あと城戸さんの会話をちょろっと弄りましたが殆ど変わってないので書き直す前を読んでる方は読まなくとも大丈夫です。
あとお気に入り200件ちょいありがとうございます。書くモチベーションになります。
忍田さんとの模擬戦が終わった後、強烈な頭痛に苛まれながら俺は病院へと搬送された。
「異常はありませんね」
「そうですか……」
「はい。申し訳ありませんがこちらではなにもわかりませんでした。私共も暴れているところを見てたので何もないとは考え難いのですが、現状できることはございません。ひとまずの処置として強めの頭痛薬を処方しておきますが、効果が強い分副作用も強くなってしまうので用法用量をしっかり守った上でご使用ください。詳しいことは薬剤師のほうで______」
しかし、頭痛はしばらくしたらびたりと止み、それっきり再発する様子が見受けれず、また病院の検査でも異常はないとのことで医者と話してる忍田さんのとこの先生は困惑気味だ。
自分自身になにがおきているのか、不安になるが、頭痛が起きるタイミングを考えたらあっさり原因にたどり着いてしまった。
おそらく周囲が遅くなるのが原因でこの頭痛は起きる。
理由はわからないし誰に話したところで信じてもらえないと思うが、どうやら俺は時間を遅くすることができるらしい。いや、自分も遅くなってることからおそらく自分の体感する時間を操る、といったところなのだろうか。原理はわからないがおそらくそういうことだろう。その副作用に頭痛がするのだと推測される。
「古刀くん。異常はないそうですが、今は大丈夫ですか? 少しでも痛みや違和感があるようでしたら言ってください」
「いいえ、大丈夫です。ありがとうございます」
本気で心配してる様子でこちらの顔を覗き込む先生に笑顔を作り返事をする。
しかし、本当にあの遅くなる現象はなんなのだろうか。本気でわけがわからない。集中力が極限まで達してああでもなるのだろうか。心当たりがまったく―――
いや。一つだけわかりやすい心当たりがあった。
なぜなら俺は前世持ちというファンタジーな存在なのだから。もしかしたら一つや二つ異常があるのかもしれない。
そう考えると割と納得できた。前世持ちなんてのが実際にあるのだからそんくらいあるかな、と。なんかこれ以降なにが起きてもそれで納得できる理由ができてしまった。
と、自分一人で完結しうんうん頷いてると先生はうちの両親に説明の電話と薬を受け取りに行ってくれて離れている間に忍田さんが複雑そうな顔をしながら近付いてきた。
「古刀君。本当に大丈夫かい?」
「はい。大丈夫です」
「そうか、ならいいのだが……」
安心したのかはぁ……と安堵の息を漏らす。どうやら忍田さんは自分のせいと思ってるのか、俺が頭痛で倒れてから何度も声をかけつつ、全力で暴れる俺を抑えつけていたので少し疲れた様子が見てとれる。
それに申し訳なく思い、信じてもらえなくていいからとりあえず推測してることを話すことにした。
「あー、たぶんなんですが、あの頭痛の理由には少し心当たりがありますから、たぶんそれに気をつければ今後大丈夫だと思うので」
「……本当かい?」
俺の言葉に興味があるのか無言で促してくる忍田さんに自分の体の異常を話した。
「はい。どうも、これまでも何回か軽い頭痛はあったのですが、その頭痛が起きる前に一つの現象が起きてまして……」
「現象?」
「はい」
疑問顏の忍田さんに本当に話すか数瞬迷ったが、ここまで迷惑かけてなにも話さないのもあれかなと思い、信じてもらえず狂人だと思われてもいいかと考え話す。
「えっと、その、信じてもらえないかもしれないんですが、どうも頭痛がする前に時間が遅くなるんですよ」
「なに……?」
てっきり呆れた顔をされると思っていたのに忍田さんの表情は純粋な驚きで染まっていた。
「より詳しく言えば体感する時間を引き伸ばしてるのか、自分含めて全て遅くなるのですが……まあ、信じれませんよね」
ははっと乾いた声で笑う自分を無視し忍田さんは真剣な表情でなにか考えていた。
……もしかしたら超能力とか信じちゃう夢見がちボーイなのかなと失礼なことを考えていると忍田さんは真剣なまま俺の肩を掴んできた。すみません、そっちの趣味はないです。
「……もしかしたらその現象の原因がわかるかもしれない」
「……はい?」
しかし忍田さんの口から出てきたのは信じれない言葉だった。
「その確証を得るためにも明日―――は学校があるか。次の休みは?」
「来週の土曜の午後からなら大丈夫ですが……」
「そうか。なら来週の土曜、ここの駅まできてくれないか。迎に行くから」
そう言われ口頭でうちの近くの駅を示されたので頷く。
まさか、本当なのかな? と少し疑問に思いながら来週を待つことにした。
__________
「よく来たね。こっちだ」
「は、はぁ……」
結局何事もなく約束の日、駅に着くと既に待っていた忍田さんと一緒に駐車していた車に乗ると、川沿いに少し走ったところにある大きい施設にたどり着いた。
「川の上に建物……?」
「ここはもともと川についてなんやかんやする施設だったらしいんだけど僕たちが買い取って使ってるんだ」
「はぁ……」
いいとこだろう? と言って笑う入り口に立っていた20代後半らへんのお兄さんに話しかけられ曖昧に返事をする。いったい誰だろう。
「忍田くんから話しは聞いてるよ。君が古刀君で合ってるよね? 大変だったみたいで僕も心配してたよ」
「は、はい」
「ああ。楽にしてくれていいよ。そんなに気張らずに。君になんかしようとする人はいないし」
「はい」
「あはは! まあ、いきなりそんなこと言われても困るよね。まあ色々気になることがあるだろうけどとりあえず中に入ろうか」
「はい」
「ここについては忍田くんから聞いてるかい? いや、聞いてないか。あのことは証拠無しに話しても誰にも信じてもらえないだろうし。おっとごめんよ。ささ、どうぞどうぞ遠慮なく」
自己紹介もなく喋り出し、一方的で止まらない会話に圧倒されていた。いや本当に止まらない。廊下を歩いてる途中でも途切れることなく話してくる。それに対しこっちは「はぁ」とか「はい」としか反応してないのに気にする様子もない。
いい加減どうにかならないかなと思い数歩下がったところでついてきてる忍田さんのほうを見るが、こっちが目を向けてるとわかると苦笑をして頭を横に振っていた。あの野郎、こうなることわかって避難してやがる。
「それでさ、僕は言ってやったんだよ。『君にはこっちのカバンのほうが似合うよ』って。だけど彼女、遠慮しちゃって『それあなたの今支払える全財産と同じ値段でしょ。こっちのでいいわ』って言うんだよ。でも僕は言い返してやったんだ。『君の誕生日なんだ。そのためなら僕は一カ月もやし生活でも大丈夫さ』ってさ! それでも彼女は悩んでて______」
もはや俺とはなんも関係ない自分のことを話し始め、どうしたものかと思ってると、横の扉がガチャリと開き一人の男性が出てくる。
「うるさいぞ。なにを騒いでる、ってお前か。もう少し落ち着けんか」
「______でさ! ってああ。ようやく来てくれたか説明係!」
「誰が説明係だ! それよりそっちの子が忍田が話してた古刀君か? 最低限この施設の説明をしたよな?」
「……あ」
「……まさか、なんも話さずここまできたのか?」
「……あっはっは! それどころか僕の名前も言ってない気がするね!」
「……はぁ……」
男性がわざとらしく大きくため息をつく。そして俺に目線を合わせるようにしゃがみ話しかけてきた。
「この馬鹿が馬鹿ですまんな。ようこそ―――」
そこでちらりとお喋りお兄さんと男性が目を合わせニヤリと笑い二人で口を合わせ言う。
「「異世界人対策本部へ」(仮)へ」
「僕は創設者の一人、空閑有吾」
「同じく創設者の一人、城戸正宗だ」
「……(仮)っていちいち言うとカッコつかないからやめてって言ってるよね?」
「……じゃあそろそろまともな名前を考えろ。直球すぎて頭おかしい人間だと思われるんだぞ」
「異世界人に対して対策するための場所なんだから異世界人対策本部、なにも間違ってないじゃないか」
「間違ってる間違ってないの問題じゃなくてだな……はぁ」
思わず口を開けてポカーンとしてる間にも言い争い始める目の前の二人。
異世界人……対策本部? ってどういうことなの?
どういうことなのーーーーーー!?
ワールドトリガーが休載……だと……
orz
生きがいが……生きがいが……
もうダメだぁ、おしまいだぁ……
こうなったら妄想垂れ流して満足するしか……
ということで前話の追記+今後のちょっとした予定は活動報告のほうに移させて頂きます。ご迷惑をおかけしました。