俺たちの冒険の書No.001〜ロトの血を引きし者〜   作:アドライデ

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Lv.9:レミーラを覚えた。

 

「レミーラ!!」

 しかし、何も起こらなかった。

何だろうと思い唱えてみたが何も起こらない。

色々試した結果、どうやら洞窟を明るく照らすものらしい。外ではその光が見えずに何が起こっているのかわからなかったというわけた。

丁度、マイラの村の南に降りるつもりだった。

岩山の洞窟方面はあれ以上南に下がると、よりモンスターが強くなるので、潔く諦めた。

 

 リムルダールの町に魔法の鍵があるという。

気になる扉は、今までいた町や村にあった。

魔法の鍵があれば、無断で開けられると言う。

それはそれでどうなんだとも思うが、閉鎖された空間に入れると言うことだろう。その空間に入れると言うことは、まだ己の知らない情報が聞けると言うことだ。

いけない場所に無茶していくより、今までの町の行動範囲を広げようと考えた。

その為にはリムルダールの町に行く必要がある。

 リムルダールの町に行くには、毒沼の先にある洞窟を超えなければいけない。

その町の周辺いるモンスターが穏やかであることを祈るしかない。

洞窟に降りて、レミーラの呪文を唱える。一瞬で広がる視野。

「これは便利だ」

 松明は風に弱く片手が塞がる。これなら両手が空くし、よほど魔力の節約が必要じゃない限り、利用しよう。

 

ん…洞窟に風?

 

「………?」

 洞窟には南へ下るのと東へ向かう道がある。風は東から吹いており、そこに視線を移すとなぜか背筋が凍った。

魔法の光が届かないその奥で、渦巻くドス黒い気配。

まだ早い。

ここに足を向けてはならない。

 

「おあ!?」

 どれだけ歩みを止めていたのか、逃げるように後方へ一歩踏み出したとき、直ぐ後ろに【メーダ】がいた。

大きな目をギョロつかせながら複数の触覚のような足で襲い来る。すぐさま斧を振るい対応できたが危なかった。

(あそこは一体)

 もう一度、振り返るも異様な空気はなりを潜めている。

 

『私は聞いた。姫をさらった魔物は東の方へ飛び去ったと』

『噂では、どこかの洞窟に姫が閉じ込められていると言う』

 

 ガライの町で聞いた言葉を急に思い出した。

まさか…。姫はまだ生きている?

あの異様な空気、今行っても無駄死にするだけだ。

(俺はまだ弱い)

 首を横に振り、歩き出す。

 

「………本当弱いな!」

 【リカント】青い毛に覆われた狼男のようないでたちのモンスター。一撃一撃の爪攻撃に体力が削られる。

あの後、一本道の洞窟を抜けたら、即これだよ。強い。

「喰らえ、ラリホー!」

 攻撃系がキツイ相手にはこの呪文に限る。

名付けて『ラリホー戦法』敵の隙を作るのに十分で、眠っている間にタコ殴りというわけだ。

卑怯とか言ってられない、殺るか殺られるかの世界だ。

ただし、【まどうし】を除く。こいつは魔法が得意な分、効きにくい。逃げるに限る。

最初の余裕はどこへやら、一気にボロボロにされた。

そんな中、湖に囲まれた町を見つけた時、歓喜に震えたのは言うまでもない。

 

 それから、リムルダールの町を拠点に修行の日々。

宿代が55Gと嘘みたいに高いが、モンスターが落とす金額も増えたので黒字である。

武器や防具も強いのが売っているが何せ高い。

宿と外を往復する日々が繰り返される。

「よー。元気にやってるか?」

 お陰で、宿屋にいる戦士とも仲良くなり、気安く声をかけられるようにまでなった。

聞けば、同じような目的らしい。

 

 リムルダールの町にはいろんな情報を持っている人が多かった。

指輪についていちゃもんつけるような奴もいたが、強くなるためには妥協しない。

女性は厳しく、部屋に入り話しかけただけで怒られた。

それとは逆にぱふぱふというものがあるらしい。残念ながら50Gは高いので、先送りになっている。

 あと、兵士からの情報で、太陽の石と言うものがラダトーム城にあるらしい。

(あるなら最初に言えよ)

 なんて思ったことは内緒である。

雨雲の杖と同じで、三種の神器かもしれない。

情報はそんなところだ。

 

 アレフLv.9は身の丈を知る。


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