灰色の狼ーー職業は武偵!?   作:白牙

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第3弾 粉☆バナナ‼︎

side シフ

 

「……くっ、認め……られるかぁ!!」

「認めなさい。それがあなたの限界です」

 

僕が啖呵を切っても目の前の女の子はそう切り捨てた。

全く動じることのない冷たいその目は、まっすぐにジトーーと僕を見つめる。

 

「こんな……こんな事があるはずがないっ!!粉☆バナナ(これは罠だ)!高密に仕掛けられた罠だっ!」

「…機材は正常。そして……()()()()()()()()()()()()()()

「ぐっ!?」

 

そうだ……例え機材に細工が仕掛けられていても、この人の目を狂わすことなど出来るはずがない。

ならば……認めるしかないのか…。

 

「い、いや、いやだ!僕は認めないぞっ!こんな結末認めるわけにはいかないんだっ!!」

「……時間がもったいないですね。あとが詰まって居るので終わりにしましょう」

 

そう言って彼女は手に持った道具を操作しだした。あぁ、このままでは……

 

「や、やめ、やめろぉぉお!!」

 

しかし、無常にも彼女が止まることは無かった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1年A組 シフ 〔身長:138cm〕

 

 

 

 

〜〜〜〜

 

「………ぐすん」

「去年から1mmも伸びてませんでしたね」

「……言わないで」

「私に『僕の成長を見せてあげるよ!』と言って来たので、期待したのですが……」

「……もうやめてよぉ…」

 

僕のライフはもうマイナス4000だよぉ……

 

ーー身体測定。

それは1年に一度、僕たち、ちびっ子同盟にとっての厄日のようなものだ。明かされる身長。成長しない身長。他人の成長を見せつけられ、己と見比べられ、贄に(笑いの)されるその恐ろしい日はまさに厄日と言っても過言ではない。

 

「おかしいよ…。ロン◯ン牛乳毎日飲んでるのに……」

「…まぁ、噂は噂ですしね」

「……ぐずっ」

「……はぁ、終わったらブラッシングしてあげるから元気出しなさい」

「えっ!本当!?」

 

引率の先輩ーーレキお姉ちゃんにそう言われ、僕のテンションが上がるッ!!

さぁ!次に行くぞ!えっ?ちょろい?知らん!早く次行こう!

 

 

※以下より音声のみでお送りします。

 

〜〜視力検査〜〜

 

「これは?」

「右」

「こっちは?」

「斜め右上」

「では、この文字は?」

「…な」

「ふむ…、一応1.0はありますね。では場所を変えましょうか」

 

〜狙撃科棟屋上〜

 

「駅前に止まって居るタクシーのナンバーは?」

「33–04」

「今、武偵高前に着いたバスの運転手のメガネの色は?」

「黒」

「少し待っててください」ガチャッ

 

ーータァーーン

 

「今、木から飛び出した鳥の中で雌の鳩は何羽?」

「……5羽」

「正解です。では、今降り立とうとしている飛行機の左窓側最前列の人の性別は?」

「………男の人」

「残念、誰もいません。視力は変わってないようですね」

↑お互いに肉眼

「姉ちゃん、なんかこれ測る種類が違う気がする」

「仕方ないじゃないですか。私たちの視力を測定する機材なんてあるわけないですもん」

 

 

〔視力:4.5〕

 

〜〜聴力検査〜〜

 

「今から足音を流しますので、人数を特定してください。詳細まで分かれば追加点です」

「おす!」

 

ーーーコツーーコツーコツーー………

 

「………」

「……以上です。ではどうぞ」

「計五人。縦一列で歩いている。先頭、二十代男性で防弾チョッキにアサルトライフルを持ってるね。次が三十代後半の男性で長ドスに下駄を履いている。3人目が二十代の女性で松葉杖をついてるね。4人目は車椅子に乗っていて詳細はわからないけど多分女性。………そして最後!!裸足にポテチ食べながらタップダンスしつつカバディカバディ言いまくってる八十代のお爺ちゃん!!」

「ふむ、完璧です。流石ですね」

「いや待って、最後のおかしいよね!?なにしてんのこのお爺ちゃん!20秒くらいしたらぜぇぜぇ言い始めてたしっ!!」

「ちなみにこの中で酔っ払いがいたそうですが…」

「最後に決まってんじゃんッ!!」

 

 

〔聴力:S〕

〔聴音分別:S〕

 

〜〜AA組合流〜〜

 

「「あっ」」

「…ん?あら、レキじゃない」

「どうもです、アリアさん」ペコリ

「げぇっ!女王だっ!」

「…で、そっちは……」ギロリッ!!

「ひぃっ!?」

「…ん?おお、シフじゃんか」

「え?シフくん?」

「む、シフさんですか」

「ら、らら、ライカにあ、あああ、あかりにし、し、志乃じゃんか」

「…今度はなにしたんだお前?」

「僕じゃないよ!この先輩が僕のルームメイt「ジャキッ」やっぱ何でもないだから銃下ろして睨まないで刀抜かないで踏み込まないで拳握らないでっ!」

「……アリアさん、今度はなにしたんですか?」

「え、ちょっとレキ!?何であたしまで!?」

「……はぁ、ちょっとお耳を拝借」

「な、なによ?」

「クラスでの挨拶がわりに発泡。教務課で気になる男子の身辺調査。しまいには武偵高周辺のももまんの買い占め」ゴニョゴニョ

「き、気になってなんか無いわよ!?」

「それで、()()()一体何をしでかしたのですか?」

「うぐっ」

 

「……」ジトーー

「あかり〜、今すっごい目をしてるよ?」

「まるで嫉妬したあげくにナイフで刺してあたしも死ぬとか言いだしそうな目だな」

「それ僕が結構困るんだけど…」

「ぐぬぬぬぬ……。あかりさん!先に行ってしまいましょう!!」

「…えぅ!?志乃ちゃん!?ちょ、ちょっと待って、引っ張らないで〜!?」

「んじゃシフ、あたしらも行くか」

「あいよー、お姉ちゃん先行ってるね〜」

「えぇ、分かりました。すぐに吐かせますので大丈夫ですよ」

「大丈夫じゃ無いわよ!!……って、え?お姉ちゃん?」

「…さて、後輩達も先に行ったのでプライドを傷つけて行くレベルの質問もしていきましょうか」

「いや、それより、あ、あんたの弟?戦姉弟じゃなくて?」

「話をそらさないで下さい。先程はとぼけましたが、出会って1日の男性相手に奴隷宣告は酷すぎますよ?」

「え!?あんた知ってたの!?」

 

「んで、シフ?何でレキ先輩と一緒だったんだ?」

「身体測定の引率して貰ってたの」

「……もしかして戦姉妹か?」

「YES」

「へぇ〜……Sランク武偵はEランクの後輩を持たなきゃいけねぇのか?」

「さぁ?お姉ちゃんとは縁があっただけだし、あかりは実力でのし上がったんだし、関係ないと思うよ?」

「ってか、お姉ちゃんって…。まぁ、そこは置いといて、何でお前1人なんだ?」

「お姉ちゃんシャイだから」

「んなわけなねぇだろ。………え、マジ?」

 

 

〜〜三半規管検査(?)〜〜

 

「「ばたんきゅ〜」」チーン

「あかりに志乃は3分で脱落ね」

「取り敢えずバケツを持ってきたのでアリアさんみたいに吐いてもいいですよ?」

「あたしは物理的には吐いてないわよ!!」

「あ、結局吐いたんっすね」グルグル

「ま、お姉ちゃんに勝てるわけないでしょ」グルグル

「……あんたら余裕そうね。じゃ、もう三段階速くするわよ」ポチッとな

「「え?」」

 

 

 

まーわるーまーわるーよじだいーはまーわるー♪

 

 

 

1年A組 佐々木 志乃 〔三半規管:3分7秒〕

1年A組 間宮 あかり 〔三半規管:3分25秒〕

1年A組 火野 ライカ 〔三半規管:3分58秒〕

1年A組 シフ 〔三半規管:4分35秒〕

 

〜〜〜〜

※ダイジェスト終了

 

 

 

 

「「うっぷ」」

「2人とも大丈夫?」

「「だ、だいじょばない。問題だ」」

「これは重症ですね…」

 

うぇっぷ……。気持ち悪ぅ。3倍速っておかしいでしょ?なんであんな速度が出るんだよぅ。

 

 

「……さて」

 

ヨロヨロと僕らが歩いていると、おもむろにお姉ちゃんはケータイを取り出して軽く操作し出した。すると、少しして僕のケータイに着信が入った。一応取り出して確認すると、案の定お姉ちゃんからだった。内容は……

 

「…?……!」

「あれ?どうしたのシフくん?」

 

「……アリアさん、私たちはここで別れさせてもらいます」

「え?最後の()()はどうするのよ?」

「私達は外で行います。……チャンネルは1番で」

「…!そういうことね。分かったわ」

「では、後ほど。シフ、行きますよ」

 

「わ、分かった!ちょっと待ってて!」

「あら?シフさんとはここでお別れですか」

「なんか嬉しそうなのはスルーするとして………ライカ、C2ね」

「ん?……なんかあんのか?」

「多分必要になるから……じゃ、また後でねー!」

「え?あ、ちょっとシフくん!?」

「シフさん?」

「……また()()……か」

 

 

ーーside 引率者

 

「さてと、確かこの部屋だったわね」

 

入りなさい。と、後輩たちを中に入れ、ドアと鍵を閉める。

 

「女の子の部屋みたい……」

「こんな訓練室もあるんですね…」

「……」

 

……。状況判断ができてるのはライカくらいね。

あかりは部屋を見回してるだけで警戒やトラップの確認はできてない。

志保は違和感は感じてるけど戸惑ってるだけで行動は起こしてない………っていうか、あかりばっかし見てるわね。

ライカの方はちゃんとあたしを警戒してるみたいね。鍵をかけたのにも気づいたみたいだし

 

「さて、着いたし早速始めるわよ」

「「え?何をするんですか?」」

「……!」

 

うーん……。このまま始めてもいいけど、ライカが気がついているのって多分シフに何か言われたからよね?

それじゃあちょっとフェアじゃないし……しょうがないわね。

 

「武偵高の恒例行事みたいなものよ。武偵高名物ーーー」

 

〜〜運動神経測定(マッスル・リベンジャー)〜〜

 

「「!!」」

「……」ゴソッ

 

流石に雰囲気に気がついたみたいね。減点は無しにしてあげるわ。

ライカは…ちょっと残念、得物を構えるのはいいけど予想されちゃうわよ?

 

「この検査はね、引率をさせられた先輩たちのストレス解消も兼ねてるの」

「ス、ストレス解消……///」

「アンタ今何考えた!?」

 

た、たまにこの子は頭がお花畑になるわね……。

 

「こほん、室内を想定した格闘戦よ。普通は1人づつだけど……今回は特別よ。全員でかかって来なさい!!」

「「っ!!」」

「へッ!甘く見てくれるぜ!パターンYだ!」

 

あかりと志保が前に、ライカ自身が後ろに回る……。まぁ、1対3だったらそう動くわよね。銃はあかりだけみたいだけど、うまくお互いから射線を外してる。

でもね、ライカーー

 

「ーー()()()危険よ?」

 

何の為に()()()()()()()()()()()()と思ってるのよ。

 

「………レキ」

『了解です』

 

ーータアァァーーーン

ーーパリン!!

 

「「えっ!?」」

「安心しなさいーーゴム弾よ」

 

ガラスが割れる音で2人も気づいたみたいだけど、もう遅いわよ。

あの子の速射の速さと精密性はとんでもないからね。これで1人目が脱ーーー

 

ーータアァァーーーン

ーーギン!

 

ーー落ね。って、えっ!?

 

『……銃弾、パリィされました』

「うっそぉ!?」

『……ふふ、腕を上げましたね』

 

 

レキが狙撃を外すなんて……!

いや、パリィされたって言ったし……外させられた!?

でも、ライカが動いた気配も無いし………もしかしてあの子!?

しかも、レキはレキで今まで私が聞いたことのないくらい優しい声で呟いてるし……。

 

 

「ーーへ!残念ながらも、こっちだって優秀な狙撃手はいるんだよ!!」

『うひゃー!あっぶな!ゴム弾で助かった〜〜』

「頼りねぇけどな!!」

 

 

ーーto be continued !!




シフの使う古代の武器について

シフが使う武器の多くは古代ーー前世ーーの武器です。
発注元はアルトリウスの墓の付近にある武器です。

長年守り続けて来たその土地は、シフの全てであり宝である。
その土地には、騎士たちの魂の結晶とも言える武器たちが眠っている。英雄の騎士の墓を荒らす者たちの魂の結晶も………。
今の管理者がかの白猫であるのと、英雄の騎士の墓の隣に彼の墓があるのは、今のシフには知る由もない。

シフが古代の武器を使う為にはソウルを消費し、墓にソウルを接続する。その後、接続した範囲内で武器とソウルを交換しソウルの中に武器を収納する。収納した後は自由に使うことができる。


簡単な解説(ゲームのような解説)

1.ソウルを使ってお店の商品を増やす
2.増えた商品の中から好きな商品を選ぶ
3.選んだ商品をソウルを使って買う
4.買った商品は自由に使える



アルトリウスの墓って、何処ぞのアーチャーさんの心境に似てるような…… ボソッ

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