マインドクラッシュは勘弁な!   作:あぱしー

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今デュエルも2話構成です――城之内克也VSキース・ハワード 前編になります


前回のあらすじ
究極完全態・グレート・モス! ブルーアイズ撃破の快挙!
そして究極同士の激突!
究極完全態・グレート・モス「見ました? 俺の究極の出落ち」




第23話 ギャンブラー対決

 インセクター羽蛾のデュエルが終わり牛尾は神崎にデュエルの感想を語る。

 

「まあ善戦はしましたが予想通りっちゃあ、予想通りでしたね」

 

 軽い口調で放たれた牛尾の言葉を余所に神崎は何やら考え込みながら問いかける。

 

「彼のデュエル――全国大会時と比べてどう感じましたか?」

 

「へっ? そうですね~結構強くはなってましたけど……それがどうかしたんですかい?」

 

 牛尾にはそんなわかりきったことを問いかけられる意味が解らない。

 

 

 牛尾は知らないことだが彼の感想を神崎は重宝している。

 

 神崎にはデュエリストたちの常識がいまいち掴みきれない。

 

 そのため牛尾がそう思うのならば遊戯たちデュエリストもある程度同じ感想を持っているとの考えからだ。

 

 これがギースなどでは神崎が望む答えを選ぼうとしてしまう。

 

 ゆえに、一般的なデュエリストの目から見てもこの羽蛾は原作と比べても強くなっているという事実に神崎の期待は膨らむ。

 

 いくつかのカードを間接的に渡しただけでの大幅な実力のアップ。

 

 これは思わぬ拾い物になるかもしれないと神崎は考えつつ、未だに疑問符が出ていそうな牛尾に神崎は答える。

 

「いえ、これならと、そう思いましてね」

 

「……そ、そうっすか」

 

 その底の見えぬような笑みに牛尾は心の中で羽蛾に十字を切った。

 

 

 

 

 

 そんな裏話もよそに遊戯たち一行は試合に赴く城之内を見送っていた。

 

「よっしゃっ! それじゃあ行ってくるぜ! みんな!」

 

 その城之内に言葉は対戦相手が全米チャンプであることなどによる気負いはなく、いつも通りの自然体である。

 

 その背中に仲間たちの声援が届く。

 

「頑張ってお兄ちゃん!」

 

「ボクも応援してるよ城之内君!」

 

「負けたら承知しないわよ」

 

「バッチリ決めてこいよ!」

 

「頑張ってね~城之内君」

 

「精一杯戦ってきな! 城之内!」

 

 

 それぞれの声援を受け城之内は対戦相手のもとに向かい、デュエル前に互いのデッキをシャッフルする。

 

「随分人気ものじゃねぇか、ああも言われちゃ負けられねぇなぁ。だが悪いな手加減はしてやれねぇぜ」

 

「そんなもんいるかよ! この城之内様が吠え面かかせてやるぜ!」

 

 そんなキースの言葉に城之内は強気な言葉とともにデッキを返した。

 

 

「両者、所定の位置に――それでは準決勝第1試合、城之内克也VSキース・ハワードの試合を始めます。デュエル開始!」

 

 Mr.クロケッツの宣言により戦いの火蓋は切られる。

 

 

「「デュエル!」」

 

「俺様の先行! ドロー! 《闇の誘惑》を発動しデッキから2枚ドロー! そして手札の闇属性モンスター《振り子刃の拷問機械》を除外!」

 

 キースは闇に捧げた《振り子刃の拷問機械》を対価に引いたカードを見て戦略を立て始める。

 

「俺様は永続魔法《機甲部隊の最前線(マシンナーズ・フロントライン)》と《マシン・デベロッパー》を発動!」

 

 キースのフィールドに建設される前線基地と機械工場、それら2つは並びあう。

 その姿はまさに「要塞」。

 

「《機甲部隊の最前線》の説明はいらねぇよなぁ~ 《ツインバレル・ドラゴン》を召喚! だがテメェのフィールドは空、効果は発動しねぇ。だが永続魔法《マシン・デベロッパー》の効果でフィールドの機械族の攻撃力は200アップ!」

 

 キースの象徴たる機械龍の中の切り込み隊長《ツインバレル・ドラゴン》が頭部の小型の拳銃「ダブルデリンジャー」をフラフラと揺らす――狙う相手がいないことに不満の様だ。

 

《ツインバレル・ドラゴン》

星4 闇属性 機械族

攻1700 守 200

  ↓

攻1900

 

「俺様はカードを1枚セットしてターンエンドだ」

 

 

 城之内はカードを引きお馴染みのカードを出す――積み込――デッキが応えているのだろう。

 

「行くぜっ! 俺のターンだ! ドロー! 俺は《ベビードラゴン》を召喚し、永続魔法《凡骨の意地》を発動! そしてカードを1枚伏せてターンエンドだ!」

 

 城之内のフィールドにチョコンと現れる竜の子供。その翼と口を目一杯広げ《ツインバレル・ドラゴン》を威嚇する。

 

《ベビードラゴン》

星3 風属性 ドラゴン族

攻1200 守 700

 

 《融合》によって真価を発揮するカードを単体で使用した城之内にキースは挑発交じりに言い放つ。

 

「おいおいソイツは……自分のカードの使い方まで忘れちまったのかぁ? そんなことじゃあ俺様には一生勝てねぇぜ! 俺様のターン、ドロー! 2体目の《ツインバレル・ドラゴン》を召喚し効果発動! 対象は《凡骨の意地》!」

 

 2体目の《ツインバレル・ドラゴン》が並び頭部の銃の引き金を引く。だが弾は出ない、ハズレだ。

 

「チッ! ハズレか……しょうがねぇな。解っちゃいると思うが永続魔法《マシン・デベロッパー》の効果で攻撃力は200アップするぜ」

 

《ツインバレル・ドラゴン》 2体目

星4 闇属性 機械族

攻1700 守 200

  ↓

攻1900

 

「バトルだ! 1体目の《ツインバレル・ドラゴン》で《ベビードラゴン》に攻撃!」

 

 《ツインバレル・ドラゴン》が飛び上がり空中で1回転してその尾を叩きつける。《ベビードラゴン》は頭を打ちつけられ目を回し倒れた。

 

「そら次だ! 2体目の《ツインバレル・ドラゴン》でダイレクトアタック!」

 

 

 城之内に牙をむける《ツインバレル・ドラゴン》だがその間に何者かが割って入る。

 それは緑の武者鎧の剣豪であった。

 

《伝説の剣豪 MASAKI》

星4 地属性 戦士族

攻1100 守1100

 

「どういうこと……だ?」

 

 疑問を見せるキースに城之内はわざとらしく額の汗を拭う仕草をしながら説明する。

 

「危ねぇとこだったぜ……俺は1体目の《ツインバレル・ドラゴン》の攻撃時、このカードを発動させていたのさ!」

 

 城之内のフィールドに永続罠《死力のタッグ・チェンジ》が表側表示になっていた。

 

「コイツの効果で俺の攻撃表示モンスターが戦闘で破壊される時、そのダメージを0にし、さらに手札からレベル4以下の戦士族モンスター1体を特殊召喚できるのさ!」

 

 よく見ると《伝説の剣豪 MASAKI》の手に《ベビードラゴン》の手が握られ、その命のバトンを繋いでいる。

 

「なるほどな、それで戦士族のソイツを呼び出したって寸法か……だったら2体目の《ツインバレル・ドラゴン》で《伝説の剣豪 MASAKI》を攻撃だ!」

 

 2体目の《ツインバレル・ドラゴン》は割って入ってきた《伝説の剣豪 MASAKI》の武者鎧を噛み砕き、その後に首を振り上げ地面に叩きつける。

 

「だが永続罠《死力のタッグ・チェンジ》の効果で俺のダメージはねぇ。さらに手札から《魔物の狩人》を攻撃表示で呼び出すぜ!」

 

 《伝説の剣豪 MASAKI》がその命が消える前に最後の力を振り絞り仲間へ戦いのバトンを託し、髭を蓄えた魔物界の狩人がキースを狙いサーベルを向ける。

 

《魔物の狩人》

星4 地属性 戦士族

攻1500 守1200

 

「まだだ! 永続罠《闇次元の解放》を発動し除外された闇属性モンスターを特殊召喚! 現れろ! 慈悲深き機械の処刑人《振り子刃の拷問機械》! 永続魔法《マシン・デベロッパー》によりパワーアップ!」

 

 その振り子刃で次元の壁を切り裂き《振り子刃の拷問機械》が振り子の位置を戻しつつ、《ツインバレルドラゴン》の隣に並び隊列を整える。

 

《振り子刃の拷問機械》

星6 闇属性 機械族

攻1750 守2000

 ↓

攻1950

 

 手札からモンスターを呼び出すカードである以上、手札を多く消費する。

 

 そして城之内の手札は残り1枚。

 

「そろそろ手札のモンスターも尽きてきたんじゃねぇか? 《振り子刃の拷問機械》で《魔物の狩人》を攻撃! 一撃で楽にしてやるぜ! 断砕処刑!」

 

 迫りくる《振り子刃の拷問機械》に《魔物の狩人》は剣で対抗しようとするも繰り出した剣は通らず、逆に《振り子刃の拷問機械》の両の手で肩を掴まれ身動きを封じられる。

 

 攻撃を蹴り主体に切り替える《魔物の狩人》だが振り子刃が離れていくのを目にし、その振り子の振れ先を考え《振り子刃の拷問機械》の手から逃れるべく足掻く。その足掻きには精細さなどない。

 

 そして振り子刃が股先を通り抜け《魔物の狩人》の意識はそこでプッツリと途切れた。

 

 凄惨な攻撃方法に観客から悲鳴が漏れ、城之内もいささか気分が悪そうだ。

 

「うげぇ……っと永続罠《死力のタッグ・チェンジ》の効果でダメージを0にし、手札から《格闘戦士アルティメーター》を呼び出すぜ! 攻撃表示だ!」

 

 真っ二つになった《魔物の狩人》の手をそっと握り《格闘戦士アルティメーター》がその無念を感じ取り拳を握る。

 

《格闘戦士アルティメーター》

星3 地属性 戦士族

攻 700 守1000

 

「だがこれでテメェの手札は0、バトンを繋ぐモンスターはもういねぇ……ターンエンドだ」

 

 

 キースの言うとおり城之内の手札は0、次のターンのドロー次第ではそのまま敗北が決まる。

 

 だが不思議と城之内にその不安などなかった――仲間が託してくれたカードがあるのだからと。

 

「モンスターがいねぇなら呼び込むまでだ! 俺のターンだ。ドロー! よし! 俺は《凡骨の意地》の効果を発動し通常ドロー時に引いたカードが通常モンスターだったとき追加でドローできる。俺が引いたのは《タイガー・アックス》! 通常モンスターだ! 追加でドロー!」

 

 《凡骨の意地》に描かれた青年が城之内の横で拳を振り上げる。

 

「悪運の強いヤロウだぜ……」

 

 キースは皮肉を込めつつ笑う。

 

「ドローしたのは

通常モンスター《鎧蜥蜴(アーマー・リザード)》! 追加でドロー! 

通常モンスター《牛魔人》! 追加でドロー!

通常モンスター《ガルーザス》! 追加でドロー!

通常モンスター《岩窟魔人オーガ・ロック》! 追加でドロー! 

通常モンスター《アックス・レイダー》! 追加でドロー! 

通常モンスター《恐竜人》! 追加でドロー!」

 

 《凡骨の意地》に描かれた青年が城之内の横で追加ドローの度に様々なポージングを決め続ける。

 

 キースの笑みが引きつる。

 

「どうなってやがるんだ……」

 

 そして城之内のドローする手が止まる。

 

「引いたカードは通常モンスターじゃねぇ」

 

「やっと終わりかならさっさと――」

 

――「ターンを続けな」とは言えなかった。

 

「さらに俺は速攻魔法《リロード》! 自分の手札を全てデッキに戻しシャッフル、そしてデッキに加えた分のカードをドローだ!」

 

 《凡骨の意地》に描かれた青年が城之内の横でキメ顔で木製の銃を空へと向けて引き金を引く――再装填(リロード)しろよ……

 

「俺が引いたカードの中には通常モンスター《マグネッツ1号》がいるぜ! 追加でドローだ! 引いたカードは通常モンスターじゃねぇ」

 

「やっと終わりか……終わりだよな?」

 

 また《リロード》の様なカードで再度カードを引き直すのかと確認するキース。

 

 全米チャンプである男でも手札0からの怒涛のドローに驚きを隠せないらしい。

 

「俺は《時の魔術師》を召喚するぜ!」

 

 ダイナソー竜崎への勝利に大きく貢献したカードがクルクルと回転しながら現れ、最後に杖をビシッと向けながらドヤ顔で登場する。

 

 杖を向けたのが城之内だと気付き慌てて向きを変えた。

 

《時の魔術師》

星2 光属性 魔法使い族

攻 500 守 400

 

「チッ! 厄介なのが出てきやがった……」

 

 当たりハズレはあるものの当たればキースのフィールドは空になる。

 

 そして今の城之内の強運、本当に厄介だ。

 

「説明はいらなそうだな! 《時の魔術師》の効果発動だぜ! タイム・ルーレット!!」

 

 《時の魔術師》の持つ杖のルーレットが回転を始める。

 

 《時の魔術師》もそれに合わせフィギュアスケーターのようにクルクル回転する――文字盤が見にくい。

 

 そして段々と回転のスピードが遅くなり針の止った先は「当」――当たりである。

 

「今日の俺はついてるぜ! やれっ! 《時の魔術師》! タイム・マジック!」

 

 《時の魔術師》により千年の時の流れに晒されたキースのフィールドの2体の《ツインバレルドラゴン》と《振り子刃の拷問機械》は全身が錆付き、その身体から「ギギギッ」という音を出しながら倒れ、マシンから鉄屑へと姿を変えた。

 

「だがこの瞬間、永続魔法《マシン・デベロッパー》のもう一つの効果を発動! フィールド上の機械族モンスターが戦闘またはカードの効果によって破壊される度に、このカードにジャンクカウンターを2つ置く!」

 

 その鉄屑たちは《マシン・デベロッパー》へと運ばれ工場のラインに取り込まれる。

 

ジャンクカウンター:0 → 2

 

「だがテメェのマシン軍団はいなくなったぜ! 俺は魔法カード《思い出のブランコ》を発動し墓地の通常モンスター1体を特殊召喚するぜ! 戻ってこい《ベビードラゴン》!」

 

 夕日をバックに寂しそうにブランコを漕ぐ《ベビードラゴン》。

 

 そんな《ベビードラゴン》に《格闘戦士アルティメーター》は優しくその肩を叩き、《時の魔術師》はその手を優しく握る。

 

 左右の手を《ベビードラゴン》は握られながら3人一緒に城之内のフィールドに手を取り合って歩いて行った。

 

《ベビードラゴン》

星3 風属性 ドラゴン族

攻1200 守 700

 

「さらに魔法カード《融合》を発動! フィールドの《ベビードラゴン》と《時の魔術師》で融合召喚! 千年の時を超え、その英知を刻み込め! 《千年竜(サウザンド・ドラゴン)》!」

 

 《時の魔術師》が《ベビードラゴン》に張り付き《ベビードラゴン》の時を加速させる。

 

 そして《ベビードラゴン》はその姿を成長させていき、やがて老齢なる竜の姿へと至った。

 

《千年竜》

星7 風属性 ドラゴン族

攻2400 守2000

 

「先制パンチを喰らいな! 《千年竜》でキースのヤロウにダイレクトアタック! サウザンド・ノーズ・ブレス!!」

 

 《千年竜》は胸を反らせ息を大きく吸い込み、その鼻から強烈な鼻息がキースに向けて放射された。

 

 

 だが上空から落下してきた巨大な機械のトリケラトプスがその攻撃を妨げんとフィールドに地響きとともに降り立つ。

 

「な、なんだコイツは!」

 

 突然の事態に驚く城之内、そしてキースは高笑いしながら話し始める。

 

「ヒャハハハハー! デカく動いてくれてありがとよ! コイツは《機動要犀(きどうようさい)トリケライナー》――相手が3体以上のモンスターの召喚・反転召喚・特殊召喚に成功したターンに手札から特殊召喚できるのさ! 相手のターンだろうが関係なくな!」

 

《機動要犀トリケライナー》

星6 闇属性 機械族

攻1600 守2800

 

「俺が呼んだモンスター《時の魔術師》に《ベビードラゴン》、そして《千年竜》――ちょうど3体……」

 

 モンスターを呼び出した回数を指折りで数える城之内――条件は満たされていた。

 

「一応教えといてやるがこの効果で特殊召喚したコイツはこのカード以外のカードの効果を受けねぇ! まさに無敵の要犀ってわけよ! だが《マシン・デベロッパー》の恩恵は受けられねぇがな……」

 

 新たなモンスターが召喚されたため戦闘の巻き戻しが起こり、再度戦闘するかどうかを《千年竜》は城之内に問いかけるように目配せする。

 

「守備力2800……くそっ! 《千年竜》の攻撃をキャンセルするぜ! 俺はこれでターンエンドだ……」

 

 城之内はその堅牢な守備力が越えられないため攻撃をやむなく中断した。

 

 絶好の機会を逃したことに城之内は歯噛みする。

 

 

「さぁて俺様のターン、ドロー。俺様のスタンバイフェイズ時に《機動要犀トリケライナー》の効果が発動するぜ!」

 

「なんだと!」

 

 キースの言葉に警戒をあらわにする城之内。

 

「安心しな……テメェにとって悪い効果じゃねぇさ。自身の効果で特殊召喚した《機動要犀トリケライナー》はお互いのスタンバイフェイズ毎に守備力が500ポイントダウンしちまうのさ……これでちっとはやりやすくなるんじゃねぇかぁ?」

 

《機動要犀トリケライナー》

守2800 → 守2300

 

「これなら《千年竜》でも倒せる……」

 

 そう希望を見る城之内。だがこの男――キースはそんな甘い相手ではない。

 

「《可変機獣 ガンナードラゴン》を召喚! コイツは召喚にリリースが2体いるレベル7のモンスターだがコイツ自身の効果でリリースなしで通常召喚できる。もっとも元々の攻撃力・守備力は半分になっちまうがな!」

 

 頭と肩に大砲を2つずつ付けた赤い装甲の機獣がキュルキュルとキャタピラを走らせ《機動要犀トリケライナー》の隣に陣取る。

 

 だがリリースが足りなかった分、体のパーツに所々空きがありその性能は半分に落ち込む。

 

《可変機獣 ガンナードラゴン》

星7 闇属性 機械族

攻2800 守2000

攻1400 守1000

 

「だが《マシン・デベロッパー》効果でパワーアップだ!」

 

《可変機獣 ガンナードラゴン》

攻1400 → 攻1600

 

「《機動要犀トリケライナー》を攻撃表示に変更しバトルだ! 《可変機獣 ガンナードラゴン》で《千年竜》を攻撃だ!」

 

「攻撃力の低いモンスターで攻撃だと! とりあえず反撃しろ! 《千年竜》! サウザンド・ノーズ・ブレス!!」

 

 頭と肩に2つずつある大砲を使おうとする《可変機獣 ガンナードラゴン》だがパーツが足りないため、「ボフッ」という間抜けな音しか出ない。

 

 「こうなりゃ」と言わんばかりにキャタピラを唸らせやけくそになりながら《千年竜》に突撃するが、《千年竜》の強烈な鼻息による攻撃で《可変機獣 ガンナードラゴン》は空きのある部分から崩れていき、最後はスクラップとなった。

 

キースLP:4000 → 3200

 

「おいおいどうしたよ! 全米チャンプともあろうものがデュエルのルールも忘れちまったのかぁ?」

 

 そう軽口を叩く城之内だがその心中に不安が溢れる――孔雀舞とのデュエルでの自爆特攻が頭から離れない。

 

「機械族である《可変機獣 ガンナードラゴン》が破壊されたことにより永続魔法《マシン・デベロッパー》の効果でコイツにジャンクカウンターを2つ追加し、《機甲部隊の最前線》の効果で破壊されたモンスターの攻撃力以下の機械族モンスターをデッキから特殊召喚する」

 

ジャンクカウンター:2 → 4

 

「ってことは攻撃力1600以下のモンスターか、なら大丈夫だな」

 

 攻撃力1600以下のモンスターなら自身の《千年竜》の敵ではないと安堵する城之内。

 

「《リボルバー・ドラゴン》を特殊召喚だ! 当然《マシン・デベロッパー》効果でパワーアップだ!」

 

 《可変機獣 ガンナードラゴン》の残骸を押しのけフィールドに現れる3丁の銃を構える機械龍。

 

 その3つの銃口は《千年竜》を捉える。

 

《リボルバー・ドラゴン》

星7 闇属性 機械族

攻2600 守2200

 ↓

攻2800

 

「一体どうなってやがんだ! 攻撃力1600になった《可変機獣 ガンナードラゴン》から何で攻撃力2600の《リボルバー・ドラゴン》になってんだよ!」

 

 まだまだデュエル歴の短い城之内にコンマイ語の洗礼が浴びせられる。

 

 だがそんな城之内にキースはというと――。

 

「落ち着きな……キチンと説明してやるから」

 

 大人の対応を見せた。

 

「《機甲部隊の最前線》の効果で参照する攻撃力――今回は《可変機獣 ガンナードラゴン》だが、戦闘破壊されたコイツの『墓地での攻撃力』を参照する。つまりフィールド上でいくら攻撃力が上下しようが関係ねぇのさ」

 

 首を赤べこのように頷かせながら城之内の顔に理解の色が浮かぶ。

 

「つまり《可変機獣 ガンナードラゴン》の墓地での攻撃力は2800だから――」

 

「そうだ攻撃力2800以下――攻撃力2600の《リボルバー・ドラゴン》を《機甲部隊の最前線》の効果で呼べるって訳だ。わかったか?」

 

 再度確認するキースに城之内は笑みを浮かべ宣言する。

 

「おう! 解りやすかったぜ! ってヤベェじゃねぇか!」

 

「そういうこった! 行け! 《リボルバー・ドラゴン》! 《千年竜》に攻撃! 打ち抜け! 銃砲撃(ガン・キャノン・ショット)!!」

 

 《リボルバー・ドラゴン》から放たれた3発の銃弾は螺旋を描き《千年竜》の鼻息を突き抜け《千年竜》に3つの風穴を開ける。

 

「くそっ! 《千年竜》! だが永続罠《死力のタッグ・チェンジ》の効果でダメージは0だ! そして手札から《マグネッツ2号》を攻撃表示で特殊召喚!」

 

 散り際に《千年竜》が尻尾を伸ばし新たな仲間を引き寄せる。

 

 その呼びかけ両肩にトゲの付いたアーマーを装着し薙刀を構えた戦士《マグネッツ2号》が応えた。

 

《マグネッツ2号》

星3 地属性 戦士族

攻 500 守1000

 

 2体のモンスターを見比べ攻撃力の高い方を目標に選ぶキース。

 

「攻撃力500か……なら《機動要犀トリケライナー》で《格闘戦士アルティメーター》を攻撃! 捻じ伏せろ! トライホーンアタック!!」

 

 《機動要犀トリケライナー》がその3本の角を向け《格闘戦士アルティメーター》を貫かんと突撃する。

 

 対する《格闘戦士アルティメーター》は正拳突きで迎え撃つも、その質量差から普通に跳ね飛ばされた。

 

「永続罠《死力のタッグ・チェンジ》の効果でダメージは0だ! そして手札から《マグネッツ1号》を攻撃表示で特殊召喚!」

 

 跳ね飛ばされた《格闘戦士アルティメーター》は飛ばされながらも城之内の手札の《マグネッツ1号》にタッチを交わす。

 

 役目を終えた《格闘戦士アルティメーター》は親指を立て《マグネッツ1号》の健闘を祈りつつ壁に激突した。

 

 そして左側の「U」字型の角が折れたヘルムをかぶった青い肌の戦士が《格闘戦士アルティメーター》の思いをくみ取り大きな突撃槍を片手で《マグネッツ2号》に向け、両者の間に磁力の力場が出来る――だからといって特に何かがあるわけはない。

 

《マグネッツ1号》

星3 地属性 戦士族

攻1000 守 500

 

「バトルフェイズを終了しメインフェイズ2に《リボルバー・ドラゴン》の効果を城之内! テメェのモンスター《マグネッツ1号》を対象に発動! ロシアン・ルーレット!!」

 

 《リボルバー・ドラゴン》の3つの銃のリボルバーが回転を始める。

 

「当たりゃ《マグネッツ1号》を破壊し、ハズレなら何も起きねぇ。そしてコイツは効果破壊、よって永続罠《死力のタッグ・チェンジ》の効果の範囲外だ!」

 

 撃鉄が落とされる――だが「カチッ」という音が鳴るだけで弾は出ない。ハズレだ。

 

「チッ! 本当に運のいい野郎だ……それに次から次へとわらわら出てきやがって――俺様はこれでターンエンドだ」

 

 キースはそんなブーメランになりそうな発言をしつつ如何したものかとターンを終えた。

 

 




凡骨の意地「城之内が一度でも触ったことのあるカードのオンパレードだぜ!」

通常モンスターたち「出番があってもサンドバックにされるのはちょっと……」

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