俺たちの冒険の書No.001〜ロトの血を引きし者〜   作:アドライデ

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Lv.7:ラリホーを覚えた。

 

「…何だ。この呪文は…」

 対敵に使う補助魔法であるらしい。

掛けた相手を眠りに誘う。耐性を持った者には効かないらしいが、現時点では攻撃が痛いモンスター、つまり【がいこつ】に試してみる価値はある。

 

「……マジか」

 早速、出てきた【がいこつ】に掛けると見事に効いた。

起きる時間が呪文を唱えた直後になったり、最後まで永眠していてくれたり、効果がマチマチなのは痛い。己の魔力の練り方が弱いのかもしれない。しかし、これは良い、戦略の幅が広がる。

回復魔法の節約にもなり、一日で倒す量も増える。

ここのところ少し、ホイミでは回復量が足りなくなってきて、戦闘中に回復していたら、ジリ貧になってしまう。睡眠魔法は本当にありがたい。

 

「よし、順調だ」

 目標の鉄の斧を買うことができて、攻撃力も飛躍的に上がった。

【がいこつ】はまだしんどいが【メイジドラキー】はずいぶん楽になった。

 

 マイラの村から南下するのはまだ危険かもしれないが、あの【メイジドラキー】で足止め食らった場所なら捜索可能ではないか。修行も兼ねていこう。

マイラの村周囲の修行は終了とし、ラダトームの城経由で、未知の大地へと足を運ぶことにする。

 

 ラダトーム城周囲は出会い頭に逃げるモンスターも増え、相手をしてもほぼほぼ一撃で倒せるようになっていた。

【ゴースト】相手に手間取っていた頃が既に懐かしく思える。そんな前の話ではなかったと思ったが、強くなったものだ。

修行の成果がでてきたのが嬉しい。

 

「…………………」

 嬉々として大陸を渡ったのだが、いざ着いてみると何もなかった。

町も村も何もなく、荒野が広がっているだけだ。マイラの村みたいなのがあるのかと思ったので、少し残念に思う。

収穫なしと、諦めて帰る途中に、右手にぽっかり空いた洞窟を見つけた。

魔力と松明が枯渇しているため、入るのは諦めたが、万全の準備をして次はそこへ行ってみるかと見当をつける。

人の噂にはなっていないが、もしかしたら、銀の竪琴があるかもしれない。

 

 何時迄も布の服だと心許ないし、今回の探索でほんの少しお金に余裕ができた。

途中、ガライの町に寄り、300Gの楔帷子を買う。

さっき出会った【まほうつかい】も斧攻撃で簡単に倒せたな。

 しかし、次にある町はリムルダールか、またモンスターが強くなるのだろう。ラダトーム周辺が簡単になったと、機嫌を良くしている余裕は、ないと言うことだ。

既に三回死んでいるのだ。慢心せず一筋縄で行かないのが冒険だと己に言い聞かせる。

だから、あの洞窟に修行を兼ねて入るのも悪くない。

……。

うん。逃げているわけではからな。

 

 アレフLv.7は目的を忘れそうになる。


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