もしもベル・クラネルにこんなスキルがあったなら:短編集 作:自堕落キツネ
ギルドの奥に存在する『祈祷の間』。
そこには隠し通路を通って、複数のファミリアの主神と団長、そしてギルド長のロイマンが集まっていた。
「う~、頭痛いわぁ。」
「あれだけ飲めば流石に二日酔いにもなるよ。ロキ。」
額に手を当てフラフラとした足取りの主神ロキとやや呆れた表情の団長フィン。
「フフ、オッタル、ロキに酔いざましの薬を渡しなさい。」
「はい、フレイヤ様。」
「お~、すまんなフレイヤ。」
「気にしないで。」
恐らくはオッタルが用意したであろう豪奢な椅子に優雅に腰掛ける主神フレイヤと、その斜め後ろに控える団長オッタル。
渡された薬をゴッキュゴッキュと飲み干し、頭痛も収まった様子のロキ。
「ロキ、会合の前日はお酒を控えたら?」
「うむ、手前も主神様と同意見だ。神といえど地上での肉体は
やれやれ、と呆れた様子を隠さない主神ヘファイストスと団長椿。
「俺がガネーシャだ!!(小声)」
「ガネーシャ、今の流れでそれは分からんわ。」
「すみません、神ロキ。」
「あぁ、いつものことやからかまへんよ。」
秘密の会合、ということで小声の雄叫びというよく分からないアピールをする主神ガネーシャと団長シャクティ。
「まったく、会合に二日酔いで来るとか、何考えてるんだロキの奴。」
「前にヘスティア様も似たような事してましたよね?」
ロキへの愚痴を漏らす主神ヘスティアに適格にツッコミを入れる団長リリルカ。
「いやぁ、何時見ても壮観だねぇ、そうは思わないかい?アスフィ。」
「何処を見て言ってるんです?ヘルメス様。」
「アハハハハ。」
主に女性陣の胸部辺りを見ながら話す主神ヘルメスにリリルカ同様ツッコミを入れる団長アスフィ。
等々、まだ居るがそれはカットして(「え~」×複数)、肝心の存在が居ないことに疑問を投げるロキ。
「で、なんでベルやんが居らんのや?あの子居らんと話しが始まりもせんやろ。」
「お待たせしてすみません。」
噂をすれば、と言えば良いのか、タイミング良くベルと主神が到着した。
「別にそんな待ってへんからそない気にせんでええで。ベル、
「それでもごめんなさいね、ロキ。ベルったら声をかけてくる人達一人一人に対応してたから。」
「ベルは人気者やな。」
「そ、そうですかね?っとと、お待たせしてすみません。それでは、今回の定例報告を始めます。」
報告を始めたベルをぼんやりと見ながら、アストレアは初めてベルと会った時を思い出す。
「と、いう訳で。この子、ベル君を君のファミリアに置いてほしいそうなんだ。これがその保護者からの手紙だよ。」
「おねがいします、アストレアさま。」
突然ヘルメスとアスフィが連れてきた子供、ベル・クラネルに、よく事態が分からないまま、保護者からの手紙を開いた。
「!?(これは!!)」
それは
内容は親バカな部分を除いてシンプルに書くならば、『ゼウス・ファミリアの
アストレアはベルの受け入れを了解し、育てることを決めた。
そうなれば、必然的にアストレアの『
『
・自身の知るアサシンの武器、防具、道具を
・アサシンの技を自動習得する。
・同胞と認めた者の影を短時間だけ召喚できる。
・藁の山が都合よく発生する。
『アサシン』とは何か、アストレアは分からなかったが、ベルにはすぐに理解できた。簡単ながら説明を受け、アストレアはまずベルに「殺人はどうしようもない者だけ」にするよう、なるべく更正の機会を与えるよう説明した。
これを了承したベルはその日の晩から、アサシンのステルス能力をフルに使い、人知れず人助けを開始した。
男に乱暴されそうだった少女、言いがかりを付けられたサポーター、理不尽な怒りをぶつけられそうになった店員など、多くをひっそりと助けた。その行動は噂として広がり、ファンを自称する者まで現れる程だった。
そんな中、ベルはアストレア・ファミリアを襲撃するという情報を掴む。すぐさまアストレアに知らされたそれは、アストレアにある決断を下させた。
それは、『アストレア・ファミリアが壊滅した。』と思わせること。そうして影に潜み、密かに民衆を護るのだと、彼女はファミリアへと計画を話した。表はガネーシャ・ファミリア、目の届きづらい闇を自分達が見張るのだと。
そうしてオラリオではアストレア・ファミリアは幼いベル一人を残して壊滅したと思わせ、様々な場所、協力的なファミリアの元で、一般人として名前も顔も変えて紛れ込んでいった。
ベルからアサシンの技を学んで。
年月を掛けて、地道に仲間を増やして。
ヘスティア・ファミリアもその一貫で、団長のリリルカ・アーデのサポーターとしての技術を団員達に教え、契約したファミリアへの派遣サポーター専門のファミリアとしての地位を築いている。これは戦闘技術に乏しく、冒険者としては成り上がることのできない者達への救済、とオラリオでは認識されている。
同時に見込みのある者にアサシンの技術を教え込み、多くの情報源の確保にも繋がっている。主婦の噂話も中々重要だったりするためだ。何処に有用な情報が有るかなんて誰にも分からない。
「~~以上で今回の報告は終わりです。それと、近々大きな騒動を起こしますので、事前に皆さんにはお伝えしておきます。」
と、アストレアは長い回想からタイミング良く帰ってきたようだ。
「お、なんや?」
興味津々で身を乗り出す神が多数。
「グラン・カジノの『エルドラド・リゾート』のオーナーに関してです。潜入して調べた所、非合法、かつ乱暴な手段で女性を物のように集めていることが分かりましたので、オーナー『テリー・セルバンティス』を名乗る男を捕縛します。」
「名乗る、ってのはどういうことや?」
「どうやら成り済ましているようなんです。ご本人はオラリオに来る途中で崖から転落死していたそうで、それを発見した男が隠蔽したようです。」
「ほぉん、で手順は?」
「『マクシミリアン伯爵夫妻』として僕とリュー姉さんでカジノに行き、VIPルームに招かれるように立ち回り、護衛などを一斉に無力化します。」
夫妻、の部分でピクリと反応する一部女性。
「何故リュー様なのですか?ベル様。」
やや剣呑な雰囲気のリリルカ、他数名に首を傾げながら、
「ある程度の強さで顔を知られてないからだけど……。それにお店のお客さんで被害者の家族が居たらしくて、一人でも突撃しそうだったし。」
「で、ではお顔はどうするおつもりで?」
「うん、それは変装するから大丈夫。」
「そ、そうですか………。」
反論する材料がもう無いと判断したのか、あるいはあまり反対して嫌われたくないのか矛を納める。
こうして救出作戦は決行され、無事多くの女性を救うことができた。
「あの方凄く格好良かったわね!」
「ええ!私もう一度会いたい!」
「あの方の正体を知りたいですか?他言無用を守れるなら歓迎しますよ。」(何処からともなく現れるリリ)
謎の紳士ファンクラブ(という名のアサシン関与組織、会員に神も居る)の会員がまた増大していく。
今までのに比べれば長い、そして何書いてんだろ。
FGOのメンテ待ちの手慰み………かな?
書き上げまで約二時間は多分遅いのかな。
文字数的に。
あ、活動報告に思いついただけのネタ(あったら読みたい)とかあります。