総てを切り裂く刃となるため   作:葬炎

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主人公設定の解説+ロリこなみんとのコミュ回。……の予定だったが解説で力尽きてコミュ回がかなり短い。本当に、申し訳ない。

微妙に設定厨な作者の性なんだ……

旋空について。
おそらく伸びる長さは振る速度に依存し、そして伸びてる状態だと空気抵抗的な物で重く遅くなるので普通の旋空より長くしてる時間が少ない生駒旋空は長く伸びる。大剣とレイピアの振る速度の違いみたいな感じと思いました。
伸びる原理はトリオンの結合をわざとゆるめてそれを思いっきり振ることで伸ばすと考える。イメージ的には糸の伸び縮み的な? そうしないと停止状態から突きの形で前に出したまま旋空連打とかできるし。
あと伸びる長さが画一的なのも伸びる時間、伸びた剣の強度、使いやすさを考えてのことということで。生駒旋空は他の旋空と違い斬撃ではなく刺突に近いから先っぽ以外は脆くても問題なさそうだし。

こう考えると旋空、生駒旋空の伸びる長さの違いに納得できるんじゃないかなと考えました(起動長いほうが伸びるんじゃね?と考えていたため)。公式で詳しい設定ができるまでは作中の旋空はこういうことで進めていきます。

なお今話に旋空は登場しません。なぜ書いたって? 考えまとまったから書きたかったダケー


ーー8ーー

異世界人対策本部とかいう超絶怪しい組織と関わりを持ってから約8年、俺すでに20歳となっていた。

 

それまでの間にこの組織ではなにがあったか……はあまり言わないでおこう。言って楽しい話しじゃないし。しいて言うならば一番大きい変化は有吾さんがどこかへ旅立ってしまったそうで、現在どこにいるかわからないらしい。

らしいというのも、有吾さんがいなくなる頃は関係はあれどそこまで深いものではなく、あくまで時間が遅くなる現象の原因を探るために通っていただけだからだ。では今はどうかというと、

 

「古刀さんお願いします!」

「ああ。まずは素振りからだ」

「はい!」

 

1! 2! と元気な声が響く。

そう、今はなぜか弟子を取り師匠の真似事をしている。小学生の女の子相手に。

 

まずなんでこういうことになったのかというと、有吾さんがいなくなった後に城戸さんから勧誘されたのだ。『この組織......仮称ボーダーに入ってもらえないか』と。理由を聞いて見ると、どうやら俺の例の現象がなんなのかわかってそれがあると組織の活動の大きな助けになるらしい。

 

とりあえず現象について聞いてみると、トリオンという今地球では発見されてない未知のエネルギーが人間に備わってるらしく、そのエネルギーが多いことで発現する能力―――サイドエフェクトと言うものらしい。

 

……トリオン……?

 

と懐疑的な、痛い子を見るような目で城戸さんを見つめると、忍田さんが実践して見せてくれた。

なんと、そのトリオンを用いた刀の形の武器があり、それを忍田さんが持つと光るのだ。

最初は(そんなライ◯セイバーみたいな玩具見せられても……)と全然信じてなかったが、それをどこからか持ってきた鉄製の棒を音もなくスパっと斬ったことで信じざる得なくなった。まさかこんな摩訶不思議アドベンチャーがあったとは。

 

その上で今まで優しいけど怪しい人たちだなと思い聞いてもいなかったこの組織のことを聞いてみると、以下のことを教えてくれた。

 

・異世界が存在しそこに人が住んでる

・異世界人は今まで表沙汰になっていないが地球のあらゆる場所、国に出現し、地球上の行方不明者の何人かは異世界に連れ去られている

・連れ去る目的は複数あるらしい異世界どうしの戦争に利用するため

・この組織では異世界人と交流を行うと同時にもしも争いになった時に対抗するための手段を持つために準備をしている

 

などなど。なぜそれを知ってるのかと聞けばそれを教えてくれた協力者がいる、とだけ。それ以上は教えてもらえなかった。

それを全部説明した上で俺を求める理由は、純粋に戦闘能力がこの組織のトップクラスである忍田さんと同レベルで高いのと、異世界人に対抗するために必要な武器を構成するためのトリオン能力が高いことが理由だからだそうだ。

だけどもしかしたら命の危険があるかもしれないから無理にとは言わない、とも言われた。それを聞いた俺の返事は―――躊躇うことなく協力する。だった。

 

理由は単純、不思議技術とか斬鉄とか間近で見ていたい、あわよくば人間を攫いにきた異世界人(地球に来るのは主に小型の兵器らしいが)をばったばったとなぎ倒すヒーローになりたいという不純な目的が一つ。

あとは普通に自分のこの自己満足で終わると思ってた居合の技術が人助けできるようになればいいなと思ったのが一つ。

ようするに戦いたいのだ。非日常に身を投げ出したいのだ。前世と同じ普通はイヤなんだ。そういうことで断る選択肢はなかった。

 

そうして組織に参加した後はまず俺のサイドエフェクトの詳細を確認することから始まった。やったことは単純、どの程度遅くなるのか、継続時間は、自ら発動できるのか、など。

 

結果を先に言うと自分の意思で発動できたしある程度限界もわかった。

 

まずなんで今まで勝手に発動してたかは当時の状況を思い出せばすぐにわかった。自分に危機が迫ってる時に自動で発動したのだ。

その確認の仕方は至って簡単、木刀で振る速度を何段階かに分けて胴を薙ぐように振ってもらった。遅くから初めて全力まで。それでわかったことは、

 

・超遅い:振り始めてから5秒後に自分の腹に当たりなんか触ったなー程度の感触がある。変化無し。

・遅い:1秒程度で腹に当たる。見てから回避余裕でした程度の早さ。普通に腹に当たった感触はある程度だが痛みはないくらい。変化無し。

・普通:0.5秒程度。振り始めを見てれば普通に避けれる早さ。当たった。普通に痛い。変化無し。

・速い:0.2秒。振り始めたのを確認してから動いても避けることができない―――

 

というところで、もはや慣れ始めている時間が遅くなる感覚だ。そして時間が遅くなる感覚があれば動いていいと言われてるので自分の胴に迫る木刀を体を捻るようにして避ける。

その後何度か試した結果おそらくだが、自分に迫る一定以上の脅威を感じ取れるとそれを認識し回避できる程度にこの能力が使われるらしい。また、視界外からきた攻撃には反応しないのもわかった(覚悟はしてたが超痛かった)。

そして自分のいたところを通過しきったところで戻る時間。少しする頭痛。なるほど、いままでなにか考える余裕のなかった状態でしかなってなかったためわからなかったが、なんとなく遅くなる感覚は掴めた。といっても一発じゃできないだろうから数度手伝ってもらう必要あるだろうけど。

 

ということでこの後も数人に代わる代わる手伝ってもらって遅くする感覚を体で理解してようやく使えるようになったのだ。その際他のボーダー隊員の人に『古刀はもしかしてSMが好きな変態なのか?』と真顔で聞かれた時はショックを受けたが、考えればなにも説明せず『この木刀で俺に思いっきり斬りかかってきてください!』って言えばそう思うか。いや、超能力じみた能力を使えるようになってきてて説明を頭からすっぽかしてただけだが。そしてその様子を偶然通りすがった事情を知ってる城戸さんが目撃して爆笑してた。いつか殴りかかりたいと思う。

 

あと俺のサイドエフェクトに名前がついた。こういう時のお約束として中二的な、漢字で書いて英語で読む的な名前をつけられるのかと思ったら至極普通な名前で[思考加速]と名付けられることとなった。理由はおそらく遅くしてるのは危機回避のため頭を必死に働かせてる―――ようするに走馬灯を意図的に、長時間発生させていることが理由だと思われているからだ。そしてその長時間限界を超え頭を動かす代償として頭痛があるらしい。なるほど。と思わず納得してしまった。

そして思考加速を無理しない程度に使いつつ忍田さんと模擬戦をしている時に他のボーダーのメンバーである林藤さんに『お前さんのほうが年代近いだろ。この子の世話頼むわ』と言われ預けられたのが今目の前で一生懸命に木刀を振っている少女である。

 

経緯を聞くと、なんでも家族で人気の無い山道を車で走っていたところ、例の野良異世界人(兵器)に遭遇してしまい危うく攫われてしまいそうになったところ、異世界人の出現する反応に急行した近場にいた林藤さんが颯爽と現れ助けたらしい。なら助けたんだから最後まで世話しなよと思ったのだが、林藤さんは他にやることが多くあまり見てあげれないから暇人の古刀(超失礼)が見てやってくれとのこと。断じて言うが俺は暇な時など一時もない。なぜなら俺は昔と変わらず今も居合をひたすら極めようと時間が許す限り振るって振るって振るって、思考加速に頭を慣れさせるため加速して加速して加速して、頭痛でのたうちまわるのを繰り返しているのだから。

 

他にやること……? 書類仕事……?

俺戦闘員だし(目逸らし)

 

ということで遠回りした先で更に遠回りしたが、俺が今やってることは子守だった。ここでようやく冒頭の話しに戻る。

 

「……99! ……100!」

「お疲れ。少し休憩してから型の練習、その後模擬戦して今日は終わり」

「はい!」

 

元気がいいのはいいことだ。

ちなみにまだ小学生の子どもに無理はさせれないので練習内容は軽めのもの、型の練習も基本の数個だけであまり本格的にはやってない。というのも最初は道場で教わったみたいに教えようとしたのだが、どうも教えた通りにできないのだ。その時の気分で角度、振る速さがバラバラになるため、悩んだ結果教える方向性を変えた。

 

「______100!」

「よし。じゃあ後は模擬戦だ」

「やった! それじゃ、いきます!」

 

模擬戦、と言った瞬間開始の合図を待たず斬りかかってくる。それを軽く木刀の側面に手を添えて自分に当たらないようにずらす。

それを数度繰り返す。終了はこの少女が諦めるまで。

そう、型にはめて教えることに向かないから実戦重視、模擬戦重視にしたのだ。ついでに縦横無尽に予測不可能な角度から迫る攻撃を見切る訓練にもなる。

そしてやる気を出すために飴も用意してある。

 

「今日こそ―――攻撃当てて古刀さんと一緒に買い物行くんだからあ!」

「ははっ。できたらな。小南」

 

そう、買い物だ。

俺に有効打を当てれたら一緒に買い物に行く約束をしてる。これにはいくらか事情がある。

まずこの少女の両親はあの異界人に襲われた経験から少女を1人で外に出さなくなった。ゆえに一緒についていく人間が必要なわけだが、その候補は俺か林籐さんか忍田さんなわけだ。候補がこの三人なだけの理由? 理由はそれ以外の異世界人に対抗できるレベルの人は日本中に出現する野良異世界人に対処するためいないことが多いからだ。俺と忍田さんは一応最高戦力ということで普通の隊員が対処できない相手に対処するため居場所が明確な必要があり本部であるこの施設から遠く離れることはあまりできない。その上で出かけれる人物を考えると、

 

忍田さん→一緒にいると無表情で怖い(小南)

小学生レベルの幼い子にどう接したらいいかわからない(忍田)

 

林籐さん→忙しそうだしあまり迷惑かけたくない(小南)

めんどい(林籐)

 

古刀→暇そうだし別にいいよね(小南)

めんどい(古刀)

 

ということになり、そして選ばれるのは自動的に俺となる。しかし俺はとてもめんどいので、できればごめんこうむりたい。その上で考えたのがそれをご褒美にしてやる気を出させる方法である。元々やんちゃなほうで木刀で無手の俺に殴りかかるのが楽しかったそうだが、これで一層やる気を出してもらうことに成功した。

……あれ? やる気を出させる必要あった……?

ちなみに無手なのはハンデだ。見切るのに失敗すれば受け流せても手が痛くなるしいい修行になる。

 

「この! この!」

「はははは」

 

ブンブン振られる木刀の速さに合わせ手を動かし軌道をずらしていく。この修行を兼ねた模擬戦を初めてからいまだに負けたことはない。そうそう負けてたまるかという意地もあるが、なにより買い物が嫌だ。危なくなったら思考加速を使うレベルで嫌だ。なぜなら前に一回たまにならいいかと思い普通に買い物に付き合ったのだが、これが長い長い。

元から箱入り娘で外に出る機会が少なかったのか、あれすごそうあれ面白そうと無尽蔵に動き回るのだ。それに一箇所一箇所でなにが楽しいのか立ち止まる時間も長い。結果昼から始まった買い物が終わったのは夕方になってからだった。しかもその日買った物はたい焼き3個に二人分のジュース。もちろん俺の支払い。これだけ。

 

「当たらないよ〜……当たって?」

「いや、そう言われても当たってやらんぞ?」

 

上目遣いでおねだりされるが御断りである。誰が好き好んでまたあの買い物に付き合いたいと思うのか。

最近どこで知ってきたのかあざとい仕草でおねだりすることも増えてきた。しかし俺は残念ながらロリコンではないので誘惑されることはない。

 

「むー。林藤さんはこうすればお願い聞いてもらえるって言ってたのに……なんでかわからないけど」

「ははっ……林藤さん後ではっ倒す」

 

意図せず犯人がわかった。模擬戦が終わり次第ビンタしにいこうと思う。

 

「お。やっぱここにいたのか古刀。お願いしたいことがあるんだが」

「あ。林藤さん。ちょうどいい。ちょっと聞きたいことが―――」

「どーう!」

 

どすっ、と重い音が響く。

目がやってきた林藤さんの方に向いた瞬間に小南の木刀が思いっきり振るわれ胴にめり込む。思わず崩れ落ちる俺とは対照的に喜ぶ小南の嬉しそうな勝鬨が響いた。

 

「やったー! 初めて勝ったー! ねっねっ明日、ちょうど学校お休みだし朝から一緒に買い物ね! 絶対だよ!」

「おあぁ……」

「あら? タイミングが悪かったか? 大丈夫か古刀」

 

心配して俺に近寄り肩に置かれた手をガシっと掴む。

 

そこで嫌な予感がしたのか手を離し下がろうと力をいれ引っこ抜こうと力を入れるが絶対に離すかと言わんばかりにギチギチと音が聞こえるほど林藤の手は握られていた。

 

「お、おい? 古刀?」

「……林藤さん」

 

今まで痛みで腹を抱え下を向いていた古刀の顔が上を向き露わになった。―――とても笑顔だ。

 

「少し……お話死、しよ?」

「ちょっ、俺この後仕事があ―――」

 

アッーーーーーーー!

この日、一人の男の純情が固くて長い物(木刀)によって汚されてしまった。

 

なお小南はその間、幸運にも明日の予定を考えていたため林藤の存在にすら気づいていなかったようだ。よかった。

 

 

 

そして次の日の夜、道場の真ん中でどこからか持ってきた椅子に座って真っ白に燃え尽きた古刀がいたが余談である。




あとこなみんの加入理由についても考えていました。
おそらくこなみんの両親が旧ボーダーの活動の手伝いまたは出資でもしてたんじゃないでしょうか。その理由は関係者が旧ボーダー隊員にいるのか、はたまた野良ネイバーに襲われたのを助けてもらったか。それを考えた結果ネイバーに襲われたとすることにします。
旧ボーダーの1員が両親のどっちかというのも考えましたが、命の危険があると身をもってはっきりわかってるだろう旧ボーダーに恐らく愛する愛娘(騙されやすい性格から両親から愛された箱入り娘だったんじゃないかなって推測)であるこなみんを関わらせるかな? と考え無いかな。と思いました。

野良ネイバーに襲われてるこなみんと両親を林藤さんが助ける(写真から林藤さんを慕ってる様子が見れるため)

旧ボーダーの活動内容を両親に説明する(当時記憶処理装置とかないでしょうし)

こなみんがお嬢様学校に通ってることから両親がある程度の資産があることを考え、金持ちほどではないが金がある家と考え活動のための資金を提供してもらう

こなみんのトリオン能力が高く野良ネイバーに襲われる可能性があることを説明され両親は自衛の能力を持ってもらうため、または安全のため旧ボーダーに小学生のこなみんを預ける。

幼いこなみんがいることの理由としてありえそうな展開かなと思いました。
そして林藤さんに助けられるというとこを古刀君に変えて話しを作ろうかなと思ったのですが、そうすると玉駒支部所属じゃなく古刀君の周りを常にチョロチョロとするこなみんを想像してしまったためボツになりました。気が向いたらIFでそっちのこなみんを書くのもいいかなと思ってます。


なお次話は一気に時間が飛び原作少し前にする予定です。その理由は活動報告見ていただければわかります。もうちょい旧ボーダー時代書くつもりだったんだけどなー……まあ、仕方ない。

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