もしもベル・クラネルにこんなスキルがあったなら:短編集 作:自堕落キツネ
「んっ……ふぅ……あっ。」
ロキ・ファミリアのホーム『黄昏の舘』
女性用浴室、エアマットの上でロキが
うつ伏せになっている彼女の背中をベル・クラネルがマッサージしているだけである。
「んっ、フフ。相変わらず良い腕だな、ベル。」
「ありがとうございます、リヴァリアさん。でも、最近無理してるんじゃないですか。随分と疲労が溜まっているみたいですし。」
「あぁ、副団長という立場は何かと忙しくてな。」
「それでも、です。休息はしっかりとらないといけませんよ。それと、今回はサービスで疲労回復用のオイルも使いますね。」
「いいのか?」
「えぇ、ナァーザさんからも『常連さんにはサービスしても結果的に黒字になるから程々ならいいよ。』って言われてますから。」
「そうか、随分ハッキリとした言い方だが、分かりやすいな。」
「ですよね。」
互いにクスクスと笑いながらも続けられるマッサージ。
当然、といえば当然だが二人きりではない。主にロキの乱入を防ぐ為に見張り(エルフ率高)が立っているし、アシスタントとしてスカウトしたリリルカ・アーデも居る。
二人がやたら親密な雰囲気にも感じるが、ベルは大体の常連にはこんな感じなので大したことはない。
さて、何故このような状況なのかといえば、簡単に説明するならばベルを拾ったのがミアハで、発現したスキルが戦闘向けには思えないモノだったからだ。
『
・肉体に対するマッサージ効果の向上
・マッサージを行っている間、動揺しない
発現した際に試しに受けたナァーザは借金返済に都合の良いモノであると思いいたり、マッサージ効果を更に高めるオイルを開発した。
基本はファミリア等に出張し、追加料金で普通のではない特殊効果を持つオイルを選べる。
また、裏メニュー的に豊胸や骨格の歪みを直し身長を伸ばすなども有る。
道化のエンブレムの主神やその眷属のアマゾネスの妹の方、借金元のファミリアの受付嬢がよく見られる。
始めはベルが男性であることやマッサージを受ける際の服装、エルフは習性の関係で敬遠されていたが、真面目な態度やリヴァリアが利用していることで徐々に広まり、現在ではかなりの盛況である。
なお、とある太陽神がベルにセクハラしたためにベルのファンである複数のファミリアに連名で潰された後で、数名の冒険者がミアハの元に移った。
アシスタントという名目で女性冒険者が護衛に付くようになり、彼女等には割引券が報酬として配られている。(フィン・ディムナのマッサージの時には必ずティオネが付き、その裸体に鼻血を流す姿がよく見られる)
先に戦闘向けではないと記述したが、多くの存在にマッサージを行った結果、ゴブリンやコボルド、オーク等の人に近い形のモンスターならば動きの予測が可能になり、戦闘を有利に立ち回る事が出来るようになっている。
この日は、翌日からの遠征に向けて士気を高める為に一日貸し切りにしたので、遠征メンバーを優先的に行い、残った時間を留守番メンバーがジャンケンで決めた。熾烈な大会は省略させて頂くが。
「それでは皆さん、無事に帰ってきて、またのご利用お待ちしてますね。」
門にて見送られながら再会の言葉を残してベルは帰っていった。
「ん~、皆更にキレイになったなぁ。グフフ、帰ってきたらまたお願いしよなぁ。」
生き残る決意を新たに遠征へと意識を向けるロキ・ファミリアの面々であった。
ベルが有名になったことで顔を青くする門番があちこちのファミリアに居たことはベルは知らない。
我ながら
文章が全然安定感ないですね