灰色の狼ーー職業は武偵!?   作:白牙

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武偵憲章

国際武偵連盟 (IADA) が発足時に作成した「武偵の心得」のこと

1. 仲間を信じ、仲間を助けよ。
2. 依頼人との契約は絶対守れ。
3. 強くあれ。ただし、その前に正しくあれ。
4. 武偵は自立せよ。要請なき手出しは無用のこと。
5. 行動に疾くあれ。先手必勝を旨とすべし。
6. 自ら考え、自ら行動せよ。
7. 悲観論で備え、楽観論で行動せよ。
8. 任務は、その裏の裏まで完遂すべし。
9. 世界に雄飛せよ。人種、国籍の別なく共闘すべし。
10. 諦めるな、武偵は決して諦めるな。

なお、シフはまだ記憶できていない模様


第5弾 前門の狼・後門のセグウェイ

ーーside キンジ

 

クソ!ありえねぇぞ!?こんな状況!!

 

俺は今、自転車を漕いでいる

こんなに全力でチャリを漕ぐなんて何年ぶりだろう……

 

あ、遅刻しそうな時も漕いだし珍しくねぇな

 

時刻は午前の8時くらい。俺こと遠山キンジは、世にも珍しい『チャリジャック』にあっていた

 

 

『スピード が 落ちてきてい やがります もっと 根性を みせ やがれ で やがります』

 

 

俺の後ろにはセグウェイが並走している

ただそれだけならまだ良い

ベレッタで撃ち抜けば良いだけだ

しかし、今の状況は不味い

自転車のサドルの裏にプラスチック爆弾ーーー自動車が消し飛ぶくらいのサイズーーーを、自転車のスピードが下がったら爆発する様に仕掛けられ

並走しているセグウェイに、短機関銃(UZI)が搭載され、常に銃口がコッチを向いていやがる

何度考えても解決策が見つからねぇ

 

 

「お!?あれは!!」

 

 

と、ここで前方に人影が現れた

同じ方向に向かって歩く、帽子を被った武偵高の生徒だ

携帯で会話をしており、何やら文句を言っている様だ

 

だが、そんな事はどうでもいい重要な事じゃない

 

あの生徒は知り合いだ。しかも、ルームメイトでもある

何故か部屋でも帽子を取らない不思議な奴だ

 

だが、これもどうでもいい事だ

 

今重要なのは、あいつの持っている物だ

携帯?いやいや、そうじゃない

その反対の手に持っているレジ袋だ!!

 

あの形は明らかに飲み物が入ってる!!今の状況ではありがたいアイテムだ!

 

 

「いやいや、そんなの出来るわけ無いじゃないですか!?流石に僕でも出来ない事はありますよ!?大体ですね?路上って言ったってかなりの範ーーー」

 

()()!!これ貰っていくぞ!!!」

 

「ーーーーーーーふぁ??……………………はぁ!!??」

 

 

後輩のシフからレジ袋を掻っ払い、中に入っている飲み物を取り出し、他を捨てる

器用に片手で蓋を取り、飲みながらチャリを漕ぐ

そしてーーーー

 

 

「ぶふぅっっっーーーー!??んだりゃ!??」

 

 

 

盛大に噴き出した

 

ラベルを見ると、『新発売!!日本の誇り!味噌茶漬け茶』と書いていた

頭イカれてんだろ!?何だよ味噌茶漬け茶って!!?

確かに日本の料理に味噌……汁か?と、茶漬けはあるが何故それをお茶にした!!!?

どうしてその発想にたどり着いた!?

何でシフはこんなの買ってんだよ!?

あぁクソ!朝から白雪が来るわ、シフはとっとと登校するわ、バスには乗り遅れるわ、チャリをジャックされるわ、変な飲みもん飲んじまうわ…………

 

 

「不幸だぁぁあーーーーー!!!!」

 

『煩いで やがります もっと 早く 漕ぎやがれで やがります』

 

 

…………あ、セグウェイのこと忘れとった

 

 

 

 

ーーside シフ

 

 

僕は今、呆然としている

チャリを爆走させているキンジ先輩

それを追う謎のセグウェイ

奪われ、捨てられ、セグウェイに轢かれてしまった今日のお昼ご飯

その先で、奪われ、飲まれ、罵倒されながら捨てられた『味噌茶漬け茶』

まぁ、最後のは興味本位で買ったからどうでもいいのですが

 

 

『………??どうかしましたか?』

 

「ーーーーーいいえ?何でもありませんよ?」

 

『………ところで、さっきの件ですが難しいのなら断っーーー』

 

「あぁ、その件ですが、目の前を通って行ったので対処出来そうです」

 

『そうですか。わかりました』

 

「はい。それではこれで失礼します」

 

『シフ』

 

「はい?何ですか?」

 

『ただの予想なのですが、ご飯をダメにしてしまったなら、私の分を分けましょうか?』

 

「………………ありがとうございます(泣)」

 

 

やばい、涙出てきました

同じ先輩なのにこの差は何なんでしょう?

 

取り敢えず、する事は決まりました

元々の依頼は、『被害者の安全確保』でしたが、ちょこっと、ほんのちょこっとだけ、イラッ☆と、したのでーーー

 

 

「キィィーンージィクゥゥーーン。あぁーーそびぃーーましょぉーー」

 

 

少し、遊ぶ事にしました

 

 

 

ーーside キンジ

 

 

『あと 少しでも 遅く なったら 爆発 し やがります』

 

「ちょっとハードすぎんだろ!?もっと甘くみろよ!?」

 

 

いい加減疲れてきた

そろそろ限界が近いだろう

一応緊急時の為に、一般人が普段あまり使わない道をメインに走っているんだが、そのせいでシフの後は誰にも会わねえ

しかも、今は上り坂

メッチャしんどい

 

あぁ、喉が渇いた

あのヘンテコ茶もちゃんと飲めば良かったか?

いや、逆に喉が渇きそうだったな。やめて正解だな

 

ーーーそう考えながらチャリを漕ぎ、下り坂に入ろうとした時だ

 

 

「お!?人影発見!?ーーーッ!!!??」

 

 

久々に人影を見つけられた

だがそのひとが、さっき追い抜いた()()だった事に驚いた

 

だがそれよりも驚いたのはあいつの表情だ

 

 

笑っていた

 

()()()()()()()()()()だった

 

だが、眼が全然笑ってねぇ

 

明らかに殺る気(ヤル気)の眼だ

そこまで観察してハッ!と、閃いた

 

 

(さっきのレジ袋、中に昼メシ入ってたんじゃね?)

 

 

や、ヤベェ!?あいつ飯のことになるとメッチャ怒るんだったぁ!?

あぁ、こっからでもわかるぞ。怒りで右腕がプルプル震えていやがる!?

こ、後輩にここまで怖がらされたのは、は、初めてだな(汗)

 

なんて考えてるうちにシフ(死神)との距離が近づいてきた

そして、シフがその手に持った剣を振り上げた

 

あ。死んだなこりゃ

と、考えてたんだが

 

 

「………………ありゃ?」

 

 

いつまでたっても衝撃が来なかった

というか、シフの横を普通に通り過ぎれた

 

疑問に思いながらも後ろを振り返る

 

 

と、

 

 

 

 

ーーーズパン!!

 

 

セグウェイを叩き斬っていた

 

 

そして、こちらを向き、今度はちゃんとした笑顔で、

 

(*^ω^*)b" <ビッ!

 

と、親指を立てた

それを見てまたもやハッ!と、なった

いくら怒りがあったとしても、その相手が危険だったから手を差し出し、助ける

それがシフという武偵だ

そう閃いた時、感動してしまった

たとえ、大切な昼メシを奪われた相手でも、あいつは助けようと思える、立派な武偵なんだ

俺の兄さんの様な立派な武偵なんだ!!

それに比べ俺は奴ら(記者達)に…………

 

いや、そんなことを考えている暇はない!

セグウェイという危険が無くなったんだ後はサドルの裏にある爆弾だけだ!

 

流石のシフでもコッチには気付かなかったのだろう

そう考えながら、前カゴに入っている鞄から、武偵に配布されている十徳ナイフを取り出そうと、前を振り返った時だ

 

 

 

ーーーーー鞄が無い

 

 

絶望した

どういう事だ!!??さっきまであったはずだ!?

しかも、代わりに大量のペットボトルが入ってやがる!?

飲み物欲しかったがこんなにいらねぇよ!?

 

試しに一本手にとってラベルを見る

 

 

 

 

 

『新発売!!これぞ日本の誇り!ぶぶ漬け茶』

 

 

 

何やら見覚えのあるフレーズだった

バッ!と、後ろを振り返る

 

 

(*^ω^*)p"

 

 

親指を下げていやがった

しかも、よく見れば鞄を2つ持っていやがった

 

 

「は、謀ったなぁぁぁあーーー!!?」

 

 

メッチャ怒ってるじゃん!?仕返しする気マンマンじゃねぇか!?

っていうか、あいつ爆弾のこと気付いてんじゃねえか!?

ペットボトルの間に『差し入れです(笑)』って書かれた紙を見て確信したわ!

こんな重い物いらねえよ!!

 

 

「お、覚えていろよぉぉーシィィイーーフゥゥウーーー!!」

 

 

急いでペットボトルを捨てる作業に入る

 

畜生、本当に今日は付いていねえなぁ………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二本だけアク◯リアスと、ポ◯リスエ◯トが入っている事に気づくのはもう少し先のことである

 

ーーーーto be continued!!




魔法の武器

武器に魔法の力を付与する魔術
武器本来の攻撃力に加え、
魔法によるダメージを与えることができる

剣技と魔術は本来異なる技量を有する
メルヴィアの魔法院では、この類の魔術を
異端視するものもいる

シフは、この魔術を使った攻撃は、殺傷能力が高いと感じている為、ライトの代わりに使うことが多い

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