ナムストーン   作:kirimonji

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アポロジュニア3

そのたびにアメーバ彗星SACは質量を増し不気味に増大する。

 

なぜこの彗星が今地球に向かっているのか?オサムオサナイは

 

直感的に善なるものを感じていた。いつか昔夢で見たのだ。

 

 

 

 

大きな瞳が飛んでくる。宇宙の果てから飛んでくる。邪悪な物

 

を吹き飛ばし、悪い奴らを食い尽くす、正義の星雲!そんな夢

 

を見たような気がする。ついにその星がやってきた。

 

 

 

 

地球までの距離は6000万km。火星とほぼ重なる位置に

 

白い点が肉眼でもはっきりと見えだした。

 

 

 

 

この天空の白星は日ごとに拡大していく。各地の光る石とナムストーン

 

は激しいバイブレーションを続けている。黒く深く沈み込んで

 

不気味な輝きだけがましてきているのだ。

 

 

 

 

ついにアポロジュニアが出発した。60時間で月の裏側へ出る。

 

この時SACとはじめて接触する。その瞬間何事もなければ

 

地球は救われる。

 

 

 

 

ジュニアは月の軌道に入るとすぐに激しく揺れだした。

 

ドライアイスと氷の粒の激しい砂嵐のようだ。

 

 

 

 

稲妻がありとあらゆる方向から光り続け、オーロラが走る。

 

雷鳴と氷の塊が激しく宇宙窓を打つ。

 

 

 

 

(ジェームズ)「ただいま本機はSACに突入いたしました。

 

揺れは激しいですが軌道は保たれています」

 

 

 

 

(チャーリー)「操縦には問題有りません」

 

(モハメド)「かなり大粒のひょうが降っている。超大型の

 

砂氷嵐ってとこか」

 

 

 

 

(ジャッキー)「メカも以上ありません」

 

(ジェームズ)「何とか外に出てみようと思います」

 

(宇宙センター)「危険はないか?」

 

(ジェームズ)「外に出てみなければわかりません」

 

 

 

 

(センター)「それが使命だ」

 

(皆)「それが使命です!」

 

(ジャッキー)「是非やらせてください!」

 

(センター)「OK!幸運を祈る!」

 

 

 

 

(ジェームズ)「ジャッキー、準備はOKか?」

 

(ジャッキー)「準備完了!」

 

(ジェームズ)「みな、準備はOKか?」

 

(皆)「準備完了!」

 

 

 

 

ジャッキーがジュニアの外に出た。

 

 

 

 

(ジャッキー)「すごい砂嵐です。いや、ひょう、氷の粒の嵐です。

 

宇宙服がぼこぼこと音を立ててへこんでますが突き抜けるほどでは

 

ありません。直径1cm位の粒です。稲妻がくまなく光っています。

 

 

 

 

嵐です。風速は40mくらい。微妙な黒い光る粒が混じって

 

います。稲妻が光るとパッと変色して虹色に輝きます」

 

 

 

 

ジュニア内のモハメドが呟いた。

 

 

 

 

「オーロラの氷の嵐というのが実態か。月でこの程度だったら、

 

地球上ではもっと拡散しているはずだから、30時間なんとか

 

耐えられるかもしれないな」

 

 

 

 

外のジャッキー、

 

 

 

 

「何か音が聞こえます。風の音のような。どこが中心かわかり

 

ませんが渦が巻いています。その中で全く異質な音が聞こえます。

 

圧力が高まってきました。ものすごい圧力です。キーンという音

 

に変わりました。めまぐるしく目が回ります。ああっ!」

 

 

 

 

(ジェームズ)「戻れ!ジャッキー!」

 


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