俺たちの冒険の書No.001〜ロトの血を引きし者〜   作:アドライデ

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Lv.11:ガライの墓を目指した。

 

 王に挨拶をしてから、ラダトームの町へと戻る。

何気に寄った町でまさか『銀の竪琴がガライの墓にある』と言う情報が聞けるとは、憶測が確信へと変わる。

これで全て繋がった。

 

 竜王の城に行くには三種の神器が必要。

最後の一つはまだ分からないが、一つはおそらく先日手に入れた太陽の石。

もう一つが、雨雲の杖だ。

この雨雲に杖を手に入れるためには、銀の竪琴が必要。

銀の竪琴はガライの墓にあり、そのガライの墓はガライの町の黒い壁の奥にあると。

最後はよく分からないが、目的地は決まった。

 

 鍵を使い過ぎたので一旦リムルダールの町に戻り、ついでに鉄の鎧(1000G)も買う。

装備も最強とは言い難いが随分硬くなった気がする。

 

 ガライの町の建物の中に碌な情報はなかった。

鍵部屋のさらに奥でひしめき合うようにいた兵士二人は忙しいらしい。早々に追い出され、話し相手にすらならなかった。

(と言うかあんな狭いところで何をしていたんだ?)

 

「遥か南にドムドーラの町がありました。今もあるのでしょうか」

 不安そうな声。男の向く方を見る。

建物に阻まれて見ることができないが、この男の故郷なのかもしれない。城の兵士が滅びた町もあると言っていた。

ドムドーラの町は無事だといいなと思う。

 

 あとはロトの鎧ってのがどこかにあるらしい。強い剣もドムドーラの町の東に売っているとか言っていたな。

ドムドーラの町はさっきここの南って言ってたな。

 

 スタスタと歩き、黒い壁の前に立つ。そして、ぐるりと辺りを見渡す。

順番にコンコンと叩いて行くと…!?

一箇所だけすり抜けることができた。

薄暗いこの建物の奥が黒一色だと、材質が違うのに気づかなかったということか。

その先に道が続いており、魔物を引き寄せる銀の竪琴がこの地下奥深くに眠っていると言う情報が聞けた。

 成る程、引き寄せるから、厳重なのか。

墓守に見送られて、ひたすら降りて行く。

階段を降りる度に強くなるモンスター。岩山の洞窟と比べ物にならないぐらいだ。

地下3階では、今の装備では直ぐにやられてしまう。

そこでラリホー戦法がうまく行く。少しづつだが、あまり体力を消費せずに戦う方法を獲得できた気がする。

魔法使う相手にはマホトーンをする。相手の特性を魔力の余裕があるうちに見積もる。

 しかし、骸骨剣士【しりょうのきし】はそうは行かない。ラリホーが効かず、攻撃が相当痛い。油断すると直ぐに城送りになる。この場合は逃げる。戦わないと言うのも戦術の一つだ。

 目的は銀の竪琴であって、ここのモンスターの根絶じゃない。自己の魔力と相談しつつ潜っては戻りを繰り返す。

 

 最下層に来た時、上に登る階段があった。

脳裏のマッピングではどこにも該当しない。ゆっくりと登ると大事に保管されている宝箱そこに銀の竪琴は奉納されていた。

「お借りします」

 短く言い、手に取る。

ずっしりとくるそれは音楽をかじったことのない己にも長き旅の思い出が蘇る気がした。

今は一人だが、もし誰かがこの姿を見たら、似合わなさに笑みを蓄えただろう。それ程、すたぼろで血まみれの状態で竪琴を大事に抱えていたのだから…。

 

 アレフLv.11、少し自信が付く。


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