マインドクラッシュは勘弁な!   作:あぱしー

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初、再現デュエル! うまく再現出来ているだろうか……
この頃はノーガードの殴り合いやったしなぁ

まだカードパワーは大して上がっていません

ちなみに再現デュエルでの
モンスターに関しては
基本的に原作で使用されたカードに制限。一部例外もある。

魔法・罠に関しては
デュエリストのイメージとかけ離れたものは極力使わないようにしています

前回のあらすじ
海馬社長
キサラ(の青眼の白龍)を捨て、爺さん(の青眼の白龍)を愛でる。




第10話 爺さんを巡る戦い

 

 

「「デュエル!!」」

 

 海馬と遊戯の声が同時に木霊する。

 

「俺の先行! ドロー! 俺は永続魔法《強欲なカケラ》を発動! さらに《サイクロプス》を召喚しターンエンドだ。さあ来い! 遊戯!!」

 

 リベンジに燃える海馬に呼応するかのごとく一つ目の緑の巨人が闘志を剥き出しに遊戯を見据える。

 

《サイクロプス》

星4 地属性 獣戦士族

攻1200 守1000

 

「モンスターが実体化した!」

 

 遊戯の驚きに満ちたその姿を見て、海馬は得意げに言い放つ

 

「フハハッ! これが我が社の英知をかけて生み出した――バーチャルシミュレーションシステムだ!」

 

 

「これに爺ちゃんは……クッ! 俺のターン! ドロー! 俺は手札から《砦を守る翼竜》を召喚! バトル!《砦を守る翼竜》で《サイクロプス》を攻撃! 火球の飛礫(かきゅうのつぶて)!」

 

《砦を守る翼竜》

星4 風属性 ドラゴン族

攻1400 守1200

 

 水色の小型の竜が空高く飛び上がり、複数の火の玉を《サイクロプス》に向かい放ち《サイクロプス》はその炎に焼かれ消えていった。

 

海馬LP:4000 → 3800

 

「ふぅん、この程度ダメージの内にも入らんわ」

 

「さらに手札から永続魔法《凡骨の意地》を発動し、さらにカードを1枚セットしてターンエンドだ」

 

 

「遊戯! そんな雑魚モンスターでこの俺を止められるとでも思っているのか! 俺のターン! ドロー! この瞬間、《強欲なカケラ》に強欲カウンターを置く」

 

 海馬のフィールド上に壺の欠片が現れ組み合わさる。その壺は半分ほど欠けている。

 

強欲カウンター:0 → 1

 

「いったい何が……」

 

「--直にわかることだ。そして手札から《ミノタウロス》を召喚! 攻撃だ!」

 

《ミノタウルス》

星4 地属性 獣戦士族

攻1700 守1000

 

 赤い鎧を身に着けた牛の獣戦士が斧を全身のバネを使い振り投げ《砦を守る翼竜》を狙う。

 

 《砦を守る翼竜》はすんでのところで回避するもブーメランのように戻ってきた斧により後ろから真っ二つにされた。

 

遊戯LP:4000 → 3700

 

「ぐっ! だがこの瞬間ッ! (トラップ)カード発動《奇跡の残照》! この効果によりこのターン戦闘によって破壊され、自分の墓地へ送られたモンスター1体を墓地から特殊召喚する! 甦れ! 《砦を守る翼竜》!」

 

 空から光が降り注ぎその光のもとから《砦を守る翼竜》が、フィールドに舞い戻る。

 

「ふぅん、雑魚が何度戻ってこようと同じことだ……ターンエンド」

 

 

 自信を持ってターンエンドする海馬に対し遊戯は自身の手札を見るも――いま遊戯の手札に海馬の《ミノタウルス》に対抗できるカードはない。

 

 遊戯の旗色は悪かった。

 

 

「俺のターン、ドロー!」

 

 そんな中引いたカードを見て自身の親友に似たカードを発動する。

 

「俺はこの瞬間! 前のターンに発動した永続魔法《凡骨の意地》の効果を発動! ドローフェイズにドローしたカードが通常モンスターだった場合、そのカードを相手に見せる事でもう1枚ドローできる――俺が引いたのは《サイガー》通常モンスターだ! もう1枚ドロー! 《封印されし者の右腕》通常モンスター! 再びドロー!」

 

 次々とドローしていた遊戯の手が止まる。通常モンスターではなかったようだ。

 

「俺は《サイガー》を召喚!」

 

 緑色のトリケラトプスの頭に手足を生やしたモンスターが現れる――だが獣族だ。

 

《サイガー》

星3 地属性 獣族

攻1200 守 600

 

 その能力を見て海馬は嘲笑する。

 

「そんな雑魚モンスターを並べて身を守るだけか……」

 

「それはどうかな? 俺は魔法(マジック)カード《ユニオン・アタック》 を《サイガー》を対象に発動! これにより《砦を守る翼竜》の攻撃力分、《サイガー》の攻撃力がアップする!」

 

《サイガー》

攻1200 → 攻2600

 

「行け! 《サイガー》! 《砦を守る翼竜》! 2体のモンスターで《ミノタウルス》を攻撃!! ファイアーギガ!!」

 

 《砦を守る翼竜》の吐く炎が《サイガー》の角に灯り《ミノタウルス》を襲う。

 

 突進する《サイガー》に斧を振り下ろすも、その炎の角は斧を溶かし《ミノタウルス》の体に大穴を開けた。

 

「だが安心しな海馬! 《ユニオン・アタック》を発動したターンは他のモンスターは攻撃できずダメージも受けないぜ!」

 

「ふぅん、それだけか!」

 

「俺はこれでターンエンドだ。そして《サイガー》の攻撃力が元に戻るぜ!」

 

《サイガー》

攻2600 → 攻1200

 

 

「なら俺のターンだ! ドロー! この瞬間! 《強欲なカケラ》に2つめの強欲カウンターが置かれる!」

 

強欲カウンター:1 → 2

 

 さらに欠片が追加され、壺の姿が完全にあらわになる。その姿は《強欲な壺》、カードを2枚ドローできるパワーカードであった。

 

「そして効果発動! 強欲カウンターが2つ以上乗ったこのカードを墓地に送りデッキより2枚のカードをドローする!!」

 

「《強欲な壺》と同じ効果だと!」

 

 タイムラグがあるとはいえ禁止カードである《強欲な壺》と同じ強力な効果に驚きを見せる遊戯。

 

「さらに俺は魔法カード《黙する死者》を発動し墓地から通常モンスター1体を守備表示で復活させる! 甦れ! 《ミノタウルス》! だがこの効果で甦ったモンスターはいかなる場合も攻撃は出来ないがな」

 

 巨大な手が地面にめり込み墓地の《ミノタウロス》を引きずり出す。

だが《ミノタウルス》の手に斧の姿はなく、両腕を交差し防御姿勢を取る。

 

《ミノタウルス》

星4 地属性 獣戦士族

攻1700 守1000

 

「フハハハッ――遊戯! このターン《ミノタウルス》の攻撃は出来ない。だがこのカードによりその前提は覆る……魔法カード《融合》!! フィールドの《ミノタウルス》と手札の《ケンタウロス》を融合!!」

 

 フィールドに不可思議な渦が現れ2枚のカードが吸い込まれていく。

 

「融合召喚! 現れろ!! 草原を駆ける英知溢れた獣戦士! 《ミノケンタウロス》!!」

 

 《ミノタウルス》の肉体と馬の脚を併せ持った獣戦士が蹄を鳴らしフィールドに駆け付け馬の前足を挙げ立ち上がる。その姿は己を倒したものへの怒りが溢れている。

 

《ミノケンタウロス》

星6 地属性 獣戦士族

攻2000 守1700

 

「行け! バトルだ!! 《サイガー》を攻撃! バトル・アックス・スワイプ!!」

 

 馬の脚を生かし、猛スピードで走り抜けその速さと剛腕による斧の一撃で《サイガー》を両断する。

 

 すぐ横を通る先ほど自身を襲った強刃に《砦を守る翼竜》は「次は俺じゃねえか!」と言いたげに震えているように思えた。

 

遊戯LP:3700 → 2900

 

「ぐっ!?」

 

「どうだ遊戯……これがカードの心とやらでは太刀打ちできない本物のパワーだ!! ターンエンド!」

 

 カードの心を否定する海馬に遊戯は力強く反論する。

 

「そいつは違うぜ海馬! カードを信じ、心を通わせればカードは応えてくれる! それを今から証明してやるぜ!!」

 

 

 その思いを胸に遊戯はドローする。祖父の無念に報いるために

 

「俺のターン、ドロー! 俺は《凡骨の意地》の効果を発動! 今引いたのは《暗黒騎士ガイア》通常モンスターだ! もう1枚ドロー! 《封印されし者の右足》通常モンスター! 再びドロー!」

 

 相も変わらずすさまじいドロー力である――そのドロー力は全国のデュエリストが歯噛みする程であろう。

 

「手札から速攻魔法《クリボーを呼ぶ笛》を発動! デッキから《クリボー》を特殊召喚する!」

 

 笛が独りでに鳴り出すとそれに誘われ黒い毛玉の悪魔がフワフワと飛んでくる。

 

《クリボー》

星1 闇属性 悪魔族

攻300 守200

 

「そして《砦を守る翼竜》と《クリボー》をリリースしアドバンス召喚! 疾風と共に敵を貫け《暗黒騎士ガイア》!!」

 

 馬の嘶きと共にその2本の突撃槍持つ騎士がフィールドに降り立つ。

 

《暗黒騎士ガイア》

星7 地属性 戦士族

攻2300 守2100

 

「行け!! 《暗黒騎士ガイア》! 螺旋槍殺(スパイラル・シェイバー)!!」

 

 螺旋を描く2本の突撃槍が迫るも《ミノケンタウロス》は斧をもって突撃槍を弾き、《暗黒騎士ガイア》に自身の剛腕を叩きつけようとする。しかし、もう一方の突撃槍で体を貫かれ体に大穴を開けた。その姿は「またかよ……」と言いたげであった。

 

海馬LP:3800 → 3500

 

「ふぅん、《ミノケンタウロス》をも倒すか……それでこそだ!!」

 

 エース格ともいえるモンスターが破壊されたというのに海馬の余裕は崩れない。

 

「俺はこれでターンエンドだ。どうだ! これがカードの心の力だ!」

 

 そんな遊戯の言葉も海馬には届かない。

 

「ほざいていろ! 俺のターン、ドロー!」

 

 引いたカードを見て海馬は目を見開く――ついに来たか! と。

 

「フフフフフ、ハーハッハッハッー! そんなカードの心などこのカードで粉砕してくれるわ! 俺は魔法カード《古のルール》を発動! それにより手札からレベル5以上の通常モンスター1体を特殊召喚する!!」

 

「来るのかっ!」

 

「――呼び出すのは当然《青眼の白龍》!!」

 

 伝説のドラゴンが咆哮と共にその翼を広げ姿を現す。その身は白く輝き、青き瞳は相手に畏怖を与えていた。

 

《青眼の白龍》

星8 光属性 ドラゴン族

攻3000 守2500

 

「行け! ブルーアイズ!! 敵を粉砕しろ! 滅びのバーストストリイイイム!!」

 

 その無慈悲な龍のブレスの一撃は《暗黒騎士ガイア》を飲み込み、周囲諸共消し飛ばしていく。

 

遊戯LP:2900 → 2200

 

「ぐぁああぁっ!!」

 

「フフフ……俺はカードを1枚伏せてターンエンド。どうだ遊戯! ブルーアイズの一撃は!」

 

「爺ちゃんのカードを……!」

 

「違うな! 俺のブルーアイズだ!!」

 

 

「くっ! 俺のターン、ドロー! 《凡骨の意地》の効果を発動。今引いたのは《ブラック・マジシャン》通常モンスターだ! もう1枚ドロー!」

 

「ふぅん――逆転のカードは引けたか?」

 

「もちろんだぜ! 俺は手札から魔法カード《黒魔術のヴェール》を発動! ライフを1000払い、自分の手札・墓地から魔法使い族・闇属性モンスター1体を特殊召喚する! 現れろ! 我が切り札にして最強の僕! 《ブラック・マジシャン》!!」

 

遊戯LP:2200 → 1200

 

 主の(LP)を削り敷かれた魔法陣より黒い衣を身に纏った最上級魔術師がその姿を現す。

 

《ブラック・マジシャン》

星7 闇属性 魔法使い族

攻2500 守2100

 

「さらに手札から魔法カード《千本(サウザンド)ナイフ》を発動! 自分フィールドに《ブラック・マジシャン》がいる時、相手モンスター1体を破壊する!! 破壊するのは《青眼の白龍》!!」

 

 《ブラック・マジシャン》は宙に浮かべた千本のナイフを《青眼の白龍》めがけて射出させる。

 

 そのナイフを《青眼の白龍》は空高く飛翔してかわすも魔術師の操る千の包囲網から抜け出せず、最後はその身を地に落とした。

 

「クッ! ブルーアイズが……おのれ遊戯!」

 

「《ブラック・マジシャン》で海馬にダイレクトアタックだ! 黒・魔・導(ブラック・マジック)!」

 

「そうはさせん! 永続罠カード《蘇りし魂》! 自分の墓地の通常モンスター1体を守備表示で特殊召喚する! 再びその姿を見せよ! 《青眼の白龍》!!」

 

 《ブラック・マジシャン》の攻撃から海馬を守るように《青眼の白龍》が再び舞い戻る。

 

《青眼の白龍》

星8 光属性 ドラゴン族

攻3000 守2500

 

「《ブラック・マジシャン》の攻撃は中止だ……カードを1枚伏せてターンエンド……」

 

 攻めきれない遊戯の歯がゆさを余所に海馬の勢いは留まることを知らない。

 

 

「俺のターン、ドロー! ブルーアイズを破壊された恨みはブルーアイズで晴らす! 手札から魔法カード《竜の霊廟》を発動!」

 

 フィールドに龍の咆哮が木霊する。

 

「デッキからドラゴン族モンスター1体を墓地へ送り、さらにそのモンスターがドラゴン族の通常モンスターだった場合、もう1体のドラゴン族モンスターを墓地へ送る事ができる。よって《青眼の白龍》を2枚墓地へ!」

 

「《青眼の白龍》を墓地へ? ……まさか!」

 

 遊戯は海馬の行動に疑問が浮かぶも先のターンの攻防から答えにたどり着く。

 

「――そのまさかだ。魔法カード《死者蘇生》墓地のモンスター1体を自分フィールドに特殊召喚する。現れろ2体目の《青眼の白龍》!!」

 

 フィールドに揃う2体目の伝説の龍。その圧倒的な力は最上級魔術師に襲い掛かる。

 

《青眼の白龍》2体目

星8 光属性 ドラゴン族

攻3000 守2500

 

「守備表示の《青眼の白龍》を攻撃表示にし……バトルだっ! 1体目のブルーアイズで《ブラック・マジシャン》を攻撃! 滅びのバーストストリイイイム!!」

 

 そのブレスの衝撃よりフィールドは粉塵により視界を遮る。

 

 

 そしてその粉塵が晴れた先には破壊された《ブラック・マジシャン》――ではなく、『?』のマークの付いた3つの黒いシルクハットが並んでいた。

 

「なんだあれは……」

 

「海馬! お前のブルーアイズの攻撃宣言時にこのカードを発動させてもらったぜ!! 罠カード《マジカルシルクハット》をな!!」

 

「なんだとっ!!」

 

「その効果によりデッキから魔法・罠カード2枚を選び、自分フィールドのモンスター1体と合わせてシャッフルして裏側守備表示でセットしたのさ!! バトルフェイズ終了時にシルクハットは破壊されるが……どうする? 海馬」

 

「ならば左のシルクハットに攻撃! 滅びのバーストストリイイイム!!」

 

「なにっ!!」

 

 シルクハットごと中に潜む《ブラック・マジシャン》が破壊されその身を散らす――せっかく隠れたのに……

 

「この俺にそんな小細工は通用せん!!」

 

「だがこのターン俺にブルーアイズの攻撃は届かないぜ!!」

 

 遊戯の言う通り《ブラック・マジシャン》は破壊出来てもシルクハットはまだ2つ残っている。それゆえに海馬の攻撃はこのターン遊戯には届かない。

 

「フン、往生際の悪いことだ! ターンエンド!」

 

 バトルの終了と共に砕け散る遊戯のフィールドのシルクハット。

 

 そしてフィールドが空になってしまったため残された手札を見て遊戯は思う。

 

 

 自身の手札は「封印されし」と書かれた3枚の意味不明のカード――これでどうやって戦えばいいんだ? と。

 

 その時、祖父双六が昔言っていたことを思い出す。

 

「いいか、この世に意味のないものなどないんじゃ……お前が苦労して組み立てた千年パズルのように、そうこのパズルのピースのようにカードにも……」

 

 その言葉でもう一つ思い出す『エクゾディア』の存在を――このデッキの中に眠っているのかもしれない。そう遊戯は考え付いた。

 

 祖父、双六も言っていた。

 

「デュエルモンスターズにはたった一体だけ、5枚のカードがそろって初めて召喚できる

無敵のモンスターがいるんじゃ。じゃがのう、いまだかつてそれを揃えた者はおらんのじゃよ」と

 

 それら5枚のカードの存在、そのうちの3枚は遊戯の手札にある――あと2枚。

 

 

 思考に没頭する遊戯に海馬は苛立ち交じりに声を上げる。

 

「お前のターンだ! 早くカードを引け!!」

 

「くっ! 俺のターン、ドロー! 《凡骨の意地》の効果発動。よし! 今引いたのは《封印されし者の左腕》通常モンスターだ! もう1枚ドロー!」

 

 4枚目のエクゾディアパーツがそろうも次に引いたカードはエクゾディアとは無関係のカード。遊戯の顔に焦りが浮かぶ。

 

「……カードを1枚伏せてターンエンド」

 

「ふぅん、ついに万策尽きたようだな……俺のターン、ドロー。何を伏せたのかは知らんがその頼みの綱もこのカードで終わりだ!! 魔法発動《ツインツイスター》! この効果により手札を1枚捨て《凡骨の意地》とそのセットカードを破壊!」

 

「そうはさせないぜ!! その効果にチェーンし、罠カード《和睦の使者》! このターン俺はバトルダメージを受けないぜ!!」

 

「クッ! だがその凡骨には消えてもらう……」

 

 今まで遊戯を支えていたドローソースが破壊される。城之内もとい《凡骨の意地》に描かれた青年は拳を遊戯に突き付け激励しながら消えていった。

 

「このターンはしのいだか……ならば俺は墓地の《置換融合》の効果を発動!!」

 

「いつの間に! ッ!? 《ツインツイスター》の発動コストの時か!」

 

「そのとおり!! その効果により墓地の融合モンスターである《ミノケンタウロス》をエクストラデッキに戻し、1枚ドロー!!」

 

 引いたカードを見つめ逡巡するも発動する。

 

「もう必要ないだろうが……せめてもの手向けだ――魔法カード《復活の福音》を発動。自分の墓地のレベル7・8のドラゴン族モンスター1体を特殊召喚する。フハハハ――現れろ! 3体目の《青眼の白龍》!!」

 

 遂にフィールド上に3体の《青眼の白龍》が揃う。その姿は圧巻の一言。

 

《青眼の白龍》3体目

星8 光属性 ドラゴン族

攻3000 守2500

 

「俺はこれでターンエンドだ!!」

 

 

 防御カードも使い切り追い詰められた遊戯に海馬は勝利を確信しながら語る。

 

「さぁ遊戯! 最後のカードを引け! 次のターン3体のブルーアイズがお前に総攻撃をかける! 逆転などない――潔くサレンダーでもしたらどうだ?」

 

 

 その言葉に対し遊戯はドローするためにデッキトップに手をかけようとするもその手は動かない。

 

 幻の召喚神エクゾディアを揃えるには、このラストターンで残された1枚を引き当てる必要がある。だがその確率はあまりにも低すぎた。

 

 カードが遠ざかっていくように感じる遊戯、だが実際にカードが遠ざかるわけではなく遊戯の心がカードを引くことに怯えているためであった。

 

 そんな遊戯に自身の手に書かれたマジックペンの跡が目に入る。

 

 それはデュエル前に仲間たちがそれぞれの手を片手ずつ合わせて「輪」を描いたもの――「俺たちはこの輪でつながっている」、遊戯はそんな仲間たちの声を聞いた気がした。

 

 

 遊戯の目から恐れが消える。

 

「ドロー……」

 

「フン! ついに開き直って絶望に手を伸ばしたか」

 

「それは違うな。俺は希望を手にしたんだ!」

 

 引いたカードはエクゾディアパーツではなく、友からもらったカードだった。

 

「俺は引いたのは《ピースの輪》!相手フィールドにモンスターが3体以上存在し、自分フィールドにカードが存在しない時! 自分ドローフェイズに通常のドローをしたこのカードを公開し続ける事で、そのターンのメインフェイズ1に発動できる。自分はデッキからカードを1枚選び、お互いに確認して手札に加える」

 

 

 祖父――双六の思いが詰まったカードを手札に加える。

 

「俺が選ぶのは《封印されしエクゾディア》!!」

 

 遊戯は「封印されし」カードを5枚並べる。

 

「今、5枚のカードがすべてそろった!! 我が怒りをその身に宿し降臨せよ! 『エクゾディア』!!」

 

 《封印されし者の右足》と《封印されし者の左足》が大地を踏みしめ、

 

 《封印されし者の右腕》と《封印されし者の左腕》が力任せに己を縛っていた鎖を引きちぎる。

 

 そして《封印されしエクゾディア》がその姿を現した。

 

 それは《青眼の白龍》ですら小さく見える巨大な存在であった。

 

「バカな! エクゾディアだと!?」

 

 驚く海馬をよそにエクゾディアは動き出す。

 

「俺の勝ちだ! 海馬!! 怒りの業火!! エクゾード・フレイム!!」

 

 両の手にあらゆる存在を消滅させる業炎が3体の《青眼の白龍》を襲う。いかに《青眼の白龍》といえど抗えぬ存在であった。

 

「ぐぁああぁっ!!」

 

海馬LP:3500 → 0

 

 

 決まり手は手札に『エクゾディア』を揃えることでの特殊勝利、これにより勝負は終わりを迎えたのであった。

 

 

 

 敗北した海馬に遊戯が近づき語る。

 

「カードと心を一つにすれば奇跡は起こるんだ!」

 

 遊戯の持つ千年パズルが光を放ちその力を発揮する。

 

「海馬、お前の心の悪を砕く! マインドクラッシュ! これでお前の心の中の悪は砕け散ったぜ!」

 

 心を砕かれ呆然とする海馬をよそに遊戯は仲間たちのもとへ帰って行った。

 

 

 






海馬が《凡骨の意地》を破壊しなければ
「最強のデュエリストはドローカードさえ自らが導く!!」の法則により
遊戯は普通に《封印されしエクゾディア》を引く

こんなんチートや!!

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