今後もデュエルは基本的に2話構成になりそうです。
前回のあらすじ
城之内「レッドアイズ、ゲットだぜ!」
キース「チャンプは一人、この俺様だ!」
竜崎から城之内に《真紅眼の黒竜》が手渡されるのを神崎は確認しつつ、手元のカードに目を向ける――それは用意しておいた《真紅眼の黒竜》だった。
神崎がこのカードを用意した背景には今大会のルールを真っ当な形に変更したため、原作のように「有利になった時点で提案するアンティ」が行えないからである。
ゆえに城之内が《真紅眼の黒竜》を入手できないと考え、神崎が城之内に「ラッキーカードだ。こいつが君のところに行きたがっている」とでも言って渡そうと計画していたのだが徒労に終わった。
今回の件で明らかになった竜崎の心境の変化。
神崎はキースなどの心境の変化は知っていたが、今回の竜崎の変化は予想していなかったものであり、それゆえに今後、より警戒するように神崎は注意する。
他のデュエリストの状態も変化している可能性も十分にあり得るのだから…。
神崎がそう決心している内に次の対戦カードである孔雀舞VSキース・ハワードの両名が対戦会場にて向かい合っていた。
勝負の前にお互いのデッキをシャッフルする中、キースは挑発交じりに言葉を放つ。
「最初から俺様に当たるなんざ運のねぇ奴だ……サレンダーでもしたらどうだぁ? 恥はかきたくねぇだろ?」
ペガサスと戦う際にできる限り手の内を隠しておきたいが故の挑発だが孔雀舞は怒りと共に言葉を発する。
「あまりアタシを舐めないことね……それにデュエリストがデュエルから逃げるわけがないでしょ!」
その怒りをキースは感じ取り、冷静になれないものに勝機はないと考えながら。お互いのデッキを返し所定の位置に付く。
「クククッ、そうかい――なら始めさせてもらうぜ!」
「「デュエル!!」」
先行は孔雀舞。
「アタシのターン! ドロー、アタシは《ハーピィ・チャネラー》を召喚! そして効果発動! 1ターンに1度手札の『ハーピィ』と名のつくカードを捨てデッキから『ハーピィ』と名のつくモンスターを守備表示で特殊召喚するわ! 来なさい! ハーピィの忠実なる僕――《ハーピィズペット
一陣の風と共に黒い羽根を羽ばたかせ、髪を左右に結った
そして右手に持つ杖を地面に向けると上空からその地点に薄桃色のドラゴン《ハーピィズペット竜》が降り立ちこうべを垂れ、その首に《ハーピィ・チャネラー》は左手の鎖の付いた首輪をかけ喉を撫でた。
《ハーピィ・チャネラー》
星4 風属性 鳥獣族
攻1400 守1300
《ハーピィズペット竜》
星7 風属性 ドラゴン族
攻2000 守2500
「《ハーピィズペット竜》はフィールドの《ハーピィ・レディ》の数だけパワーアップするわ! そして《ハーピィ・チャネラー》はフィールドと墓地では《ハーピィ・レディ》として扱う――よって《ハーピィズペット竜》はパワーアップよ!」
《ハーピィズペット竜》
攻2000 守2500
↓
攻2300 守2800
「カードを2枚セットしターンエンド。そしてこの瞬間! 墓地の《ハーピィ・ハーピスト》の効果発動! 墓地に送られたターンのエンドフェイズにデッキから攻撃力1500以下の鳥獣族・レベル4モンスターを手札に加えるわ! 《ハーピィ・レディ》を手札に加えるわ! さあかかってらっしゃい!」
墓地から《ハーピィ・ハーピスト》のハープの音色が流れ、孔雀舞の手札にカードを呼び込んだ。
孔雀舞は盤石の態勢でキースを迎え撃つ。
「なら遠慮なくいかせてもらうぜ! 俺様のターン! ドロー! 手札から魔法カード《闇の誘惑》を発動! デッキから2枚ドローし手札の闇属性モンスター《リボルバー・ドラゴン》を除外するぜ」
キースのデッキから闇が溢れ、そこからキースはカードを引くと頭と手が回転式拳銃になった機械龍《リボルバー・ドラゴン》が闇に呑みこまれていった。
「まずは場を整えねぇとな…。手札から永続魔法《
フィールドに突如として現れる機械仕掛けの前線基地。そしてその基地から球体のボディに2枚の羽と7本のアームに武器を携えた《メカ・ハンター》が飛び出す。
《メカ・ハンター》
星4 闇属性 機械族
攻1850 守 800
「さあ行けバトルだ! 《メカ・ハンター》その小娘を八つ裂きにしな!」
7本の腕の武器それぞれを《ハーピィ・チャネラー》へと向けて飛びかかる《メカ・ハンター》。
だが孔雀舞は「その程度?」と言わんばかりにセットカードを発動させる。
「全米チャンプともあろうものが少しばかり無警戒過ぎよ! 永続罠! 《銀幕の
フィールドに現れる鏡の壁。《ハーピィ・チャネラー》を狙った《メカ・ハンター》の武器は鏡の中の《メカ・ハンター》に突き刺さり、鏡の中の自身の同じ個所に穴が開いた《メカ・ハンター》は煙を上げながら失速する。
《メカ・ハンター》
攻1850 → 攻925
「返り討ちにしてあげなさい! 《ハーピィ・チャネラー》!」
そして壁が消えると《ハーピィ・チャネラー》が杖から風の刃を飛ばし機能の低下した《メカ・ハンター》を狙う。
迎撃しようとする《メカ・ハンター》だがその動きは悪く、健闘むなしく切り裂かれた。
キースLP:4000 → 3525
「クククッ……」
自身のモンスターが破壊されたにもかかわらずキースの余裕は崩れない。
「この瞬間! 永続魔法《機甲部隊の最前線》の効果を発動だ! 1ターンに1度、機械族モンスターが戦闘破壊され墓地に送られた時、デッキから同じ属性のそのモンスターより攻撃力の低い機械族モンスターを特殊召喚する! 《振り子刃の拷問機械》を守備表示で特殊召喚!」
破壊された《メカ・ハンター》の残骸が基地に送られ、機械の作業音が鳴り響く。
そして音が鳴りやむと振り子刃に赤い金属の腕と兜のような頭パーツを持った《振り子刃の拷問機械》が腕を交差させ防御姿勢を取った。
《振り子刃の拷問機械》
星6 闇属性 機械族
攻1750 守2000
「っ! でも《銀幕の鏡壁》は永続罠! どのみち攻撃すれば返り討ちよ! そうやってガードを固めてなさい!」
結果的に不用意に罠カードを晒してしまった孔雀舞は自身の目論見が外れようとも有利な状態に変わりはないと自分自身に言い聞かせる。
「ならそうさせてもらうとするさ……カードを2枚セットしターンエンドだ」
「アタシのターン! ドロー! アタシのスタンバイフェイズに《銀幕の鏡壁》の維持のためにライフポイントを2000払うわ」
孔雀舞LP:4000 → 2000
《銀幕の鏡壁》は強力な効果ゆえに相応のデメリットがある。その様子を見てキースは笑いながら問いかける。
「おいおいいきなりライフポイントが半分になるたぁ――この先大丈夫かよっ!」
「おあいにくさま! 永続罠《女神の加護》を発動しライフを3000回復するわ!」
《逆転の女神》が光の中から現れ、その身から聖なる力が溢れ孔雀舞に
孔雀舞LP:2000 → 5000
「ハハッ! だがソイツはフィールドから離れた時3000ものダメージを与えるはず……虚勢を張るのも大概にしな!」
3000回復しても3000ダメージを受ける可能性のある状態の孔雀舞のライフに実質変わりはしないと笑うキース。
だが孔雀舞はだからどうしたとデュエルを続ける。
「アンタは自分の心配でもしときなさい! アタシは手札の《ハーピィ・レディ》を捨て再び《ハーピィ・チャネラー》の効果を発動し《ハーピィ・レディ・
《ハーピィ・チャネラー》が再び杖を振り仲間を呼ぶ。その呼び声に呼応するように緑の羽根を広げ青いアーマーを装備した《ハーピィ・レディ・SB》が鞭をしならせ《ハーピィ・チャネラー》のとなりに舞い降りる。
《ハーピィ・レディ・SB》
星4 風属性 鳥獣族
攻1800 守1300
「《ハーピィ・レディ・SB》はルール上《ハーピィ・レディ》として扱われるわ。よって《ハーピィズペット竜》もさらにパワーアップ!」
《ハーピィズペット竜》
攻2300 守2800
↓
攻2600 守3100
「そして永続魔法《ヒステリック・サイン》を発動しデッキから《万華鏡-華麗なる分身-》を手札に加えるわ」
《ハーピィ・チャネラー》が杖を中央に構え祈りをかけると《ハーピィズペット竜》の後ろに魔法陣が現れ、そこからカードが孔雀舞の手札に送られる。
「そして今手札に加えた《万華鏡-華麗なる分身-》をそのまま発動! フィールド上に《ハーピィ・レディ》がいる時、手札・デッキから《ハーピィ・レディ》か《ハーピィ・レディ三姉妹》を特殊召喚!」
空中に万華鏡が現れクルクルと回る。
「フィールドには《ハーピィ・レディ》として扱う《ハーピィ・チャネラー》と《ハーピィ・レディ・SB》がいる! 来なさい! 魅惑の狩人三姉妹! 《ハーピィ・レディ三姉妹》!」
万華鏡は《ハーピィ・チャネラー》を写し取りその回転を加速し始める。
その万華鏡は最後には砕けちり鏡の破片をフィールドに散らばせ、金のアーマーを装着した3体のハーピィがその翼を広げた。その3体は手に持つムチの状態をそれぞれ確かめる。
《ハーピィ・レディ三姉妹》
星6 風属性 鳥獣族
攻1950 守2100
孔雀舞のフィールドを埋め尽くす華麗なる狩人たち、その爪が今振るわれる。
「《ハーピィズペット竜》を攻撃表示に変更しバトルよ! 《ハーピィズペット竜》! 《振り子刃の拷問機械》を焼き尽くしなさい! セイント・ファイアー・ギガ!」
《ハーピィズペット竜》の聖なる炎のブレスが《振り子刃の拷問機械》を焼く。必死に耐える《振り子刃の拷問機械》だがやがて機械の身体が溶け、振り子刃が地面に落ち砕けた。
「だが永続魔法《機甲部隊の最前線》の効果により《ツインバレル・ドラゴン》を守備表示で特殊召喚!」
小型の拳銃「ダブルデリンジャー」の頭部を持った2足の機械龍が基地より飛び出しその身を伏せる。
《ツインバレル・ドラゴン》
星4 闇属性 機械族
攻1700 守 200
「さらに《ツインバレル・ドラゴン》の効果を発動ォ! このカードの召喚・反転召喚・特殊召喚時に相手フィールド上に存在するカード1枚を選択しコイントスを2回行い、2回とも表だった場合、そのカードを破壊するぜ! 選ぶのは当然《銀幕の鏡壁》!」
頭の拳銃部分の撃鉄を引く《ツインバレル・ドラゴン》。そして引き金を引くも「カチッ」という音だけで弾は出なかった。
《ツインバレル・ドラゴン》はその首を下ろし残念そうに地面を蹴る。
「どうやらハズレの様ね……なら《ハーピィ・チャネラー》! 《ツインバレル・ドラゴン》を片付けなさい!」
《ハーピィ・チャネラー》はバットのように杖を構え《ツインバレル・ドラゴン》を殴り飛ばす。
軽い一撃だが《ツインバレル・ドラゴン》は頭部の銃に不具合を起こし暴発、吹き飛んだ頭が落ちる共にその身は崩れ落ちた。
「《機甲部隊の最前線》の効果は1ターンに1度! これでアンタのフィールドは空、ダイレクトアタックよ! 《ハーピィ・レディ三姉妹》 トライアングル・
《ハーピィ・レディ三姉妹》がそれぞれの手にエネルギーをため、それは三角形を描くように繋がり「X」の文字と共に打ち出そうとする。だが――
「させるかよ! 永続罠《闇次元の解放》を発動! コイツで除外された闇属性モンスターを呼び出すぜ! さぁ! ハンティングの時間だ! 《リボルバー・ドラゴン》!」
《ハーピィ・レディ三姉妹》の攻撃方向に空間の歪みが現れ、そこから頭と手が回転式拳銃になった機械龍《リボルバー・ドラゴン》が駆動音とその巨体を唸らせる。
《リボルバー・ドラゴン》
星7 闇属性 機械族
攻2600 守2200
「――攻撃力2600ですって! 攻撃は中止よ! くっ! カードを1枚セットしてターンエンドするわ……」
出鼻を挫かれてしまった孔雀舞は攻めきれなかったことに悔しさを感じつつターンエンドした。その胸中に不安が残る。
「さぁて俺様のターン、ドロー! そして《リボルバー・ドラゴン》の効果だ! 1ターンに1度相手フィールドのモンスター1体に対しコイントスを3回行い、その内2回以上が表ならソイツを破壊するぜ! さあ回れ! ロシアン・ルーレット!」
宣言と共に頭と両手の回転式拳銃が撃鉄を引きリボルバーが回転を始める。そして撃鉄が振り下ろされ「カチッ」と音が鳴るまたしてもハズレの様だ。
「チッ! またハズレか……運のいいこった。だったら《リボルバー・ドラゴン》! 《ハーピィ・チャネラー》を打ち抜いてやりな!
《ハーピィ・チャネラー》に3つの銃口を向ける《リボルバー・ドラゴン》。だが――
「忘れたの? アタシのフィールドの《銀幕の鏡壁》を! 自分自身に攻撃なさいっ!」
3つの銃口から放たれた銃弾は地面からせり上がった鏡の壁の中の《リボルバー・ドラゴン》を打ち抜き、同じ個所に穴の開いた《リボルバー・ドラゴン》がその膝をついた。
《リボルバー・ドラゴン》
攻2600 → 攻1300
「これでまた《ハーピィ・チャネラー》の返り討ちよ!」
《ハーピィ・チャネラー》が杖を掲げ複数の風の刃を《リボルバー・ドラゴン》に叩きつけその機械仕掛けの身体をバラバラにした。
キースLP:3525 → 3425
「これで良いんだよ! 永続魔法《機甲部隊の最前線》の効果で《ブローバック・ドラゴン》を攻撃表示で呼び出すぜ!」
《ツインバレル・ドラゴン》より一回り大きく頭部が自動式拳銃の機械龍が《リボルバー・ドラゴン》の残骸から這い出る。
《ブローバック・ドラゴン》
星6 闇属性 機械族
攻2300 守1200
「そしてバトルを終了し――メインフェイズ2でコイツの効果を発動! 効果は《リボルバー・ドラゴン》と同じだがコイツの獲物は相手フィールド上の全てのカードから選べるのさ! 選ぶのは当然! 《銀幕の鏡壁》!」
「なんですって! ……でも早々当たるもんじゃないわ!」
このデュエルの中でこの手の効果は3度目、そろそろ当たり出してもおかしくはない。
そんな思いを孔雀舞は押しとどめ強気な対応を取る。
銃身が《銀幕の鏡壁》を向き自動式拳銃のスライドが発砲の反動で後退し、弾丸を射出する――当たりだ。
その銃弾は《銀幕の鏡壁》の鏡の壁を粉々に砕き障害を完全に破壊した。
「これで頼みの綱のカードがなくなっちまったなぁ。俺様はカードを2枚セットしターンエンドだ」
文字通りの強力な壁を短時間で失った孔雀舞は計算外の事態にも落ち着いてデュエルに臨む。
「アタシのターン、ドロー! アタシは《ハーピィ・レディ・SB》を攻撃表示に変更しバトルよ! 行け! 《ハーピィズペット竜》! セイント・ファイアー・ギガ!」
《ハーピィズペット竜》の聖なる炎が吐き出される前に《ブローバック・ドラゴン》は頭部の自動式拳銃から銃弾を放ち続ける。
その度に発砲の反動で後退し薬莢が地面に落ちるが《ブローバック・ドラゴン》は飛翔し始めた《ハーピィズペット竜》を狙い続けた。
だが頭部の可動域の限界に差し掛かり《ハーピィズペット竜》を狙う銃弾が無くなった隙を突かれその身は聖なる炎に沈む。
キースLP:3425 → 3125
「だぁが当然永続魔法《機甲部隊の最前線》の効果だ! 来い! 《スロットマシーン
金色の巨躯が燃え尽きた《ブローバック・ドラゴン》の残骸を踏みつけ跳躍し地響きと共に着地する。そして右手のレーザー砲を敵に向け、左手で自身の身体のスロットを動かすレバーを持ち臨戦態勢に入った。
《スロットマシーンAM-7》
星7 闇属性 機械族
攻2000 守2300
「くっ! 次から次へと……アタシはカードを1枚伏せてターンエンドよ!」
――攻めきれない。
その焦りを押し殺すも全米チャンプでありナンバーワンカードプロフェッサーの実力に孔雀は舞は歯噛みした。
TM-1ランチャースパイダー「次回は俺のランチャーが火を噴くぜ!」
キース「悪いなTM-1ランチャースパイダー……このデッキ、闇属性なんだ」
TM-1ランチャースパイダー(炎属性)「えっ」
デビルゾア(闇属性)「残念だったな! 我が活躍を指を咥えて見ているがいい」
キース「……悪いなデビルゾア……このデッキ、機械族なんだ」
デビルゾア(悪魔族)「!?」