灰色の狼ーー職業は武偵!?   作:白牙

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マガジン2
第1弾 食い逃げ犯とストーカー


ーーside シフ

 

 

 

ーー遠山 金次。

 

僕のルームメイトの2年生だ。

探偵科のEランクで、射撃の腕や、推理力は一般人並み。

さらに、貧乏性らしく、まともなお昼ご飯を食べられるのが珍しいくらいお金がないらしい。

これだけ聞くと、唯の貧乏な一般人に聞こえるよね。

 

 

ーーだけど……

 

「よぉ!キンジィ!まだ死んでなかったのかぁ!」

「お前こそな、夏美」

「お前は絶対帰って来るって信じてたぞぉ!」

「さぁ!ここで1秒でも早く死んでくれ!」

「お前こそ、俺よりコンマ1秒でも早く死ね」

「キンジィ〜!」

「キンジ〜!」

「昼行灯〜!」

「ネクラ〜!」

「ビンボー!」

「おいこら、後半3人!急に悪口になったな!」

 

「………なぁんか、すんごい人気者なんだよなぁ〜」

 

二階から揉みくちゃにされているキンジ先輩を見ているシフです。

いや〜、それにしてもすごい人気だね!1人2人が気付かれただけで、ほぼ全員が顔を見に来ているんだもん。チョロっとだけど、あの蘭豹先生まで見に来たしね。

 

「Eランクの先輩とは思えない人望の厚さですよねぇ」

「Eランクの後輩くんがやったとは思えない熱さを発してるんだよねぇこの機械」

「普通あそこまで慕われます?抜けた人間が」

「普通あんなに走るかな?狙撃科の人間が」

「こりゃぁ、絶対訳ありですよ」

「キミ、絶対頭おかしいよね?」

「………」

「………」

 

………なんか、すんごい目で見られてるんですけど(汗だく)

い、いや、確かにやり過ぎだとは思うよ?いくら鍛え直す為だとしても、スパークするまで走ったら壊れるんじゃない?って思ったよ?

でもさ、やめ方が分かんなかったんだよ(切実)

軽いスピードだったらスイッチ押して止められるけど、あの速度は無理だよ!

全力疾走中だよ!?気を抜いたら足取られて、ベルトコンベアみたいな奴とファーストキスからの顔面チェーンソータイムだよ!?

嫌に決まってるじゃ無いか!みんなだってそう思うでしょ?

少なくとも僕はーー

 

「ベルトコンベアとファーストキスなんて嫌だよ!!」

「いや、そっちなのかい!?どちらかって言うとチェーンソーの方がやばくないかい!?」

「青春は一度しかこないのです!」

「いや、意味がわかんないよ!?」

 

分かってない!分かってないよこの先輩は!!

だって、ファーストキスだよ!?普通、初恋の人とかとやりたいものじゃん!

お姉ちゃんが言ってたもん!初めては恋した人とだけしなさいって!

 

「…取り敢えず…ほら、コレ」

「ふえ?お手紙ですか?郵便受けはあっちですよ?」

「請求書でございます」

「お振込はあっちのコンビニで出来ますよ?」

「キミが振り込むんだ!」

「なんと!?コレは………振り込め詐欺か!?」

「キミがボクの発明品を壊したんだろう!?」

 

デスヨネー。いや、予想はして()()()()よ?

ただ、時々お姉ちゃんが見せて来て、「一体何をして来たのですか?依頼したのはわたしですが、サポートの依頼だけで車8台以上の大破はおかしいですよ?この請求書はどうしたらいいのですか?」って言いながら、僕のお小遣いを減らす時にいつも見せて来くる紙に似てたからソレかなぁ?って思ったんだけど…

 

「ソレって拒否できます?」

「4月☆日1705、容疑者確保」

「オッケー、分かった、分かりました!理解しました!覚えました!!だから待って!!それ仕舞って!!」

 

請求書は拒否できない。

新しい知識を得ました。

僕は賢くなりました。

 

請求書を手に入れました。

僕のお小遣いが亡くなりそうです。

ダレカタスケテ

 

「………あっ!コレって返品できまs」

「……」カチャ…(手錠を取り出す)

クリーニング(クーリングオフ)できm」

「……」パシッ…(手を取る)

「待って!ごめんなさい!?振り込みます!!」

 

請求書は返品できない。

新しい知識を(ry

 

 

〜〜〜〜(´・ω・) ションボリ、フラフラと

 

 

「あ〜、ひどい目にあったぁ〜」

「何やってたんだ、シフ?珍しい顔してるぜ?」

「ひどい顔なら分かるけど、珍しい顔?なんでさ?」

「いつも能天気なお前には似合わねえってことだよ」

 

そんなに普段、のほほんってしてるのかな?と考えながら、先輩とのやり取りを終えてライカの元に歩み寄る。

因みに金額は、一ヶ月のお小遣いの何倍もありました。

その癖に支払いは今月まで……おうふ

 

「ライガぁ〜、お金稼ぐの手伝ってぇ〜」

「そこで直接金を借りないところは評価するぜ。で?依頼はなんだ?」

「ありがど〜〜。ソデはこれからみづげるよぉ」

「の前にほれ、コレで顔拭きな」

 

差し出されたハンカチを受け取り、顔を拭く。

うわ、汚!?僕ってどんな顔してたんだろ?

 

「あ〜、洗って返すよ」

「別にいいって、それより、さっさと依頼板見に行こうぜ。あかりも行っちまったしな」

「あり?そいえば、あかりは?」

「先にあがったよ。シフに『頑張れ』って言ってな」

「それどっちの意味だろ?」

「さてな、今となっちゃひどい皮肉だよな」

 

違いないや。苦笑いしつつもう一度一階を見る。

ちょうど、キンジ先輩が強襲科の軍団から抜け出したところだ。

追いかける強襲科の軍団と、ベレッタで牽制しつつ逃げるキンジ先輩。

どちらも笑顔(?)で追い、追われるその様は、仲間同士のじゃれ合いの一環だろう。

 

ーーあぁ、本当に

 

「ーーこの時代は平和だね〜」

「ん?なんか言ったか、シフ?」

「んにゃ、独り言さ」

 

 

 

〜〜〜〜(=^▽^)σ コレにしようよ!

〜〜〜〜(`・ω・´) ま、2人ならこんなもんか

 

 

 

「……一体あたし達は何をやってんだろうか」

「ん?どしたのライカ」

「なぁ、シフくんよ」

「何かな?ライカちゃん」

「あたし達は今日、仕事の依頼をしていたよな?」

「うん、そのとうりだよ」

 

唐突にライカが僕に質問してくる。

一体どうしたのだろうか?

 

「あぁ、だよな?連続して食い逃げ被害にあったラーメン店の警護を2人でしてたんだよな?」

「そうだね。結局、犯人を捕まえられて早めに終わったんだよね」

「あぁ、そうさ。犯人()は簡単にーーってか、到着早々逮捕出来たんだったな。」

「うん!ラクショーな依頼だったね!」

「ラクショー……ねぇ」

 

 

〜〜〜〜(=゚ω゚)ノ 海藻(回想)タイム!

 

ーーガラガラ(戸を開く)

 

「こんにちわ〜!食い逃げ犯を捕まえに来ました!」

 

ざわっ……

 

「おいコラ!あぁ、すいません営業中に、武偵の者です。」

 

ざわっ…ざわっ……

 

「い、いえ、助かります。それで、依頼の件なのですけど……」

「はい!今から見張りますので、安心して下さい!犯人はぎったぎたんにしてやります!」

 

ざわっ…ざわっ…ざわっ……

 

「シフ、ちっと落ち着け。すみません、警護中は大人しくさせますので…」

「い、いえ、その、食い逃げ犯なのですが…」

「…?どうかなさいましたか?」

「い、今、この店にいるんです」

 

ビクッ!?

 

「……どいつですか?」

「…ライカ、突る(とつる)(突撃する)?」

「いや待て、特定が先だ。それで店員さん、どの客が犯人でしょうか?」

「……」

 

……………

 

「……んです」

「ッ!?」

「…?もう少し大きな声でお願いします」

「ま、マジかぁ」

「シフ、ステイだぞ。もう一度お願いします」

 

………ドクン……ドクン……

 

「ぜ、全員です…」

「……へ?」

「い、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!!」

 

「ヤベェ!!バレた!?逃げろ!!」

 

「ちぃっ!なんで武偵が来てるんだよ!!」

 

「もうダメだぁ、お終いだぁ…」

 

「坊ちゃん!逃げるよ!早くしな!!」

「むぐ、待ってよ、もうちょっとだけ……」

「逃げなきゃマズイでしょ!?この食いしん坊が!!」

 

「食べる時はね、何というか救われてなくちゃいけないんだ」

「食べ終わった時はどうするんですか?」

「救いなんてねェよ。各自自由行動で」

「おっす」

 

「ニィゲルンダヨォォオ!!!」

 

「足を交互に全力で動かせ!!」

 

 

〜〜〜〜(・ω・`) そんな事があったなぁ

 

 

「どこが楽勝だよ!?」

「うわっと!?どしたのライカ!?」

「数がおかしいだろ!?なんだよ店内全員食い逃げって!?偶然にも程があるだろ!?」

「あぁ、そのこと?……しかも、奇跡的にそれぞれ別のタイミングで食い逃げしてたらしいしね〜」

「店長は何してたんだよ!?被害届出せよ!!今日だけで2、30人は捕まえたんだぞ!?」

「因みに合計で3桁は超えるラーメンをお出ししたらしいね」

 

いや〜、あの店は凄かった。何といっても店長の懐の深さが凄かった。

来店していた食い逃げ犯達全員を頑張ってとっ捕まえた後、犯人達に怒ったりせず、むしろその後のことを考えて、『ムショ出て行き先が無かったらうちに来な。働きゃまたラーメン作ってやるよ』って、笑顔で言い出したからねぇ。

 

「犯人達感動してたなぁ〜」

「終いには、店長を『親父』って呼び出すハメになったしな」

「あれが大人って奴なのかな?」

 

あんな大人になって見たいな〜。

…………あれ?

 

「そういえば何の話だっけ?」

「……?………あぁ、そうだそうだ、あたし達が一体何やってるんだって話だった」

「あ!そんな感じだったね」

「食い逃げを捕まえて、時間が沢山余ったからどっかに遊びに行こうとして」

「僕がゲームセンターで欲しいぬいぐるみがあったのを思い出した!」

「んで、あたしが何となくそれを見に行こうとして」

「僕が道案内をして到着した!」

 

ふふん♪僕だって場所くらいは記憶しているのだ!

 

「呆けてるライカを連れて僕がクレーンゲームのところを案内して」

「いや、マジで驚いてたんだよ。……で、それを見たあたしが、何か急に遊びたくなって」

「取って僕にくれたんだよね!」

 

手に持ってた大きめの狼のぬいぐるみを抱きしめながらライカに笑いかける。

 

「ホントにありがと!ライカ!!」

「いや、あたしの気まぐれだよ気にすんな」

 

えへへ♪嬉しいなぁ♪♪

 

「……こほん。そ、それで、ゲーセンから出てからなんだけど……」

「あ、それでお礼にって事で、僕がなんか急におにn」

「ーーだぁあ、ストップ!ストップだ!!なんやかんやあって!なんやかんやあってだな!!」

「そ、そんなに恥ずかしがらなくても……ライカだって女の子なんだし…」

「いいな!絶対他の奴にはバラすなよ!?バラしたらどうなるか分かってんだろうな!!」

「僕を使ってお人形さんごっこでもする?…あ、固まった」

 

顔を真っ赤に染めて。

うーん、そこまで恥ずかしいことなのかな?

ライカの鞄からヒョッコリ顔を出したお人形さんと目が合ったので、笑いかける。あ、笑ってくれた。

 

「……こほん。そ、それで、なんやかんやあった後のことだ」

「ライカ風邪?お薬あげようか?」

「仕切り直しのためにしてるだけだ。…んで、お店を出た後に、キンジ先輩とアリア先輩を見つけたんだよな」

「うん!ご主人様と奴隷のカップルだったね!」

「………それについて小一時間ほど聞きたいが、あえてスルーしよう。それだけだったら別にプライベートって事でどうでも良かったんだけど……」

「……うん、まぁ、そこまでは良いんだけど……」

 

ちろり、と隠れていた電柱から顔を出して進行方向を見る。

 

「ふーんふーふふーん♪♪」

「……まぁ、ストップって事で」

 

そこには、お揃いのキーホルダーをケータイにつけたアリア先輩とキンジ先輩がいた。

ふにゃりと破顔した、幸せそうなアリア先輩。

その横でケータイに付けたぬいぐるみと睨めっこ?しているキンジ先輩。

なんとな〜く、幸せそうなカップルに見える2人だけど……

 

「遠…山…キンジ……!!」

 

それを、その手前に隠れている僕らの級友が、呪えそうなくらい、というか、むしろ呪うかのように睨みつけている。

 

「なんか、三角関係って奴みたいだね」

「でも、取り合うのはアリア先輩なんだろ?」

「あかりはアリア先輩loveみたいだしね」

「んじゃ、遠山先輩もか?」

「いや、あの人は奴隷なんじゃない?」

「……え?あの人マジで奴隷なの?アリア先輩怖っ」

 

ちょっと顔を青ざめ、身を引くようにアリア先輩を見るライカ。

しっかし、なんであかりはキンジ先輩をあんなに睨んでるんだ?

 

「………はっ!?まさかあかりもアリア先輩の奴隷にっ!?」

「んなわけあるか」

「あいてっ」

 

パチン☆と、額をデコピンし、ライカが言う。

むう、なんでさ?

 

「どーせ、あかりがアリア先輩にくっ付く悪い虫とでも勘違いしてんだろ」

「あぁ、なるほど、そういうことね。まったく、彼氏じゃなくて奴隷なのにねぇ」

「……なぁ、それってマジの方なのか?ジョークじゃなくて?」

「さぁ、どうだろ?」

 

不安になり、オロオロし出したライカの手を握り、落ち着かせながら、さっきライカの言ってたことを思い出す。

 

ホントに何やってるんだろうねぇ僕らもあかりも。

まぁ、僕が何を言いたいかと言うと、

ーー二重尾行する意味ある?いや、帰る方向同じだけどさ。

 

あ、何をするのか気になると、さいですか。

 

ーーto be continued !!




防弾帽子

シフが狼耳を隠すために購入した防弾性の帽子。
ほぼ、一日中付けており、逆立ちや、戦闘を行なっても外れる事はあまり無い。
理由は次の話に出てくるかもしれないが、出てこないかもしれない。
イメージは、東◯pr◯jectに出てくる無意識妖怪の帽子。
ただ、スナイプするときは、次元先生の帽子に変えるらしい。
複数持っており、その場の気分で変えることもしばしば。

ぶっちゃけ、作者は帽子の存在を忘れて書くときがある。というか忘れてる。この後書きを書くとき、何か言い訳が無いか考え、無意識妖怪が帽子を被ってたなーと、思い出してイメージが決まった。

つまり、何が言いたいかと言うと、
シフが授業中に帽子をかぶり続けても、鍛錬中に帽子をかぶり続けても、誰も疑問に思われないのは無意識妖怪様のおかげであるのだ!
作者が存在を忘れるのも無意識妖怪様の影響であるのだ!
↑土下座しながら

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