灰色の狼ーー職業は武偵!?   作:白牙

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東京の路上で悪事を働くとき、奴はいつの間にか…どこからともなくやってくる

それに気づいたーーーー気づいてしまった悪人は必ず発狂し、気絶する

その場を逃げられても、奴はあり得ないところからやってくる

奴に攻撃は効かない、避けられるからだ

更に、攻撃した分だけ、動きが盛んになり、悪人は発狂しやすくなる

奴だと見分ける方法はない

だから東京の路上では、悪事を働いてはいけない

これを破れば必ず奴はーーーーーーーやってくる………


第3弾 都市伝説

ーーside シフ

 

 

シフは目を覚ましました

知らない天ーーーいや、知ってる天井です

取り敢えず勢いよく起き上がります

 

 

「うがぁぁーー!」

 

「きゃぁぁっっ!!」

 

「うにゅ?」

 

 

誰か居たようです

 

 

「ありゃ?つぐみ?どうしたの?」

 

「どうしたのじゃないです!いきなり大声を出したりして!」

 

 

『宗宮つぐみ』救護科(アンビュランス)の一年生で、シフがよく怪我をした時にお世話になっている生徒です

 

 

「いきなりライカさんと志乃さんが、運んできた時は驚きましたよ!?()()()何をしたんですか!?」

 

「いやぁ、なんでだらうねぇ?」

 

 

決してとぼけている訳では無く、本心から理解していない様です

と、此処で、シフのケータイにメールが届きました

 

ババァァァァアアン!!

 

この音は『ある人』から来たメールです

直ぐに中身を確認するシフ

中身を確かめて、( ;´Д`)といった顔になりました

 

 

「……?どうしましたか?」

 

「…いや、ただ仕事が入っただけだよ。んじゃ!つぐみ!ちりょーありがとー!」ε=ε=┌( *・ω・)┘

 

 

そう言って窓から飛び出してしまいました

 

 

「…あ、……ここって3階ですよ!?」

 

 

驚いたつぐみの声が保健室に響きました

 

 

 

ーーstage レインボーブリッジ

ーーside 車輌科(ロジ)男子生徒

 

 

「犯人グループの襲撃を受けている!強襲科と狙撃科の応援を早く!」

 

 

不覚だった

まさにこの言葉に尽きるだろう

いつもの様に、ただ犯人を警察まで護送して、警察に引き渡して終わり

それだけしか考えずに居た自分をぶん殴りたい

犯人に仲間がいれば、護送するこのタイミングこそが奪還されやすい、危険な状況だと考えず、楽観視してしまっていた

 

俺達が護送車で、今朝捕まえた犯人達を護送している時だ

後ろから猛スピードで二台の車がやって来た

油断していた為、直ぐにタイヤを撃ち抜かれ、護送車を横転させてしまった

教科で習ったどうりに護送車を盾にする事は出来たが、火力に差があり過ぎる

 

 

「ちぃ!増援来るまで耐えられるか!?」

 

「わからん!ってか、お前も撃ってくれ!!」

 

 

ヤベェな、数や火力に差があり過ぎる。そう持ちこたえられねえぞ!?

 

 

 

 

 

 

 

「ーー強襲科だけでもいい?」

 

 

 

そんな時だ。上空から女の子ーーー神崎の声が聞こえたのは

 

 

神崎は空挺ワイヤーでスイングしながらガバメントで奴らの銃を正確に撃ち落としていった

流石はSランク、直ぐに落とした銃を撃ち抜き海に落とすのを忘れない

 

 

「あと4人ね。怪我人は!?」

 

「頭打っただけだ!問題ねぇ!」

 

 

護送車を盾にする様に着地し、もう一丁のガバメントを取りながら聞いてくる

 

 

「他の増援は!?」

 

「あたしだけよ!上に後輩がいるけど多分来られないわ」

 

「なんだそりゃ?まあいい、援護はいるか!?」

 

「牽制だけお願い!」

 

 

よしきた!と、マガジンをリロードして神崎が動くのを待つ………

相棒もリボルバーに弾を込め、タイミングを計る

………俺のリロードはレボリューションだ!!って言ってるが頭打っておかしくなったのか?

 

神崎が動き出す!それと同時に俺たちも射線の通る奴らに牽制をする

当てようと焦るな。怯ませるだけでいい!

あとは、神崎がやってくれる!

 

近くに居る奴の銃を撃ち落とし、その影に隠れる様にして奥からの射撃を避ける

跳び蹴りを喰らわし、敵を認識すると同時にガバメントが火を噴く

追加で2人の銃を撃ち抜き、無力化する

 

残りの1人は、影に隠れてしまったがほぼ、無力化したと考えていいだろう

 

 

「もっと良い銃を持って来なさい」

 

 

神崎が余裕な表情でそう言うのが聞こえる

ーーー緊張感が切れ、集中力が切れたのを狙ったのだろう

 

 

「死ネーーっ!!」

 

「「「っ!?」」」

 

 

死角から神崎に向かって無力化した男が、オープンカーをぶつけに来た!!

ヤバイ!アレは避けられねぇ!!!

 

 

「ーーあぶないっ!!」

 

 

当たる前に、また上から女の子が飛び降りてきた

神崎を蹴り飛ばし車の進行方向から弾き出す!

だが、その女の子は、神崎の身代わりになる様にーーー

 

ーーーズドンッ!!

 

ーーーー車に撥ねられた

 

 

「うわぁっ!」

 

 

フロントガラスが割れ、運転手が、驚き、車がスリップする

ブレーキは、間に合った様で直ぐに止まった

 

 

「ーーーあかりっ!!」

 

 

恐らく、神崎が言っていた後輩だろう

直撃だった

くそっ!最悪だ!あのスピードはマジでヤバーーーー

 

 

 

「ッ〜〜〜!!ぃいったぁああーーいぃ!!」

 

「「「「ふぁ!?」」」」

 

 

あ、あれ!?思ったより元気だなおい!?

神崎もビックリしてんぞ!?

 

 

「ちぃ!潮時だ!トンズラこくぞ!」

 

 

………ハッ!!ヤベ!忘れてた!犯人逃げてしまーーー

 

 

「キーはここ!!」

 

 

……車の鍵?

………まさか、ぶつかった時に取れたのか!?

ラ、ラッキーな奴だな

 

 

「ちっ!鯢!!スペア使え!」

 

 

げっ!?スペア持ってんのかよ!?

近くに居た別の男がキーホルダーのついたキーを投げる

おい!?なんだあのキャラクター!?クト◯ルフか!?なんでクトゥ◯フ!?

 

キーは綺麗な放物線を描き、運転手の手の中にーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーピュンッ!

 

 

 

 

ーー届きませんでした

 

 

ーーside あかり

 

「ーーーーえっ?」

 

 

あかりは呆然として居ました

犯人がスペアキーを持っていたからではありません

キーについているキャラクターが見慣れない物だからではありません

 

ーー投げられたキーに何かが当たり、弾かれたからです

 

 

「だ、誰だ!!?」

 

 

犯人達が投げられた方向を向きます

先輩達もそちらを向きます

ですのて、あたしもそちらを向きました

 

……………

………

 

誰も居ませんでした

転がる空薬莢や、穴の空いた道路、犯人達が乗ってきた車2台しかありませんでした

 

沈黙が続きましたが、ふと、何かに気づいた車輌科の先輩と、車に乗ってる犯人が同時に言いました

 

 

3()()()なんていなかったぞ!?」

 

「おい!あんな車に()()()()()()()()!?」

 

 

先輩の言葉でハッとしました

そうです。犯人達は()()の車で護送車を襲ったのです

上から確認したので間違えありません

あかりを轢くのに使われた所々凹みがあるオープンカー

車輌科の生徒の牽制射撃が当たり、銃痕の目立つボックスカー

では、この()()()()()()()()()()()()()()()()()は誰が……いえ、()()()()あったのでしょう

 

 

「ッ!!喰らえッ!!」

 

 

無力化されていなかった犯人がアサルトライフルを撃ちます

しっかりと腰で構えたアサルトライフルから放たれた弾丸は真っ直ぐと灰色の車に飛んで行きーーーー

 

 

ーーーピョン

 

 

「「「「「「「「「「はぁ!?」」」」」」」」」」

 

()()()()()()()()当たりませんでした

 

 

「は?えっ、ちょま、く、車が跳ねたぁ!?」

 

「はぁ!?なんだありゃ、ってうわぁ!コッチきたぞぉ!早く撃てぇ!!」

 

「う、うわぁぁ!!」

 

 

犯人達は大混乱です

唯一武器を持っている犯人が攻撃しますが、軽やかなサイドステップで躱されてしまいます

そしてーーー

 

 

ーーガチンッ!!

 

 

「……ぁっ………」

 

 

遂に弾が切れてしまいました

表情を見るに、予備のマガジンはない様です

さらにキーを探していただろう轢き逃げ犯も近くにおり、青ざめた表情をしています

 

ピタッ!っと、車が止まりました

犯人達がビクッ!!っと反応します

 

ススッ、と車がゆっくり動きます

ササッ、と犯人達が下がります

 

ピタッ!っと、車が止まりました

犯人達がビクッ!!っと反応します

 

しばらく沈黙が続きます

犯人達も黙って車を見つめます

 

ーーーギューーーンッ!!!

 

「「「「「「ギャァァーーーーァア!!」」」」」」

 

急発進した車に対して皆さんが横に転がって避けます

負傷者はいない様です

 

ピタッ!!と、車が止まりました

皆さんが転がった状態のまま、車の方を向きました

するとーーー

 

 

ーーーギュルンッ!!!!!

 

「「「「「「ヒィッ!!」」」」」」

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

ーーピョーンピョーンピョーン

 

「「「「「「あがががががッ!!」」」」」」

 

 

飛び跳ねながら皆さんの方に近づき、円を描く様に飛び跳ね続けてしまいました

 

 

やがて、精神が耐えられなくなったのか、1人、また1人と、気絶していき、遂には全員寝てしまいました

 

 

「「「「………」」」」

 

 

一方の武偵組ですが、何もアクションを取られませんでした

流石に非常識すぎて頭の整理が追いついていない様です

 

やがて車は止まったかと思うと、

 

 

ーーギュルンッ!!

 

 

と、こちらを見たあと、

 

 

ーーギュルンッ!!

 

 

と、踵を返して走り去ってしまいました

 

 

 

 

これが、後に語られる、都市伝説ーーー立体駆動型普通乗用車と、神崎・H・アリアと、間宮あかりのファーストコンタクトでした

 

 

ーーーーto be continued!!




魔術 擬態

いつのものとも知れぬ古い魔術
自らの姿を、場所に応じた何かに変える

見えないものを怖れるのは臆病者
見えるものを信じすぎるのは愚か者

その場に応じたオブジェクトに変身する
女の子が強化しており、攻撃を受けない限りは、変身が解ける事はない

また、立体駆動型普通乗用車が出没している間はシフの姿を見た人が居ないらしい



……………何故だろう??

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