魔法騎士レイナース   作:たっち・みー

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#005

 act 5 

 

 少し歩いたところで衝撃的な光景を目の当たりにする。

 物凄い巨大モンスターに蹂躙されたとしか思えないような惨状が広がっていたからだ。

 民家らしきものは粉々に破壊され、森の木々がなぎ倒されている。

 

「……あのモンスターが通っていったようにしか思えないのだが……」

 

 ハムスケが壊れた民家に近づき、ここが創師の家だと言った。あと、住人の遺体があった。

 

 創師ティアと創師ティナ。

 

 セフィーロで最高位の()()()の武具職人だったが今は肉片と化していた。

 

「死んでしまったものは仕方が無いでござる」

 

 と、暢気なハムスケ。

 特に気にした様子を見せないのが少し怖いとイビルアイとレイナースは思う。

 

「肝心のファルとやらが死んでいては今後の活動に影響が出るだろう」

 

 遺体の検分をしても仕方が無い。

 武具職人という事で無事な武器を探す事にする。

 大半は踏み砕かれていたが、いくつか見つける事が出来た。

 

「ブロードソード。モーニングスター。燃えている剣にやたらと光り輝く剣」

「黒いオーラが噴出している武器は呪われていそうっすね」

 

 拳に付ける棘付きナックルもあった。

 様々な武器を製作してきたのは理解した。

 

「私は槍兵(ランサー)だから槍がいい」

「私も最近槍兵(ランサー)を修めた」

「撲殺系がいいっすね」

 

 二人も同じ武器では困るかも、とレイナースは剣を装備する事にした。

 呪われた騎士(カースドナイト)なので呪いの武器を扱う事にはさして障害にはならない気がした。

 イビルアイは槍。ルプスレギナは撲殺に特化した武器を探していたが、なかなか良いものが見つからない。

 本来のルプスレギナの武器は聖印を(かたど)った大きなメイスだ。

 それに近いものは見つからなかった。あるのは砕けた金属片ばかり。

 弓兵(アーチャー)は修めていないので弓は装備できない。

 

「棒状で我慢するっすか」

 

 メイスっぽいもので妥協する事にした。

 魔法は使えない。武器は貧弱。

 肉弾戦は得意というほどではないけれど、危なければ逃げるだけだと判断する。

 

        

 

 武器の選定は終えたが、次にどこへ行けばいいのか分からない。

 壊れた家の中を物色する。

 大して情報を持たない危機感の無いハムスケは全く役に立たない。

 それはそれで仕方が無いとあきらめる。

 

「ファル達は死に、我々は次にどこへ行けばいい?」

「んー、たぶん沈黙の森を抜けるしかないでござるな」

 

 近くに集落は無いらしい。というか知らないと言ってきた。

 案内役のはずなのに。

 とにかく、森はモンスターが空けた場所を進めばいい。丁度いい道が出来ているから。

 

「冒険はいいっすけど、お腹が空いたっすね」

「食事でござるか? それがし全部食べてしまったでごるから、何も無いでごさるな」

「なら、こいつ(ハムスケ)を丸焼きにして食事の用意をしようか」

「それがし、人間風情に負けないでござるよ」

 

 怪しく輝くハムスターのつぶらな瞳。そして、腹を見せて威嚇する。

 ハムスケの腹にはいくつかの模様があり、それぞれ魔法を行使する時に輝くそうだ。

 ただし、この森の中では無意味だが。

 

「餓死するほどではないが……。進めるだけ行ってみようか。ここで争うのも無駄に体力を消費しそうだ」

「うむ」

「そうっすね。非常食として残しておくっすよ」

「……完全に食料扱いでござるな……」

 

 三人と一匹は大きな穴に向かう事にした。

 


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