もしもベル・クラネルにこんなスキルがあったなら:短編集   作:自堕落キツネ

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『血浴白狼』

 ベル・クラネルがリリルカ・アーデをカヌゥ、キラーアント達から助けて時は流れ、二人はダンジョンへと降りる階段の傍に立っていた。

 

 「それじゃぁ、行こうか。リリ。」

 「はい、ベル様。」

 

 妙に距離が近い、そうまるで恋人同士の距離感で会話している。詳しくは不明だが、助けられてから数日の内に二人で朝帰りをした日があったそうだ。(男は狼なんて言われますね。)

 その朝、不貞腐れているヘスティアに更新をしてもらったところ、憧憬一途(リアリス・フレーゼ)が消え別のスキルが発現した。

 

 『血浴白狼(アイマ・リュコス)

 

 ・白狼に変身できる

 

 ・自身をボスとする群れが大きい程ステータスに補正

 

 ・群れが獲得した経験値(エクセリア)を共有する

 

 ・体に血がかかっている程、五感、野性強化

 

 ・「チャージ・(魔法名)」と唱えることで爪牙に纏う

 

 

 白狼へと変身したベルの背にリリが乗り、階段を使わずに飛び降りる。目的の階層までベルが疾走する間には当然モンスターが居るが、ベルはその速さで即座に振り切る。

 リリのバッグは大きいが容量には上限がある、より良質な魔石を多く求め自分達が行ける限界の階層で稼ぐ為だ。

 途中で戦闘を挟むよりも消耗も少ない。

 ダンジョンを疾走するベルに跨がるリリの姿は、まるでとあるアニメのビーストなプリンセスのようである。

 

 

 ベルの戦闘スタイルは大きく変わった。スキルのお蔭か変身しても服は破けたりせず、装備した防具はキチンとその部位を守ってくれる。神の(ヘスティア)ナイフを咥え、壁や天井をも足場とする高速の一撃離脱(ヒット・アンド・ウェイ)で一撃も喰らわずに相手を翻弄する。余裕があれば戦闘時は離れているリリの方へ死骸を飛ばす程だ。

 時折、店で目についた大剣も使っている。

 

 今ではトラウマだったミノタウロスさえ狩り尽くす冒険者というよりはハンターとなっている。

 ベルをボスとする群れは大きくなっていく。過去にはイシュタル・ファミリアのホーム、歓楽街へと連れ込まれたのだが、並みいる戦闘娼婦(バーベラ)達を全て返り討ちにしたそうだ。特にアマゾネスは強いオスを好む。結果は言わずもがなだろう。(なお、団長はトラウマを植え付けられ部屋で震えているらしい)

 

 オラリオにおける二大ファミリア、ロキ・ファミリアとフレイヤ・ファミリアにも並ぶ程に大きくなったベルハーレム(ヘスティア・ファミリア)は、更に拡大していくだろう。

 

 

 因みに、ベルに特に対抗心を燃やしているのはベートである。外見がウサギの印象を抱かせるベルの二つ名が「魔喰狼(フェンリル)」であることと、アイズの関心を引いている為のようだ。(比率は2:8ぐらい)

 

 ベルは今日もダンジョンに潜る。初めてのパーティーであり、自身を英雄と呼んでくれた少女と共に。

 

 

 群れのボスとして養うために。




たまに、シルのお願いで孤児院でモフられているらしい。

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