俺たちの冒険の書No.001〜ロトの血を引きし者〜   作:アドライデ

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Lv.20:竜王と対峙した。

 

「よくぞ来た。わしが王の中の王、竜王である」

 歓迎ムードにて確信を得る。こいつは最初から見ていたのだ。

「わしは待っておった。そなたのような若者があらわれることを」

 竜王は探していたのだ。実力のある人間を。

「もしわしの味方になれば世界の半分をお前にやろう」

 仲間に引き入れるために。それはとても魅力的な提案だろう。これまでの努力が認められたのだから。

「どうじゃ? わしの味方になるか?」

 

 一度目を閉じ、真っ直ぐに竜王を見た。

「確かに、思い描いたことはある。俺は操り人形かもしれないってな」

 勇者ロトの血を引きし者と漠然と言われ、ドムドーラの町などを滅ぼした凶悪な竜王を、120Gと松明だけで討伐して来いと言われたのだから。

「ほう。わしならそんなことはせぬぞ」

「そうだろう。お前ならそんな事はしない。事実、待っているだけだったな」

 姫を攫い【ドラゴン】に守らせ、ドムドーラの町を滅ぼし【あくまのきし】にロトの鎧を守らせた。

「全てはお前の企みか?」

「何をだ?」

 今までの相手とは違うと思ったのか、竜王は訝しげに見る。

「何人もお前を討伐しに行って帰ってこなかった。全員魔物にしたんだろう?」

 甘い言葉で心を奪い狂わせた。だから瀕死のときにラダトームに帰るはずの帰還の御守りが作用しなかった。魔物には効力がないからな。

「成る程、それがお前の答えか」

 竜王は喉の奥で笑い、抑え切れないのか終いには声に出して笑いだす。

 

「あぁ、答えは『いいえ』だ」

 

 苦しくても思考が奪われるなんて、ごめんだからな。

俺は俺の意志を貫く。

 

「愚か者め! 思い知るがよいっ!」

 

 主に杖での打撃攻撃か、激しい攻撃魔法ベギラマが繰り出される。隙あらば攻撃一進一退の攻防。時折、動きを封じるためか魔法封印呪文マホトーンを放たれる。その魔法がこちらに効いていたら回復魔法が使えず死んでいただろう。

だが、伝説の鎧のお陰か呪文は効かず逆に相手の隙となり、一気に懐へ近付き剣を振り上げた。

 

「やったか?」

 崩れ落ちるその姿に少しで呆気なさを感じつつ見つめる。

霞み掛る竜王の体。

 

 バチリと火花が飛ぶ。

 

何度もなんども折り重なる雷撃が竜王の周りを覆う。

崩れる城の上部。

落下物を避けるために建物の外へ飛び出す。

目の前に自分の身長の三倍程の巨大な竜がいた。

 

 これが本来の姿、つまりこれからが本番ということだ。

激しい炎が全体を覆い体力をそぎ落とされる。

回復を渋っている余裕はない。魔力が枯渇したら負ける。

しかし、硬い鱗で覆われている竜王の体だが、ロトの剣のおかげかこちらの攻撃が効かないわけではない。

絶望ではないが、一瞬の気の緩みが死に繋がる。

そんな一進一退の攻防。

 

「ベホイミ」

 何度目かの激しい炎。業火に包まれ最後の回復を行う。もう回復手段はない。

しかし、相手も無傷ではないはず。

己が死ぬか、それまでに倒れてくれるか、もう己には剣で切り裂くしか手段はない。

 

「うおおぉぉぉー!」

 竜王の攻撃を避けずに剣で食らいつく。赤く染まる視界。

己のか、相手のかすら分からない。

 

 何かが弾ける音がした。

眩しい光に包まれて、それが回復したとき、目の前に竜王の姿は無く、キラキラと輝く球を見つけた。

光の玉をゆっくりと手に取り、空へと掲げる。

 

 アレフLv.20、世界の平和を取り戻す。


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