市立図書館で
「ねねちゃん。」
「あおっちのお母さん?」
カウンターであおっちのお母さんは微笑む。
「あの、これ、連絡帳じゃない?」
「あ、ありがとう...ございます。」
「こないだ、本を借りてったとき忘れてったのよ。」
やっとみつかった。よかったあ。
お掃除
「桜~」
「なに~。」
「お前昨日掃除当番さぼったろ?」
「え?さぼってないよ。きちんと教室で掃除してたよ。」
「おまえ、トイレ掃除の当番だったじゃん。おれがそうじの当番やったんだぞ。」
「え??ごめんなさい。」
「たかしくん、ねねっちはサボるなんて考えてないよ。ただ忘れてるだけなんだよ。」
「あおっち~、ひどい。」
「だって、本当じゃん。わたしはせっかくねねっちをかばって言ってるのに。」
「わかったよ。これからは教えてやるからちゃんとやるんだぞ。」
ちなみに、このたかしは、ねねがわすれるたびに次の順番だからと当番をくりあげてトイレ掃除をやらされた。10年後、旅行券をあてた青葉たちが泊まる旅館の同じ部屋に二日前に泊まり、便器のアイコンで自作のRPGをつくったが、挫折して帰宅することになる。
6年生社会科歴史の授業
「『学問ノススメ』を書いた人はだれですか。三班の人手を挙げて答えてください。」
「….。」
「一万円札に顔がのっている人です。」
「はい、はーい、福沢諭吉です。」
「桜さん、いま三班の人に聞いているんです。あなたは四班でしょう。」
「ごめんなさい。」
「アフリカで黄熱病の研究に携わって、治す方法を考えた人は?涼風さん、どうですか?。」
「えーっと...。」
「千円札の顔になっている人でもありますよ。」
「あおっち、野口英世だよ、野口英世。」
「桜さん、またですか?」
「ごめんなさしゃい。」
(つまらないな...そういえば算数の宿題出てたっけ。こないだ叱られちゃったし。)
「桜さん、何をやっているんですか?」
「…?算数の宿題です。」
「いまは、社会科の時間です。みんなといっしょにきちんと授業を受けてください。」
「ねねっち、ずるい~。」
「だって、こないだわすれちゃったから...。」
「....。とにかくしまってください。」
「はーい。」
漢字テスト
「ねねっち~、今回70点だった。」
「ふふふん。あおっち、今回は自信あるんだ。」
「はい。桜さん。」
「はい。」
「....?え、20点。先生?」
「よく見なさい。解答欄がほとんどずれてますよ。」
「え....?」
「前回は名前を書き忘れたでしょう。いくら努力してもそういうところで評価されてしまいますよ。」
「はい...。」
「ねねっち?どうしたの?」
「あおっじい~解答欄がずれてたああ。」
「よしよし。...?あれ、この前もそんなことなかったっけ?」
三者面談
「先生、よろしくお願いします。」
「桜さんですが、成績のほうは決して悪いほうではありません。
授業中積極的にて手を挙げて発言しようとする。それ自体はすばらしいと思います。
しかし、おちつきがないこと、注意力が欠けていてすぐ忘れること、人の話をきかないであてられていないのに授業中挙手をすること。思いついたように行動することです。」
「家族で出かけたときもいきなり興味を惹かれるもののところに走っていくのです。」
「桜さんのような児童は、一クラスあたり一人か二人います。特別支援学級にいかせるほどでもないからちょっと困ってはいるのです。」
「桜さん、あなたの忘れ物や宿題を忘れるといった行為を減らす方法について考えたので聞いてください。」
「はい...。」
「宿題が出たらその科目のノートに大きくマジックで宿題の場所を示した紙を書いて張ってください。それから明日の時間割表を大きく書いた紙をランドセルに入れてください。
とくに持ち物が必要になる科目は、たとえば音楽で使う楽器はかならず書いておいてください。帰ったらすぐ紙の通りに明日の時間割の準備をしてください。それから翌朝起きた場合はランドセルの中身を確認してください。」
「それから連絡帳を何度もなくしているようなので、連絡帳はやめてA4のファイルを使います。連絡事項は紙に大きく書いて、パンチを貸しますから、穴をあけて閉じておくこと。そしてランドセルから持ち出したりしないこと。お母さんに必ず見せること。いいですね?」
「はい...。」
本来4話にすべき記述を移動(H28.12/14,1:21a.m.)