 

 

 

 

 

壊れかけの1台のクルマがあった。

 

 

 

 

 

見つけた

 

 

 

 

 

そのクルマを見たとき、何故だかそう思ったんだ。

 

 

 

 




雨水 永太(うすい えいた)
普通のメガネ。一見理知的に見えるが、普段からぼーっとしており、成績もあまりよろしくない。
顔だちが似てるので一回某生徒会広報(1年後)の弟疑惑が浮上したが、赤の他人である。

小山 蜜柑(こやま みかん)
男の娘。此方は正真正銘某生徒会副会長(1年後)の弟。姉によく似た顔、小柄な体格、ウェーブのかかった髪等々の要素で、学ランきているのが不自然なレベルに達している。
本人にとってはコンプレックスだったりする。

またまたガルパン要素が薄いのさ…

ガルパンキャラと本格的に絡ませられるのは次々回あたりになると思います。ご了承ください…

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