前回のあらすじ
牛尾さんは無事に友情教に一員となって、とっーーても幸せだよ?( ^ ω ^ )ニッコニコ
そう! 幸せ、幸せなんだよ!
だから何も問題はない――そうだよね?( ・ ω ^ )ニッコニコ
一面が真っ白な空間で巨大な「アンモナイト」のような機械に鎮座する仮面の男が空中に浮かぶ3つのモニター相手に何やら話し込んでいる。
その男はイリアステルメンバー「イリアステル滅四星」のまとめ役、「無限界帝」
さらにイリアステルの創設者でもある。
そしてイリアステルに――否、荒廃した未来に残された「最後の人類」でもあった。
そんなZ-ONEは最近頻繁に起こる異常に考えを巡らせる。
「やはりここの所、過去の観測が上手く行きませんね……」
そのZ-ONEの呟きにモニターの一つに映るせり上がった巨大な肩に額の水晶といった人らしからぬ特徴を多分に持つ巨大な男が若干物騒な提案を返す。
「原因は分かっているのだろう――私が排除してこようか?」
その巨大な男はイリアステル滅四星が一人、「絶望」のアポリア。
元々は荒廃した世界の生き残りの人間としてZ-ONEと共に行動していたが、寿命により死去。
その死後Z-ONEの手によりコピーされた己の記憶をロボットに植え付けて貰い、今もなおZ-ONEと共に行動している。
その人非ざる身体は機械ゆえのものだ。
だがそんなアポリアに対して二つ目のモニターの青い髪を逆立てたライダースーツの長身の男が橙色のサングラス片手に諌めるように言葉を放つ。
「でもそれはボクたちが行ってきた歴史の改変の成果かもしれないし――安易な強硬策は良くないと思うけど……」
その長身の男はイリアステル滅四星が一人、「戦律」のアンチノミー。
彼もアポリアと同じく死後もZ-ONEと共に行動している。
だがその身体はアポリアとは違い生前の姿をモデルに作られている。
そんなアンチノミーの慎重な意見にZ-ONEも賛成を示す。
「私も同感です、アンチノミー。その原因となっている男は
秘密裏に活動していたイリアステルの活動の尻尾を掴んだ相手ゆえにZ-ONEもその慎重さに拍車がかかる。
「少し短絡的すぎたか、すまない」
アポリアも素直に思慮が足りなかったと謝罪する。
だが黒い文様の描かれた白い仮面を外し、金の長髪に青い前髪を軽く振って顔を見せた男はアポリアの強硬策を支持する。
「いや、私はアポリアの意見に賛成だ。ヤツは危険だ――すぐにでも排除すべき程に」
その男はイリアステル滅四星が一人、「逆刹」のパラドックス。
彼もまたアポリアやアンチノミーと同じく死後その記憶をロボットに移された男。
その殺気が滲み出らんばかりのパラドックスを焦らせる訳を問いかけるアンチノミー。
「キミがそこまで言う程に危険な男なのかい?」
「ヤツは『デュエルモンスターズ』の発展を加速させるような動きが多い」
そのアンチノミーの問いに、パラドックスは神妙に、そして意を決して答える。
様々な角度から歴史を見続けてきたパラドックスゆえにこの変化は看過できなかった。
「まだモーメントの構想すら出来ていない時代に『チューナー』の存在が生まれている。今の所はあくまでチューナーというカテゴリー扱いだが、見過ごすわけにはいかない」
そのパラドックスの意見にアポリアも眉を顰める。
「確かにそれはシンクロ召喚の誕生が早まる可能性があるな……」
シンクロ召喚。
チューナーとチューナー以外のモンスターを素材にエクストラデッキから呼び出される白い枠のモンスターたち。
そして人々の欲望がそのシンクロ召喚を通じて未来のエネルギー機関「モーメント」を暴走させた結果、最終的に人類はZ-ONEを残し滅亡した。
つまりシンクロ召喚は人類滅亡の原因の一つと言っても過言ではない。
だがシンクロ召喚ではなく「人々の際限なき欲望」こそが主な原因である点を問題視するアンチノミーはそのパラドックスの物言いにいつもらしからぬ声を荒げ抗議する。
「だけど! モーメントの暴走はシンクロ召喚が直接的な原因という訳じゃ――」
確かにアンチノミーの言う通り、シンクロ召喚自体に罪はない。
あくまで主な原因は「人々の際限なき欲望」である。
アンチノミーの主張するシンクロ召喚を正しく使い「正しい心」を持てばモーメントの暴走も起こりえない可能性が高い。
だがそんなアンチノミーの主張にパラドックスは冷たく返す。
「ないと言い切れるのか? 誰もがキミのように正しくあれるわけじゃ無い」
パラドックスの言う通りであった。アンチノミーの主張はあくまで「理想論」に過ぎない。
誰もがアンチノミーのような「正しい心」を持てなかったゆえに世界は滅んだのだから。
「それは――」
ゆえにアンチノミーは悔しげに拳を握ることしかできない。
しかしそんなアンチノミーに労わるようなZ-ONEから優しげな声がかけられる。
「そこまでです。パラドックス、アンチノミー。我々が今解決すべきことは『過去の観測』の不具合をどうするかです」
Z-ONEは記憶を転写したロボットであっても友のいがみ合う姿は見たくない。
彼らが住まう荒廃した世界ゆえに力を合わせることが大切なのだから。
Z-ONEは言葉を続ける。
「その原因の可能性が高い男の排除は『排除したときの危険性』が『ない』と確認できるまでは控えるように」
「……………………了解した」
その言葉にパラドックスはしぶしぶ了承の意を示す。
そんな若干悪くなった空気を変えるようにアポリアが対症療法を提案する。
「なら当分の間は私が3つに別れ、観測が必要な地点に直接出向くとしよう」
この男は何を言っているんだと思うかもしれないが――
実はアポリアは「イリアステルの三皇帝」と呼ばれる3人が合体した姿である。
その3人は生前のアポリアの幼年期、青年期、老年期のデータを元に構成されている。
ちなみに
幼年期、ルチアーノ
青年期、プラシド
老年期、ホセ
という具合だ。
話を戻そう。
そのアポリアの提案をZ-ONEは受け入れ、観測が必要な時代をピックアップして送信していく。
「頼みます、アポリア」
「任せてくれ」
データを受け取ったアポリアはその中身を読み取り、プランを立てる。
だがそんな彼らにパラドックスは指を一つ立てZ-ONEに問いかけた。
「Z-ONE、一つ確認したい」
「何です、パラドックス?」
「もしヤツが放っておくには危険な存在だと確認できれば――」
Z-ONEの決定にまだ納得できていないパラドックス。
だが、もしそれ程までに「危険」であるならばZ-ONEとて「慎重に」とは言えない。
「その時はパラドックス、貴方の判断に任せます」
全てをパラドックスに任せるような言葉――それはZ-ONEのパラドックスに対する信頼の証。
「待ってよ! パラドックス! それだと――」
だがそのイレギュラーに期待しているアンチノミーはこの一件を穏便に済ませたいと考える。
実物を見れば掌を返すだろうことは置いておこう。
そんなアンチノミーにZ-ONEは諭すような言葉をかけた。
「ですが危険な存在であるのならリスクを覚悟で動かねばなりません。どうか理解してください、アンチノミー」
荒廃した未来――これ以上、この未来が悪化すればどうなるかなど考えたくもないだろう。
「……分かったよ。でもボクの方からも一ついいかな、パラドックス?」
そのZ-ONEの願いに理解を見せるアンチノミー。
だがパラドックスに先程の彼の仕草を真似て一つ頼みごとを願う。
「何だ?」
「『危険』だと判断したのならキミが動く前にその原因となった人と話をさせて欲しいんだ……」
アンチノミーとてイレギュラーに対する期待はあれど
「…………状況が許せば、な」
そんなアンチノミーの考え方に歯切れ悪く返答するパラドックス。
パラドックスとしてはアンチノミーの提案はあまり乗り気になれないものだ。
「なら、よかった!」
だが自身の言い分が通り、一つ肩の荷が下りたと言わんばかりのアンチノミーだが今思いついたことも提案する。場合によっては此方の方が良いと考えながら。
「そうだ! その原因の調査! 必要ならボクも手伝うよ!」
「必要ない。キミはZ-ONEの計画の方に尽力すべきだ――キミが出る必要がある程ではない」
そうアンチノミーの協力の要請を断るパラドックス。
Z-ONEの計画する未来を救うメインプラン。
ネオ童実野シティに「サーキット」と呼ばれる回路を構築し、彼ら「イリアステル滅四星」の本拠地である「アーククレイドル」をネオ童実野シティに落とすことでモーメントを消し去り、未来を救う計画。
その計画こそ優先すべきだとのパラドックスの言葉にアンチノミーは若干の不満を持つが、Z-ONEはそんな彼にそろそろ動いて貰おうと計画を進めていく。
「そうですね、アンチノミー。貴方にはやってもらいたいことがあります」
そうしてアンチノミーへの任務を説明する横で、アポリアとパラドックスのモニターは閉じられた。
そしてパラドックスはどこかの時代、どこかの国、どこかの塔の上で空中に映し出されたディスプレイに示された情報を見ながら決意する。
「フッ……『神崎
衝突の時は近い。
オカルト課の研究所で一際丈夫なシェルター内で狂ったように笑い声を上げるツバインシュタイン博士、そんな彼に対して神崎はいつもの笑顔で対応していた。
「フハハハハッ!! 見てください! Mr.神崎!! これが『光のピラミッド』の力です!」
笑い声を上げ両の手で指し示すツバインシュタイン博士の先にあるのは
その蒼い光はどこか絶対的な力を感じさせる。
「あの破片から復元に成功して色々と実験させてもらいましたが、何度見てもこれは素晴らしい!! アハハハッ!!」
そのツバインシュタイン博士の目は「新しいおもちゃを貰った子供の目」など通り過ぎ「狂信者が神の存在を感じた」レベルである。
正直言って神崎は内心でドン引きしていた――おい、誰のせいで博士が「ああ」なったと思っている。
「…………楽しそうですね」
頑張ってひねり出した神崎の言葉にツバインシュタイン博士は今にも踊り出しそうな様相で肯定する。
「そうれはもう!! こんなものが遥か古代エジプトに存在していたなど信じられません! フハハッ! 歴史がひっくり返りますぞ!」
「それは困ります――世界が荒れる事態は避けたいものです」
辛うじてツバインシュタイン博士のブレーキとなろうと踏ん張る神崎。だがツバインシュタイン博士にとって
「構いませんよ! 私にはそんな
そんなツバインシュタイン博士に「打てるだけの手は打っておこう」と考える神崎。
だが取り敢えずは状況の把握に努める。
「『成果』が出たと聞いていますが、この光が『
その神崎の質問に「待ってました」と言わんばかりにツバインシュタイン博士は語りだす。
「おっと申し訳ない。年甲斐もなくはしゃいでしまって……この光のピラミッドの力は『エネルギーの収集と保存、授与』にあります!!
「……と、いうと?」
神崎とて「原作知識」からある程度の情報は知っている。
ツバインシュタイン博士の言う「エネルギーの収集と保存」に関しては劇場版でも遊戯と海馬から力を奪い、アヌビス自身に「授与」することで完全復活を果たす際にエネルギーをまかなっていたことは知識にある。
だが、神崎の記憶では劇中で登場した「光のピラミッド」が此処まで蒼く輝いてはいなかった筈だった。
「この光のピラミッドはあらかじめセットした対象からエネルギーを徴収します!」
ツバインシュタイン博士がそう言いながら「光のピラミッド」に繋がれたコードと繋がる機械を動かすと、「光のピラミッド」の側面の赤い宝玉が光る。
「それだけ聞けば大したことのないように聞こえますが、そのキャパシティは我々の想像を絶していました!」
そして「光のピラミッド」を覆っていた蒼い輝きが赤い宝玉に吸い込まれていく。どうやら保存したようだ。
「ためしに様々なエネルギーを収集させてみましたが、全く溢れる気配がない! ここら一帯を更地に出来るレベルまでエネルギーを注いだというのに、これは驚きですぞ!!」
ツバインシュタイン博士によって告げられた衝撃の事実に神崎は内心で頭を抱える――本当に何をやってるんだ、この爺さん。
だがそんな神崎の様子の変化を感じ取ったのかどうかは分からないが、ツバインシュタイン博士は指を一つ立てて茶目っ気タップリにウインクしながら言い放つ。
「おっとご安心を! キチンとシェルターの中で実験しましたので死ぬのは
当然、ツバインシュタイン博士及び、神崎が今いるのが説明にあったシェルターである。
ゆえに神崎は微塵も安心できないであろう。他の研究員がこのシェルターに入るのを拒むわけだ。
だがツバインシュタイン博士は己の命が危険な場所にある今を問題視しない――脳内麻薬が分泌されまくっているのだろう。
「そして私の大事な研究用の機材を粉微塵に吹き飛ばした『オベリスクの巨神兵』でしたかな?」
その言葉自体には棘があるが、ツバインシュタイン博士の顔に苛立ちはない。
むしろ何がそんなに楽しいのか分からないくらいに楽しげだ。
「その莫大なエネルギーを光のピラミッド内に入れましたがまだ余裕がある! 後2体分は確実に入りますな!!」
蒼く輝く原因が判明した――本当に何をやってるんだ、この爺さん。
「『オベリスクの巨神兵』3体分の容量ですか……つまり――」
劇場版の「原作」の劇中でも三幻神を封じるカードが使われていたが、その大本がこの「光のピラミッド」にあるようだ。
それが3体分となれば考えられる可能性は一つである。
既に結論に達していたツバインシュタイン博士は両の手を広げ、天を仰ぎ宣言する。
「そう! この『光のピラミッド』は恐らく三幻神に対抗するために生み出されたのだと私は考えております!」
三幻神――その力は世界を揺るがすレベルのもの。
そのスケールの大きさゆえにツバインシュタイン博士は楽しくてしょうがない。
「さらに『授与』に関しては一度『光のピラミッド』を介することで『エネルギーを変換』します! まぁ平たく言えばどんな力でも利便性の高いエネルギーに化ける――ハハッ! 物理法則に喧嘩を売ってますなぁ! クフフ、ハハハッ!」
ツバインシュタイン博士は笑い転げる勢いで説明を終えた。
「これは一体どうやって生み出されたのか! 興味が尽きませんな!! フハハッ!」
そしてひとしきり笑い終えたツバインシュタイン博士は電池が切れたかのように急に大人しくなり神妙な顔で神崎に頼み出る。
「そしてこれはお願いなのですが――」
辛うじて理性が仕事をしたようなツバインシュタイン博士の豹変ぶり、子供でももう少しマシな頼み方をするであろう。
だがそんなことは気にも留めずにツバインシュタイン博士は申し訳なさげな態度で頼みごとの内容を明かす。
「隅から隅まで研究し尽くしましたので…………その~~そろそろ実戦的に使った――検証実験、いや実戦データ取りを行いたいのですが……」
何度もチラッ、チラッと神崎を見つつ催促するように提案するツバインシュタイン博士。
デュエルエナジーを冥界の王の一件で神崎が使い切ったゆえに研究に回せなかったことを根に持っているのだろうか。
「…………手配しておきましょう」
だが神崎はマリクの持つ三幻神の頂点、「ラーの翼神竜」の対抗策になりうる「光のピラミッド」は元より使う予定であったため了承を示す。
「ありがとうございます!! ではどうぞ! 安全は保証されていますので!!」
勢いよく頭を下げたツバインシュタイン博士。
そして神崎の気が変わらない内にと「光のピラミッド」に繋げられたケーブルを外していき、「どうぞ!」と手渡すツバインシュタイン博士。
そうして差し出された「光のピラミッド」を神崎は力なく受け取る。
光のピラミッドの赤い宝玉部分が脈動するように動いた姿を見たものはいない。
ペガサスは苦悩していた。そんな彼の前には3枚のデザイン画。
禍々しい巨人、竜、そして闇の塊にも見える球体。
それらは「三邪神」。ペガサスが「三幻神」に対抗するカードとしてデザインしたものだ。
だがそのあまりにも強大な力と心の闇を助長させかねない邪悪さゆえにカード化はされていない。
しかし、「三幻神」がグールズに奪われたことを知ったペガサスは覚悟を持って三邪神のデザイン画に立ち向かう。
「神」に対抗できるのは同じ「神」のみ、三幻神が奪われた今、ペガサスもなりふり構ってはいられない。
そして神の力を誰よりも体感しているペガサスは震える手でカード化に取り掛かる。
だがその手の上に4つの手が重ねられた。
「Oh……何故アナタ達がここに……?」
その手の4人の手の正体は――
「ペガサス様……三幻神のことは……我々にお任せを……」
静かに決意を燃やすデプレ。
「三邪神などなくとも、『神』に対抗する戦術はあります。ペガサス様に教わったデュエル――いや、
対策は万全だ、と自信を持ってペガサスに進言する月行。
「月行の言うとおりですよ! 俺たちでかかればどうとでもなります!」
家族の絆を見せてやる、と意気込みを見せるリッチー。
「ペガサス様の手掛けた『デュエルモンスターズ』を汚す愚か者たちは私の手で……フフッ」
若干ダークサイドに落ち気味な夜行。
「邪神」の力に手を伸ばしたペガサスを止めたのは家族の絆。ペガサスの不安を描いた
まだまだ子供だと思っていた息子たちの成長した姿にペガサスは涙する。
「月行、夜行、リッチー、デプレ……ワタシはアナタ達のような家族を持てて誇らしいデース……」
だが4人を代表して月行は首を振る。
「いえ、今回のことはシンディア様にペガサス様が悩んでいるとお聞きしたので」
そう言った月行の視線の先をペガサスも追うと、そこには扉の向こう側で部屋の様子を覗き見るシンディアが小さく手を振っていた。
「フフッ、シンディアにはおみとおしだったという訳デスカ……敵いマセーン」
そして「三邪神」のデザイン画を片付けるペガサス――もう日の目を見ることはないとペガサスはどこか確信していた。
その姿を見た月行たち4人にスッと合流したシンディア。
そしてその5人をペガサスはそっと抱き留めた。まるで自慢の家族を誇るように……
そう、「神」を倒すのは「人の強い意思」だと。
暗闇の中で白髪の男は邪悪な笑みを見せる。
「クックックッ……『三幻神』に『名もなきファラオ』、そして『7つの千年アイテム』……」
その男は獏良の精神に潜むもう一つの人格「バクラ」。
かつて遊戯たちと冒険盤ゲーム「モンスターワールド」を闇のゲームの舞台として戦った千年リングに宿りし邪悪なる人格。
その戦いでは遊戯たちの前に敗れたバクラであったが力を蓄え、再び己の計画を推し進めんと暗躍していた。
そんなバクラは状況を確認するように手持ちの情報を呟く。
「まさか『シャーディー』のヤロウが生きてやがったとはな……」
その現場を千年リングの「千年アイテムを探知する力」によって気付いたバクラは陰から盗み見ていた。
「どうやって生き延びたかは知らねぇが――面白くなってきやがった……」
バクラはシャーディーを過去に殺している。いや殺した筈だった。
にも拘らずシャーディーはつい最近に遊戯の前に現れている――どうやって生き延びたのかはバクラには分からない。
だとしてもバクラの計画に支障はない。十分に対応できる範囲だ。
「社長の陰でコソコソ動いているヤツもいる……ククッ、楽しみだねぇ」
つい先日
この童実野町で繰り広げられる「バトルシティ」にて、バクラに必要なものは全て揃う事実もその笑いに拍車をかける。
それらはバクラにとってまるで用意されたようにも感じられた。
しかしバクラはそんなことは気にしない。
「だが最後に笑うのは俺様よ――ククク……ハーッハハハハハハハハハハ!」
過程がどうあれ最後に望むものを手にしたものが勝者なのだから。
望むものを手に出来たのであれば敗者とて勝者になりうるのだ。
邪神イレイザー「我々の力など光の道を歩む彼らには必要ないのです」
邪神ドレッド・ルート「そう、三幻神に対抗するならば『強き絆』があればいい」
邪神アバター「…………(言いたいこと全部言われた)」
~冒険盤ゲーム「モンスターワールド」って?~
いわゆるTRPG(テーブルトークアールピージー)。
劇中では
ボスエネミ―「大邪神ゾーク」を倒せば遊戯たちの勝利。
遊戯たちを全滅させればバクラの勝利だった。
バクラは千年リングの「物に人の魂を移す力」によって遊戯たち一同を駒に閉じ込めることで遊戯たちがゲームを続行不可能な状況を作る策を用いた。
しかし表の遊戯の魂が肉体から離れたことで闇遊戯がプレイヤーとなり勝負を引き継いだ。よって計画は御破算に(闇遊戯用の人形はなかった為)。
ならば、と通常の勝利条件を満たそうとするバクラだがボスエネミ―の「大邪神ゾーク」から獏良の魂の籠った人形が生える等の闇遊戯の俺ルール全開の攻防によって敗北した。
正確な詳しいルールは不明だが問題なかった模様、闇のゲームゆえの自由度だったと考えるのが自然か……