灰色の狼ーー職業は武偵!?   作:白牙

18 / 19

前話のラストがしっくりこなかったのでちょっと変えました。



第4弾 銃弾弾きは狙撃科の基本()

side シフ

 

『んじゃま、早速行くぜ!!』

 

無線機越しにライカの声を聞きながら、ターゲットを見る。

標的に射線が通った瞬間を狙い矢を放つ。

しかし飛んで行った矢は、ライカ達がいる部屋の窓あたりでお姉ちゃんの撃ってきたゴム弾にぶつかって弾かれた。

 

「ちぇっ、簡単にはいかないかぁ」

 

なんてつぶやきながらも、矢を放つ手は休めない。

時折、二本矢を弓に掛けて放つも、お姉ちゃんのゴム弾はその両方を撃ち落とす。

 

「……やっぱ、人間業じゃない……というか、何で一発で二本の矢を弾けるのさ」

『弾が一本目で弾かれた先に二本目がくるように調整しただけですよ』

 

思わずぼやいてしまった小言に、無線機ではなくスピーカーモードにした携帯からお姉ちゃんの説明する声が聞こえてくる。

 

「いや、二本目の位置なんて分かりっこないでしょ?」

『初見の相手なら無理ですが、身内なら9割は弾けますよ?』

「何それ怖………あ、でもゴーさんは初見でもできるかも」

『……むぅ』

 

かつて、盲目になりながらも大空を羽ばたく竜を射抜いた巨人のことを思い出しながら、援護射撃を続ける。

 

『うりゃ!』

『この!』

『そこっ!』

『甘いわよ!』

 

肉眼越しに戦闘を見て乱戦になってしまったタイミングで矢を放つのを休める。

 

「……このタイミングでお姉ちゃんいける?」

『いけますが、これは測定なので今回は撃ちませんよ』

「うへぇーーマジかぁ」

 

お姉ちゃんの手腕にゲンナリしつつ、弓を引き絞ってタイミングを待つ。

ってか、何で僕の狙撃の限界が分かるのさ。

 

『っしゃあ、捕まえた!』むにゅ

『腕、抑えました!』むにゅ

『……』イラッ

『2人ともナイs『ウラァッ!!』うぇえっ!?』

『『きゃあ!』』

 

上手くライカと志乃がアリア先輩を捕らえたけど、急にイラついたアリア先輩に弾き飛ばされた。

 

『チッ、その袋ムカつくわね。……もぎ取ってやろうかしら』

『『ひぃっ!?』』

『あっははは……(目がマジだよぉ…)』

『ひっ…』

『…?レキ、どうかした?』

『な、何でもありません』

 

2人の胸を見て手をワキワキというか、ガシガシするアリア先輩を見て3人の……じゃなくて、4()()の表情が引き攣るのが想像できた。

 

「チャーンス!!」

『うわっ!?』

 

すぐさま二本の矢を射抜くが、右手の黒いガバメントを弾くだけに終わった。

 

「ごめん、片方だけだ!!」

『じゅ、十分だ!あかり、志乃!上下だ!!』

 

ライカがまた背後を取ったのを見て、矢を放ちお姉ちゃんの援護射撃を弾く。

 

「へへーん、僕らの勝ちだね!」

『……まぁ、相手が普通ならですがね』

「ふぇ?……ってあっ!?」

 

弾くことに集中していたら、いつの間にか逆転されていた。あかりを狙っている白いガバメントを狙うが、お姉ちゃんに弾かれる。

 

と、ここでチャイムが鳴って検査終了になった。

うーん、コレは……

 

「評価はどれ程でしょうか?」

『……まぁ、A+(エープラス)ってトコでしょうか?ガバメントを弾いたのは素晴らしかったですが、その後の油断が駄目でしたね』

「…あい」

 

やっぱそうだよね。あそこで油断してなかったら援護出来たかもしれないんだし。

 

『あっちのチームは多分B+ぐらいでしょう。ライカさんは中々でしたが、後の2人が少し足を引っ張ってました。』

「うへぇ、よく見てるねぇ」

『当然です。……まぁ、室内では刀を十分に振り回せられませんし、あかりさんについては……』

「……?どしたの?」

『……いえ、何でもありません。どうやら、あちらはお風呂に入るみたいですが、私達は先にレポートを提出しましょうか』

「おっす」

 

 

side あかり

 

「はぁ、結局勝てませんでしたね」

 

ため息をつきながら志乃ちゃんがそう言います。

 

「ありゃチートだぜ。捕まえてもスルスル逃げられるしな」

「うん……やっぱ遠いなぁ……」

 

分かっていたことだけど、Sランクの武偵はやっぱり強い。

何度やっても勝てる気がしないや。

 

「こりゃ、評価は悪そうだな」

「そうでもないわよ?」

 

ボヤきながら天井を見上げるライカに近づきながらアリア先輩はいった。

 

「B+ってとこね。あんた達は息ぴったりだったし結構苦戦したわ。最後は銃を弾かれたのもあったし、かなり焦ったわよ?」

「「「本当ですか!!」」」

 

えぇ、と湯船に浸かりながら言われ、あたし達は手を取り合って喜んだ。

 

「やった!やったね2人とも!」

「はいっ!やりましたね、あかりさん!!」

「よっしゃ!この調子で……ってあれ?」

 

ライカがキョロキョロと周りを見ながらアリア先輩に尋ねる。

 

「そういや、狙撃科の2人はどうしました?シフはともかく、レキ先輩が見当たらないんっすけど」

「あぁ、アイツラなら先にレポートを出しに行ったわ。お風呂には自室で入るんだとか」

 

あ、そういえばあたし達の検査中に窓が割れたり、外から矢が飛んできたりしたね。あれって、やっぱりシフくん達なんだ。

 

「というか、あのシフって奴本当にEランクなのよね?レキの狙撃を弾くわ、あたしの銃まで弾くわでかなり予想外だったんだけど」

「「「あ〜〜……」」」

 

その言葉を聞いてあたし達は微妙な顔になった。

うん?と、首を傾けてこちらを向くアリア先輩にライカが口を開いた。

 

「あいつ、目とか手先は器用なんっすが、銃の硝煙の匂いが嫌いみたいでして」

「ランク検査の時は弓矢を使っちゃいけないと勘違いしたらしくて銃で検査を受けて…」

「結果、最初の射撃以外はほとんど外してしまって、Eランクになったそうです」

「……あいつアホね」

 

あはは……と、苦笑いしながら目をそらす。

シフくんは意外と抜けてる所があるからなぁ…。

 

「ま、それは置いといて、あんた達のチームには誰か参謀役が必要ね。チームワークと狙撃手は優秀なんだけど、作戦がちょっと稚拙ね」

「……あい」

 

ライカ(今までの参謀役)がガックシしながら返事をする。

………というか

 

「シフくんはチームには入って無いんですけどね」

「え゛そうなの!?」

「はい」

「仕事とかは一緒だけど、チームには入れないらしいんすよ」

「何でも、厄介ごとに直ぐに行動する為らしいのですが」

 

ーーto be continued !!




防弾シューズ

電気でツボを刺激してキック力をあげるシューズでは無い。
名前では防弾シューズだが、実際の性能は【防弾・防刃・防火・防水・バネの力・カーブで差をつける】といった感じ。
装備科のある生徒が自作したシューズで、お値段は30,000円ほど。
素材は不明で、加工方法も不明。
素材の提供者はシフなので、危険なものは使われてないだろう……たぶん。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。