マインドクラッシュは勘弁な!   作:あぱしー

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前回のあらすじ
やめて! 3体の青眼の白龍の攻撃で、遊戯を焼き払われたら、遊戯のライフは燃え尽きちゃう!

お願い、死なないで遊戯! あなたが今ここで倒れたら、お爺さんとの約束はどうなっちゃうの? ライフはまだ残ってる。ここを耐えれば、海馬に勝てるんだから!

前回「海馬死す」 デュエルエンド!

遊戯のお爺さん「儂のために争うのはよすんじゃ!」



第11話 あ、あなたはっ!

 

「しっかりしてよ! 兄サマ!!」

 

 そう悲痛に叫ぶ海馬瀬人の弟、モクバの声にストレッチャーに乗せられた海馬は何の反応も示さない。

 

 

 最先端の現代科学によって海馬の状態を見るも、糸の切れた人形のような状態であったが健康体そのものである。

 

 そして神崎が集めた「オカルト」によるアプローチも最高峰の闇のアイテム――「千年パズル」のマインドクラッシュにより砕けた心を治療するすべはなかった。

 

 一生このままの可能性もある――そう告げられたモクバの心情は筆舌しがたいものであろう。

 

 

 

 

 

 病室で動かなくなった海馬の手を握るモクバは不安を隠せず神崎に問う。

 

「兄サマは大丈夫だよな!? このまま死んじゃったりしないよな!」

 

 その姿に海馬の側近、磯野は涙を禁じ得ない。

 

「なぁ! 神崎! 大丈夫だよな!!」

 

 そう縋りつくようにKCの医療機関のトップであり誰よりも早く実の兄である海馬に忠誠を誓った神崎に問いかける――そこに海馬のような疑いの視線はない。

 

「もちろんですモクバ様。社長はお強い方です――すぐにでもモクバ様に元気な姿をお見せになることでしょう……それに社長がモクバ様を置いてどこかに行かれるなど私には想像もできません」

 

 最後にそう付け加えるも神崎の心は罪悪感で一杯だった。

 

 「原作」では流されていたことだが実の兄がこんな状態になれば唯一の肉親であるその弟の心境を思うと、海馬を極力安全な状態にする実情があれど神崎の胃はキリキリと痛む。

 

「そう……だよな……じゃあ兄サマがいつ戻ってきてもいいようにKCを守っていかなくちゃならねえぜ!!」

 

 モクバはそう言い残し社長室へと駆けて行った――どう見ても空元気である。

 

 

 神崎の胃はさらに痛んだ。

 

 

 

 

 

 

 様々な機械が所狭しと並ぶ中でツバインシュタイン博士が神崎に今回の正確な診察結果を報告する。

 

「打てるだけの手は全て打ちました。少しずつではありますが海馬社長の容体は回復傾向に向かっていると思われます。しかし、すさまじいまでの精神力ですな……」

 

「ええ、本当にそう思います」

 

「ですがよかったのですか? 海馬社長が回復傾向であることをモクバ様にお伝えしなくても?」

 

 兄である海馬の容体を気にしていたモクバに一応回復傾向にあることを伝えなかった神崎の行動に疑問を持つツバインシュタイン博士。

 

「ですがその『回復傾向にある』状態も、あくまで『思われる』程度の確証しかありません。確実性の無い情報でモクバ様をぬか喜びさせるようなマネはできませんから……」

 

「それを言われると耳が痛いですな……『精神の治療技術』を仕上げることができなかった我々の不手際です。それに今回の武藤遊戯氏が発生させたものは今まで我々が研究してきたものとは比べ物になりません」

 

 落ち込みを見せるツバインシュタイン博士の言葉に励ますように神崎は願うように言う。

 

「ですがこれである種の指針ができました。必要なものは準備しますので――期待していますよ」

 

「お任せください! それにしてもすばらしいですな!! これほどの出力を前準備なしで放出するとは!! 彼は一体何者なのです!! いやそれよりもあの逆四角錐のアイテム! ぜひ! データを取らせていただきたい!!」

 

 オカルト研究のさらなる深淵を垣間見たツバインシュタイン博士は興奮を抑えきれぬように大きな声でまくしたてる。

 

「落ち着いて下さい。ツバインシュタイン博士。それは出来ないと最初に申し上げた筈です」

 

 テンションが彼方へと振り切れている老人――ツバインシュタイン博士を神崎は何とか抑えようとするも、その程度では止まれないと言わんばかりに神崎に詰め寄る。

 

「しかしあの――千年パズル……でしたか? あれが海馬社長へと行使した力の波動はすさまじいものです!! あれを調査できれば研究は飛躍的……いや! 爆発的に進歩します!!」

 

「リスクが大きすぎます」

 

 海馬瀬人と武藤遊戯との対戦での逆転劇を見て、さらに武藤遊戯と敵対したくない思いが強くなった神崎にとってツバインシュタイン博士の提案は絶対に呑むことが出来ないものである。ゆえに危険性を伝えるも――

 

「多少のリスクがなんです!! それを抑える研究もある程度成果が出ています!! ですから……」

 

 聞く耳は持たれなかった――マッドサイエンティストの鑑である。

 

 ゆえに神崎は切り口を変えた。

 

 

「ツバインシュタイン博士。貴方は彼に勝てますか?」

 

「? 何故そんな話になるのですか? ただあのアイテムを借り受けたいだけで――」

 

「彼、武藤遊戯は千年パズルを手放すことはありません。借り受けるにしてもその用途を明かせば断られることでしょう。彼にとって千年パズルは自身の命に匹敵するほどのものでしょうから」

 

「ゆえに千年パズルを彼から勝ち取る必要があると」

 

「ええ、そうです。ゆえにそれを踏まえた上で海馬瀬人と武藤遊戯の戦いを見た貴方に今一度お聞きします――彼に勝てますか?」

 

「そ、それは……」

 

 ――無理だ。

 

 ツバインシュタイン博士の頭脳が結論を下す。

 

 神崎が雇っているデュエリストも雇い主本人が武藤遊戯との敵対を考えない以上借り受けることもできず、無理に奪おうとすれば闇のアイテムが牙をむく――諦めるほかない。

 

「ですが、データ取集の機会でしたらこの後幾らかあります。それでどうかご容赦を」

 

 そんなツバインシュタイン博士の思惑を見透かしたかのように放たれる神崎の言葉にツバインシュタイン博士は思う――やはり最高の研究環境だと。

 

 潤沢な資金に加え、こちらの無理難題にも可能な限り応えようとする雇用主の姿勢は一研究者としてとてもありがたいものであった。

 

 

 立場が逆の気がするがきっとそれは気のせいに違いない。気のせいだよ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 研究者の狂気を垣間見た神崎は今現在自室でくつろいでいた。久々に時間に余裕ができたためである――社畜の一時の憩いである。

 

 

 そんな安らぎも当然のことながら長くは続かなかった。

 

 

 外の慌ただしい喧騒と共に神崎の自室の扉が乱暴に開かれ、小さな客人――モクバが転がり込んできた。

 

「大変なんだ! 神崎ッ!! 助けてくれ!!」

 

 そんな突然の状況に付いて行けていない神崎はモクバの目線に合うようにしゃがみ、営業スマイルで口癖になりつつある言葉を放つ。

 

「落ち着いて下さい。何があったのですか?」

 

「……うん。BIG5の奴らが兄サマの動けないうちにKCを乗っ取ろうとしてるんだ! お前はオレ達の味方だよ……な?」

 

 そんな不安げなモクバの様子を見て神崎は思う。周りが全て敵だと思えるような状況で真っ先に頼りに来たことに――これほど信頼されていると神崎は思ってもいなかった。

 

「もちろんですよ」

 

「神崎……」

 

 その信頼を嬉しく思いながら返した言葉に安堵しているモクバをよそに、外の喧騒が大きくなり、新たな客人――団体さんが押し入る。

 

「お待ちください。今はお通しすることは……」

 

「邪魔だ! ギース!! さっさと神崎を出せ!!」

 

「そうだ! 海馬瀬人がいないこの機を逃すわけにはいかんのだ!!」

 

「今一度KCをあるべき姿に戻す時が来たのだ!!」

 

 

 その5人組BIG5はギースを押しのけ神崎の後ろに隠れたモクバを視界に入れほくそ笑む。

 

 

「神崎、今すぐモクバ様を渡してもらおう――なに手荒なことはしない。我々はモクバ様の持つマスターキーさえ手に入ればいいのだから」

 

「BIG5の皆様方そういったお話でしたらこちらで」

 

 神崎はモクバの前でするべき話ではないと判断し、BIG5を会議室へと誘導、不安げに神崎を見つめるモクバを安心させるための言葉を考える。

 

 

「ご安心下さいモクバ様。私はアナタ方御兄弟を裏切るようなことはいたしません――ギース、モクバ様のことを頼みましたよ」

 

 力強くうなずくギースを背に神崎はBIG5の説得へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 会議室ではBIG5の面々がKCを再び手中に収めるために話し合っていた――とらぬ狸の皮算用とはこのことである。

 

 そして神崎の入室を確認すると社長の元側近である大門小五郎が自身の髭を触りながら話し始める。

 

「上手く手懐けたものだな神崎――あれならすぐにでもマスターキーの場所を吐かせられそうだ」

 

「そんなことは致しませんよ大門殿。しかしBIG5の皆様は何故こんなことを? 海馬社長のもとで力を振るうと約束したはず……。私は皆様との約束を守りそれぞれの希望を叶えた筈ですが……?」

 

「それはそうなのだが……」

 

 しどろもどろになりながらも自身の工場を海馬に爆破されそうになっていたところを神崎の手によってデュエルリング工場へと生まれ変わらせ、軍事工場長からデュエルリング工場長となった――大田宗一郎は言葉を濁す。

 

 

「ああ、海馬ランド内にペンギンアトラクションを増設してくれたことには感謝している。だが――」

 

 人事を取り仕切っていたペンギン大好き大瀧 修三も感謝を示すも、それは別の話だと続け、顧問弁護士――大岡 筑前が話を引き継ぎ、自分達の野望を語る。

 

「君の働き掛けには感謝している。だが海馬瀬人が倒れた今、昔のように我々が上に立とうじゃないか――そのために剛三郎氏を匿っているのだろう?」

 

「そう! 今こそ海馬ランドをペンギンランドにする!!」

 

 ペンギン大好きおじさん、大瀧 修三も便乗する。

 

そして「妖怪」とも呼ばれた企業買収のスペシャリスト大下 幸之助が締めくくる。

 

「さあ剛三郎社長を呼び戻し、今一度KCをあるべき姿に!!」

 

 

 神崎はBIG5の話を聞き、なぜ彼らが今回、反旗を翻すに至ったのかは神崎自身に原因があることに気づく。

 

 つまりBIG5は彼らの旗印――海馬剛三郎が生きている上、それを保護する人間、神崎が「オカルト」に並々ならぬ興味を示していることも相まって今回の海馬瀬人の昏睡を神崎の策によるものと考え、彼らはその策に力を貸しに来たのである。

 

 

 全て神崎が撒きに撒きまくった種であった。

 

 

 ゆえに神崎はその事実を全力で有耶無耶にすることにした。

 

 

 次はどうする。次はなにをやればいい。そんなBIG5の期待に満ちた目を神崎は裏切る――と言うより誤魔化す。

 

「さあ! 今すぐ我らの力で――」

 

「結論から申し上げるに私は現社長、海馬瀬人と事を構える気はありません」

 

「なぜだ! 今この機を逃すわけには――」

 

「彼なら直に目を覚まします。この程度で終わる男ではありません。さらに仮に、KCから海馬瀬人を締め出すことが出来たとします。ですが彼は必ず戻ってくるでしょう。そうなれば締め出しに関与した人間がどうなるか――わかるでしょう?」

 

 海馬瀬人は決して折れない人間である。そんな彼の恨みを神崎は望んで買いたくはなかった。

 

「ならば後顧の憂いを断つ意味も込めて彼には消えてもらいましょう」

 

 大岡 筑前が危険な考えを口にする。彼の弁護士としての知識を使えばその後の隠蔽など問題ないと言いたげだ。だがそれは悪手であると神崎はいつもの笑顔で警告する。

 

 

「あなたも『ああ』なりたいのですか?」

 

 

 BIG5の面々の頭に疑問が浮かぶ。「ああなる」とは今の海馬瀬人の人形のような状態を指していることは分かったがなぜ自分達がそうなるのかに行きつかない。

 

「武藤遊戯と海馬瀬人は互いにライバル視しています。いわゆる宿命のライバルというやつですね――そんなライバルが不自然に消えたらどうすると思いますか?」

 

「それはもちろん。ッ!!」

 

 BIG5は気付く。自分たちが地獄の片道列車に乗り込みかけていたことを。

 

 

「過ぎた欲は身を滅ぼします。それでも欲しますか?」

 

 

 そう締めくくった神崎にBIG5の面々は先程のやり取りをなかったことにし部屋を後にしていった。

 

 

 

 

 そして最後に部屋を出た神崎が見たものは

 

「神崎? あいつらどうしたんだ? 急に兄サマに忠誠を誓うとか言ってたけど……?」

 

 狐に摘ままれたような顔をしているモクバだった。そんな彼はあの掌返しの真相を尋ねる。

それに対して神崎は曖昧に答えた。

 

「彼らも不安だったのですよ。急な社長の交代劇に加え海馬社長のご容態が優れぬことも相まって、自分たちが新たな支柱となってでもKCを支えねばならない――そう思い詰めるほどに。私はただそんな彼らの不安を取り除いただけです」

 

「そっか。あいつらも兄サマのKCについて考えてくれてたんだな……。神崎、今回は感謝するぜ! ありがとな!!」

 

 そういってモクバは朗らかに笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 研究室の一室、そこのディスプレイに映された少年――海馬乃亜は項垂れている神崎に労わるように声をかける。

 

「珍しいね。君がここまで疲れを見せるなんて。原因は何かな?」

 

「I2社とKCの協力の元で開かれる大規模な大会の準備に忙しくてね……」

 

 

 ペガサスとの会議? は神崎の精神力をガリガリと削るものがある。

 

 

「そうなのか。気を付けてくれよ? 今君に倒れられると僕が困る」

 

 若干の皮肉を込めた乃亜の心配する姿に神崎はつい微笑ましく思う。

 

 少し前までは自身以外を認めない節があった乃亜だが神崎の度重なるコミュニケーション成果なのかかなり丸くなっていた。

 

 

 そんな神崎の微笑ましいものを見る視線に反応した乃亜は仏頂面をしつつ問いかける。

 

「……何が可笑しいんだい」

 

「いえ、なんでもありませんよ。ですがその点については安心してもらってかまいません。後は肉体を目覚めさせるためのエネルギーの確保だけになっております。それの回収も直に始まります。後は私がいなくとも特に問題はないですよ」

 

「ならいいんだ。そうだ――」

 

 乃亜は思い出したかのように神崎に問いかける。

 

「過去にあった豪華客船沈没の救助の件で家族と自身を救ってくれた恩を返すために君の元で働きたいと言っていた青年の申し出を何故断ったんだい? ――デュエルの腕前もかなりのものだったんだろう?」

 

「……あの件ですか。彼は長兄、家業を継ぎ次期当主になるかもしれない人間をコチラ側に引き抜くことなんてできませんよ」

 

「そうなのかい? そんなこと言いながら何か悪巧みをしてるんじゃないかな?」

 

「酷い言われようですね」

 

 神崎は乃亜とそういった他愛もない話をしつつ、削れに削れた精神を回復させていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 病院の一室、神崎はとある少女を説得していた。

 

 その少女の母親には無料同然の値段での治療の約束を取り付けた――実施例がない新たな治療法のためとの理由を匂わせて。

 

 

 精神的に弱気になっていたため、かなりの時間をかけて元気づけていたのだが、手術前の土壇場でその少女が治療を受けるのが怖いと愚図り出した為、こうして神崎は説得に赴いていた。

 

 少女、川井静香はたびたび自身を元気づけてくれた神崎に申し訳なさそうに話し始める。

 

「すみません神崎さん。私、急に怖くなっちゃって、せっかくいろいろ準備してもらったのに……」

 

 神崎は内心を押し殺しつつ、優しく語りかける。

 

「怖いと思うことは悪いことではないですよ。本当に悪いのはそのまま蹲ってしまうことです。少しずつでいいんです――頑張っていきませんか?」

 

「でも私、震えが止まらなくって……」

 

 これは駄目だと神崎は諦める。神崎自身に縋っている彼女の精神状態では神崎の言葉では逆効果であった。ゆえに前もって用意していた情報によって少女を動かすことにした。

 

――少女の大好きな兄の話によって。

 

 

 思考は悪役のそれである。

 

 

「そうですか。ところで話は変わりますが私は近々行われるデュエルの大会の運営に関わっていまして――」

 

「え? そうなんですか?」

 

 脈絡もなく変わった話に少女の頭に疑問符がともる。

 

「ええ、それでその大会の名簿に貴方が話していたお兄さんの名前がありましたよ」

 

「本当ですか!!」

 

 少女、静香はすごい勢いで食いつく――先程までの悲壮感はなんだったのだろう。

 

「お兄さんは君の治療費を稼ぐためにデュエル大会に参加するそうです。そんなお兄さんの雄姿、自分の目で見たくはありませんか?」

 

「でも……」

 

「準備の方は気にしなくてもかまいません。私なら――ご家族の観戦席位なら簡単に用意できます。どうでしょう?」

 

 (兄の雄姿)(手術)であった。鞭の方は飴細工でできていそうではあるが。

 

 

「お兄ちゃんも戦ってるんだ……私――勇気を出してみようと思います」

 

「そうですか。ではこちらでも手配しておきます。一緒にお兄さんを驚かせましょう」

 

「ふふっ、そうですね……」

 

 

 

 

 

 そうして川井静香の手術は無事に終わり、神崎は車に乗り込みKCへと戻る。

 

 そんな神崎に運転手の男は自身の疑問を投げかける。

 

「最先端医療に大規模なデュエル大会への招待――天下のKCの重役様が一介の娘っこにそこまでするのは何でですかねぇ?」

 

「城之内克也、ひいては武藤遊戯のご機嫌取りですよ……」

 

「またまたぁ~。高校生のガキ2人のご機嫌とってなんになるんです?」

 

 神崎の答えに納得のいかない運転手はさらに問い詰めるも、

 

 

「武藤遊戯の――『オカルト』の怖さは君がよく知っているはずでしょう?――牛尾君」

 

 

「ッ!!」

 

 運転手――牛尾(てつ)が誰にも話したことのないことを神崎が認識していることを知り、ある疑問が浮かぶ。

 

「拾ってもらったことには感謝してますけどぉ……俺を拾ったのはやっぱり実験台としてですかい?」

 

「いえ、人助けですよ――困っている人間は放っておけない性分でね」

 

 

 ――嘘吐けっ!!

 

 その言葉を牛尾は何とか飲み込んだ。

 

 

 

 牛尾は思う――おっかねえ人だと。

 

 城之内の妹、川井静香を助けたのは、遊戯たちと万が一対峙することになった時、川井静香は双方の間に立つであろうことを見越してのことだろうと牛尾は考える。

 

 優しい彼女は恩人を無碍に出来ないことが分かっているから――そしてそれは遊戯たちに対するジョーカーとなりえる。

 

 

 明日は我が身だ。と神崎に対する対応を考える牛尾であった。

 

 

 

 当然それは牛尾の深読みであり、実際にはご機嫌取り以上の理由はない。

 

 

 





今のKCはそこそこ居心地がいいBIG5たち

長兄、次期党首……
いったい何フェールなんだ!

牛尾さんは免許をとれる年齢のはず
無理なら「ハワイで親父に習ったのさ」ってことで

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